大学がやるべき広報戦略で学生募集を成功させる!広報がうまい大学の事例も併せて紹介
最終更新日:2026年02月06日
これまで、大学における広報といえば、一括資料請求サイトへの広告出稿などの入試広報が一般的でした。しかし最近では、入試広報だけで受験生はなかなか集まりません。そもそも「この大学に行きたい」と思えるような、広報戦略が重要になってくるのです。
本記事では、大学が広報で学生募集をするにあたって、求められていることや今やるべきことやトレンドを踏まえつつ、有効な広報手法も合わせて紹介します。
2025年の大学広報最新トレンド
大学広報を取り巻く環境は急速に変化しています。2025年現在、大学が取り組むべき最新の広報トレンドを解説します。
デジタルファーストからデジタルオンリーへ
かつては「紙のパンフレットをメインに、Webサイトも充実させる」というデジタルファーストの考え方が主流でしたが、現在はデジタルのみで完結する広報戦略が増えています。
Z世代の受験生は、大学パンフレットを取り寄せる前にスマートフォンで徹底的に情報収集します。Webサイト、SNS、YouTube、口コミサイトなど、デジタル上のあらゆる情報を確認した上で、興味を持った大学にだけ資料請求します。
つまり、デジタル上での第一印象が悪ければ、資料請求にすら至らない時代になっています。
AI・チャットボットによる個別対応の自動化
受験生からの問い合わせに24時間365日対応できるAIチャットボットの導入が進んでいます。
「入試日程を知りたい」「○○学部の就職実績は?」「奨学金制度について教えて」といった基本的な質問にAIが即座に回答することで、受験生の疑問をリアルタイムで解消できます。
さらに、質問内容を分析することで、受験生がどのような情報を求めているかを把握し、広報戦略に活かすことも可能です。
データドリブン広報の本格化
広報活動の効果を、データで可視化して改善につなげる取り組みが当たり前になっています。
Googleアナリティクスでどのページがよく見られているか、SNS分析ツールでどの投稿がエンゲージメント率が高いか、MA(マーケティングオートメーション)ツールで資料請求者がどのような行動をしているかなど、あらゆるデータを収集・分析します。
感覚や経験だけに頼らず、データに基づいて広報戦略を最適化していくことが求められています。
ショート動画の重要性
TikTok、Instagram Reels、YouTube Shortsなど、60秒以内のショート動画が受験生の情報収集手段として定着しています。
キャンパスの日常風景、在学生の1日密着、サークル活動紹介、教員による1分解説など、短時間で大学の魅力を伝えるコンテンツが求められています。
従来の数分〜十数分の動画よりも、短尺で繰り返し視聴される動画の方が、ブランド認知や親近感の醸成に効果的です。
また、自校と親和性の高い学生を集めるための広報施策を検討している方に向けて、
- 例年定員割れだったのが、続々願書が届き入学可能人数を2倍にしても追いつかない
- 前年以上の学生募集に成功し、受け入れ人数を増やすために校舎の増築を決定した
- 競合との差を明確にすることができ、欲しい学生のみを募集することに成功した
を実現した、「ポジショニングメディア」施策についても合わせて説明しています。
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大学経営に必須の広報戦略の変化

18歳以下の人口が減少期に入ってから3年が経過し、これからますます受験人口の減少が続くなか、知名度の低い大学は広報対策によってその明暗が分かれていきます。「学生に選ばれる大学」になるために、これからは一括資料請求サイトへの広告出稿だけでなく、さまざまなメディアの選択が重要になってくるといえるでしょう。
これからの大学広報が重視されていること
情報や資料を提供するだけの「一方通行の広報」では受験生のニーズを満たせず、なかなかその先のステップに結びつきません。受験を控える高校生と密にコミュニケーションをとりながら、一緒に進路を考える、進路を決めやすいようにサポートするといった「身近な味方」という存在になりながら「背中を押してあげること」が大切です。
SNS等デジタルを活用したコミュニケーション
