近年、建設・土木やインフラ点検、防災などの現場で活用が広がる「ドローンレーザ測量」。
ドローンにLiDAR(レーザスキャナー)を搭載し、上空から地形や構造物を高精度に計測するこの技術は、従来数週間かかっていた広範囲の測量をわずか数日で完了でき、安全性や効率性の面でも大きなメリットがあります。
また国土交通省が推進するi-Constructionの中核技術としても位置づけられ、公共測量から民間プロジェクトまで幅広く活用されています。
ドローンレーザ測量会社それぞれに強みや特色があり、その専門性は多岐にわたります。本記事では、各11社の特徴や強みを詳しく比較・解説します。あなたのプロジェクトに合ったパートナー選びにご活用ください。
ドローンレーザ測量会社
災害対応・防災
建設・土木
農業・林業
インフラ・構造検査
中日本航空

強み
災害発生後すぐに現場へ飛行し、計測後30分で3Dデータを提供。被災状況を迅速に把握できるため、復旧計画や緊急工事の判断に役立ちます。
KDDIスマートドローン

強み
通信ネットワークと組み合わせた遠隔監視やリアルタイム点群データ伝送が可能。橋梁やダム、都市部での災害対応実績があり、広域かつ複雑な現場に強いです。
中日本航空

強み
道路・河川・砂防工事など大規模かつ精度が求められる現場に最適な測量技術を持っています。NETIS登録のUAVレーザ「TOKI」を活用し、植生下や急傾斜地も含めた広範囲を高密度(300点/m²以上)で計測可能。
アジア航測

強み
河川・砂防・堤防など水辺を含む土木プロジェクトに強み。「陸上+水中レーザドローン」で1回の飛行で河川敷から水底までを一体的に計測でき時間・コスト・精度面で大きなメリットがあります。護岸工事や港湾整備など、水域を伴う現場で特に効果を発揮します。
パスコ

強み
港湾・海岸・河川工事など広域かつ多様な地形を含む現場に対応できる技術を有しています。空写真や衛星データと組み合わせた多角的な解析が可能で、設計初期から維持管理までを一貫してサポート。広範囲の施工計画や複数施設を跨ぐプロジェクトにも適した総合力が特徴です。
パスコ

強み
森林計測をはじめ、河川なども含めた複合環境の調査に対応。森林資源調査と併せて周辺インフラの把握まで行いたい場合に有効です。
Ace-1

強み
森林資源量調査で単木レベルの解析まで可能。山間部や広大な林地でも短時間で高精度データを取得でき、伐採や間伐計画の立案、資源量の正確な把握に適しています。
KDDIスマートドローン

強み
通信ネットワークとドローン技術を組み合わせることで、大型構造物を、遠隔から安全かつ高精度に検査可能。長大橋やアクセスが困難なダムなど、定期点検や補修計画の前段階で活用する依頼が多いのも特徴です。
テラドローン

強み
送電設備や橋梁といった高所・長距離構造物の点検を得意としています。レーザ計測「Terra Lidar X」により、ミリ単位の精度で損傷箇所や変形を特定できるため、補修の優先順位付けや予算計画に役立ちます
国際航業

