フランチャイズ本部を立ち上げるには、戦略的な計画と専門知識が必要です。
フランチャイズ本部構築を支援するコンサル会社にはフランチャイズの立ち上げに関わる経験や知見を持ったコンサルタントが多く在籍しているため、依頼することで再現性の高いビジネスモデルの構築やスムーズな多店舗展開が実現できます。
集客支援や本部代行、将来を見据えた本部構築の支援など、各社が得意とするコンサルティング戦略はさまざまなので組織のスキルセットに応じて選択してみてください。
本ページで紹介している掲載企業のうち、一部の資料は下記よりダウンロードが可能です。比較検討の参考にご活用ください。
| 会社名 | サービスの特徴 | 得意業界・実績 | 実務支援体制 | 範囲(設計/開発/運用) |
|---|---|---|---|---|
Argoza(アルゴザ) |
出口戦略まで考慮した実績/実例に基づく本部構築なら
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美容・飲食・通信・介護・小売など多岐
0店舗からの構築実績あり |
開発代行
AI型LP運用 社外取締役レベルの内製化支援 |
◯ / ◎ / ◯
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SHARELIVE |
中小企業・小規模事業者向けの支援に特化したプランでスモールスタートが可能 |
消費者向け業態との相性が◎
サービス業や小売業など |
ブランド設計
コミュニケーション設計 ツール整備 |
△ / ◯ / △
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アクアネット |
コストやリソースに合わせてリスクの少ないFC展開を提案 |
介護事業 / 学習塾 / 振り袖・着物チェーン など
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SV機能整備・改善
マニュアル作成代行 |
◯ / △ / ◯
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アントレ |
独立希望者が集まるメディアを保有!加盟店獲得に強い |
飲食店 / 学習塾 / 美容サロン / 放課後等デイサービス など
累計の支援社数は1,500社以上 |
事例分析に基づく戦略提案
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△ / △ / △
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フランチャイズエージェント |
フランチャイズ経営士の知見で支える持続可能な本部構築と加盟店拡大 |
介護 / 学習塾 / 小売 / サービス等 など
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加盟店募集代行
SV代行/派遣 本部業務代行 |
◯ / ◎ / ◎
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日本フランチャイズ総合研究所 |
30年以上の実績を持つ代表が全案件をリード |
150本部構築
400社指導 |
SV養成講座
店舗会計システム構築支援 |
◎ / ◯ / ◯
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日本フランチャイズ研究機構 |
国家資格者の知見を結集した専門性と実績で支える本部構築支援 |
上場企業8社を含む
100社以上の支援実績 |
法定開示・契約周りの強化
内部統制設計 |
◎ / △ / △
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Biz Rise |
企業特性に合わせた柔軟なフランチャイズ設計と徹底した伴走支援 |
公式HPに記載なし
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公式HPに記載なし
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公式HPに記載なし
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フランチャイズアドバンテージ |
成長段階に応じた戦略設計と現場に根差した本部構築支援 |
公式HPに記載なし
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公式HPに記載なし
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公式HPに記載なし
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しくみ作り |
企業特性に応じた仕組み設計と多角的な市場分析による成長支援 |
公式HPに記載なし
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公式HPに記載なし
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公式HPに記載なし
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船井総合研究所 |
業種別専門コンサルタントとFC専門家の連携による再現性の高いFC本部構築支援 |
飲食店 / 美容サロン / 学習塾 など
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SV養成講座
店舗会計システム構築支援 |
公式HPに記載なし
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常進パートナーズ |
最小限の投資で始められる、段階的成長を実現するフランチャイズ支援 |
飲食店 / 美容院 / サロン / 整体院などの店舗ビジネス
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公式HPに記載なし
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公式HPに記載なし
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フランチャイズ本部構築とは?
