BtoB営業のプロセスとは?受注までの8ステップとKPI・改善方法を解説
最終更新日:2026年09月30日
アポイントは取れるのに、具体的な提案へ進まない。提案書を送った後、顧客の検討状況が分からなくなる。こうした課題を見直すには、受注までの営業プロセスを段階に分け、どこで、何が理由で止まっているかを確認する必要があります。
BtoB営業のプロセスとは、対象顧客の選定から接点づくり、ヒアリング、提案、契約、導入後の支援までの流れです。法人取引では、窓口担当者だけでなく、利用部門や決裁者などが検討に関わる場合があり、それぞれが判断するための情報を整えることが求められます。
営業側が何を実施したかに加え、顧客が何を確認し、次に進むために何を必要としているかを把握することが重要です。各段階の確認事項と次へ進む条件を共有すると、担当者による進め方の違いや、引き継ぎ時の情報不足も見直しやすくなります。
この記事では、BtoB営業の基本的なプロセスを8ステップに整理し、各段階で行うことや確認事項を解説します。自社に合わせたプロセスの設計方法、段階別のKPI、商談が停滞した際の改善方法、ツール・外部支援の選び方まで紹介します。
BtoB営業のプロセスとは?基本とBtoC営業との違い

BtoBは「Business to Business」の略で、企業間の取引を指します。BtoB営業は、法人顧客の課題や要望を把握し、自社の製品・サービスの提案から契約、導入後の支援へつなげる活動です。
営業プロセスは、こうした活動を段階に分け、それぞれで確認することや担当する役割を整理したものです。チームで共通の基準を持つことで、案件の状況と次に必要な対応を共有しやすくなります。
BtoB営業では、組織として判断するための情報が必要になる
法人顧客が商品・サービスを導入する際は、窓口担当者の希望だけで決まるとは限りません。利用する部署、費用を承認する決裁者、契約手続きを担う購買部門などが、それぞれの立場で確認する場合があります。
担当者が興味を示していることと、企業として導入を決められる状態は分けて考えましょう。誰が検討に関わり、どのような情報が必要なのかを把握することが、提案後の停滞を防ぐ手がかりになります。
| 比較する観点 | BtoB営業で見られる傾向 | BtoC営業で見られる傾向 |
|---|---|---|
| 購入の目的 | 業務上の課題解決、事業運営、収益や生産性の改善など | 個人・家庭の必要を満たすこと、利便性や楽しみなど |
| 判断に関わる人 | 担当者、利用部門、決裁者、購買部門など複数になる場合がある | 本人や家族などが中心になる場合が多い |
| 比較する項目 | 機能・品質、費用、導入効果、運用への適合、取引条件など | 価格・品質、使いやすさ、好み、購入後の支援など |
| 購入までの手続き | 社内検討、予算確認、稟議、契約審査などを伴う場合がある | 本人の判断で購入できる場合がある一方、高額商品では比較や審査に時間を要することもある |
これらは一般的な傾向であり、すべての取引に当てはまるわけではありません。BtoBでも日常的な備品購入や継続発注は短期間で進む場合があり、BtoCでも住宅などは複数人で長く検討します。営業プロセスは、商材の金額や導入の影響、顧客の判断方法に合わせて設計します。
検討期間だけでなく、何を待っているかを確認する
BtoB営業で検討が長引く背景には、予算の確保、関係部署との調整、既存契約の終了、導入準備などがあります。同じ「検討中」でも、必要な対応は異なります。
例えば、社内説明の材料が足りなければ資料を補い、既存契約の更新時期を待っているなら、その前に確認すべき事項と連絡時期を相談します。状況を確かめずに連絡回数だけを増やしても、検討が進むとは限りません。
「どの段階にいるか」「何が未確認か」「次に誰が何をするか」を記録することが、営業プロセスを管理する基本になります。
商材や取引に合わせて、必要な段階を組み立てる
新規顧客への提案では、課題の確認や取引開始の手続きに時間が必要な場合があります。一方、既存顧客からの追加発注では、確認済みの情報を活かして一部の段階を簡略化できることもあります。
この記事で紹介する8ステップは、営業活動を整理するための一例です。すべての案件を同じ順序に当てはめず、自社の受注・失注案件をもとに必要な段階を選びましょう。顧客の条件が変われば、前の段階へ戻って確認し直すこともあります。
BtoB営業のプロセスと顧客の購買プロセスの関係

提案書を送っても、顧客が比較検討を始めているとは限りません。情報を集めている段階や、社内で課題の優先順位を話し合っている段階の場合もあります。営業活動を進める際は、顧客が今、何を判断しようとしているかを確認しましょう。
営業の実施状況と、顧客の検討状況を照らし合わせる