強み
橋梁下部やトンネル内部など、目視や通常の計測が難しい場所の検査に強みを持ちます。ドローンレーザや高解像度カメラを組み合わせて構造物内部の状態を可視化し、老朽化診断や補修計画の基礎データとして提供。
| 会社名 | サービスの特徴 |
|---|---|
エアロ・フォト・センター |
測量から図面化まで一貫して対応公共測量を正確でスムーズに進められる
|
KDDIスマートドローン |
LTE/5G通信網活用による広域・目視外飛行に強み |
テラドローン |
危険な急斜面や災害現場での豊富な実績 |
パスコ |
航空測量70年の実績とグリーンレーザによる統合測量 |
中日本航空 |
自社開発レーザ装置で計測から30分で速報を提供 |
アジア航測 |
創業70年の航空測量大手による幅広い対応力 |
国際航業 |
測量受託から内製化支援まで対応 |
エアロトヨタ |
航空機保有企業だからできる!ヘリ・ジェット・ドローンを使い分ける測量 |
Ace-1 |
厳しい現場条件にも対応できる多様な計測手段 |
スカイマティクス |
全国提携オペレーター×クラウド処理で安定したサービス品質 |
山佐 |
地域密着で建設プロセス全体サポート |
ドローンレーザ測量とは?従来測量との違いと導入メリット
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ドローンレーザ測量とは、無人航空機(UAV)にLiDAR(Light Detection And Ranging)と呼ばれる高性能なレーザスキャナーを搭載し、上空から地形や構造物を極めて精密に計測する測量技術です。
この手法は、国土交通省国土地理院によって「UAVを用いた公共測量」として正式に認められており、現代の測量業務における新たなスタンダードとなりつつあります。
この技術が注目される理由は、従来の測量手法では数週間を要した広範囲の測量がわずか数日で完了することです。また、人が立ち入ることが危険な災害現場や急峻な山間部でも安全に高精度なデータを取得できます。
測量によって得られる高密度な3次元点群データは、プロジェクトの初期計画から設計、施工管理、維持管理に至るまで、建設・土木プロジェクトの全ライフサイクルを支えるデジタル資産となるのです。
LiDAR技術の仕組み
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ドローンレーザ測量の心臓部であるLiDARは、「光を用いた検知と測距」技術です。その仕組みは、TOF(Time of Flight:飛行時間)方式と呼ばれる原理に基づいています。
まず、ドローンに搭載されたスキャナーから、地上に向けて1秒間に数十万~数百万発という数のレーザパルスが照射されます。照射されたレーザは、地形や樹木、建物などの対象物に当たると反射し、スキャナーのセンサーがこの反射光が戻ってくるまでのごくわずかな時間を精密に計測します。
光の速度は一定であるため、この往復時間(飛行時間)を計測することで、ドローンから対象物までの距離を極めて正確に算出できるのです。ドローンは、GNSS(全球測位衛星システム)によって自身の三次元的な位置を、IMU(慣性計測装置)によって自身の傾きを常に把握しています。
レーザが照射された瞬間のドローンの位置と姿勢、レーザの照射角度と対象物までの距離を組み合わせることで、一つひとつの点に地球上の絶対的な座標値(X, Y, Z)を与えることができます。
このようにして生成された、膨大な数の座標を持つ点の集合体が「3次元点群データ」です。点の密度が非常に高いため、地形の微細な起伏や構造物の複雑な形状を、まるで現実世界をそのままデジタル空間に持ち込んだかのように忠実に再現できます。その精度は機種によっては誤差が500円玉程度というレベルに達します。
従来の測量方法との違い
従来の地上測量では、複数の測量士が現地に赴き、一点一点手作業で計測を繰り返す必要がありました。1ヘクタールの測量に平坦地でも2~3日、起伏の激しい地形では1週間以上を要し、時には危険な箇所への立ち入りも避けられませんでした。
これに対して、ドローンレーザ測量では上空から地形を面的に取得できるため、現地での測量作業を大幅に減らせます。
国土交通省の事例では、従来手法と比べて測量工程の短縮が具体的に報告されており、岐阜県の道路工事では、起工測量から施工中測量・内業までを含む測量作業が36日から7日に短縮されたと報告されています。
また、鳥海ダム関連業務では、UAVレーザ測量の導入により現地での外業が12日から3日に短縮されています。
参照元:国土交通省|i-Constructionの取組状況【PDF】(https://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000660725.pdf)参照元:国土交通省|ICT土工事例集【PDF】(https://www.mlit.go.jp/common/001186310.pdf)
ドローンレーザ測量を依頼する5つのメリット

