ホテルや民泊を運営していると、深夜のチェックイン対応や物理鍵の受け渡し、紛失時の再発行など、日常的な業務が想像以上に煩雑になりがちです。こうした課題を解決する手段として注目されているのが「スマートロック」です。
暗証番号・ICカード・スマホアプリなど、さまざまな施錠方法を採用した製品が登場し、無人チェックインや遠隔操作での鍵管理が可能になりました。
本記事では、「ホテル・民泊向けスマートロック」をテーマに、「どんな課題に向いているのか」「どの方式が運用に合うのか」「料金プラン」までを、最新の製品情報をもとにわかりやすく比較しています。
各社の詳細資料は、下記のリンクからダウンロード可能です(※一部のみ)。比較検討にお役立てください。
ホテル・民泊向けのスマートロック一覧
| 会社名 | サービスの特徴 | こんな課題のホテル・民泊におすすめ | 料金プラン | 解錠方法 |
|---|---|---|---|---|
LINKEY Plus(リンキープラス) |
導入しやすく、コストも安心。小規模ホテル運営のちょうどいいスマートロック
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チェックイン対応を無人化したいが高額投資は避けたい
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【初期】本体:60,000円、中継機:40,000円/台
【月額】マンスリープラン:900円、年間プラン750円/台 ※税不明 |
暗証番号・ICカード・物理鍵
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RemoteLOCK |
予約と鍵をシームレスにつなぐ、クラウド入退室管理 |
複数拠点・数百室規模のホテルチェーンで鍵管理が煩雑
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【初期】本体:66,000円~207,900円(機種により異なる)、中継機:40,000円/台
【月額】1,650円~2,750円/台(機種により異なる) |
暗証番号・QRコード・物理鍵
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KEYVOX |
宿泊業務をまとめてデジタル化 |
民泊のDX推進、宿泊体験の差別化
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【初期】本体:不明
【月額】スマートロック利用料:2,500円×ロック数 + 各種パック料金:5,500円~9,500円(プランにより異なる) |
暗証番号・QRコード・物理鍵・アプリ
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bitlock PRO |
導入コストゼロで始められるスマートロック |
オフィス・店舗・宿泊施設の入退室セキュリティ強化と運用コスト削減
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【初期】0円
【月額】5,500円~ |
アプリ・暗証番号・ICカード/社員証・スマートウォッチ・顔認証・物理鍵
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NinjaLockM |
不動産管理の現場に強い、IoT連携型スマートロック |
鍵紛失・交換・退去時対応などが手間
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【初期】本体:機種により異なる
【月額】記載なし |
暗証番号・物理鍵・アプリ
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期限キー配信システムキーポ |
長期運用に耐える国産品質・防犯性の高さ |
長期運用で壊れにくく、メンテナンスの手間を減らしたい
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【初期】本体セット:124,850円(スマートロック+中継器+ゲートウェイの合計)
【月額】Web管理システム利用料:2,178円~/台(機種により異なる) |
暗証番号・URLキー・物理鍵・ICカード
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Baycomスマートロック |
通信+映像+鍵をまとめて、まるごと遠隔管理 |
「通信会社」「防犯カメラ業者」「電子錠業者」が別々で、保守や請求が煩雑
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【初期】新規加入手数料:3,300円/1施設