営業プロセスは売り手の活動を整理したもので、購買プロセスは顧客が課題を認識し、解決方法を比較して購入を判断する流れです。両者を対応させると、次に必要な情報や働きかけを考えやすくなります。
| 顧客が検討していること | 営業側が確認すること | 提供する情報・支援の例 |
|---|---|---|
| 課題を解決する必要があるか | 現在の業務で何が起きているか。影響や優先度をどう捉えているか | 課題を整理する質問、現状を確認するための情報 |
| どのような解決方法があるか | 内製、既存の仕組みの改善、新規導入など、何を選択肢にしているか | 各方法の違い、適用条件、自社商材で対応できる範囲 |
| どの製品・サービスが合うか | 比較項目、必須条件、利用する部署の要望は何か | 要件に沿った提案、デモ、導入事例、費用と運用の説明 |
| 社内で導入の合意を得られるか | 誰の確認が必要か。判断に足りない情報は何か | 期待効果の根拠、費用の内訳、導入計画、懸念への回答 |
| 契約・導入を進められるか | 取引条件、社内手続き、開始時期、受け入れ体制が整っているか | 見積もり・契約に必要な情報、双方の作業と日程の整理 |
| 導入目的を達成できているか | 利用状況、当初の目的とのずれ、運用上の困りごとは何か | 活用支援、問題への対応、継続利用に向けた確認 |
実際の検討は、必ずしも表の順に進みません。比較する過程で要件が変わったり、新たな関係者から確認事項が出たりすることもあります。資料の送付やデモの実施だけをもって、顧客の検討が次の段階へ進んだと判断しないことが大切です。
関係者ごとに、判断するための情報を整理する
窓口担当者が必要としている情報と、決裁者や利用部門が確認したい情報は異なる場合があります。担当者との会話を通じて、誰がどの点を確認するのかを把握します。
- 利用部門:日常業務で使えるか、操作や作業の負担はどう変わるか
- 決裁者:投資する理由、期待できる効果、費用やリスクは何か
- 購買・管理部門:取引条件、支払条件、社内手続きに必要な情報は何か
- 情報システムなどの専門部門:既存環境との適合や、技術・運用上の条件を満たすか
すべての案件にこれらの部門が関わるわけではありません。窓口担当者に確認しながら、必要な説明資料や打ち合わせを調整しましょう。社内で共有しやすいよう、提案の目的、対象範囲、費用、導入後の運用を整理しておくことも役立ちます。
次の行動は、顧客と確認して具体化する
商談の終わりには、残っている疑問と、次に確認することを整理します。「後日連絡する」だけで終わらせず、どの情報を誰が用意し、いつ確認するかを相談してください。
例えば、利用部門の確認が必要なら、担当者が要望を集めるのか、営業が説明会へ参加するのかを決めます。予算の検討待ちであれば、判断時期と、それまでに必要な情報を確認します。
次の行動は、営業側の希望だけで設定せず、顧客の検討に必要なこととして合意します。現時点で具体的な検討予定がない場合は、無理に提案へ進めず、今後連絡する時期や情報提供の希望を確認しましょう。
BtoB営業のプロセスを8ステップで解説

BtoB営業の流れを、顧客との接点づくりから導入後の支援まで、8つのステップに整理します。商材や取引によって必要な工程は異なるため、自社の営業に合わせて統合・調整してください。
ステップ1:ターゲット設定・事前調査
まず、自社の製品・サービスが、どのような企業の何の課題に役立つかを定めます。業種や企業規模に加え、利用する部署、業務の進め方、導入に必要な条件などを整理しましょう。
既存顧客がいる場合は、受注した理由だけでなく、導入後に活用されているかも確認します。失注や解約の理由も見ることで、優先して提案する企業と、対応が難しい企業の条件を考えやすくなります。
個別の企業へ接触する前には、公式サイトや公開資料、過去の問い合わせ履歴などから、事業内容と接点を確認します。公開情報から考えた課題は仮説として扱い、顧客に確認できた事実と区別して記録してください。
次の段階へ進む前に、「なぜこの企業へ接触するのか」「どのような相談や情報提供ができるか」を説明できる状態にします。
ステップ2:見込み顧客の獲得・接点づくり
対象顧客との接点をつくる方法には、Webサイトへの問い合わせ、展示会、セミナー、紹介、電話・メールによる個別アプローチなどがあります。対象企業が情報を集める場所や、自社が継続して対応できる方法から選びます。
問い合わせへの対応では、どのページや商材に関心を持ったのか、何を知りたいのかを確認します。自社から連絡する場合は、相手へ接触した理由と、話すことで得られる情報を具体的に伝えましょう。
この段階では、企業名・担当者・接点の経緯・関心のある内容・対応履歴を記録します。資料をダウンロードしたことや名刺を交換したことだけで、導入意向があるとは判断しません。