初期投資不要で即座に新技術を活用
自社でドローンレーザ測量システムを導入する場合、莫大な初期投資が必要です。高性能なドローン本体に加え、LiDARセンサーや解析ソフトウェア、関連機器一式を揃える必要があり、導入コストは大きくなりがちです。
特に、測量の精度を左右するLiDARスキャナー単体で1,000万円以上する高価な機材も存在します。外注であれば、こうした高額な初期投資は不要で、必要な時に必要な分だけ、常に新しい機材や用途に適した機材を用いたサービスを利用できます。
専門人材の確保や育成が不要
ドローンレーザ測量を適切に運用するには、高度な専門スキルを持つ人材が不可欠です。ドローンを安全に運用する操縦技術と、取得した膨大な点群データを処理・解析する測量およびデータ解析の専門知識の両方が求められます。
このような専門家を新たに雇用する場合、中堅レベルの技術者で年収450万円から600万円程度が相場と考えられます。また、既存の社員を育成するにしても、国家資格を取得するまでの費用(約50~80万円)や、実務経験を積むまでの長い時間が必要となります。
外注であれば、こうしたコストや時間をかけずに、経験豊富な専門家の技術を活用できます。
参照元:note|測量士 年収と収入の全体像(https://note.com/sokuryoshi_note/n/n13f5c4cf580c)参照元:DRONE SCHOOL PORTAL|【2025年最新版】ドローンスクールの費用は?(https://www.cfctoday.org/column/drone-school-cost/)
維持管理の手間やコストを削減できる
自社で機材を保有する場合、定期的なメンテナンス費用、高性能な解析ソフトウェアの年間ライセンス料(年間数十万円に及ぶことも)、そして膨大なデータを処理するための高性能PCの導入・維持費など、継続的な運用コストが発生します。
外注なら、これらの「見えにくいコスト」を自社で管理する必要はありません。機材の保守・更新、ソフトウェアのアップデートなども、専門業者が対応してくれるため、本来の業務に集中できます。
リスクや保険対応も専門業者に任せられる
数千万円にもなる高価な機材を運用するには、万が一の事故や故障に備えた高額な保険への加入が必須です。たとえば1,500万円のLiDAR機器では、年間100万円近い保険料が必要になることもあります。
また、ドローンの飛行には航空法などの規制が関わり、空港周辺や人口集中地区(DID)での飛行には国土交通省への申請が求められます。こうした複雑な手続きや現場での安全管理も、外注であればすべて専門業者に任せることができます。
必要な時だけ利用できる柔軟性
すべての企業が、常に測量業務を必要としているわけではありません。プロジェクト単位や年に数回といった頻度でしか測量が発生しない場合、自社で高価な機材や専門人材を抱えていると、それらを使わない期間の維持コストが大きな負担になります。
外注であれば、測量が必要なときだけサービスを依頼できるため、無駄な固定費をかけずにすみます。測量にかかる費用を「使った分だけの支出(変動費)」として扱えることで、必要に応じてコストを調整しやすくなり、事業の状況に応じた効率的な経営が可能になります。
ドローンレーザ測量の活用分野|土木建設・インフラ点検の事例

ドローンレーザ測量は、その高い精度と効率性から、多岐にわたる分野で活用が進んでいます。主要な3つの分野における具体的な活用事例を紹介し、プロジェクトでの活用イメージを明確にしていきましょう。
土木建設分野での活用事例
建設業界では、国土交通省が推進する「i-Construction」の中核技術として、ドローンレーザ測量が重要な役割を果たしています。測量から設計、施工、検査、維持管理に至るまで、あらゆるプロセスで3次元データを活用することで、生産性の大幅な向上が期待されています。
建設プロジェクトの初期段階では、広大な現場の地形をドローンとレーザで素早く正確に3次元データ化することが可能です。特に、山間部など樹木が多く従来の方法では測量が困難だったエリアでも、レーザなら地表の形状を正確に把握できます。
このようにして得られた高精度な地形データは、BIM/CIM(Building/Construction Information Modeling, Management)モデルの基礎情報として活用され、実際の地形に即した設計を行うことができます。結果として、設計の精度や効率が大きく向上します。
- 土量計算と施工管理:造成工事などにおける切土・盛土の土量を、3次元点群データから正確に算出
- 進捗管理と安全確保:定期的に現場をドローンで測量し、3次元モデルを更新することで工事の進捗状況を視覚的に把握
- 出来形管理:施工前と施工後の地形データを比較し、計画通りに工事が進んでいるかを定量的に管理
インフラ点検・管理分野での活用事例
社会インフラの老朽化が深刻化するなか、効率的で高精度な点検・管理を実現する手法として、ドローンレーザ測量の導入が進んでいます。従来は人が現地を巡回して行っていた目視点検では対応が難しかった業務にも、この技術が新たな可能性をもたらしています。
送電線と樹木の離隔管理
電力会社にとって、送電線と周辺の樹木との間に安全な距離(離隔)を確保することは、停電や火災などのリスクを防ぐ上で非常に重要です。ドローンレーザ測量を活用すれば、送電線と樹木の位置関係を3次元かつセンチメートル単位の精度で把握できるため、危険箇所を自動的に抽出し、優先的に対策を講じることが可能になります。
橋・トンネルの点検
橋の裏側や桁のすき間、トンネルの天井部分など、人が近づきにくい箇所の点検にもドローンが活躍します。高密度な点群データをもとに、コンクリートのひび割れや剥離、構造部材の変形などを細かく捉えた3Dモデルを作成できるため、従来よりも安全かつ効率的な点検が可能になります。
河川・港湾の維持管理
河川や港湾の維持管理では、「グリーンレーザ」と呼ばれる緑色波長のレーザが活躍します。このレーザは水を透過する性質があり、通常のレーザ(近赤外光)では測れない水底の地形まで計測可能です。
グリーンレーザを搭載したドローンを使うことで、陸上と水中の地形を一度の飛行でシームレスに計測でき、河川敷や浅瀬、港湾の管理業務をより正確かつ効率的に進められます。
ドローンレーザ測量の費用相場と従来測量との比較