フランチャイズ本部構築は、自社のビジネスをより大きく成長させたいと考える経営者にとって、有力な戦略の一つです。他者の資本を活用しながらスピーディーに店舗を増やせるため、近年多くの企業で注目されています。
しかし、成功は偶然ではなく、緻密な準備と戦略が欠かせません。
フランチャイズとは、自社で培ったノウハウやブランド、運営方法を「事業パッケージ」として体系化し、加盟店が同じ成功を再現できる仕組みを構築することです。
本部はブランドやノウハウを提供し、加盟店はその仕組みを使って事業を運営します。両者が明確に役割を分担し、共通の目標に向かって協力し合う点が大きな特徴です。
直営多店舗展開とフランチャイズの違いを簡単にまとめると、以下の通りです。
| 観点 | フランチャイズ | 直営店 |
|---|---|---|
| 展開スピード | 非常に速い | 遅い |
| 初期投資(本部) | 少ない | 大きい |
| 収益構造 | ロイヤリティ収入で安定的 | 店舗利益が直接収益 |
| 品質・ブランド管理 | 難しい(標準化・SVが鍵) | 容易 |
| 運営負担(本部) | 軽減される | 全て負う |
フランチャイズ本部は、ブランドやノウハウの提供、加盟店の運営サポートなど多様な役割を担います。
一方、加盟店は本部のシステム上で日々の運営に集中し、地域のお客様にサービスを届けます。
このように、本部と加盟店が協力し合いながら共に成長していけるのがフランチャイズシステムの大きなメリットと言えるでしょう。
フランチャイズ本部の構築にかかる費用
フランチャイズの本部構築には、プロジェクトの期間中にかかる費用のほか、本部構築後の流れも含めて資金の見通しを立てる必要があります。
- 商標登録費…本部が使用している商標を登録する際に必要となる費用
- 人件費…本部の立ち上げに必要な契約時の書類作成などに係る人件費
- コンサルタント費…コンサルティングへ依頼する際に発生する費用
- 加盟店営業費…フランチャイズ加盟店を開拓するために必要な営業費
商標登録費
商標登録費とは、フランチャイズ本部が使用している商標を登録する際に必要となる費用です。フランチャイズシステムは、フランチャイズ本部の「名前や看板を貸す」、つまり商標を加盟店舗に貸し出して、その対価としてロイヤリティを受け取ることになります。
そのため、フランチャイズが使用している商標を、特許庁に商標登録しておかなくてはなりません。そもそも商標とは、自社が取り扱う商品・サービスを区別するために使用する標識のことで、ブランド名や店舗名、ロゴなどがあたります。
商標権とはその商標を独占的に使用できる権利で、ただブランド名を名乗ったり、使用したりしているだけでは認められません。商標を特許庁へ申請し、商標登録が認可されてはじめて商標権が認められます。
商標権は事前登録が不可欠
もし商標登録しないままフランチャイズ展開をはじめてしまうと、他の会社が先に同じ名前で商標登録をした場合、こちらが先に使用していたとしても相手から商標の使用差し止めを求められるリスクがあります。
そうなると、フランチャイズ本部と加盟者(加盟店)との間に「商標を貸して対価を受け取る」という前提が成り立ちません。
信用の失墜や加盟者とのトラブルを避けるためにも、フランチャイズを展開する前に商標登録しておく必要があります。
商標登録にいくらかかる?
商標登録にかかる費用は、商標登録料に区分数を乗じた金額で求められるため、選択する区分数によって異なります。区分数はビジネス上のカテゴリ45種の中から、いくつ選択するかで決定。1区分・10年間が32,900円なので、3区分なら98,700円です。
「10年間も権利が必要ない」という商標権者のために分納制度もありますが、分納制度を利用して10年商標を持ち続けるとなると、一括で支払うより割高になってしまいます。長期にわたるフランチャイズ展開を計画しているのであれば、一括納付がおすすめです。
また、この料金はあくまでも特許庁へ納付する印紙代で、自分で申請する場合のみです。特許事務所や特許業務法人、弁護士事務所に依頼するとなると別途代行料や依頼費用がかかります。
人件費
フランチャイズ本部を立ち上げるまでには、フランチャイズ制度の整備や資料作成など、以下のような準備が必要です。
- 加盟店マニュアルの整備
- 加盟店の教育・研修プログラムの整備
- 加盟店営業用の資料作成
- フランチャイズ契約時の書類作成
これらの作業には当然、担当するスタッフが欠かせません。新たに人を採用するなら人件費が必要ですし、既存の人員が業務を兼任する場合であっても、その分の人件費が発生します。
人件費にいくらかかる?
