【5分で理解】リブランディングの失敗事例5選。リブランディング失敗に共通する問題点とは

【5分で理解】リブランディングの失敗事例5選。リブランディング失敗に共通する問題点とは

この記事では、企業のリブランディングにおける失敗事例と、そこから学べる教訓を紹介します。
「ブランドを刷新したのに成果につながらない」「社内では評価されても顧客の反応が薄い」そんな課題を感じているBtoB企業の担当者は多いのではないでしょうか。

自社の強みをどう再定義し、どう伝え直すか。
本記事では、過去の有名企業の事例をもとに、BtoBでも応用できる“リブランディング成功の考え方”を解説します。

リブランディングに失敗する要因と失敗事例

リブランディングとは、市場や消費者の変化に応じて一旦構築されたブランドを再構築することを指します。

リブランディングはこれまで企業が積み上げてきた歴史に新たに価値を加えるために行うものですが、残念ながらうまくいかないケースも少なくありません。

特に近年はSNSなどの発達によって、企業が描くイメージと異なるものが独り歩きしてしまい、ブランディングに悪い影響を与えてしまうこともあります。

この記事では、リブランディングの失敗事例や要因について詳しく見ていきましょう。

Tropicana

画像引用元:トロピカーナ 公式サイト(http://www.k-tropicana.com/)

1つめの失敗事例は、トロピカーナです。トロピカーナの失敗は、パッケージデザインの変更によるものです。

トロピカーナといえば、みずみずしい果物にストローが直接刺さったパッケージで知られています。このパッケージデザインを2008年に大幅に変更し、コップに注がれたジュースのデザインに変更しました。結果として、この変更は売上高20%の大幅ダウンと失敗に終わります。

このリブランディングの際にユーザーから多く寄せられた意見は「ストアブランドやノーブランドを買っている気持ちになる」というものでした。トロピカーナのジュースは、同業他社の飲料に比べて少し割高ですが、健康志向のユーザーから支持を得ていました。また特徴的なパッケージデザインでトロピカーナを認知している人も少なくありません。

しかし、パッケージデザイン変更によってトロピカーナのブランドイメージである「健康」「新鮮」などのイメージが損なわれてしまったのです。

この失敗は、トロピカーナにユーザーがどんなイメージを持っているのか、どんな価値を求めているのかを十分に把握できていなかったことが要因と言えます。

BtoBでも起こる「リニューアルで信頼を失う」落とし穴

このトロピカーナの事例は、BtoB企業にも通じる教訓があります。
BtoBのリブランディングでも、見た目や言葉を変えるだけでなく、既存顧客が「なぜ自社を選んでいるのか」を正しく理解しておくことが欠かせません。

たとえば、導入サポートの手厚さや、業界特有の課題を理解した提案力など、顧客が評価しているポイントを変えてしまうと、「前の方がよかった」と感じられ、信頼を損ねることにつながります。

つまりリブランディングの目的は、“新しく見せること”ではなく、顧客が価値を感じている部分を見える化し、それをより明確に伝え直すこと。
BtoBではこの視点を欠くと、デザインは洗練されても、「結局何が強みなのか」が伝わらず、選ばれにくくなってしまいます。

コカ・コーラ

画像引用元:コカ・コーラ 公式サイト(https://www.cocacola.jp/)

2つ目の失敗事例はコカ・コーラです。

コカ・コーラは1985年に「ニュー・コーク」として、コカ・コーラの味を変えるというリブランディングを試みましたが、たった3ヶ月で元の味に戻すことになりました。

当時、コカ・コーラはペプシコーラの猛追を受け、業績が丁重な状況にあったことから、味の変更に踏み切りました。もちろん、味の変更にあたっては慎重なマーケティングや味の開発が行われ、従来のコーラよりも美味しいと自信を持って発売したはずです。しかし、それでも見事に失敗に終わりました。

この失敗の要因は、ユーザーがコカ・コーラに求める価値を十分に把握できていなかったことです。99年間の長きにわたって愛されてきたコーラの味は、すでにユーザーにとって重要な価値で、ただ美味しいものを求めているわけではありません。

ユーザーは新しく美味しいものではなく、コーラがコーラであることを求めていたということでしょう。

「変えてはいけない強み」を見誤るリスク

この事例をBtoBのリブランディングに置き換えると、「時代に合わせて変えよう」とする中で、顧客が信頼してきた自社らしさを失うリスクが見えてきます。

たとえば、堅実なサポートや、業界特化の深い知見など、顧客が安心して選び続けてきた部分をトレンド重視のメッセージに変えてしまうと、「前のほうが御社らしかった」と感じられ、関係性が揺らぐことがあります。

リブランディングの本質は“変化”ではなく、“信頼の再設計”。
何を変えるかを決める前に、「何を変えずに残すか」を定義することが、BtoB企業にとっての成功の鍵です。

ドクター・ペッパー

画像引用元:ドクターペッパー 公式サイト(https://www.cocacola.co.jp/brands/drpepper)