【月額】基本利用料:1,012円/ゲートウェイ1台+スマートロック管理システム:1,650円/台 |
暗証番号・ICカード・物理鍵
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ホテル・民泊で進むスマートロック導入の流れ
ホテルや民泊をはじめとした宿泊施設では、非対面チェックインや省人化の流れを背景に、スマートロックの導入が急速に進んでいます。
スマートロックとは、スマートフォン・暗証番号・ICカードなどを使って開閉できる電子錠のことです。物理的な鍵を使わずに入退室を管理できるため、鍵の受け渡しにかかる時間や人件費を削減し、運営の効率化につながります。
近年では感染症対策を契機に「非接触・無人チェックイン」が一般化し、宿泊客が安心して利用できる仕組みづくりが重要視されるようになりました。スマートロックはまさにこの流れを支える中核技術といえます。
スマートロックの導入が増える背景
スマートロック導入が加速している主な理由は、次の通りです。
- フロント業務の無人化・省人化の流れ
- 24時間チェックイン対応へのニーズ拡大
- 民泊新法(住宅宿泊事業法)に対応した本人確認義務
- 非接触・衛生意識の定着
これらの要因から、宿泊客とスタッフ双方の負担を軽減しながら、安全で効率的な運営体制を築くことが求められています。スマートロックはそのための戦略的インフラ投資と言えるでしょう。
ホテル・民泊がスマートロックを導入する主なメリット
1. 鍵の受け渡しを自動化して業務効率化
スマートロックの最大の魅力は、鍵管理業務の自動化です。
PMS(ホテル管理システム)と連携させることで、予約情報に基づいて自動的に暗証番号やURLリンクを発行・削除できます。
スタッフが手作業で鍵を発行したり、現地で引き渡したりする必要がなくなるため、特に夜間帯のフロント対応を減らすことが可能になります。
実際に、セルフチェックインシステムと組み合わせることで夜間フロントの完全無人化を実現した宿泊施設も増えています。
これにより人件費を削減しつつ、24時間体制で柔軟な対応ができる運営モデルへと移行できます。
2. セキュリティの向上
従来の鍵では紛失や複製によるリスクがつきものでしたが、スマートロックならその心配はありません。
宿泊期間中のみ有効なアクセス権を発行し、チェックアウトと同時に自動無効化されます。
さらに、入退室の履歴がシステム上に自動で残るため、トラブルが起きた際にも、いつ・誰が出入りしたのかをすぐに確認できます。
スマートロックは物理的な防犯性だけでなく、デジタルのトレーサビリティ(履歴管理)でも安全性を高める仕組みを備えています。これにより、宿泊者と施設双方が安心できる環境を構築できます。
3. ゲスト満足度の向上
スマートロックによって、ゲストは深夜や早朝の到着でもスムーズに入室できるようになります。
暗証番号やスマホアプリで簡単に解錠できるため、操作に不安のある外国人旅行客や高齢の方でも安心して利用できます。
チェックインやチェックアウトでの待ち時間が減ることで、快適な宿泊体験を提供でき、結果として口コミ評価や再訪率の向上につながります。
ホテル・民泊でスマートロックを導入する際の注意点
導入効果を最大化するには、技術的な運用面とゲスト対応面の両方に配慮することが欠かせません。
通信環境と電池切れ対策を確認
スマートロックの多くは電池式で動作しているため、電池切れは宿泊運営上の大きなリスクです。
電池残量を自動通知してくれる機種を選び、定期交換のスケジュールを組み込むことが重要です。
また、万が一電池が切れた場合に外部給電できる機構(Micro USB端子など)を備えた製品を選ぶと安心です。
さらに、通信トラブルを避けるためにはWi-Fi環境の安定性も欠かせません。暗証番号式など、通信に依存しない解錠方法を併用しておくと、緊急時の対応が容易になります。
ゲストの操作サポート
どれだけ高機能でも、ゲストが使い方に戸惑えば評価は下がります。
高齢者や外国人ゲストの利用を想定し、使い方マニュアルや多言語対応の案内を準備しておくと安心です。スマホアプリ不要の暗証番号タイプを選ぶのも効果的です。
SMSでの手順送信や動画ガイドを活用するのも良いでしょう。
設置可能なドアか事前に確認
後付け型スマートロックは、ドアの厚みや形状によっては取り付けできない場合もあります。
設置前に現地調査を行い、ドアの素材やサムターン(ドア施錠・開錠のためのつまみ)の形状を確認しておきましょう。
テープ固定タイプの場合は、表面の状態が悪いと外れる可能性もあるため、安定性の確認が必要です。
ホテル・民泊向けスマートロックの選び方ガイド
スマートロックは多機能化が進んでおり、選び方を誤ると運用効率に大きく影響します。