学生が直接、気軽にアクションを取ってくれるツールを活用して囲い込むことが大切です。今の学生はメールよりもLINEやTwitterなどのSNS利用が生活の中心にあるため、SNSを使ったアプローチは必須と言えるでしょう。
大学のLINE公式アカウントを導入するのも効果的です。友だちに追加した学生には、オープンキャンパスやイベントのお知らせを配信する、学科の魅力を伝えるコンテンツや入試対策講座などの学べるコンテンツを配信することで、大学や学部の魅力をアピールできます。
高校生をサポートしながらアプローチ
SNSや動画を使ったコンテンツ配信も有効ですが、受験を控える高校生をサポートしてくれる存在になっておくのも効果的です。在校生に協力してもらい、イベントなどの交流を通じて高校生が知りたい情報を直接伝えてもらうと良いでしょう。
また、さまざまなプログラムを通じて「自分が将来やりたいこと」を見つけるきっかけをつくり、キャリア形成をサポートしていくことで、早い段階から志望意欲を育てられます。
大学広報の組織体制と役割分担
効果的な広報活動を展開するには、適切な組織体制の構築が不可欠です。
広報部門の理想的な組織体制
大学の規模によって異なりますが、一般的な広報部門の組織体制は以下のようになります。
小規模大学(学生数1,000名未満)では、広報担当者2〜3名で、戦略立案から実務まで兼任するケースが多いです。外部の広報会社やデザイン会社と連携しながら、効率的に業務を進めます。
中規模大学(学生数1,000〜5,000名)では、広報課として5〜10名程度の体制を組み、広報戦略チーム、Webチーム、SNS・動画チーム、イベントチームなど、機能別に役割分担します。
大規模大学(学生数5,000名以上)では、広報部として10名以上の専任スタッフを配置し、さらに細分化された専門チームを編成します。ブランディング、メディアリレーション、デジタルマーケティング、危機管理広報など、高度な専門性が求められます。
学内連携の重要性
広報部門だけで広報活動を完結させることはできません。学内の様々な部門との連携が成功の鍵となります。
入試課との連携では、受験生の動向データや志願者数の推移を共有し、広報戦略に反映させます。オープンキャンパスや説明会の情報も連携して発信します。
学部・学科との連携では、各学部の特色や研究成果、学生の活躍を広報コンテンツとして活用します。教員の協力を得て、専門的な情報を分かりやすく発信します。
就職課との連携では、就職実績や卒業生の活躍を広報に活用します。キャリア支援の充実度は、受験生や保護者が重視するポイントです。
学生課との連携では、在学生の声やキャンパスライフの様子を収集します。サークル活動やイベントの情報も貴重なコンテンツとなります。
内製vs外注の判断基準
すべてを内製化するか、一部を外部に委託するか、適切なバランスを見極めることが重要です。
内製化すべき領域としては、広報戦略の立案、日々の情報発信(SNS・Webサイト更新)、学内調整・取材対応、危機管理広報の初動対応などがあります。これらは大学の内部事情を熟知した人材でなければ対応が難しい領域です。
外注を検討すべき領域としては、Webサイトのデザイン・構築、動画制作(撮影・編集)、パンフレットデザイン、プレスリリース配信、SNS広告運用、ポジショニングメディア構築などがあります。専門性が高く、社内にノウハウがない場合は外部の専門家に委託した方が費用対効果が高いケースが多いです。
大学の広報戦略の基本ポイント
入学希望者を増加させることが前提
少子化が進む日本において、まずは一定数の入学希望者を確保することが求められます。そもそも入試希望者が集まらないと、大学の存続さえ危うくなってしまうからです。
これからの大学広報では、いかに「この大学に通いたい」と思わせられるかがカギ。大学のイメージ向上につながる情報をこまめに発信し続け、地道なブランディング活動を行うことが大切です。
ブランドイメージを構築する
大学のブランドイメージは、最適な入学希望者を集める「武器」になる反面、受験生によっては「自分が抱いているイメージと合わない」だけで入試希望から遠ざかるリスクも持ち合わせています。WebサイトやSNSなどを活用して自校の魅力を多面的にアピールし、ミスマッチを防ぎながら受験生にアピールしていきましょう。
大学自体の認知度を向上させる活動
