デマンドレスポンスサービスを提供したいけど、「自社でできるのか?」「外部に任せるべきか?」と迷っていませんか?
近年、制度対応や脱炭素施策の一環として、電力小売事業者や法人エネルギーサービス提供者にとって、DR(デマンドレスポンス)は“避けて通れないテーマ”になっています。
しかし、DRの運用には、設備制御・通知・実績評価など多くの工程が関わり、「人手が足りない」「知識がない」「仕組みが整っていない」といった壁に直面する小売電気事業者も少なくありません。
本記事では、小規模投資で始められるSaaS型システムの導入、中規模投資で運用を委託できるアグリゲーター事業者の活用、大規模投資で制度や戦略まで包括的に対応できる専門コンサルティングサービス という3つのアプローチをご紹介します。
自社に合った方法を見つけることで、DRをスムーズに事業化する第一歩につながります。
※本サービスは、小売電気事業者・法人エネルギー提供者様向けの内容です。需要家(工場・施設)としてDR参加をご希望の方は、契約中の電力会社にお問い合わせください。
デマンドレスポンスサービス
小規模投資で
スピード導入【SaaS導入】
中規模投資で
運用も丸ごと依頼【アグリゲーター委託】
大規模投資で
制度・戦略まで網羅【コンサルティング】
エネチェンジクラウド

強み
既存の受給管理・顧客管理システムとのAPI/CSV連携が可能で、現場への導入負荷が低い点が大きな魅力です。データやオペレーションは社内で管理したいが、システムは外部に頼りたい企業にフィットします。
東京ガス

強み
DR制度に不慣れな事業者でも、運用設計から参加者管理、報酬分配までを一括で委託可能。これにより、スピード感のあるDR導入を目指す電力会社にとっては、「まず一歩踏み出す」ための実用的な選択肢となります。
エネルエックス

強み
24時間365日のモニタリング体制や世界規模の実績を背景に、電力需給調整の運用を全面的に代行可能です。国内でも複数の実績があり、DR業務を完全に外注したい電力会社に適した選択肢です。
KPMGコンサルティング