会話や面談の機会を得られたら、その目的と確認したい内容を共有します。連絡先を獲得することと、商談として検討を進めることは分けて管理しましょう。
ステップ3:見込み顧客の育成・商談化判断
接点を持った企業について、自社商材との適合性と、現在の検討状況を確認します。今すぐ具体的な相談をしたい企業もあれば、将来に向けて情報を集めている企業もあります。
商談化を判断する際は、次の点を確認します。
- 自社が対応できる課題や用途があるか
- 顧客が何を知り、何を検討したいと考えているか
- 現在の担当者が、検討にどのように関わっているか
- 導入時期や予算について、分かっていることと未定のことは何か
- 具体的な打ち合わせを行う目的について合意できているか
初期段階では、予算や導入時期が決まっていないこともあります。情報がすべてそろわないことだけを理由に除外せず、商談で確認する事項と、継続して情報提供する事項を分けます。
まだ検討が具体化していない場合は、関心に合う事例や解説を案内し、希望する連絡方法・時期を確認します。営業担当へ引き継ぐ際は、接点の経緯、確認済みの課題、未確認事項、面談の目的を共有してください。
ステップ4:ヒアリング・課題整理
商談では、事前に考えた仮説を確かめながら、顧客の現状と実現したい状態を聞きます。自社商材に当てはめるための質問に偏らず、現在の方法で対応できていることや、変更に伴う負担も確認しましょう。
| 確認する項目 | 質問の例 |
|---|---|
| 現在の業務・仕組み | 現在はどのような手順や体制で対応していますか。 |
| 課題と影響 | どの場面で困っていますか。誰の業務に、どのような影響がありますか。 |
| 目指す状態と優先度 | どのような状態になれば改善したと判断できますか。ほかの課題と比べた優先度はいかがですか。 |
| これまでの対応 | すでに試した方法や、比較している選択肢はありますか。 |
| 検討・判断の進め方 | どの部署が確認に関わりますか。導入を判断する際に必要な条件は何ですか。 |
| 時期・予算・制約 | 希望する開始時期や予算の考え方はありますか。変更できない条件はありますか。 |
質問を一度に読み上げるのではなく、顧客の話に応じて確認します。回答が得られない項目は未確認として残し、誰に聞けば分かるかを相談してください。
提案へ進む前に、解決したい課題と優先順位、自社が対応する範囲について、顧客との認識を合わせます。内容を短くまとめて確認すると、思い込みによる提案のずれを防ぎやすくなります。
ステップ5:提案・見積もり
提案では、顧客の課題に対して、何をどのように提供するかを示します。機能やサービス内容の一覧だけでなく、現在の業務がどう変わり、顧客側にどのような準備や運用が必要になるかを説明します。
- 解決を目指す課題と、提案の対象範囲
- 提供する製品・サービスと、その選定理由
- 期待する効果と、算定に使った前提や根拠
- 初期費用・継続費用など、比較に必要な費用
- 導入までの予定と、双方が担当する作業
- 対応できないこと、追加費用や調整が必要な条件
効果を試算する場合は、顧客から確認できた数値と仮定を分けます。事例を紹介する際も、導入条件の違いを説明し、同じ結果を保証する表現は避けましょう。
提案後は、内容が課題に合っているか、不足している説明は何かを確認します。誰が、どの観点で比較する予定かを聞き、次の確認機会を相談してください。
ステップ6:比較検討・社内合意の支援
顧客が社内で検討を進める際は、窓口担当者からほかの関係者へ説明するための情報が必要になります。提案の背景、費用、導入効果、運用への影響など、説明しにくい点がないか確認しましょう。
必要に応じて、利用部門向けのデモ、技術的な質問への回答、導入手順の説明などを行います。追加の打ち合わせは窓口担当者と調整し、顧客側の検討の進め方に合わせます。
この段階で新しい要件や懸念が出た場合は、提案内容や見積もりを再確認します。比較対象には競合製品だけでなく、内製や現状維持が含まれる場合もあるため、何を判断するために検討が続いているのかを把握してください。
条件調整へ進む際は、残っている確認事項と、その確認者・予定時期を整理します。担当者から好意的な反応があったことだけで、受注が確定したとは扱いません。
ステップ7:条件調整・契約
導入の方向性が固まったら、提供範囲、金額、納期・開始時期、支払条件、サポート範囲などを確認します。見積書や提案書、打ち合わせでの説明に食い違いがないかも点検しましょう。
顧客側の承認や取引先登録など、契約までに必要な手続きと担当者を確認します。社内の専門担当による確認が必要な事項は、営業担当だけで約束せず、確認後に回答してください。
口頭での意向、社内承認、契約締結、発注は区別し、自社で定めた受注の基準に沿って記録します。未確定の条件がある場合は、その内容と確認期限を残します。