ブランドイメージを構築する前に、まずは大学の存在自体を知ってもらう必要があります。大きなメディアでの広告出稿を検討したりイベントに出展したりと、サイトやSNS以外のツールも活用してみましょう。さまざまなメディアでの露出を高めることで、認知度アップにつながっていきます。
大学広報の予算と費用対効果
大学広報にどれだけの予算を投じるべきか、多くの大学が悩むポイントです。
大学広報の費用相場
大学広報の費用は、取り組む施策や規模によって大きく異なりますが、一般的な相場は以下の通りです。
- Webサイトリニューアル:500万円〜3,000万円
- 大学案内・パンフレット制作:200万円〜800万円(デザイン・印刷含む)
- 動画制作:1本30万円〜200万円
- SNS運用支援:月額20万円〜80万円
- プレスリリース配信代行:1件3万円〜10万円
- Web広告運用:月額30万円〜200万円
- ポジショニングメディア制作:500万円〜2,000万円
- オープンキャンパス運営:1回50万円〜300万円
総合的な広報予算として、学生数1人あたり年間3,000円〜10,000円程度が目安とされています。学生数3,000名の大学であれば、年間900万円〜3,000万円の広報予算となります。
投資対効果(ROI)の測定方法
広報活動の効果を測定するには、定量的な指標と定性的な指標を組み合わせて評価します。
定量的指標としては、志願者数の増減、資料請求数、オープンキャンパス参加者数、Webサイト訪問者数、SNSフォロワー数・エンゲージメント率、メディア露出件数などがあります。
定性的指標としては、ブランドイメージ調査、在学生・卒業生の満足度、高校教員からの評価、メディアでの取り上げられ方(ポジティブ/ネガティブ)などがあります。
例えば、定員300名の学部で50名の定員割れが発生している場合、学生1人あたりの年間授業料が100万円とすると、年間5,000万円の機会損失です。広報強化により定員を充足できれば、初期投資2,000万円でも十分に回収可能です。
予算配分の優先順位
限られた予算の中で最大の効果を得るには、優先順位をつけることが重要です。
優先度1:デジタル基盤の整備では、スマホ対応Webサイト、SNSアカウント開設・運用体制が最優先です。受験生の情報収集の起点となるため、ここが弱いと他の施策も効果が限定的です。
優先度2:接点創出施策では、オープンキャンパス、高校訪問、進学相談会など、受験生との直接的な接点を作る施策に投資します。
優先度3:ブランディング施策では、ポジショニングメディア、動画コンテンツ、メディアリレーションなど、中長期的なブランド価値向上に投資します。
大学広報の効果測定とKPI設定
広報活動の効果を正しく測定し、継続的に改善していくことが成功の鍵です。
認知度に関するKPI
- Webサイト訪問者数:月間ユニークユーザー数、ページビュー数
- SNSフォロワー数:各SNSのフォロワー数の推移
- 動画再生回数:YouTubeやSNSでの動画視聴回数
- メディア露出件数:新聞・雑誌・Webメディアでの掲載回数
- 検索順位:「○○市 大学」「経済学部 おすすめ」などのキーワードでの順位
志願者獲得に関するKPI
- 資料請求数:月別・施策別の資料請求数
- オープンキャンパス参加者数:申込数・実参加数・満足度
- 個別相談申込数:キャンパス見学・進路相談の申込数
- 出願者数:前年比・学部別の出願者数
- 入学者数:定員充足率・辞退率
ブランドに関するKPI
- ブランド認知率:高校生への調査で「知っている」と回答した割合
- 第一志望率:受験生のうち第一志望として選んだ割合
- 推奨意向:在学生が友人に「勧めたい」と思う割合
- 口コミ評価:口コミサイトでの評価スコア
これらのKPIをファネル(漏斗)形式で可視化することで、どの段階で離脱が起きているかが明確になり、改善すべきポイントが見えてきます。
実際の大学の広報活動で気を付けるべきポイントとは

学生のニーズを知る
専攻できる分野や留学プログラムがあるか、就職先の業界はどこか、交通アクセスは便利かなど、進学先を決定するポイントは学生によってさまざまです。学生が大学に求めているニーズを把握するために、在校生へアンケート調査をとってみることをおすすめします。次に迎え入れる生徒のニーズに沿った広報ができるよう、あらかじめ準備しておきましょう。