年収450万円の兼任スタッフ2名の体制で、半年をかけてプロジェクトを進める場合、労働時間の3分の1をフランチャイズ本部構築業務に充てるとすると、人件費は1人あたり150万円×2=300万円程度です。
既存の人員へ任せる場合であっても、実質的には人件費が発生しています。フランチャイズ構築分の人件費もしっかりと初期投資に含めて、フランチャイズ事業で回収できるよう、加盟料やロイヤルティを設計していくことが大切です。
コンサルタント費
コンサルタントと費はその名の通り、フランチャイズ本部構築の支援をコンサルティングへ依頼する際に発生する費用です。コンサルタントを頼らず、自力でフランチャイズ本部構築に取り組むのも不可能ではありません。
しかし、フランチャイズシステムの複雑な仕組みや加盟者との関係などを考えた場合、自社のみで容易にできるとは言えないでしょう。フランチャイズ展開の知識やノウハウを持つコンサルタントへ依頼したほうが効率的です。
専門知識を持つコンサルを選びたい場合は、フランチャイズ コンサル会社の活用も検討すると良いでしょう。
コンサルタントにかかる費用
業界・業種や展開したいフランチャイズの規模、プロジェクトの期間、または担当コンサルタントの数によっても異なりますが、コンサルタント費用の大まかな相場は100~500万円ほどです。
加盟店営業費
加盟店営業費とは、フランチャイズ加盟店を開拓するために必要な営業費のことです。加盟店を募集するためにツールを作成したり、宣伝広告を打ち出したりする際に発生します。
営業活動をした分だけ費用がかかるため、自社でコントロールもできますが、自社がフランチャイズ加盟店を募集していることが認知されなければ、加盟店は増えていきません。
特にネットが普及・浸透している今では、加盟店営業用の専用サイトは必須と言えます。フランチャイズに関する情報を収集している、フランチャイズ加盟に興味を持つユーザーは、必ずWebサイトを検索するからです。その他、
- Web広告
- マッチングサイトへの掲載
- パンフレット制作
- 専門展示会への出展 など
自社のフランチャイズを見つけてもらいやすい施策を講じておく必要があります。
加盟店募集を効率化するには、フランチャイズ加盟開発代行サービスの利用も選択肢の一つです。
加盟店営業にかかる費用
依頼する制作会社によっても異なりますが、Webサイトの制作は10~100万円程度。Web広告は種類によって異なりますが、マスメディアよりも比較的価格を抑えて出稿が可能です。
マッチングサイトやポータルサイトへの掲載は、登録や掲載だけなら無料の場合もありますが、マッチング(リード獲得)後に費用が発生することがあります。各サービスの料金システムを確認した上で検討しましょう。
フランチャイズ本部を構築できる条件とは?
フランチャイズの本部構築は、資金があれば誰でもできる訳ではありません。本部を構築するには一定の条件があり、それをクリアする必要があります。
プロトタイプが確立している
フランチャイズの本部構築のプロトタイプが確立されているかが大切です。プロトタイプとは、試作品や基本の形を指します。
加盟店は親会社(本部)が用意する指導研修やシステムをもとに営業を行うため、事業を展開するにあたり基本的な指導体制やシステムが確立されているかが重要です。
従業員を教育できるノウハウがある
展開するフランチャイズの業種や属性に合わせて、従業員教育ができるかも大切です。従業員の教育をそれぞれの加盟店オーナーに任せることもできますが、一貫した企業ブランドを保つためにも、本部が十分な教育ノウハウを持っている必要があります。
経営指導できるノウハウがある
フランチャイズビジネスでは、全くの別業種で事業をしていた経営者が参入したり、業界未経験の個人が加盟店オーナーになったりするケースが多くあり、加盟するすべての経営者が業界知識を持っているわけではありません。
加盟店ごとで、経営ノウハウに差異があっても指導できるノウハウを持っているかが大切です。
収益力・効率性がある
フランチャイズ本部だけでなく、加盟店の利益が確保できるだけの高い収益性があるかも大切です。また、「どんなに未経験の加盟店オーナーでも、マニュアルに従えば運営できる」プロトタイプで、効率性のあるビジネスが展開できるかもカギとなります。
商品やサービスにオリジナリティがある