3つ目の事例はアメリカの炭酸飲料メーカーのドクター・ペッパーです。ドクター・ペッパーは、2011年に低カロリーを売りにした「ドクターペッパー・テン」を発売します。

「ドクターペッパー・テン」の発売にあたり、「It’s Not For Women」(女性には向いていません)のキャッチコピーを掲げ、CMやSNSなどで完全に女性を排除した男性限定のマーケティングを展開しました。しかし結果は、想定通りの話題化こそしたものの、女性消費者から強い批判を受け、ブランドイメージを大きく損なう結果となりました。

2011年当時、アメリカではジェンダー平等や多様性の尊重が社会的に浸透し始めていた時期。
「女性」という多様な存在を一括りにし、マーケティング上の他者として扱った姿勢そのものが、時代の価値観から大きくずれていたのです。

ブランドは何を肯定するかで選ばれる

BtoBでも、競合との差を出そうとするあまり、「他社とは違う」「他のやり方は間違っている」と言い切る訴求が結果的に市場から反感を買うことがあります。

ブランドが掲げるべきは“対立”ではなく“立場”。
つまり、誰かを否定するのではなく、自分たちは誰に向けて何を肯定したいのかを語ることが、長期的な信頼を築くうえでの本質です。

GAP

画像引用元:GAP(https://www.gap.co.jp/)

4つめの事例は、アメリカのファストファッションブランド「GAP」の事例です。GAPは2010年にロゴのリデザインを発表し、SNS上で大きな批判にさらされました。

結果、GAPは新ロゴをわずか6日間で元のデザインに元に戻し、100億円以上の損失を出すことになりました。

ここでさらにまずかったのが、批判に対してGAPは柔軟な姿勢を示したことです。GAPとしては、ユーザーに寄り添う姿勢を見せたつもりでしょうが、逆に優柔不断な企業という印象を持たれてしまい、さらに状況を悪化させてしまいました。

リブランディングにおいてユーザーのイメージの把握が重要なのと、批判にさらされても背景を説明してやり通す強い意志を持つことの大事さが伝わる事例です。

声を聞くことと、軸を失うことは違う

顧客やパートナー企業の声を丁寧に聞くことは重要ですが、すべての意見を取り入れようとすると、本来の強みや価値基準がぼやけてしまうことがあります。

たとえば、営業部門は「短期的なリード獲得」を求め、開発部門は「技術の深さ」を訴えたい。経営層は「新しい市場への展開」を優先したい。
それぞれの声を聞きすぎると、結果的に誰のためのブランドなのかが見えなくなってしまうのです。

ブランドの信頼を支えるのは「一貫性」です。
批判や意見に揺れず、自社がどんな価値観で顧客と関わりたいのかを貫く姿勢が、長期的なブランド形成につながります。

バーガーキング

画像引用元:バーガーキング 公式サイト(https://www.burgerking.co.jp/#/home)

最後にご紹介するのは、ハンバーガーショップの「バーガーキング」です。

バーガーキングは2013年に自社のポテトをアピールするマーケティングキャンペーンの一環としてのロゴをフライドポテトに変更し、名前を「フライズキング」に変更することを公式サイトやSNSで突如発表しました。また、ポテトのロゴは店で使われるコップやバーガーキングが販売しているTシャツにも印刷されていました。

しかしこの発表は話題にもならず、失敗に終わります。

バーガーキングの失敗は、同社の主力商品であるハンバーガーをブランドから外し、冗談とも本気とも取れない変更でユーザーを混乱させてしまったことです。仮に話題作りのキャンペーンだったとしても、ユーザーが混乱し反応がないものは失敗です。

人を動かすのは情報ではなく“未来の実感”

ブランドに必要なのは、相手に“自分ごと化”させるストーリーです。
つまり、「何を伝えるか」よりも、“その情報に触れた人が、どんな未来を思い描けるか”を設計することが、信頼されるブランドづくりの起点になります。

人は、スペックや実績の一覧では動きません。
「これがあれば、自分の課題が解決できそう」「自社の未来が少し前向きになりそう」そんな希望のイメージを与えてくれるブランドに共感します。
発信の目的は情報提供ではなく、相手の中にポジティブな未来像を描かせること。
その幸せのシーンをどれだけリアルに見せられるかが、BtoBであっても、ブランドが選ばれ続けるかどうかを分けます。

BtoBリブランディングに共通する失敗の構造


ここまでご紹介した事例からもわかるように、リブランディングの失敗にはいくつかの共通する構造があります。
単に見た目を変えることやトレンドを取り入れることではなく、「誰に」「何を」「どう伝えるか」を再定義することが成否を分けます。

自社の現状の見られ方を把握できていない

1つめの問題点は、自社ブランドを客観視できていないことです。

最も多いのが、自社を客観視できていないケースです。
トロピカーナやコカ・コーラのように、企業側が「変えたい」と思うブランド像と、顧客が「信頼している理由」がずれていると、リブランディングは逆効果になります。

