HYDROSPRING®(ハイドロスプリング)とは?オンサイト型水素製造装置の特長・導入事例を徹底解説

HYDROSPRING®(ハイドロスプリング)とは?オンサイト型水素製造装置の特長・導入事例を徹底解説

HYDROSPRING®(ハイドロスプリング)の水素製造装置とは?

HYDROSPRING®(ハイドロスプリング)は、カナデビア株式会社が開発した水と電気だけで水素をつくれる装置です。設置したその場で必要なときに必要な量だけ水素を製造できるため、外部から水素をタンクやボンベで調達する手間がかかりません。再生可能エネルギーと相性の良いPEM方式を採用しており、太陽光や風力などの電力変動にも柔軟に対応。

実際に福島県相馬市では、地域の再エネ電力を有効活用する装置として導入され、地産地消型のエネルギー運用を支えています。中規模な熱供給や地域エネルギーの次の一手として、現実的な選択肢となり得る製品です。
導入事例や具体的な仕組みについて、詳しくはこちらをご覧ください。

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HYDROSPRING®は(ハイドロスプリング)他の水素製造装置と何が違う?

再エネと相性の良いPEM方式を採用!エネルギーコストを削減

水素製造コストの約7割は電力代といわれています(※)。HYDROSPRING®は、自社開発の高効率電解槽とPEM方式の組み合わせにより、水素発生にかかる消費電力を低減。発電コストを抑えつつ、水素を安定的に製造できます。

またPEM方式は電力負荷の変動にも即座に対応できるため、出力が不安定な太陽光や風力などの再生可能エネルギーとも高い親和性を発揮。発電ピーク時に生じる余剰電力を効率よく水素として蓄え、需給調整やピークカットに活用できます。売電制限や出力抑制による機会損失を減らし、事業の稼働率向上と収益性の強化につなげられます。

参照元:京都大学大学院 経済学研究科公式HP(https://www.econ.kyoto-u.ac.jp/renewable_energy/stage2/contents/column0170.html)

小規模~大規模まで水素需要の成長にあわせてムダなく拡張できる

「最初から大規模な設備投資は難しいが、将来的な需要増には対応したい」

水素製造装置の導入を検討する際、こうした悩みを抱える事業者は少なくありません。HYDROSPRING®は、事業の立ち上げ時に小規模から始め、需要の拡大に合わせて無理なく設備を増設できる柔軟な設計です。地域の再生可能エネルギーを活用したい自治体や、水素供給インフラを段階的に整備したい電力・熱供給事業者にとって、現実的で計画が立てやすい選択肢となります。

対応できる規模は1Nm³/hから数千Nm³/hまで幅広く対応。
数千N㎥/hの水素供給量は、複数の公共施設や数百世帯分の熱エネルギー需要をまかなえるレベルに相当し、再生可能エネルギー設備と連携して電力の貯蔵用途(蓄電)にも活用可能です。

設備や現場の条件にフィットできる柔軟性

「導入する設備が自社の条件にぴったり合わず、追加工事や仕様変更でコストや時間がかかる」

こうした悩みを減らせるのがHYDROSPRING®です。既存の製造ラインやエネルギー設備とスムーズに組み合わせられ、導入時の障壁を最小限に抑えられます。
水素の供給圧力や流量、副産物として出る酸素の活用方法まで、現場の事情に合わせて柔軟に調整が可能。

発電量や使用状況の変化に合わせて稼働量を自動で調整でき、複数台の装置をまとめて効率よく運転できます。こうしたきめ細かなカスタマイズにより、「必要なときに必要な量の水素を、安全かつ効率的に供給する」体制を構築できます。
さらに、遠隔監視や自動運転などのオプションも充実しており、複数拠点の一括管理や予防保全にも対応。運用効率と安定稼働を両立できるため、さまざまな分野で水素活用を進めたい事業者にとって、長期的に安心して使える選択肢となります。

HYDROSPRING®(ハイドロスプリング)の設置・運用条件

HYDROSPRING®の設置・運用条件

水素製造装置を導入する際、多くの事業者が最初に気にするのは「自社で本当に導入できるのか?」という点です。ここでは、まずはシンプルなQ&Aで概要をつかみ、その後に詳細仕様をご紹介します。

HYDROSPRING®(ハイドロスプリング)導入前のよくある質問(Q&A)

Q1. 特別な電気工事は必要ですか?