ステップ8:導入・活用支援
契約後は、導入や運用を担当する部署へ情報を引き継ぎます。契約内容だけでなく、顧客が解決したい課題、営業時に合意した条件、懸念事項、関係者、開始までの予定も共有しましょう。
導入後は、利用が始まっているか、当初の目的に沿って活用できているかを確認します。問題があれば担当窓口につなぎ、顧客側の作業や運用方法に調整が必要かを検討します。
更新や追加提案の機会には、現在の利用状況と新たな課題を確認します。受注時の説明と導入後の実態にずれがあった場合は、提案資料やヒアリング項目にも反映し、次の営業活動を改善してください。
BtoB営業のプロセスを設計・標準化する方法
営業プロセスを標準化するには、段階の名前を決めるだけでなく、各段階で確認すること、記録する情報、担当者の役割をそろえる必要があります。まずは現在の営業活動と、実際の受注・失注案件を確認しましょう。
受注・失注・保留案件から、実際の進み方を確認する
受注した案件だけでなく、提案後に止まった案件や失注した案件も振り返ります。どのような接点から始まり、誰と何を確認し、どの場面で進展や停滞があったかを時系列で整理します。
担当者への聞き取りに加え、商談記録やメール、提案書などを確認すると、記憶だけでは分からない経緯を補えます。進み方が大きく異なる場合は、新規・既存顧客、商材、契約規模などの条件で分けて考えましょう。
実際の案件に必要な工程を残し、ほとんど使わない段階や、意味が重なる段階は統合します。段階を細かくしすぎると、更新の負担が増え、担当者によって入力がばらつく原因になります。
各段階の開始条件と完了条件を決める
「商談中」「提案済み」などの名称だけでは、担当者によって判断が異なります。どの状態になったらその段階へ入り、何を確認できたら次へ進むかを定めます。
以下は条件を整理する例です。自社の商材や顧客の検討方法に合わせて調整してください。
| 段階の例 | 開始する条件の例 | 次へ進むために確認することの例 |
|---|---|---|
| 課題の確認 | 面談の目的を共有し、顧客の状況を聞く機会が決まっている | 顧客の課題、優先度、自社が対応できる範囲について認識を合わせている |
| 提案・見積もり | 確認した課題に対して、具体的な提案を行うことに合意している | 顧客から提案への反応を確認し、比較項目と追加確認事項が分かっている |
| 社内検討 | 顧客が関係者による確認・判断を進めている | 必要な確認が進み、契約に向けた条件調整を行うことに合意している |
| 条件調整・契約 | 提供範囲や費用、開始時期などの最終確認を行っている | 自社で定めた受注基準を満たし、契約・発注の内容を確認できている |
顧客の方針や要件が変わった場合は、前の段階へ戻ることもあります。段階を戻した理由を残し、進捗をよく見せるために実態より先の状態へ更新しないようにします。
案件情報は、次の対応に必要な項目へ絞る
記録項目を増やしても、更新されなければ状況を把握できません。営業会議や引き継ぎで使う情報から、共通の記録項目を決めましょう。
- 企業名、窓口担当者、検討に関わる部署・関係者
- 接点の経緯と、顧客が相談したい内容
- 確認できた課題、導入目的、必須条件
- 現在の段階と、その判断の根拠
- 提案金額や導入希望時期など、現時点で確認できている情報
- 未確認事項と、検討が止まっている理由
- 次の行動、双方の担当者、予定日
- 最終接触日と対応履歴
予算や導入時期が分からない場合は、推測で埋めず「未確認」と記録します。顧客から聞いた事実と営業側の見立ても区別すると、引き継いだ担当者が状況を誤解しにくくなります。
分業する場合は、引き継ぎ条件と差し戻す条件を共有する
マーケティング、インサイドセールス、商談担当、導入支援などで業務を分ける場合は、どの状態で案件を渡すかを決めます。少人数の組織では、一人が複数の役割を担っても構いません。
引き継ぎでは、連絡先だけでなく「なぜ顧客が話を聞くのか」「何を確認する面談なのか」を共有します。商談担当は受け取った情報を確認し、不足があれば前の担当者と補います。
面談の結果、まだ具体的な検討予定がないと分かった場合は、継続的な情報提供へ戻すこともあります。その際は、戻す理由、今後の担当者、再度連絡する条件や時期を記録してください。担当間を移動するだけで、次の対応が決まらない状態を避けましょう。
一部の案件で運用し、使いにくい基準を修正する
定義したプロセスは、まず一つのチームや商材で使ってみます。同じ案件を見た担当者同士で段階の判断が一致するか、記録項目に不足や重複がないかを確認しましょう。
振り返りでは、入力が止まる項目や、判断に迷う条件を取り上げます。使われていない項目は必要性を見直し、何度も確認が発生する情報は記録方法を整えます。