強み
制度対応・ビジネスモデル設計・社内稟議資料作成まで、実行フェーズに入る前の設計と合意形成を全面支援。特に、大企業での横断的な合意形成が必要なケースにおいて、「社内を動かすための外圧」として機能します。
デマンドレスポンスサービスの一覧表
| 会社名 | サービスの特徴 |
|---|---|
BridgeLAB DR |
システム型DR支援で、運用自動化とコスト削減を同時に実現
|
KPMGコンサルティング |
制度・市場選定から実務まで伴走、戦略型DRコンサルティング |
東京ガス |
既存設備を活かして始める、シンプルな節電連携 |
エネチェンジクラウドDR |
SaaS型で簡単スタート、柔軟な拡張性が魅力のDRプラットフォーム |
エンコアード |
小売電気事業者のための省力型DR、アプリ連携で管理も簡単 |
北陸電力 |
地域密着型で信頼感、柔軟なサポート体制のDRサービス |
エネルエックス |
グローバル展開で実績豊富、デジタルで最適化するDRソリューション |
エナリス |
幅広い業種の法人が参加しやすい、柔軟なデマンドレスポンスサービス |
デマンドレスポンスとは
デマンドレスポンス(DR)とは、工場や商業施設など電力を多く使う企業に対し、電力が不足しそうな時間帯には使用を抑えてもらい、逆に余裕のある時間帯には利用を促すことで、電力の需給を調整する仕組みです。
近年では、電力需給のひっ迫が一時的な異常事態ではなく構造的な課題となっており、DRは安定供給を支える有効な手段として注目されています。
小売電力会社にとってDRは、単なる節電施策にとどまりません。
- 容量拠出金の削減 により共通コストの負担を軽減できる
- ピーク調達の回避 で市場価格高騰リスクを抑えられる
といった理由から、収益に直接影響する施策と言えます。
一方、企業側にとっても「社会的責任を果たす活動」として評価されやすく、ESG投資や脱炭素経営の文脈でPR効果を発揮します。これにより、小売電力会社は 顧客ロイヤルティやブランド価値の向上 にもつなげられます。
さらに国の補助制度(例:次世代型VPP実証事業、アグリゲーション補助金、家庭用蓄電池導入支援 など)を組み合わせれば、企業にとっての初期負担を抑え、DR参加を後押しすることが可能です。
結果としてDRは、
- コスト削減(容量拠出金・市場調達リスクの低減)
- 企業との関係強化(信頼性向上・長期契約化の後押し)
- 脱炭素への貢献(社会的評価の獲得)
- 需要調整の通知・制御
電力が不足しそうなタイミングで「電力使用を抑えてください」と通知。場合によってはEMS(エネルギーマネジメントシステム)や制御機器を通じて自動調整を行う。 - インセンティブの提供
電力使用を抑制した企業には、報奨金・電気料金割引・ポイントなどの形でメリットを還元。これにより企業側の参加意欲を高める。 - モニタリングと実績評価
削減量を計測・報告し、制度や補助金と連動させて収益化を図る。 - 容量拠出金や市場調達コストを抑え、自社の収益構造を安定化
- 顧客企業にインセンティブと「環境価値」を提供し、長期的な契約関係を強化
- ESG・脱炭素対応を支援することで、電力供給を超えた価値提案が可能に
- スケーラビリティ:事業拡大や多様なリソース対応の柔軟性があるか
- API連携:既存のシステムとスムーズに繋げられるか
- 制度対応:頻繁なルール変更に素早く対応できる体制があるか
- コスト構造:初期投資・運用費・成果報酬など、自社に合う料金体系か
- ブランディング可否:自社ブランドでの展開やカスタマイズが可能か
を同時に実現する戦略的な手段となります。
いち早く取り組むことで、単なる電力供給を超えた「価値提案」として、他社との差別化を確立できます。
デマンドレスポンスサービスとは
デマンドレスポンス(DR)の仕組みを、小売電力会社やアグリゲーター(DRを取りまとめる事業者)が企業向けに提供するサービス形態 が「デマンドレスポンスサービス」です。
このサービスでは、工場や商業施設など電力消費の大きい企業に対して、以下のような仕組みを整備・提供します。
小売電力会社にとっての意味
小売電力会社がDRサービスを展開することで、
となり、単なる電力販売ビジネスから一歩進んだ「エネルギーサービスプロバイダー」としての立ち位置を築けます。
デマンドレスポンスサービスの市場背景とビジネス機会
日本の電力市場は再生可能エネルギーの導入や制度改革により、大きな転換期を迎えています。特に、容量市場や需給調整市場の始動により、DR事業者には新たな収益機会が広がっています。
| 年度 | 国内DR市場規模 |
|---|---|
| 2020年度 | 約650億円 |
| 2030年度(予測) | 約1,000億円 |
このような成長の背景には、再エネ主力化に伴う系統安定化のニーズや、小売全面自由化により多様なサービスへの期待が高まっていることがあります。VPP(バーチャルパワープラント)の普及も進み、個々の小規模なリソースも集約して大きな市場に参加できるチャンスが広がっています。
容量市場とは
容量市場とは、「将来の電力供給力(kW)」を取引する市場であり、従来の電力量(kWh)の取引を中心とした卸電力市場とは異なります。容量市場の目的は、数年先(日本の場合は主に4年後)の電力需要ピーク時に十分な発電能力を確保し、電力の安定供給を実現することです。