ドローンレーザ測量を外注する際の費用は、測量範囲、地形の複雑さ、要求される精度、納品物の種類によって変動しますが、従来の手法と比較して優れたコストパフォーマンスを発揮します。適切な予算計画を立てるために、具体的な費用相場を確認していきましょう。
測量範囲別の費用相場
ドローンレーザ測量の外注費用は、一般的に測量面積が広くなるほど、1ヘクタールあたりの単価が割安になる傾向があります。これは、一度のフライトで広範囲をカバーできるドローンの特性を活かせるためです。
| 測量範囲 | 費用相場(税抜) | 1haあたりの単価目安 | 備考 |
|---|---|---|---|
| ~1ha | 30万円~80万円 | 30万円~80万円 | 小規模プロジェクト |
| 1ha~5ha | 80万円~200万円 | 16万円~40万円 | 中規模開発案件 |
| 5ha~10ha | 200万円~300万円以上 | 20万円~30万円以上 | 大規模開発案件 |
※キャククル編集チーム調べ
※一般的な平地や緩やかな丘陵地を想定したものです。急峻な山岳地帯、植生が極めて密な森林、あるいは多数の構造物が存在する場所など、飛行や解析に特別な手間を要する場合は、追加費用が発生することがあります。正確な費用については、必ず事前に見積もりを取得して確認してください。
従来測量との作業時間・コスト比較
ドローンレーザ測量のコストパフォーマンスを正しく評価するには、単に費用の金額だけでなく、作業にかかる時間や必要な人員といった要素も含めて比較することが重要です。特に人件費が大きな割合を占める測量業務において、作業時間の大幅な短縮は、総コストの劇的な削減に繋がります。
| 項目 | 従来型地上測量 | ドローンレーザ測量 | 改善効果 |
|---|---|---|---|
| 作業時間(現地) | 1週間程度 | 0.5日程度 | 約6分の1に短縮 |
| 成果作成時間 | 3~4日 | 1~2日 | 約2分の1に短縮 |
| 必要人員 | 2~3名 | 1~2名 | 人件費削減 |
| 安全性 | 危険箇所への立入リスクあり | 安全な場所から遠隔操作 | 安全対策コスト削減 |
時間と人件費の削減に加え、危険な場所への立ち入りが不要になることによる安全対策コストの低減や、工事の遅延リスクの低減といった間接的なコストメリットも考慮すると、ドローンレーザ測量の経済的な優位性は明らかです。
測量精度と納期の目安
測量精度 | 公共測量基準をクリアする高精度
ドローンレーザ測量は、高度な技術と適切な運用によって、国や地方自治体が発注する公共事業で求められる厳格な精度基準に対応することが可能です。精度の管理には、国土地理院が定めたUAVを用いた公共測量マニュアルが基準として活用されており、成果品の品質を一定の水準に保つための指標となっています。
このマニュアルでは、測量成果に求められる平面位置および高さの誤差の許容範囲が定められており、実際の現場では、誤差±5cm以内といった高い精度を達成しているケースも多数あります。特に、性能の高いLiDAR機器と適切なGCP(基準点)を組み合わせて運用することで、高精度な成果が安定して得られるようになってきています。
このような測量精度は、公共測量の標準仕様である地図情報レベルにも対応しており、建設工事における出来形管理(設計図通りに施工されているかの確認)にも十分に活用可能な品質です。プロジェクトの目的に応じて、求められる精度を事前に相談・確認することで、より確実な活用につながります。
標準的な納期 | 約1〜2週間が目安
ドローンレーザ測量は、従来の測量方法と比べて現場作業が短時間で済む点が大きな特長です。一般的な規模の現場であれば、現地での測量は半日〜1日程度で完了します。