標準化するのは、案件の状態を判断し、次の対応を共有するための基準です。質問の順序や説明方法まで一律に固定せず、顧客の状況に応じて対応できる余地を残してください。
BtoB営業のプロセスを管理するKPI
BtoB営業では、売上や受注件数に加え、その手前の段階を確認する指標が必要です。目標との差が生じた際に、接点が不足しているのか、商談が進んでいないのか、受注までに時間がかかっているのかを分けて考えます。
成果を示す指標と、途中の状況を示す指標を分ける
受注金額や利益などの最終的な目標に対して、営業プロセスの途中で確認する指標を選びます。最初からすべてを管理するのではなく、自社の課題に近く、継続して記録できる項目から始めましょう。
| 確認する段階 | KPIの例 | 判断に使う内容 |
|---|---|---|
| 接点づくり | 対象条件に合う見込み顧客数、接触数、問い合わせ数 | 提案対象となる企業との接点を確保できているか |
| 商談化 | 商談化件数、商談化率、初回対応までの時間 | 接点が具体的な相談につながっているか。対応の遅れがないか |
| 課題整理・提案 | 提案へ進んだ案件数、段階間の移行率、滞留日数 | 課題や検討条件を確認でき、提案に進めているか |
| 比較検討・契約 | 受注件数、受注率、失注・保留理由、営業期間 | 提案が採用されているか。どのような理由で止まるか |
| 売上・採算 | 受注金額、平均受注単価、粗利、営業・導入支援の工数 | 案件数だけでなく、金額や対応負担が目標に見合っているか |
| 導入後 | 導入開始状況、利用状況、更新率、追加受注 | 契約内容に応じて利用が進み、継続的な取引につながっているか |
導入後の指標は、継続契約、単発の納品、設備販売などの取引形態によって異なります。自社に合わない指標を形式的に置かず、顧客へ約束した価値と事業上の目標に合わせて選んでください。
商談化率・移行率・受注率は、分母と対象期間を決める
割合を比較するには、何を分母にしているかをそろえる必要があります。同じ「商談化率」でも、すべての問い合わせを対象にする場合と、一定の条件を満たす見込み顧客だけを対象にする場合では、数値の意味が変わります。
| 指標 | 計算方法の例 | 集計時の注意点 |
|---|---|---|
| 商談化率 | 商談化した見込み顧客数 ÷ 集計対象の見込み顧客数 × 100 | 商談化の条件、対象顧客、商談化を追跡する期間を決める |
| 段階間の移行率 | 次の段階へ進んだ案件数 ÷ 前の段階に入った対象案件数 × 100 | 同じ案件群を追跡し、まだ前の段階にいる案件と区別する |
| 受注率 | 受注件数 ÷ 受注・失注が確定した案件数 × 100 | この計算では進行中・保留案件を除外するため、それらの件数も別途確認する |
| 平均受注単価 | 対象案件の受注金額合計 ÷ 受注件数 | 初期費用のみか、契約期間全体の金額かなど、金額の扱いをそろえる |
例えば、4月に獲得した見込み顧客が5月以降に商談化する場合、4月の商談化件数を4月の獲得数で割っても、同じ顧客群の商談化率にはなりません。獲得時期ごとに追跡するなど、営業期間に合う集計方法を選びましょう。
指標名だけでなく、計算式・対象・期間・除外条件を共有することが、数値を正しく比較する前提です。件数が少ない場合は、一件の結果で割合が大きく変わるため、元の件数も併記します。
滞留日数と営業期間から、進行の遅れを確認する
滞留日数は、案件が現在の段階に入ってから経過した日数です。営業期間は、商談開始など自社で決めた起点から、受注までにかかった期間として管理します。
平均値だけでは、一部の長期案件の影響を受けることがあります。必要に応じて中央値や案件ごとの日数も確認し、通常の進み方と大きく異なる案件を見つけます。
ただし、期間が長いことだけで問題とは判断できません。顧客が予算確定や既存契約の終了を待っている場合もあるため、次の行動が決まっているか、確認予定日を過ぎていないかとあわせて見ましょう。
活動量と、案件の進展をセットで評価する
電話件数、メール送信数、面談数などは、活動の実施状況を把握する指標です。一方、それだけでは対象顧客との接点や、検討の進展を確認できません。
接触数が増えても商談化しない場合は、対象企業や接触理由、案内内容を確認します。提案件数が増えても受注につながらない場合は、課題の適合性や比較条件、顧客の社内検討を見直します。
数値が低い指標を単独で改善するのではなく、その前後の段階にどう影響しているかを確認します。商談化の条件を緩めて件数だけを増やしても、提案や受注が進まず、営業の負担が増える場合があります。
比較する条件をそろえ、案件の内容も確認する
