製造業の情報収集は「検討前」ではない。 約7割が情報収集段階で本命を決めている理由

製造業の情報収集は「検討前」ではない。 約7割が情報収集段階で本命を決めている理由

本記事では、2021年3月および5月に実施した製造業向け調査データをもとに、製造業の購買・調達における情報収集と比較検討の実態を整理します。
「まだ情報収集段階だから検討は先」そう考えられがちですが、実際にはこの段階から選定は静かに進んでいることがわかりました。

製造業の情報収集は「資料請求・ダウンロード」が起点になっている

2021年3月調査|情報収集手段(n=104)

購買・調達する商品について、どのような手段で情報収集しているかを聞いたところ、最も多かったのは「商品の資料請求・ダウンロード」でした。

  • 商品の資料請求・ダウンロード:60.6%
  • 商品のサービスサイト:53.8%
  • 商品の比較サイト:46.2%
  • 展示会:46.2%
  • 企業のコーポレートサイト:41.3%

展示会も一定の役割はありますが、最初の接点はWeb上の資料・情報であるケースが多いことが分かります。

情報収集の最大の壁は「条件に合う商品が見つからない」こと

2021年3月調査|情報収集時の課題(n=102)

  • 条件に合う商品が見つかりづらい:54.9%
  • 比較検討に時間がかかる:46.1%
  • 商品の違いがわかりづらい:40.2%

これは情報量の問題ではなく、判断や比較に使える形で整理されていないことが原因だと考えられます。

検討土台に上がる決定打は「事例・説明・比較情報」

2021年5月調査|検討土台に上がる決定打(n=101)

  • 実際の導入事例コンテンツ:66.3%
  • 商品の説明コンテンツ:62.4%
  • 他社との性能・価格・特徴の比較:56.4%

検討段階では、社内説明や稟議に使える材料が求められています。

検討土台から外れる要因は「情報の不明瞭さ」

2021年5月調査|検討から遠のく要素(n=101)

  • 実際にかかる金額が不明瞭:58.4%
  • 商品に関する詳しい説明がない:54.5%
  • 自社に合っているか判断しづらい:49.5%

金額や条件が明示されないまま、すぐ問い合わせを求めるような情報の出し方は、比較検討や社内検討に使えず、検討土台から外れる原因になります。

資料ダウンロード後の営業は、むしろ歓迎されている

2021年3月調査|資料DL後の営業希望(n=63)

  • かなりそう思う:12.7%
  • そう思う:46.0%

営業を求めるタイミング

  • より詳しい説明を聞きたい時:78.4%
  • 比較検討を進め、購買に近づいた時:56.8%

これらの結果から分かるのは、資料ダウンロード後の営業が求められている理由は、売り込みではなく、判断を進めるための補足説明だという点です。

製造業の購買では、
・資料だけでは分からない技術的な前提
・自社条件に合うかどうかのすり合わせ
・他社との違いの整理
といった情報が、比較検討の途中段階で必要になります。

そのため、情報がある程度そろった段階での営業接点は、比較や社内検討を前に進める役割として、むしろ歓迎されていると考えられます。

デモ依頼の目的は「資料だけでは分からない部分の補足」

2021年3月調査|デモ依頼の目的(n=39)

  • 資料だけでは分からない情報の補足:82.1%
  • 自社課題が解決できるかの相談:61.5%

この結果から分かるのは、デモ依頼の多くがゼロから検討するためではなく、比較検討を進めるための確認として行われているという点です。

製造業の購買・調達では、資料やWebである程度情報を集めたうえで、次のような点を最終確認する目的でデモが活用されています。

・自社の業務フローや条件に本当に適合するか
・カタログや資料では判断しきれない使い勝手や制約
・導入後の運用イメージや、課題解決までの具体像

つまりデモは「検討のスタート」ではなく、比較検討を完了させ、導入判断に進むための工程として位置づけられていると言えます。

比較検討段階に入ると、導入スピードは明確に早くなる

2021年3月調査|導入スピードの違い(n=104)

導入までのスピード差(n=59)

比較検討段階に入ることで、1週間以上早まるケースが約8割にのぼります。

約7割が「情報収集段階」で導入商品を決めている

2021年3月調査|本命商品が決まるタイミング(n=104)

  • 課題解決の情報収集段階で決まっている:22.1%
  • 課題解決・製品情報の両面で納得して決まる:32.7%

比較検討段階で見つけても、すでに候補から外れている可能性があります。
この結果が示しているのは、製造業の購買では「比較検討フェーズで勝つ」以前に、情報収集フェーズで候補に入れてもらえるかどうかが重要だという点です。

情報収集段階では、価格や細かな条件まで詰める前に、次のような観点で「検討する価値があるか」が判断されています。

・自社の課題や用途に当てはまりそうか
・同種の製品・サービスと比べたときの違いが分かるか
・この先、社内で説明・検討を進められそうな情報がそろっているか

そのため、製造業のWebや資料では、比較検討段階で使う情報だけでなく、情報収集段階で「候補に残るための情報設計」が欠かせません。

だから製造業のWeb施策は「比較で使われる情報設計」が重要になる

情報収集段階から比較・選定が始まる以上、単にアクセスを集めるだけのWeb施策では不十分です。

製造業のWebに求められているのは、事例・比較・条件といった情報が整理され、そのまま社内検討や稟議の材料として使える「説明できるWeb情報」です。

具体的には、次のような情報がそろっているかどうかが、「候補に残るか」「比較で落ちるか」を左右します。

  • 自社と近い業種・用途の事例があり、検討のイメージが持てるか
  • 他社と何が違うのか、比較の軸が明確に示されているか
  • 価格や条件、導入までの流れが不明瞭になっていないか

こうした情報が整理されていない場合、どれだけ技術力や実績があっても、情報収集段階で検討対象から外れてしまう可能性があります。

製造業の集客全体像や施策の考え方については 製造業の集客課題とは?競合に差をつけるWeb活用法が5分で分かるの記事で、比較検討や稟議で落ちないための情報設計については製造業ブランディングとは?比較検討で選ばれるための考え方と進め方の記事で詳しく解説しています。

まとめ

本調査から、製造業の購買・調達では情報収集段階ですでに意思決定が始まっていることが明らかになりました。
最初に接点を持つWebや資料の内容が、比較検討・稟議・導入スピードに大きな影響を与えます。
そのため、施策を増やす前に、自社が「どの段階で、何を判断されているのか」を整理した情報設計を行うことが、比較で選ばれるための第一歩になります。

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