続いて、取得した点群データの解析作業に入ります。解析では、ノイズ除去や地物分類、成果物の生成などが行われ、品質確認を経て納品となります。スムーズに進んだ場合、現地測量から納品までは1〜2週間程度が目安となります。
ただし、納期の速さや解析の丁寧さも、依頼先のリソースや運用体制により異なる点に注意が必要です。希望納期や成果物の内容については、事前に十分なすり合わせを行うことをおすすめします。
参照元:国土交通省「ICT土工事例集(測量業務編)」UAV活用事例【PDF】(https://www.mlit.go.jp/common/001186310.pdf)参照元:Terra Drone株式会社|計測サービスの実例(https://terra-drone.net/service/survey/measure/)
依頼前に準備すべき情報と発注の標準的な流れ
ドローンレーザ測量を外注する際に、作業を円滑に進め、期待通りの成果を得るためには、事前準備と発注の流れを理解しておくことが重要です。必要な情報をあらかじめ整理しておくことで、業者側はより正確な見積もりを提示でき、適切な測量計画の立案も迅速になります。
発注前に準備しておきたい情報
見積もりの依頼や問い合わせの前に、以下の情報を整理しておくことで、やり取りがスムーズになり、後のトラブルも防ぎやすくなります。準備が不十分だと、見積もりにズレが生じたり、想定外の追加費用が発生する可能性もあるため、事前にしっかり確認しておくことをおすすめします。
- 測量対象地域の詳細な範囲:測量したいエリアを明確に示す地図や図面。Googleマップのスクリーンショットや、可能であればKML/KMZファイルなど、デジタル形式の位置情報があると確実です。
- 必要な測量精度の要求レベル:公共測量に準じた精度が求められるのか、社内資料用の簡易測量でよいのかなど、精度の要件を明確にします。
- 納期の希望:成果物が必要となる期日。余裕をもってスケジュールを伝えることで、計画調整がしやすくなります。
- 成果物の形式:点群データ、数値地形モデル(DTM)、等高線図など、必要な成果物と、それぞれのファイル形式(LAS/LAZ/DXFなど)を指定します。
- 現地の状況:「樹木が密生している」「急峻な崖地がある」「敷地内に多数の建物や送電線がある」といった情報。
- 飛行許可の要否に関する情報:測量地が空港の周辺、人口集中地区(DID)の上空など、ドローンの飛行に国の許可が必要なエリアに該当するかどうか。
発注から納品までの標準的な流れ
ドローンレーザ測量は、以下のような手順で進めるのが一般的です。発注者と測量業者が密に連携し、段階ごとに計画的に進めることで、成果物の精度や納期の確保につながります。
- 見積もり依頼と仕様の打ち合わせ:準備した情報を基に、複数の業者へ見積もりを依頼し、詳細な打ち合わせを実施
- 契約締結と詳細スケジュール調整:仕様と金額に合意したら正式に契約を締結し、現地測量日や納品日などの詳細なスケジュールを調整
- 現地調査と飛行計画の策定:測量業者が事前に現地を調査し、障害物の有無や電波状況などを確認。最も安全かつ効率的な飛行ルートや撮影計画を策定
- 必要に応じて飛行許可申請:飛行に許可が必要なエリアの場合、測量業者が国土交通省へ必要な申請手続きを代行
- 基準点設置と測量実施:測量当日、現地で精度の基準となるGCP(地上基準点)を設置し、計画通りにドローンを飛行させてレーザ計測を実施
- データ解析と品質確認:取得した膨大な生データを専門のソフトウェアで解析し、要求された精度を満たしているか厳密な品質チェックを実施
- 成果物の納品と検査:解析・品質確認が完了した最終成果物を、指定された形式でクライアントに納品
失敗しない測量業者の選び方|比較検討の重要ポイント
ドローンレーザ測量を成功させるためには、パートナーとなる測量業者の選定が非常に重要です。価格だけで業者を選んでしまうと、思ったような精度が得られなかったり、納期の遅れやトラブルにつながることもあります。安心して任せられる業者を見つけるために、技術力・サービス体制・信頼性といった観点から、確認すべきポイントを押さえておきましょう。