これはBtoBにおいても同じです。取引先が評価しているポイント(対応の早さ、技術的信頼、サポート品質など)を定量・定性で把握せずに打ち出しを変えると、「なぜこの会社を選んでいたのか」という根拠が伝わらなくなります。

まずは社内視点ではなく、市場や顧客が「どう見ているか」を可視化することが出発点です。

ブランド課題を明確にせず、なんとなく刷新してしまう

リブランディングに取り組む目的が曖昧なまま進むケースも少なくありません。
「最近古く見える」「他社が変えているから」といった理由で動き出すと、本質的な課題解決にはつながりません。

BtoBでは、営業現場・開発・経営で期待する成果が異なりやすいため、まずは何を変えることで、誰にどう評価されたいのかを整理することが不可欠です。
ブランドは見た目の更新ではなく、課題構造の整理と優先順位づけから設計することが成功への第一歩となります。

長年の信頼を軽視して刷新してしまう

コカ・コーラやGAPのように、長く続いたブランドには積み重ねの信頼があります。
BtoBでは特に、「導入実績」「技術ノウハウ」「担当者との関係性」など、時間をかけて形成された信頼が大きな価値となります。

この部分を軽視し、「新しさ」だけを前面に出すと、既存顧客からの離反を招くリスクがあります。

一方で、古いブランドイメージに固執するあまり、変化を止めてしまうのも問題です。
守るべき信頼と、変えるべき印象を仕分けることが鍵となります。

ブランドコンセプトがあいまいで、一貫性がない

バーガーキングのように、「結局何を伝えたいのか」が不明確な状態では、どれだけ発信しても印象には残りません。

BtoBでは、複数の事業部やサービスラインが存在するため、コンセプトが統一されていないと顧客が混乱します。
リブランディングはメッセージの整理の場でもあります。

  • コーポレートブランド(企業としての立場)
  • サービスブランド(提供価値)
  • 採用・パートナー向けブランド(関係性づくり)

これらを統一した一本の軸で語れる状態を目指すことが大切です。

手法先行で自社に合わないリブランディングをしている

最後に多いのが、「トレンド施策を取り入れる=リブランディング」と誤解しているケースです。
海外ブランドの成功事例をそのまま真似しても、市場構造や顧客との関係性が違えば効果は出ません。

GAPの失敗とスターバックスの成功の違いは、「どう変えるか」ではなく「なぜ変えるのか」を説明できたかどうかです。

BtoBでも、ロゴやスローガン、メディア刷新といった手段の前に、「誰の意思決定を支援したいのか」「どんな変化を生みたいのか」というメッセージの中核を定義しておく必要があります。

効果的なリブランディングは顧客が感じる価値から再設計する

ここまで、リブランディングの失敗事例とそこに共通する構造を見てきました。
いずれの事例にも共通していたのは、「発信側の都合」でブランドを変えてしまったことです。

BtoBのリブランディングで重要なのは、顧客やパートナーが「自社をどんな理由で選び、どんな価値を感じているのか」を正しく把握したうえで、その価値を次のステージでも通用する形に再設計することです。

そのためには、現場と経営の双方で「顧客が本当に求めている変化」をすり合わせ、

  • どんな顧客にどう価値を届けたいのか
  • どんな意思をもって選ばれ続けたいのか

を明確にすることが不可欠です。

リブランディングを「広告やデザインの話」と捉えるのではなく、企業戦略の延長線上にある信頼の再構築として設計できるかどうか。
それが成果を分ける最大のポイントです。

もし、「方向性は見えているが、整理の仕方がわからない」「競合との差別化をどの軸で打ち出すべきか悩んでいる」という場合は、外部のプロとともに「自社らしさの翻訳作業」から始めるのも有効です。

費用をかけてでも、ブランドの本質を正しく再定義できれば、短期的なキャンペーン以上の価値を生む事業資産への投資になります。

リブランディングに課題を感じたら

ここまでお読みいただき、「自社のブランドをどう再設計すればいいのか」「方向性は見えているが整理しきれない」と感じた方もいるかもしれません。

キャククルを運営するZenkenでは、これまで120以上の業種・8,000件超のWeb戦略支援を行ってきました。
私たちが得意としているのは、単なるデザイン刷新やSEO施策ではなく、企業の“らしさ”と、顧客が共感する価値を結びつける戦略設計です。

もし、

  • 「どこからリブランディングを始めればいいかわからない」
  • 「自社の強みをどう言語化すれば伝わるのか整理したい」
  • 「競合との差別化を、“自社らしさ”の軸で描き直したい」

といった課題をお持ちであれば、ぜひ一度ご相談ください。
一緒に「選ばれ続けるブランドの土台づくり」を考えていきましょう。

下記に、ブランドイメージ強化を目的とした施策のひとつ、「ブランディングメディア」構築の事例資料もご用意しています。
リブランディングのヒントとして、ぜひご覧ください。


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