ブランドイメージを統一する
WebサイトやSNS、大学案内やパンフレットなど、広報で使うツールのイメージカラーやベースデザインを、同じイメージに統一しておくことをおすすめします。
ブランドイメージを統一した広告を発信し続けることで「この大学らしいな」と学生のイメージを定着させることができ、ブランディングが確立されていきます。
実際に、プロのデザイナーを起用してロゴマークやスクールカラーを一新するなど、ブランディング確立のためのアクションを起こしている大学もあります。
教員・職員の意識統一を図る
大学のブランドイメージを統一していくには広報という外部発信だけでなく、大学内部にも自校のブランドイメージを浸透させておく必要があります。自校のイメージを広げてくれるのは広告だけではありません。
ふとした教員・職員と学生との接触によって自校のイメージがSNSや口伝えで情報が拡散する可能性もあることを想定すると意識統一しておく必要が出てくるでしょう。
学生活動も交えた広報
広報活動で伝える情報は、受験生にとって魅力的であることが大切です。研究成果や学生活動、地域連携事業など、大学ならではのコンテンツを工夫して発信しましょう。大学内で活躍している学生コンテンツは、受験生が入学した後の自分をイメージさせるために役立つ材料でもあります。
大学の強みを把握しておく
大学をPRする上で大切なのは「自校の強みは何か」を把握しておくことです。他校にはない魅力を発信していくことで、学生に興味を持ってもらう可能性が高まります。
同じ分野を学べる大学や有名大学、近隣の国公立大学などを「競合」と捉えて、細かく調査・分析してみましょう。学べること、キャンパス内の環境や設備、立地、イベントやサークル、卒業後の就職先などを比べて、他校にはないポイント、他校よりも魅力的なポイントを明確にしていきます。
自校の強みを把握した後には、その強みを知ってもらうために、ポジショニングメディアなどの展開も有効となります。
ポジショニングメディアについて、より詳しく知りたい方はこちらからご覧ください。
他大学と差別化してアピールする
有名校に人気が集中するなかで受験生に興味を持ってもらうためには、大学にこれといった特徴がなくてはいけません。他校では学べないこと、他校では過ごせない魅力的なキャンパスライフなど、強みや特徴を明確にしたら、その強みを広報に活かします。実際に「1年次からゼミを受けられる」という特徴を広告で全面的に打ち出し、訴求につなげている大学もあります。
自校が勝てる市場で広報リソースを注力する
成功する戦略には、必ず勝てる市場を見つけ出してリソースを投下することが大切です。
特に競合他校が密集しているような市場や広報力が強い競合校が注力している市場であれば避けた方がよいでしょう。
自校の強みや今の生徒から選ばれた理由を分析して、どんな市場がもっとも自校と合うのかを分析する必要があります。このような考え方をバリュープロポジションといいます。
大学広報でよくある5つの失敗事例
多くの大学が広報活動に取り組む中で、陥りがちな失敗パターンがあります。
失敗①:実態とかけ離れた情報発信
最も深刻な失敗が、実際の教育内容やキャンパス環境とかけ離れた情報を発信してしまうことです。
例えば、「国際的な大学」と謳いながら実際には留学プログラムがほとんどない、「少人数教育」を売りにしながら実際には大教室での講義が中心、といったケースです。
入学後にギャップを感じた学生はSNSでネガティブな口コミを発信し、大学の評判を大きく損なうリスクがあります。
失敗②:ターゲットが広すぎて誰にも刺さらない
「幅広い学生に来てほしい」という思いから、ターゲットを広げすぎて結果的に誰にも刺さらないメッセージになってしまうケースです。
「総合大学として多様な学びを提供」「全ての学生を歓迎」といった抽象的なメッセージでは、学生の心に響きません。むしろ、特定の強みに絞り込んだ方が、その分野に興味がある学生には強く刺さります。
失敗③:一方通行の情報発信で終わっている
Webサイトに情報を掲載しただけ、SNSに投稿しただけで満足してしまい、受験生とのコミュニケーションが取れていないケースです。
コメントへの返信、DMでの個別対応、オンライン相談会の実施など、双方向のコミュニケーションを通じて信頼関係を構築することが重要です。