提供する商品・サービスにオリジナリティがあると、独自のブランドイメージを構築できるため差別化しやすくなります。
他社との差別化は集客や収益に繋がる部分でもあるため、競合に負けない特徴や魅力を生み出せているかも重要です。
実際にフランチャイズオーナーを募集する際には、この差別化ポイントを効果的に伝えることが加盟店獲得の鍵となります。詳しくは「フランチャイズ(FC)オーナーを集める差別化戦略の重要ポイント」でも解説していますので、ぜひ参考にしてください。
市場規模がある
フランチャイズ展開で安定的な収益を上げるためには、直営店と加盟店を合わせて少なくとも50~60店舗以上の展開ができる市場規模が必要と言われています。
具体的な業界事例としては、不動産フランチャイズなどが挙げられます。
一定数以上の店舗を展開できそうか、加盟店の増加をどれほど見込めるか、市場規模も把握しながら進めましょう。
資金力がある
フランチャイズ本部構築には、フランチャイズ加盟店を拡大していくための資本力と資金調達力が肝心です。店舗を拡大すれば利益を見込める計画であっても、初期の段階は赤字も覚悟しながら運営を続けなくてはなりません。
フランチャイズ展開における必要な本部機能と重要性
フランチャイズビジネスを成功に導くためには、強固な本部機能の確立が不可欠です。以下は、その重要な要素を分かりやすく説明した記事構成です。
加盟店開発
フランチャイズ事業の展開において、最初のステップは加盟店の募集です。
募集方法の主流は現在も加盟店募集説明会であり、業種や業態によって異なる対象者のニーズを理解し、適切な戦略を立てる必要があります。特に重要なのは、本部経営者のビジネスモデルへの強い信念と情熱です。これがなければ、信頼できるビジネスパートナーを得ることは難しいでしょう。
商品・サービス開発
フランチャイズシステムの中核をなすのは、新しい商品やサービスの開発です。現代では商品やサービスのライフサイクルが短く、常にイノベーションが求められます。この機能を維持することは、ビジネスモデルの存続に直結します。
加盟店支援・SV機能
フランチャイズビジネスでは、本部と加盟店との間の長期的な信頼関係が重要です。
単にフランチャイズパッケージを提供するだけでなく、パートナーと共に成長するための継続的なコミュニケーションが不可欠です。この機能を確立することで、加盟店との持続的な関係を築くことができます。
研修・教育プログラム
フランチャイズシステムが機能する理由の一つは、その「パッケージ化」の能力です。
しかし、多くのフランチャイズ本部では、このパッケージ化やモデルの可視化が追いついていないのが現実です。効果的な教育研修プログラムの構築は、フランチャイズ成功の鍵を握ります。
物流機能
小売や飲食業においては、物流機能が極めて重要です。確実な商品供給体制がなければ、事業運営は成り立ちません。特に、フランチャイズチェーンにおいては、一貫した品質とサービスを保証するために、この機能の確立が必要です。
情報システム
過去には大規模な設備投資を必要とした情報システムも、現在ではクラウドサービスを利用することで低コストで運用可能です。中小企業向けのカスタマイズされたサービスの活用により、適切な情報システムの運用が可能となります。
バックアップサポート機能
独立した「フランチャイズ加盟店」経営者は、資金や情報面でのサポートを必要としています。本部がこれらを提供できる能力を持つことで、加盟店の不安を軽減し、長期的な関係を築くことができます。必要に応じて外部専門分野との連携も重要です。
フランチャイズ本部を構築する手順
ここからは、フランチャイズ本部を構築する際の具体的なフローを解説します。効率よくプロジェクトを進めるためにも、プロセスごとの予算やスケジュールを策定して、計画的に進めていきましょう。
また、実務の抜け漏れを防ぐには、フランチャイズの展開方法や本部立ち上げも併せてチェックしておきましょう。契約書やマニュアル整備の要点を網羅できます。
1.成功モデルの分析
自社がフランチャイズで成功できる要因を細かく分析して、ポイントをまとめましょう。加盟店展開に適した商圏や立地を分析し、自社の商品・サービスが勝てるポイントを分析した上で、店舗デザインや販促方法などを決めていきます。
2.商標登録を申請する
自社のブランド名やロゴの商標登録を申請します。商標権は、加盟店に対して自社のブランドの使用を認め、その対価としてロイヤリティを得る大切な項目です。