ここでは主要なポイントを3つに分けて解説します。
1. 解錠方法のタイプを選ぶ
宿泊者層や運営スタイルに応じて、解錠方法を選ぶことが大切です。
以下は代表的な4タイプの比較です。
| 解錠方法 | 特徴 | 主な利用層・留意点 |
|---|---|---|
| 暗証番号 | 非接触で操作が簡単。通信に依存しにくく安定。 | すべての宿泊者に対応可。 |
| スマホアプリ | BluetoothやWi-Fiで解錠。クラウド連携が便利。 | 若年層やリピーターに最適。 |
| ICカード | 交通系IC・専用カードなどで開閉可能。直感的に利用できる。 | ホテル慣れした利用者に好まれる。 |
| QRコード/URLリンク | アプリ不要。送信されたURLから簡単操作。 | 外国人や高齢者にも対応しやすい。 |
2. PMSやチェックインシステムとの連携性
予約管理システム(PMS)やセルフチェックイン端末と連携できるかどうかが大切なポイントです。
これらと連携しておくと、予約が確定した時点で暗証番号や入室URLを自動発行でき、チェックアウトと同時にアクセス権を自動で無効化できます。
人の手を介さずに鍵の管理や発行を行えるため、フロント業務を無人化し、スタッフの負担を大幅に減らすことが可能になります。
複数施設を運営している場合でも、システム上で一元管理できるため、運営効率が飛躍的に高まります。
3. 導入コスト・維持費
スマートロックの導入費用は、設置方式によって大きく異なります。
以下の表におおよその費用目安をまとめました。
| タイプ | 初期費用 | 特徴 | ランニングコスト |
|---|---|---|---|
| 後付け型(工事不要) | 約2〜5万円 | 賃貸物件にも導入しやすく原状回復が容易。 | 約2,000〜5,000円/月 |
| 工事型(埋め込み) | 約5〜15万円 | 高い防犯性と耐久性。大型ホテル向け。 | 約2,000〜5,000円/月 |
工事不要タイプ(後付け型)
既存のドアのつまみに被せたり、強力な両面テープやネジで固定するだけで設置できるタイプです。
穴あけ工事が不要なため、賃貸物件でも導入しやすく、撤去も簡単に行えます。
本体価格は2〜5万円程度と比較的手頃で、短期運営や小規模民泊に最適です。
ただし、ドアの素材や形状によっては取り付けが難しい場合があるため、事前確認が重要です。
工事必要タイプ(交換・埋め込み型)
既存のシリンダーを交換したり、ドアに埋め込んで設置するタイプで、専門業者による工事が必要です。
初期費用は5〜15万円前後と高めですが、防犯性・耐久性に優れ、長期運営に向いています。
大型ホテルや新築施設など、安定稼働を重視する場合に選ばれる傾向があります。
導入時には、ドア構造や配線環境などを考慮し、施工実績のある業者に依頼するのがおすすめです。
ホテル・民泊でのスマートロック導入ステップと成功のポイント
ステップ1:現地確認と機種選定
ドアの形状や施設の構造、利用者層に応じて適したスマートロックを選定します。
賃貸物件の場合は、原状回復が容易な後付け型が便利です。
ステップ2:システム連携設定
PMSや予約サイトとAPI連携し、暗証番号の自動発行や入退室ログの管理を行います。
自動化によって鍵の管理工数を減らし、運営の属人化を防ぐことができます。
ステップ3:ゲスト案内と運用開始
チェックイン案内メールやSMSに暗証番号・入室手順を記載し、トラブル時の連絡方法も明確にします。
操作ガイドや動画リンクを用意しておくことで、ゲストが迷わず入室できる体験を提供できます。
買い切り型よりも、サブスクリプション型(クラウド連携型)のほうがアップデートや遠隔管理が可能で、長期的な安心感があります。
人件費削減と運用安定性のバランスを見て判断するとよいでしょう。
ホテル・民泊のスマートロック導入で運営効率と顧客満足を両立
スマートロックの導入は、単なる「鍵の電子化」にとどまりません。
業務効率化・セキュリティ向上・顧客体験の向上という3つの課題を同時に解決する仕組みです。
宿泊施設の規模や運営形態に合わせて最適な製品を選び、PMSやチェックインシステムと連携させることで、無人でも安全でスムーズな運営体制を構築できます。
今後の宿泊業界では、「非接触・自動化」が標準となる時代が来ています。
施設運営の効率化を進めながら、ゲストに安心と快適さを提供する第一歩として、スマートロックの導入をぜひ検討してみてください。
- 免責事項
- 本記事は、2025年11月時点の情報をもとに作成しています。掲載各社の情報・事例をはじめコンテンツ内容は、現時点で削除および変更されている可能性があります。あらかじめご了承ください。
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