失敗④:効果測定をせず改善サイクルが回らない
広報施策を実施しただけで満足してしまい、効果測定や改善を行わないケースです。
どの施策が効果的でどれが効果が薄いのか、データで検証しなければ、限られた予算を最適配分できません。PDCAサイクルを回すことが成功の鍵です。
失敗⑤:短期成果を求めすぎて継続できない
広報活動、特にブランディングは中長期的な取り組みです。1年や2年で劇的な効果が出るものではありません。
しかし、「今年度の入学者数を増やす」といった短期目標だけを追ってしまうと、効果が出る前に予算を打ち切ってしまい、投資が無駄になります。
外部からのアドバイスも取り入れた戦略策定
大学の広報活動を内製で行うメリットは、学内事情や特色を熟知したうえで情報発信ができる点にあります。リアルな声や現場感を取り入れやすく、学生や教員の協力が得やすい点もメリットのひとつです。しかし、広報専門の人材が限られていたり、戦略設計や客観的な視点に欠けるというデメリットもあります。
また、「大学の強みを把握する」や「他大学と差別化したコミュニケーションを行う」といった取り組みは実際にやろうとすると難航するケースも多く見られます。たとえば、「大学の強みが曖昧・抽象的すぎて他大学と被ってしまう」や「選んだコミュニケーション手段で十分に認識してもらえない」といったケースです。
そこで有効なのが、PRやマーケティングに精通した外部のコンサルタントや専門会社を活用することです。
第三者的な視点から大学の強みや改善点を分析し、他大学との差別化戦略やメディア露出の強化など、専門性の高い提案が受けられます。SNS運用や動画コンテンツ制作、Web広告など、近年の学生接点におけるトレンドを取り入れる場合には、外部知見を取り入れることでより効果的・効率的な広報施策が打ち出せます。
外部依頼にはコストがかかる点や、大学の価値観や空気感がうまく伝わらない場合もあるため、内製・外注のバランスを見極めることが重要です。たとえば、戦略設計や市場分析などは外部に委ねつつ、日々の情報発信や学生・教職員との連携部分は学内で担うというハイブリッド型の体制が考えられます。
大学広報に必要なのは「バリュープロポジション」

バリュープロポジションとは、日本語で「提案できる価値」という意味合いです。つまり、学生にとっては「入学することで得られる明確な利益」のことを指します。自分の将来が決まる大事な場面に、「何となく良さそう」と理由で進学先を決める学生は少ないでしょう。
提案した大学の「価値」が学生のニーズとマッチしたとき、はじめて「この大学でないとダメだ」という強い動機づけになり、入学希望者を増やすことにつながるのです。
ここでいう大学のバリュープロポジションとは「他校が提供できていないこと」「自校がニーズに合わせてこたえられること」「学生が求めていること」がすべてマッチした状態のことです。
これまでの大学広報で「一番売りにしていたこと」が、学生のニーズからズレていないか、いま一度振り返って再検討してみることも大切です。
大学の広報戦略事例
大学の魅力を少しでも知ってもらおうと、どんなにWebサイトや大学パンフレットで記載しても、情報に気づいてもらえなければ意味がありません。これからは、情報発信に気づいてもらう仕組みづくりが大切です。SNSを使って学生にダイレクトに情報を届ける方法も有効ですが、やはり、はじめに興味を持ってもらわないと、「友だち登録」さえもしてくれず、一定数以上の学生には届かないでしょう。
そこで、まずは社会からの話題性を集め、学生に興味を持ってもらう戦略をとっている大学もあります。積極的に産学連携のプロジェクトを行っている事例を紹介しましょう。
話題性を広報に活かした成功事例
東北芸術工科大学
地元の民間企業と連携した活動に在校生が積極的に参入することで、話題性をつくり大学の「強み」を分かりやすく可視化しています。
- ショッピングモールの社員食堂の壁画制作
- 老舗旅館の一室のリノベーションを担当する
- 地元ブランドの飲料のパッケージデザイン担当
- ブランドと共同で建築パッケージをデザインして製品化
- 地域のお祭りのシンボルマークデザイン・グッズ制作
- 日本酒の商品コンセプトや販売戦略、パッケージデザインまで担当
- 温泉郷と協力してアートプロジェクトを開催