A. 必要ありません。HYDROSPRING®は三相200V~6600Vまで幅広く対応しており、工場の配電盤から直接接続できます。新たな変電設備を設置する必要がないため、短期間で稼働を始められます。

Q2. 純水はどの程度の水質が必要ですか?

A. 市販のRO(逆浸透膜)装置でつくれる純水で十分です。超純水や薬品を使った管理は不要で、既存の純水設備をそのまま利用できます。薬液のpH調整や廃液処理も不要なため、運用の負担や安全管理の手間を大きく減らせます。

Q3. 設置場所やスペースに制限はありますか?

A. ほとんどありません。耐候性のある40フィートコンテナ型のモジュール設計なので屋外設置も可能です。装置1基あたり約5~40㎡程度のスペースがあれば設置でき、基礎工事や建屋の増築は不要。将来的な増設や移設も容易です。

HYDROSPRING®(ハイドロスプリング)の詳細仕様

上記Q&Aを補足する導入仕様の詳細については、下記にてご確認いただけます。導入判断に必要な具体的な規格や条件をご覧ください。

電源要件:一般的な工業用電力で稼働可能

HYDROSPRING®は装置容量に応じて広範な三相交流電源に対応しており、特殊な変電設備の追加なしに既存の工場ラインへ直接接続できます。

水素発生量(Nm³/h) 要求電源
1~5 三相AC200V 50/60Hz
10~30 三相AC400V 50/60Hz
100~600 三相AC6600V 50/60Hz

200Vから6600Vまでカバーしているため、大規模設備から小規模ユニットまで柔軟に導入できます。
再生可能エネルギー(太陽光・風力など)と直接連携するオプションもあり、余剰電力を有効活用して電力コスト削減にもつながります。

純水要件:一般的なRO装置レベルで対応

要求される水質はJIS K0557 A2規格準拠(導電率1.0μS/cm以下、TCO ≤ 500ppb)です。
市販のRO装置+イオン交換樹脂システムで対応でき、既存の純水配管に接続するだけで運用可能です。
アルカリ電解方式と異なり、薬品を使わないため、環境負荷や安全管理の負担も抑えられます

設置環境:屋外対応・省スペース型

HYDROSPRING®は40フィートコンテナサイズを基準にしたモジュール構成を採用しており、工場敷地の空きスペースや発電所構内など柔軟に設置が可能です。

設置条件 内容
必要設置面積 装置1基あたり 約5~40㎡程度(容量に応じて変動)
設置場所 屋内外問わず対応可(耐候構造)
周囲温度範囲 5~40℃(純水供給時は5~35℃を推奨)

コンテナ型モジュールのため、基礎工事や建屋増築なしに設置できるケースが多く、初期投資と工期を短縮可能です。特に新設ラインへの組み込みや、既設工場のリニューアル時においても柔軟に対応できます。

将来的な増設や移設も簡単で、長期的な設備投資の最適化に貢献します。

製品ラインナップや用途などの詳細は、以下のリンクよりご確認いただけます。

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HYDROSPRING®(ハイドロスプリング)の導入事例

HYDROSPRING®は多くの現場で導入され、実証プロジェクトでも成果を挙げています。実際の導入例をもとに、その有効性を確認しましょう。

福島県相馬市で再エネ由来水素の地産地消を支える装置として導入

背景・課題

福島県相馬市は、CO₂フリーの循環型地域社会の実現を目指し、風力や太陽光などの再エネ活用を推進。しかし、出力変動による安定供給の難しさが課題でした。地域で生産したエネルギーを地産地消するため、余剰電力を吸収し安定的に水素を供給できる仕組みが必要でした。