新規顧客と既存顧客、問い合わせと個別アプローチ、短期間で決まる商材と導入調整が必要な商材では、営業の進み方が異なります。全体の数値に加え、必要な範囲で条件を分けて確認しましょう。
振り返りでは、変化があった指標から実際の案件を確認し、顧客の状況や担当者の対応を読み取ります。そのうえで修正する内容と確認時期を決め、数値を集めるだけで終わらせない運用にします。
BtoB営業のプロセスでよくある課題と改善方法
営業プロセスの数値に変化が見られたら、実際の案件を確認し、どのような事情で進まなかったかを調べます。同じ「受注できなかった」という結果でも、対象顧客が合わない場合と、必要な説明が不足していた場合では、見直す内容が異なります。
停滞している段階を特定し、顧客の状況と自社の対応の両方から原因を確かめましょう。以下は確認と改善の例です。症状だけで原因を決めつけず、商談記録や顧客から聞けた内容をもとに判断します。
問い合わせや接触は増えたが、商談につながらない
まず、接点を持った企業が自社の対象顧客に合っているかを確認します。資料収集、既存顧客からの問い合わせ、具体的な導入相談など、接触の目的も分けて把握してください。
対象顧客からの相談があるのに進まない場合は、初回対応までの時間、返信内容、面談の案内方法を確認します。顧客の質問に答える前に商談を求めていないか、面談で何を確認できるかが伝わっているかも見直しましょう。
- 対象外の問い合わせが多い:集客先、広告・ページの訴求、対象条件の説明を見直す
- 情報収集段階の接点が多い:関心に合う情報を案内し、検討時期や連絡の希望を確認する
- 具体的な相談への対応が遅れる:受付担当、引き継ぎ先、対応状況の確認方法を整える
- 面談の了承が得られない:顧客の疑問に答え、面談の目的や必要な時間を具体的に伝える
アポイントは取れるが、課題整理や提案へ進まない
面談件数があっても、顧客が何のために参加するかを共有できていなければ、商品紹介だけで終わる場合があります。接点をつくった担当者と商談担当者の間で、顧客の関心や面談の目的が引き継がれているかを確認します。
商談では、課題の有無だけでなく、業務への影響や解決の優先度を聞きます。自社商材で対応できる範囲と合わない場合もあるため、無理に提案へ進めない判断が必要です。
改善する際は、面談前の確認項目と、商談後に記録する項目をそろえます。「顧客の課題」「対応できる範囲」「未確認事項」「次に行うこと」を残すと、提案へ進まない理由をチームで検討しやすくなります。
提案書を送った後、検討が止まる
提案後に連絡が途切れた場合は、送付時に誰が何を確認する予定だったかを振り返ります。提案内容への疑問、関係部署への説明、予算の確保など、顧客側に残っている作業を把握できていたかが確認点です。
再度連絡する際は、回答を催促するだけでなく、前回確認した検討事項に沿って、追加の説明が必要かを尋ねます。社内共有用の要約、費用の内訳、導入手順など、不足している情報に合わせて支援します。
提案後の停滞を減らすには、提案する時点で、確認する人・確認事項・次の連絡時期を相談しておくことが大切です。予定が変わった場合は記録を更新し、顧客の意向に沿って対応します。
価格を理由に失注することが多い
「価格が高い」という理由には、予算の上限を超えている、比較対象と提供範囲が異なる、導入によって得られる価値が伝わっていないなど、複数の背景が考えられます。確認できる範囲で、何と比較して、どの費用が判断に影響したのかを聞きます。
必要な範囲と提案内容が合っていなければ、提供範囲や導入方法を見直します。価値の説明が不足していれば、顧客の課題との対応や効果を見込む前提を補います。ただし、説明を増やしても予算や優先度が変わるとは限りません。
値引きを検討する場合も、利益や提供できる支援への影響を確認します。受注のために対応範囲を曖昧にせず、変更した条件を明確にしてください。
保留案件が増え、次に対応する案件を選べない
「検討中」のまま案件が残っている場合は、保留の理由と再開の条件を確認します。予算確定待ち、既存契約の更新待ち、顧客側の体制変更など、理由が分かる案件は、次に確認する時期や出来事を記録します。
連絡が取れない案件は、検討が続いていると推測せず、状況が未確認であることを明示します。一定の連絡履歴を確認したうえで、自社のルールに沿って管理状態を見直しましょう。
進行中の案件と、再開時期を待つ案件を分けると、直近で対応すべき仕事を把握しやすくなります。再連絡する場合は、過去の相談内容や顧客が希望した条件を引き継いでください。
受注しても導入が進まない、担当者によって説明が変わる
契約後の停滞では、営業時に伝えた内容と導入担当者の認識にずれがないかを確認します。顧客が用意する情報や作業、開始の条件、支援範囲が共有されていないと、導入段階で調整が増えます。