技術力と実績を確認するポイント
業者の技術力は、そのまま成果物の品質に直結します。特に公共事業レベルの精度や品質を求める場合は、以下のような項目を中心に確認すると安心です。
- 測量士の在籍状況:国家資格である測量士が在籍しているか、操縦や解析の担当者に十分な実績があるかを確認。
- 公共測量の実績:国や自治体が発注する測量案件は、厳格な精度・仕様が求められます。こうした案件を継続的に受託している業者は、一定水準以上の技術力と運用体制を持っていると判断できます。
- 使用機材とソフトウェア:使用するドローンやLiDARの性能、RTK/PPKといった高精度な測位技術への対応状況も、精度や効率に大きく関わります。具体的な機材名やソフトの種類を提示してくれる業者は信頼性が高い傾向があります。
- 実績の公開:公式サイトや資料で、過去のプロジェクト事例や成果物のサンプルを公開している業者であれば、実力を確認しやすく、イメージのすり合わせもスムーズです。
サービス品質を見極める判断基準
技術力と同等に重要なのが、安心して業務を任せられるサービス品質です。長期的なパートナーシップを築ける業者を選ぶために、以下の判断基準を活用してください。
| 評価項目 | チェックポイント | 重要度 |
|---|---|---|
| 技術力 | 公共測量の実績は豊富か? 測量士・経験豊富な操縦士は在籍しているか? 使用機材のスペックと精度は公開されているか? |
必須 |
| サービス品質 | 見積もりの内訳は明確で透明性があるか? 安全管理体制は徹底されているか? 十分な賠償責任保険に加入しているか? |
必須 |
| コミュニケーション | 問い合わせや相談への対応は迅速・丁寧か? 専門用語を分かりやすく説明してくれるか? |
重要 |
見積もりの透明性
信頼できる業者は、見積もりの内訳を明確に提示してくれます。たとえば「測量作業費」「解析費」「交通費」などが具体的に記載されているかを確認しましょう。「一式」表記ばかりの見積もりは、後から追加費用が発生するリスクもあるため注意が必要です。
安全管理体制と保険の加入状況
ドローン飛行には一定のリスクが伴うため、事故や機材トラブルに備えた賠償責任保険への加入は必須です。また、独自の安全マニュアルを整備し、飛行計画の事前調査や周囲環境の確認などを徹底しているかも大切な評価ポイントです。
ドローンレーザ測量のまとめ
ドローンレーザ測量は、建設・土木業界における測量作業を劇的に変革する技術として、今後ますます重要性が高まっていくことは間違いありません。
作業時間を短縮し、危険箇所での作業員の安全を確保しながら、誤差数センチレベルの高精度な3次元データを取得できるこの技術は、i-Constructionの推進とともに業界標準となりつつあります。
本記事で紹介した11社は、それぞれが独自の強みを持っています。測量から図面化まで一貫対応できる会社、災害現場での迅速な対応に強い会社、水域測量に特化した会社、全国ネットワークを活かした広域対応が可能な会社など、各社の特色は多様です。
技術力、実績、対応エリア、サービス品質を総合的に評価し、自社のニーズに最も適した測量会社を選定することが重要です。ぜひ本記事を参考に、あなたのプロジェクトに最適な測量会社を見つけて、新たな挑戦への第一歩を踏み出してください。
- 免責事項
- 本記事は、2025年8月時点の情報をもとに作成しています。掲載各社の情報・事例をはじめコンテンツ内容は、現時点で削除および変更されている可能性があります。あらかじめご了承ください。

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