導入内容

  • HYDROSPRING®(15Nm³/h・30Nm³/h 各1基)水素貯蔵タンク(150Nm³×1基、200Nm³×2基)を納入
  • 柏工場で設計・製造・試運転まで一貫対応
  • PEM型電解槽により高効率製造&再エネ変動にリアルタイム追従
  • 純度99.9%~99.9999%、露点-20℃~-70℃の高品質水素を製造

結果

脱炭素化・レジリエンス強化・産業振興を同時に実現する先進モデルを構築。災害時の非常用電源やモビリティ利用、産業用途など幅広く活用可能。

参照元:日立造船株式会社|水素発生装置「HYDROSPRING○R」の納入について【PDF】(https://www.kanadevia.com/newsroom/news/assets/pdf/ef31e4a48a673bf700a8053b4fcb2829.pdf)

福井県・進工業の新工場に、工場用途として初の水素発生装置を導入

背景・課題

薄膜抵抗器メーカー進工業株式会社は、築45年の主力工場を刷新し、新工場を建設。再エネ活用とBCP(事業継続計画)を両立できるエネルギーシステムが求められていました。生産プラントでは、再エネ余剰電力を有効利用しつつ、非常時にも安定供給できる電源が必要でした。

導入内容

  • 清水建設を通じて水素発生量5Nm³/hのHYDROSPRING®を納入
  • 2024年6月に試運転完了・正式稼働
  • 「Hydro-Q-BiC」システムに組み込み、再エネ余剰電力で水素を製造・貯蔵
  • 必要時に発電し、ピークカットや非常時電源として活用

結果

工場の電力利用最適化とレジリエンス強化を実現。製造プロセスの安定化と環境対応型工場としてのブランド価値向上に貢献。

参照元:日立造船株式会社|水素発生装置を電子部品メーカー工場内の設備へ納入
【PDF】(https://www.kanadevia.com/newsroom/news/FY2024-20.pdf)

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HYDROSPRING®(ハイドロスプリング)を販売するカナデビア株式会社とは


HYDROSPRING®のルーツは、カナデビア株式会社の前身である日立造船が1970年代から取り組んできた水素発生装置の研究にあります。1974年のサンシャイン計画以降、長年水素技術の開発を続けてきました。その成果として、2000年に固体高分子型水電解装置「HYDROSPRING®」の販売を開始し、官公庁や民間企業への多数の納入実績を積み重ねています。

2022年には、PEM型水素発生装置として日本機械工業連合会会長賞も受賞し、その技術力と実績は社外からも高く評価されています。

2024年に社名が「日立造船」から「カナデビア」へ変更され、脱炭素化や資源循環など、より幅広い社会課題に取り組む姿勢が明確にされました。この企業変革によって、長年の重工業分野で培った設計・エンジニアリング力が、HYDROSPRING®の信頼性や耐久性の向上にも活かされています。こうした実績は、導入を検討する企業にとって「安心して任せられる理由」の一つとなっています。

HYDROSPRING®(ハイドロスプリング)の会社概要

企業名 カナデビア株式会社
所在地 大阪市住之江区南港北1丁目7番89号
URL https://www.kanadevia.com/

HYDROSPRING®(ハイドロスプリング)の特徴まとめ

HYDROSPRING®は、カナデビア株式会社が50年の技術実績をもとに開発したオンサイト型水素製造装置です。再生可能エネルギーとの相性に優れたPEM方式を採用し、電力変動にも瞬時に対応しながら水素を効率的に製造できます。小規模から大規模まで柔軟に拡張可能で、福島県相馬市や製造業での豊富な導入実績により、持続可能な水素社会の実現を支えています。
詳しい製品仕様や導入事例については、ぜひ公式サイトをご覧ください。

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