商標登録までには約5~10か月を要すると言われています。加盟店募集時に間に合わせるためにも、早い段階で申請しておくようにしましょう。
3.自社の業務マニュアルを作成する
すべての加盟店が滞りなく業務や店舗運営を行うためにも、業務マニュアルは不可欠です。フランチャイズ加盟店の業務プロセスを標準化するためにも、口頭のみでの研修ではなく文書や動画を使ってマニュアル化しましょう。
4.フランチャイズモデルを作る
フランチャイズ本部と加盟店における必要な仕組みや取り決めごとを、パッケージに落とし込むことが必要です。契約期間、加盟金、研修費用、保証金、ロイヤリティなど、契約書に記載する内容を決定します。
5.基本契約書を作成する
作成したフランチャイズモデルを見直した上で、フランチャイズ加盟の基本契約書に反映していきます。本部と加盟店との間で万が一のトラブルが起きた際に契約書上で問題が生じないよう、作成した契約書は弁護士のリーガルチェックを受けるようにしましょう。
6.フランチャイズ加盟店を募集する
契約書まで完成したら、いよいよフランチャイズ加盟店の募集を開始します。契約や研修、運営を行いながらPDCAを回し、フランチャイズモデルのパッケージをブラッシュアップしていくことも大切です。
フランチャイズ加盟店の募集方法
フランチャイズ事業では、本部機能を構築するのも大切ですが、何より事業に賛同し協力してくれる「加盟店」を集めることも重要です。ここでは、フランチャイズ加盟店の募集方法をまとめました。
募集チャネル選定の前提として、BtoBセグメンテーションで狙う業種・規模・意思決定者を明確化しておくと、媒体選定や訴求コピーの精度が上がります。
加盟店募集専門サイトへの掲載
フランチャイズビジネスの加盟店を募集する専門サイトに掲載する方法があります。専門サイト内より、業種・業態や投資規模など、ユーザーの知りたい情報に合わせて該当するフランチャイズ本部の検索が可能です。
メディアによって異なりますが、掲載に費用がかかる場合があります。掲載を検討する際は、料金システムを事前に確認しましょう。
展示会への出展
フランチャイズ希望者を対象にした専門の展示会へ出展する方法です。意欲の高い顕在ターゲットの来場が見込めるほか、加盟希望者と対面で直接話せるため、自社の加盟店の魅力をアピールしやすい効果があります。
パブリシティの活用
各種メディアにプレスリリースを配信し、自社のフランチャイズシステムについて、報道として取り上げてもらう方法です。上手く取り上げてもらうことができれば、多くの問い合わせが期待できます。
法務とリスク管理のチェックリスト
フランチャイズビジネスを健全に運営するためには、本部と加盟店の関係を明確に定め、法規制を守ることが欠かせません。契約内容の不備や法律への理解不足は、将来的に大きなトラブルに発展する可能性があります。ここでは、本部構築において必ず確認すべき法務面のポイントをご紹介します。
フランチャイズ契約書とリーガルチェック
フランチャイズ契約書は、本部と加盟店の関係を定める最も重要な文書です。曖昧な表現や一方的に本部だけが有利な条項は、後々の紛争の原因となります。契約書を作成する際は、以下の項目について特に注意深く検討し、必ず専門の弁護士によるチェックを受けることをおすすめします。
まず、契約期間と更新条件の設定が重要です。加盟店が初期投資を回収できる十分な期間を設定し、更新の条件や手続きを明確にしておく必要があります。一般的には5年から10年の契約期間を設定することが多いですが、業種や投資規模によって適切な期間は異なります。
次に、テリトリー権(営業地域の保護)について明確に定めることが大切です。加盟店に特定エリアでの独占的な営業権を与える場合、その範囲を地図上で具体的に示すことが必要でしょう。近隣に直営店や他の加盟店が出店することによるトラブルは多いため、この条項は特に重要になります。
契約解除と違約金の設定も慎重に行う必要があります。どのような場合に契約を解除できるのか、その条件と手続きを双方について定めます。特に、加盟店側の中途解約における違約金については、不当に高額な設定は裁判で無効と判断される可能性があるため、実際の損害額を基にした合理的な算定根拠を用意することが大切です。
| 契約書の重要項目 | 確認ポイント | リスク対策 |
|---|---|---|