この市場では、発電事業者が将来の供給力を提供することを約束し、その価値に応じて報酬(容量支払い)を受け取ります。一方、電力小売事業者などは自らの需要分に応じて、その費用(容量拠出金)を負担します。
【4パターンの比較】デマンドレスポンスサービスの提供方法
DRサービス導入時、電力会社やアグリゲーターが選択できる提供モデルには、以下の4つがあります。それぞれの特徴を比較してみましょう。
| モデル | メリット | デメリット | 必要リソース |
|---|---|---|---|
| フル外注アグリ | 迅速な開始・低リスク・専門知識不要 | ノウハウが社内に残りづらい・収益性の制約 | 連携・調整担当者のみ |
| SaaS利用 | 開発コスト抑制・効率化・拡張性 | SaaS依存・自社リソース必要・カスタマイズ限界 | DR運用担当者、需要家対応者など |
| 完全内製 | 高い自由度・ノウハウ蓄積・収益最大化 | 初期投資・専門性・リスクが高い | 大規模な人員・資金 |
| コンサル依頼 | 専門知識の活用・客観的視点 | コスト・依存リスク | コンサル連携担当者 |
モデルごとに異なる特徴があるため、自社の方針や人員体制にあわせて選択することが大切です。
デマンドレスポンスサービスを提供するメリット
DRサービスを提供することで、ビジネス面と技術面の両方で様々なメリットが得られます。
ビジネス面
収益源の多様化(容量市場や需給調整市場への参入で安定収益)
容量市場や需給調整市場といった新たな電力市場への参入により、従来の電力販売以外の収益源を確立できます。特に、容量市場では将来の供給力に対して対価が得られ、需給調整市場ではリアルタイムの需給調整に貢献することで収益を確保できます。これは、電力小売事業の収益構造を多角化し、市場変動リスクを分散する上で極めて有効な戦略となります。
顧客LTV向上(長期的な関係構築・満足度アップ)
DRサービスは、需要家に対して新たな価値(電気料金の削減、環境貢献など)を提供することで、顧客満足度を高め、長期的な関係を構築する機会となります。DR参加を通じて、需要家は自社の電力消費パターンを把握し、より効率的なエネルギー利用を意識するようになるため、電力会社とのエンゲージメントが深まります。これにより、顧客の離反を防ぎ、顧客生涯価値の向上に貢献するでしょう。
新規顧客獲得とブランド価値向上(SDGsや環境貢献アピール)
環境意識の高まりや脱炭素化への要請を背景に、DRは企業や自治体のSDGs達成、RE100達成に貢献するソリューションとして注目されています。DRサービスを提供することは、このようなニーズを持つ新規顧客層へのアプローチを可能にし、企業の環境貢献への姿勢を示すことで、ブランドイメージや企業価値の向上に繋がります。
電力調達コスト削減(需給ひっ迫時のコストリスク回避)
自社でDRリソースを確保することで、市場からの電力調達量を最適化し、ひっ迫時の高騰リスクを回避できます。特に、電力価格が高騰しやすい時間帯に需要を抑制できれば、その分の電力購入費用を削減できるため、電力調達コストの低減に大きく貢献します。
技術面
電力消費データ活用によるサービス高度化
DRサービスを通じて得られる需要家の電力消費データは、非常に価値の高い情報源です。このデータを分析することで、需要家の電力消費パターンを詳細に把握し、よりパーソナライズされた省エネ提案や、新たな付加価値サービスの開発に繋げることが可能です。また、将来の電力需要予測の精度向上にも寄与し、電力調達戦略の最適化にも役立ちます。
VPP構築による新たなビジネス創出
DRは、VPPを構成する重要な要素の一つです。DRリソースを束ねてVPPとして活用することで、個々の需要家が持つ小規模な調整力を大規模な調整力として電力市場に提供できるようになります。これは、再生可能エネルギーの導入拡大に伴う系統安定化の課題に対し、柔軟かつ効率的な解決策を提供することに繋がります。
電力系統の安定化と脱炭素化への貢献
DRは、電力需給のリアルタイムなバランス調整に直接貢献します。特に、再生可能エネルギーの出力変動が大きい状況下では、DRによる需要調整は系統の安定性を維持するための重要な手段となります。これにより、大規模停電のリスクを低減し、社会インフラとしての電力供給の信頼性を高めることができます。
デマンドレスポンスサービスの選び方
DRサービスを選定する際には、次の5つのポイントを押さえておきましょう。まとめ
デマンドレスポンス(DR)サービスは、電力の安定供給や脱炭素化の実現、そして企業の新たな収益源や顧客満足度向上に大きく役立ちます。導入を検討する際は、自社のリソースや方針に合った提供モデルを選び、スケーラビリティや制度対応、ブランディングなども重視しましょう。外部サービスを上手に活用しつつ、自社の知見も積み上げていくことで、長期的な成長が期待できるでしょう。今こそDRサービス導入の第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

公式サイトで詳しく見る→