引き継ぎには、契約条件だけでなく、導入目的、合意した運用、未解決事項、関係者、双方の作業予定を含めます。口頭での説明に依存せず、顧客と確認した内容を参照できる状態にしましょう。
同じ問題が繰り返される場合は、引き継ぎだけでなく、提案書や見積もり、契約前の確認項目も修正します。後工程で起きた問題を、前工程の説明や確認へ戻して改善することが、営業プロセス全体の見直しにつながります。
こうした課題のうち、自社に合わない問い合わせが多い、商談前に強みが伝わっていないといった状況では、ターゲットや集客時の訴求を見直す必要があります。現在の問い合わせ内容や商談での反応をもとにご相談ください。
BtoB営業のプロセスを支えるツール・外部支援の選び方

案件情報が分散している、追客の予定が抜ける、対象企業へ接触する時間が足りないなど、営業プロセスの課題に応じてツールや外部支援を検討します。先に不足している業務を特定すると、必要な機能や依頼範囲を絞れます。
CRM・SFA・MAは、管理したい情報と業務から選ぶ
営業やマーケティングを支えるツールには、CRM、SFA、MAなどがあります。製品によって機能が重なるため、名称だけで選ばず、現在の業務で何をできるようにしたいかを明確にしましょう。
| ツールの種類 | 主な役割 | 検討する課題の例 |
|---|---|---|
| CRM(顧客関係管理) | 企業・担当者の情報、取引や対応の履歴などを共有する | 担当者が変わると過去の経緯が分からない。同じ顧客へ重複して連絡してしまう |
| SFA(営業支援) | 案件の段階、活動予定、提案金額、受注見込みなどを管理する | 案件がどこで止まっているか分からない。次の対応や予定日が共有されていない |
| MA(マーケティングオートメーション) | 見込み顧客への情報提供や、反応に応じた対応を支援する | 関心に合わせた情報提供を継続できない。営業へ引き継ぐ候補を整理しにくい |
例えば、案件の更新漏れが課題なら、まず必要なのは段階の定義と更新ルールです。MAを導入しても、配信する情報や営業への引き継ぎ条件が決まっていなければ、運用は進みません。
ツールには、自社で決めた営業プロセスと判断基準を反映します。機能に合わせて入力項目を増やす前に、誰が何を記録し、誰がその情報を使うかを確認してください。
導入前に、入力・更新・振り返りの運用を決める
ツールの比較では、必要な機能に加え、担当者が日々使えるか、既存の情報を引き継げるかを確認します。次の項目を整理してから、一部のチームや案件で試すと運用上の問題を見つけやすくなります。
- 管理する企業・担当者・案件の範囲
- 必須にする記録項目と、入力・更新する担当者
- 商談後や条件変更時など、更新するタイミング
- 既存データの移行方法と、重複情報の扱い
- 閲覧・編集の権限と、担当変更時の引き継ぎ方法
- 会議や日々の対応で確認する画面・指標
- 利用料に加え、設定・移行・教育・保守に必要な費用と時間
少人数で案件数も限られている場合は、共有表などで運用を確かめる方法もあります。更新漏れや情報共有の負担が増えた段階で、必要な機能を備えたツールへ移行する進め方も検討できます。
営業代行は、実行が不足している工程を明確にして依頼する
対象顧客と訴求は決まっているものの、接触や継続的なフォローを行う人員が足りない場合は、営業代行が選択肢になります。候補企業へのアプローチ、初回の状況確認、商談設定など、依頼する工程を具体的にします。
一方、誰に何を提案すべきかが曖昧な場合は、まずその整理が必要です。実行を依頼しながら検証する場合も、対象顧客やメッセージを誰が見直すかまで決めておきましょう。
依頼先とは、商談として引き継ぐ条件、記録する情報、対応できない質問の相談先、自社が対応を始めるタイミングを共有します。面談件数だけでなく、引き継いだ後に課題整理や提案へ進んでいるかも確認してください。
外部へ依頼する範囲と、自社が判断・対応する範囲を分けることが、引き継ぎ後の停滞を防ぐ基本です。顧客情報の取り扱い、使用する説明資料、活動履歴の共有方法、契約終了時のデータの扱いも確認します。
一部の業務で試し、負担と成果の両方を確認する
ツールや外部支援を導入したら、対象とするチーム・商材・業務を絞り、導入前後の状況を確認します。初回対応までの時間、更新漏れ、商談化、引き継ぎ後の進展など、解決したい課題に近い項目を選びましょう。
あわせて、入力や確認にかかる時間、外部との調整、自社側で増えた対応も把握します。必要な作業が減ったか、案件情報が使える状態になったかを確かめ、設定や依頼内容を調整してから対象を広げてください。
外部支援を比較する際は、営業代行サービスや、個別の企業へ文書で接点をつくる手紙営業の解説も参考にしてください。
BtoB営業のプロセスに関するよくある質問
BtoB営業のプロセスは、必ず8ステップに分ける必要がありますか?