| 契約期間・更新 | 投資回収に十分な期間か | 業界標準と比較して妥当性を確認 |
| テリトリー権 | 営業地域が明確に定義されているか | 地図上で具体的な範囲を明示 |
| 契約解除条件 | 双方の解除条件が公平か | 具体的な違反事例を列挙 |
| 競業避止義務 | 期間・地域・範囲が合理的か | 過度な制限は無効になるリスクあり |
| 合意管轄 | 訴訟時の裁判所が定められているか | 本部所在地の裁判所を指定 |
さらに、契約終了後の義務についても定めておくことが重要です。契約終了後の競業避止義務(同種事業の禁止)や秘密保持義務について規定しますが、これらの義務は期間、場所、業務範囲などが合理的な範囲でなければ、加盟店の営業の自由を不当に制限するものとして無効になる可能性があることに注意が必要です。
中小小売商業振興法に基づく法定開示書面
小売業や飲食業のフランチャイズ本部には、中小小売商業振興法により、契約前に加盟希望者へ「法定開示書面」を交付する義務があります。これは情報力で劣る加盟希望者を保護し、十分な情報に基づいて契約を判断できるようにするための重要な制度です。
法定開示書面には、本部の会社概要や役員情報、直近3事業年度の財務諸表(貸借対照表・損益計算書)を記載する必要があります。これにより、加盟希望者は本部の経営状態を把握し、安心して契約を検討することができます。
また、加盟金、保証金、ロイヤリティなど、加盟にあたって支払う金銭の額や性質、返還の有無と条件についても明記します。商品や原材料の供給条件、指定業者からの購入義務の有無なども含め、加盟店が負担する費用の全体像を透明にすることが求められています。
経営指導の内容も重要な開示項目です。研修の実施内容や期間、スーパーバイザーの巡回頻度など、本部が提供するサポート体制を具体的に記載します。さらに、契約期間、更新、解除に関する事項や、直近の加盟店数の推移、過去の加盟店との訴訟件数なども開示が必要です。
特に注意すべき点は売上予測の開示です。もし売上予測を提示する場合、その算定根拠を客観的なデータ(類似立地の直営店実績など)に基づいて合理的に説明できなければ、後に「説明義務違反」として損害賠償請求を受けるリスクがあります。予測はあくまで参考情報であり、売上を保証するものではないことを明確に伝えることが大切でしょう。
独占禁止法や労働基準法の留意点
フランチャイズ契約は独占禁止法上の規制対象となります。本部が加盟店に対して優越的な地位にあることを利用して、不公正な取引を強いることは「優越的地位の濫用」として禁止されています。
具体的に問題となりやすい行為として、正当な理由なく本部指定の業者以外からの仕入れを禁止することがあります。これは「拘束条件付取引」と呼ばれ、独占禁止法違反となる可能性があります。また、売れ残りのリスクを一方的に加盟店に負わせるような過剰な仕入れの強制も問題となります。
合理的な理由なく、加盟店による商品の値引き販売(見切り販売)を制限することも避けるべきです。加盟店は独立した事業者として、自らの判断で価格設定を行う権利があることを尊重する必要があります。
労働基準法についても注意が必要です。加盟店オーナーは独立した事業者ですが、本部が店舗の労働時間や従業員の採用・解雇にまで過度に干渉し、実質的な指揮命令関係にあると判断された場合、加盟店オーナーが労働者とみなされる可能性があります。その場合、本部が使用者としての責任(残業代の支払い義務など)を問われるリスクもゼロではありません。
よくあるトラブル事例と予防策
過去の裁判例から、フランチャイズビジネスで頻発するトラブルのパターンを知り、予防策を講じることが重要です。実際によく起こるトラブル事例とその対策をご紹介します。
不正確な売上予測によるトラブル
不正確な売上予測によるトラブルは最も多い問題の一つです。本部から提示された楽観的な売上予測を信じて加盟したものの、実際には全く達成できず赤字経営に陥るケースがあります。
例えば、高級食パン専門店「乃が美」では、加盟店の9割が赤字に陥り、ロイヤリティの支払いのために借金をするオーナーも出るなど深刻な状況が報じられました(2024年1月報道)。
これを防ぐには、法定開示書面などで売上予測を提示する際、必ず客観的なデータに基づく根拠を明示し、「あくまで予測であり、売上を保証するものではない」ことを明確に伝えることが大切です。
テリトリー権の侵害