- 地元プロバスケットボールチームのマスコットキャラクターデザイン
このような取り組みを積極的に行うことで、高校生に「大学で何を学べるのか」「どんな分野で活かせるか」ということが具体的に伝わり、卒業後に働くイメージも湧きやすくなります。
大学の認知度を社会全体に浸透させつつ、大学の魅力や強みをうまく伝えている成功事例のひとつです。
近畿大学
「近大マグロ」として社会的に話題になった養殖マグロ研究のイメージを、そのまま広報に活用してブランドイメージを確立したのが近畿大学です。マグロやナマズの画像を大きく配置したグラフィックと、「パチモン」という関西らしいワードを用いたキャッチコピーを採用。この大胆で秀逸な広告は、大学広報ながら新聞やテレビ、広告会社などが主催するさまざまなアワードで賞を受賞し、広告メディア業界からも注目を浴びました。
また、願書請求のオンライン化にあたり「近大へは願書請求しないでください。」という目をひくキャッチコピーで新聞に広告を掲載し、ふたたび話題となりました。あえて気になるキャッチコピーで広告を面白くしたことで、話題を作りつつ、ペーパーレス化にも成功しています。
早稲田大学
早稲田大学は、学生向け広報誌「早稲田ウィークリー」を2016年4月からWebへ移行し、在学生の活躍や学生生活の紹介、教授のコラムなど多様なテーマで発信しています。
特徴的なのは、自校のPRだけでなく社会性のあるニュースも発信している点です。そのため、ニュースサイトやキュレーションサイトで取り上げられる可能性が高くなり、大学のサイトにアクセスする人が増えます。
最終的には、大学自体のファンも増える効果的な流れを実現しています。オウンドメディアで多様な情報を発信することは、大学や専門学校の規模によってメリットの有無が異なるため、規模を踏まえて検討する必要があります。
地方大学の広報成功事例
地方都市に立地するある私立大学は、「地域密着型キャリア教育」を前面に打ち出した広報戦略で成功しました。
地元企業との連携による長期インターンシップ、地域課題解決型プロジェクト、地元就職率の高さをポジショニングメディアとSNSで積極的に発信。
「地元で働きたい学生が選ぶ大学」というポジションを確立した結果、地元高校からの志願者が3年間で2.5倍に増加し、定員充足率も大幅に改善しました。
SNS広報の成功事例
ある女子大学は、Instagramを中心としたSNS広報で若年層の認知度を大幅に向上させました。
在学生をアンバサダーとして起用し、キャンパスライフのリアルな様子を毎日投稿。カフェ風の学食、おしゃれな図書館、サークル活動の様子など、「この大学に通いたい」と思わせるビジュアルコンテンツを発信しました。
その結果、2年間でフォロワー数が5倍に増加し、Instagram経由の資料請求も急増しました。
大学広報の実施ロードマップ
大学広報を実際に導入・強化する際の標準的な流れと、各フェーズにかかる期間を解説します。
Step1:現状分析・課題抽出(1〜2ヶ月)
まず、現在の広報活動の課題を洗い出します。志願者数・認知度の推移分析、競合大学の広報調査、在学生・受験生へのアンケートなどを通じて、自校の強みや弱みを明確化します。
Webサイトのアクセス解析、SNSのエンゲージメント分析、メディア露出状況の確認なども行い、定量的なデータを収集します。
Step2:広報戦略策定(1〜2ヶ月)
分析結果をもとに、ターゲット学生の明確化、バリュープロポジションの策定、広報メッセージの開発を行います。「どんな学生に、何を、どのように伝えるか」という基本戦略を固めます。
年間の広報計画も策定し、各施策のスケジュールと予算配分を決定します。
Step3:施策実施(継続的)
戦略に基づき、Webサイトリニューアル、SNS運用開始、動画制作、プレスリリース配信などの施策を実施します。
短期施策(Web広告、オープンキャンパス)と長期施策(SEO、ブランディング)をバランスよく展開します。
Step4:効果測定・改善(継続的)
定期的にKPIを測定し、PDCAサイクルを回します。月次レポートで効果を可視化し、効果が低い施策は見直し、効果が高い施策には予算を集中させるなど、継続的な最適化を行います。
四半期ごとに戦略の見直しも行い、市場環境の変化に対応します。
大学広報でよくある質問
Q1.大学広報の効果が出るまでどれくらいかかりますか?