8ステップは、営業活動を整理するための一例です。商材や取引に合わせて統合・調整してください。重要なのは、段階の数ではなく、各段階で確認することと、次へ進む条件を担当者間で共有できることです。
少人数の営業組織でも分業すべきですか?
必ずしも担当者や部署を分ける必要はありません。一人が接点づくりから提案、導入後の対応まで担う場合も、各工程で行うことを整理すれば、対応漏れや負担の集中を確認できます。分業する場合は、案件数と引き継ぎの負担を踏まえて範囲を決めましょう。
BtoB営業は、受注までどのくらいかかりますか?
商材の金額、導入の影響、顧客の予算や承認手続きによって異なるため、一律の期間は示せません。自社の過去案件を商材や新規・既存顧客などに分け、商談開始から受注までの期間を確認してください。長期案件は経過日数だけでなく、何を待っているかと、次の確認予定も把握します。
保留・失注した案件には、再度連絡してもよいですか?
顧客が希望する連絡方法や時期を尊重し、保留・失注の理由に応じて判断します。予算確定や契約更新を待つ案件なら、その時期に合わせた確認が考えられます。再連絡する際は、以前の相談内容を踏まえ、新たに提供できる情報や確認したい理由を明確にしてください。連絡を望まれていない場合は、その意向を共有して対応します。
営業プロセスは、どこから改善すればよいですか?
まず、案件が停滞している段階と、その前後の情報を確認します。提案後に止まる案件が多くても、原因が初回ヒアリングの不足にある場合があります。数値から確認する案件を選び、商談記録や顧客の反応をもとに、最初に直すことを一つ決めましょう。変更日と内容を記録し、その後の進み方を振り返ります。
BtoB営業のプロセス改善に向けたターゲット・集客設計
営業プロセスを振り返ると、問い合わせはあるものの、自社が対応できない要望が多い、価格以外の比較に進まないといった課題が見つかる場合があります。こうした状況では、商談での説明に加え、どの顧客に何を伝えて接点をつくっているかを確認しましょう。
自社の強みが役立つ顧客と、その顧客が比較する際の判断基準を整理することが、集客と営業の説明をつなぐ土台になります。受注した理由だけでなく、対象外だった問い合わせや失注理由も、ターゲットと訴求を見直す材料になります。
キャククルを運営するZenkenでは、市場・競合・自社の強みを整理するポジショニングを起点に、Webマーケティングを支援しています。自社の価値が評価される市場や顧客を見極め、検討段階に合う情報発信や集客施策を考えます。
施策の一つであるポジショニングメディアは、特定の課題や商品カテゴリーについて、読者が選び方や各サービスの特徴を理解するための情報を提供するWebメディアです。自社の強みと読者のニーズが合う接点づくりを目指すもので、成果は市場や商材、訴求、公開後の運用などによって異なります。
初回対応の遅れや引き継ぎ漏れが課題であれば、社内の運用や担当体制の見直しが必要です。一方、「自社に合う企業からの相談を増やしたい」「商談前に伝えるべき強みを整理したい」といった課題があれば、現在の問い合わせ内容や受注・失注の傾向をもとにご相談ください。

BtoB営業のプロセスは、停滞する段階から見直そう

BtoB営業のプロセスを整えるには、対象顧客の選定から商談、契約、導入後の支援までを整理し、各段階で確認することと、次へ進む条件を共有します。営業側の活動に加え、顧客が何を検討し、判断にどのような情報を必要としているかを把握しましょう。
まずは、提案後に止まっている案件や、担当者間の引き継ぎで対応が遅れた案件を確認してみてください。現在の段階、未確認事項、次の行動、担当者、予定日を整理すると、最初に改善する箇所を選びやすくなります。
段階別の数値と実際の案件を照らし合わせ、確認できた課題から一つずつ修正することが、営業プロセス改善の基本です。対象顧客や訴求、提案内容、引き継ぎ方法などを見直し、変更後に案件の進み方がどう変わったかを振り返りましょう。