テリトリー権の侵害も深刻な問題となりやすい事例です。契約時にテリトリー権が保証されていたにもかかわらず、本部が近隣に直営店や別の加盟店を出店し、売上が激減するケースがあります。
実際に、セブンイレブンのドミナント戦略(特定地域への集中出店)により、東京都内の東日本橋1丁目店では半径200m以内に他のコンビニが6店舗、うち4つがセブンという状況となり、経営悪化から閉店に追い込まれた事例も報告されています(2019年報道)。
予防策として、契約書でテリトリーの範囲を地図上で明確に定義し、保護される権利の内容(例:同ブランドの他店舗を出店しない)を具体的に記載することが必要でしょう。
不十分な経営指導
不十分な経営指導によるトラブルも頻繁に発生します。契約時に約束されていたスーパーバイザーの巡回や経営指導がほとんど行われず、問題が発生してもサポートが受けられないケースです。
「ごはん家まいどおおきに食堂」のフランチャイズ訴訟では、東京高裁が「経営指導を行うはずのスーパーバイザーの体制に重大な不備があり、経営改善支援対策、ノウハウが欠落しており、FC本部の経営指導義務の不履行がある」と認定し、本部側に約4700万円の支払いを命じた判決が2012年に確定しています。
これを防ぐには、契約書やマニュアルで本部が提供するサポートの内容(スーパーバイザーの訪問頻度、研修の実施回数など)を具体的に明記し、その履行記録をきちんと残すことが重要です。
契約内容の一方的な変更
本部の都合だけでロイヤリティの料率を変更したり、軽微な理由で契約を解除したりすると、加盟店との信頼関係が崩れ、訴訟リスクが高まります。
本部が契約解除を行っても、裁判所は「加盟店との信頼関係を破壊するような重大な事由」がない限り、その解除を無効と判断する傾向があります。
これを防ぐには、契約書に「契約内容の変更には双方の合意が必要である」ことを明記し、解除事由についても具体的かつ合理的な要件を定めておくことが重要です。加盟店との良好な関係を維持することが、安定したフランチャイズチェーンの運営には欠かせません。
出口戦略も視野に入れた本部構築
フランチャイズ本部の構築は、単なる事業拡大の手段としてだけでなく、将来の事業承継やM&A(企業の合併・買収)といった「出口戦略」まで見据えて設計することが重要です。この長期的な視点を持つことで、より価値の高い事業資産を創造することができるでしょう。
将来的な海外進出を視野に入れるなら、フランチャイズ 海外展開サポートも役立ちます。
事業承継やM&Aに備えた制度設計
将来、自社を売却したり後継者に引き継いだりする際、フランチャイズシステムが「属人性を排した、誰でも運営可能な仕組み」になっていることが極めて重要です。買い手や後継者が最も懸念するのは、創業者個人のカリスマ性や特殊なスキルに依存していて、その人がいなくなると価値が失われてしまう事業だからです。
M&Aの際に高く評価されるフランチャイズ本部には、いくつかの共通した特徴があります。まず、業務手順が詳細なマニュアルに落とし込まれ、どの店舗でも品質が安定していることが挙げられます。これは事業の再現性と安定性を示す何よりの証拠となります。
次に、全加盟店と締結されているフランチャイズ契約書が統一されており、法的に有効かつ執行可能であることも重要です。契約内容の不備は、買い手にとって大きなリスクと見なされるため、初期段階から適切な法務基盤を整えておく必要があります。
ブランド名やロゴが商標登録されているなど、知的財産権が適切に保護されていることも評価のポイントです。これらは貸借対照表には表れない重要な無形資産であり、企業価値を大きく左右します。
さらに、本部および加盟店ネットワーク全体の財務状況が明確で、いつでも第三者が検証できる状態にあることも求められます。正確な企業価値評価を行うための前提条件となるため、日頃から透明性の高い財務管理を心がけることが大切でしょう。
これらの要素は、M&Aのデューデリジェンス(買収監査)で厳しくチェックされる項目です。本部構築の段階からこれらを整備しておくことで、将来の選択肢を大きく広げることができます。
将来の売却価値を高めるための仕組みづくり
企業の売却価値(企業価値)は、将来どれだけのキャッシュフローを生み出すかによって大きく左右されます。フランチャイズ本部の価値を高めるためには、収益の安定性と成長性を支える仕組みを意図的に組み込んでいく必要があります。