施策によって異なります。SNSやWeb広告は1〜3ヶ月程度で効果が出始めますが、SEO対策やブランディングは6ヶ月〜1年程度かかります。
重要なのは、短期施策で当面の成果を出しながら、長期施策でブランドを確立していくバランスです。広報の真の効果は「志願者数の増加」だけでなく、「志願者の質の向上」「入学後の定着率改善」「卒業生の満足度向上」にもあるため、少なくとも2〜3年のスパンで評価する必要があります。
Q2.小規模な私立大学でも広報強化は必要ですか?
はい、むしろ小規模大学こそ広報強化が重要です。
大規模総合大学と同じ土俵で戦うのではなく、特定分野や特定の価値観に特化した広報を行うことで、その分野を求める学生からの強い支持を得ることができます。
「小さいからこそできる丁寧な教育」「地域密着型のキャリアサポート」など、小規模であることをむしろ強みとして打ち出す広報が効果的です。限られた予算でも、デジタル広報を活用すれば費用対効果の高い施策が可能です。
Q3.大学広報で最も重要なポイントは何ですか?
最も重要なのは「バリュープロポジションの明確化」と「一貫性のあるメッセージ発信」です。
学生ニーズがあり、競合が提供できていない、自校ならではの価値を明確にすることが、広報戦略の軸となります。
そして、その価値を全ての広報施策(Webサイト、SNS、パンフレット、イベント)で一貫して伝えることで、ブランドイメージが定着します。
Q4.広報予算はどれくらい必要ですか?
一般的には、学生数1人あたり年間3,000円〜10,000円程度が目安です。
例えば、学生数3,000名の大学であれば、年間900万円〜3,000万円の広報予算となります。ただし、定員割れによる機会損失と比較すれば、十分に回収可能な投資です。
限られた予算でも、優先順位をつけて効果的な施策に集中すれば、十分な成果を得ることができます。デジタル施策を中心に、費用対効果の高い広報を展開しましょう。
Q5.広報とマーケティングの違いは何ですか?
広報(PR)は、メディアや社会全体に対して大学の情報を発信し、認知度やイメージを向上させる活動です。一方、マーケティングは、特定のターゲット(受験生)に対して、入学というアクションを促す活動です。
現代の大学においては、広報とマーケティングの境界は曖昧になっており、両者を統合した戦略が求められます。認知度向上(広報)と志願者獲得(マーケティング)の両方をバランスよく進めることが重要です。
大学がやるべき広報戦略まとめ
大学の広報戦略では、大学の「独自の強み」を分析して明確にし、その強みを学生のニーズに沿った形でいかに魅力的に伝えられるかが重要です。また、戦略を練る際に「バリュープロポジション」を意識することで、気づいていなかったターゲットのニーズ、売りにしていたこと・提供していた価値とニーズとのズレが鮮明になり、アピールできていなかった価値を発見することにもつながっていきます。
「この大学でしか学べない=この大学に入りたい」と思ってもらえるように、バリュープロポジションの考え方に沿って戦略を立ててみてください。
「自校の強みがわからない」「思ったように学生が集まらない」とお悩みのご担当者様、広報戦略・マーケティング戦略で課題を感じている方は、ぜひ弊社までご相談ください。豊富なノウハウと集客実績をもとにサポートさせていただきます。