安定的で多様な収益源の確保
まず重要なのは、安定的で多様な収益源を確保することです。本部の収益の柱は加盟店からのロイヤリティですが、加盟店が安定して利益を上げられるような手厚いサポート体制を築くことが、結果として本部の収益基盤を強固にします。
さらに、原材料の供給や専用システムの利用料など、ロイヤリティ以外の収益源を構築することも企業価値の向上につながります。
スケーラブルな本部機能の構築
次に、スケーラブル(拡張可能)な本部機能の構築が必要です。加盟店数が増えても、本部のコストが比例して増大するようでは収益性は頭打ちになってしまいます。
ITシステム(CRMや受発注システムなど)を積極的に導入し、少人数でも多くの加盟店を効率的に管理・サポートできる体制を築くことで、高い収益性と成長性を実現できるでしょう。
ブランド価値と市場地位の確立
高いブランド価値と市場での地位を確立することも重要な要素です。積極的なマーケティング投資によってブランドの知名度と信頼性を高めることは、加盟店募集を有利にするだけでなく、企業全体の無形資産価値を向上させます。
業界内での確固たる地位は、M&Aにおいて魅力的な買収プレミアムにつながる可能性があります。
加盟店との良好な関係構築
最後に、良好な加盟店との関係構築が欠かせません。満足度が高く、収益を上げている加盟店のネットワークは、フランチャイズ本部にとって最大の資産となります。M&Aの買い手は、しばしば加盟店へのヒアリングを行います。
加盟店からの評判が悪かったり、脱退率が高かったりすると、企業価値は大きく損なわれてしまいます。
加盟店の意見を吸い上げるための「加盟店会」のような仕組みを設けることも、健全な関係構築に有効です。定期的な意見交換の場を設けることで、問題を早期に発見し、改善につなげることができるでしょう。
フランチャイズ本部の構築とは、単に店舗を増やすための手段ではなく、長期的な視点で価値ある事業資産を創造するプロセスです。
出口戦略を初期段階から意識することで、日々の運営から戦略的意思決定に至るまで、すべての活動が企業価値の向上という一つの目的に向かって進めることができます。
このような視点を持つことで、より強固で持続可能なフランチャイズチェーンを築くことができるでしょう。
フランチャイズ本部構築に関するよくある質問
Q1. フランチャイズ本部構築に必要な条件や費用は?
フランチャイズ本部の構築には、成功モデルの確立や従業員教育・経営指導ノウハウ、十分な収益性・効率性、市場規模、資金力などが必要です。構築費用としては、商標登録費、人件費、加盟店営業費などがかかります。特に商標登録やマニュアル整備は事業の根幹を支える重要な準備作業です。
Q2. フランチャイズ本部構築支援会社を利用するメリットは?
専門のコンサル会社を利用することで、経験豊富なコンサルタントのノウハウを活用し、再現性の高いビジネスモデル構築や多店舗展開をスムーズに実現できます。集客支援や本部代行など多様な支援メニューがあり、自社のリソースや課題に応じた最適なプランを選択できるのも大きな利点です。
Q3. 加盟店を集めるための具体的な方法は?
加盟店の募集には、専門サイトへの掲載や展示会への出展、プレスリリース配信などが有効です。加えて、加盟店募集用Webサイトの制作や広告施策も重要で、自社の強みやオリジナリティをアピールすることが加盟希望者獲得の鍵となります。
まとめ
フランチャイズ本部構築には、商標登録費をはじめ、人件費やコンサルティング費など、さまざまな費用がかかります。ただし、資本力や資金調達ができるというだけでは立ち上げることはできません。
フランチャイズ本部を構築するには一定の条件があるため、条件や構築の流れをしっかりと把握しましょう。フランチャイズ本部を運営する上で、一番大切なのは加盟店を集めること。加盟店の上手な集め方は、自社のオリジナリティや自社の強みをしっかりとアピールしましょう。
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- 本記事は、2024年1月時点の情報をもとに作成しています。掲載各社の情報・事例をはじめコンテンツ内容は、現時点で削除および変更されている可能性があります。あらかじめご了承ください。
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