SPD(院内物流管理)サービスを徹底比較!

最終更新日:2025年08月05日

医療材料費の高騰や人手不足、属人化した物品管理──「在庫が見えない」「補充が勘頼り」「期限切れで廃棄」といった悩みは多くの医療現場に共通しています。

こうした課題に対応する仕組みとして注目されているのが、SPD(Supply Processing and Distribution)サービスです。物品の調達・在庫管理・補充といった業務を一元化し、必要な物が、必要な時に、必要な量だけ届く仕組みを支えています。

本記事では、病院が抱えている課題ごとに主要なSPD事業者を比較しています。自院に合ったサービス選定の参考にご活用ください。

【課題別に選べる】

SPD(院内物流管理)サービス3選

Recommend

医療材料費がかさんでいて
改善策を探している病院

看護師の業務が滅菌作業
に圧迫されている病院

院内スペースを物品保管
に取られている病院

メディアスソリューション

強み

メディアスソリューションはSPDとともに「メッカル分析」を提供し、消費データをもとに価格と性能のバランスが取れた製品選定を支援。購買の最適化と在庫管理の無駄削減を実現する。

エア・ウォーター・メディエイチ

強み

SPDに加え、滅菌サービスや医療ガス、衛生材料まで幅広く提供。物流だけでなく、院内の清潔・安全管理も含めてトータルで支援できる体制が強み。

鴻池メディカル

強み

鴻池メディカルはSPDと滅菌を一体で提供。器材の回収から洗浄・再供給まで完結でき、院内業務を効率化。全国に整備された専用センターを活用し、安定供給体制も整えている。

日本ステリ

強み

日本ステリは滅菌とSPDを融合させた体制で感染対策と業務効率を両立。院外センターの活用により省スペース化を図り、調達方式や倉庫設置も柔軟に選べる運用設計が強み。

エム・シー・ヘルスケア

強み

エム・シー・ヘルスケアは院外サプライセンターを活用し、院内倉庫を省スペース化。空いたスペースを診療に有効活用でき、分散型ネットワークで災害時の物品供給にも強い。

辻本メディカル

強み

院外SPDに特化し、在庫管理の手間とスペースを削減。預託在庫方式に加え、色付きラベルによる請求漏れ防止など、現場業務を支える実用的な工夫も充実している。

日本ステリ

強み

院外センターにより省スペース化を実現。運用方式や倉庫配置も柔軟に選べるため、病院ごとの運営方針に合わせた最適設計が可能。

目次

SPDサービスの一覧表

会社名 サービスの特徴

DALI

医療材料費、年間400万円削減の実績! 仕入れを縛られないSPDでコスト最適化

  • 年間400万円のコスト削減実績!医療材料費を見える化して削減
  • 探し物・期限切れのムダをなくして「迷わない現場」をつくる
  • 「委託で中身が見えない」を解消!透明性あるSPD委託運用

エム・シー・ヘルスケア

院外センターで省スペース化と災害対応を両立

スズケン

医薬品と医療材料を一括管理

ムトウ

全国対応の物流ネットワークで安定運営に強い

メディアスソリューション

SPD+価格分析ツールで賢い購買を実現

辻本メディカル

院外SPD×預託在庫で病院の負担を最小限に

エア・ウォーター・メディエイチ

物品管理から滅菌サービスまで!広範囲を支えるSPD

ティーエスアルフレッサ

中国地方に特化!地域密着×災害に強いSPD体制

鴻池メディカル

SPDと滅菌を一体化!業務をまるごと効率化

日本ステリ

滅菌×院外SPDで空間を有効活用&選べる導入設計

メディセオ

医薬品に特化!ピッキングから供給まで丸ごと支援

F&S UNI MANAGEMENT

SPDのパイオニア!病院業務を丸ごと支えるトータル支援

キシヤ

九州密着の老舗商社!現場に寄り添うSPDサポート

横スクロールできます
医療材料費、年間400万円削減の実績!
仕入れを縛られないSPDでコスト最適化

DALI

DALI

※画像をクリックすると
公式サイトへ移動します。

引用元: DALI公式HP(https://dali-inc.co.jp/)

DALIの概要

DALI株式会社のSPDサービスは、医療材料や備品の管理を業務委託として担い、病院スタッフの負担を軽減しながら、適正在庫の維持や無駄なコストの削減をサポートしています。

物品の販売も行うSPDサービス事業者が多いなか、DALIは販売を行わず、管理と運用支援に特化どの商品をどこから購入するかは病院側で自由に決定でき、中立的な立場から最適な在庫バランスや調達コストの見直しを支援します。

販売を伴う事業者では、仕入れ都合で特定商品を優先しやすく、在庫の高止まりや価格交渉の難しさが課題になることも。
DALIなら、利害関係に左右されず、調達の自由度を保ちながら、過剰在庫やロスの削減につなげることができます。

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DALIを選ぶべき理由

年間400万円のコスト削減実績!医療材料費を見える化して削減

医療材料費は、見えにくいムダが生じやすい領域です。
診療科ごとに発注ルールや使用傾向が異なるほか、在庫の過剰や使用期限切れによるロスも重なり、年間を通じて病院にとって大きな負担となりがちです。

DALIでは、医療材料コスト削減に特化した専門のコンサルティング部門を設けています。
購入・使用・在庫に関するデータをもとに診療科ごとの傾向を可視化し、定数の最適化や調達コストの見直しを、データに基づいて提案しています。

こうした取り組みにより、200床規模の医療機関で年間約400万円のコスト削減を実現した実績*もあります。(200床規模の病院)
感覚や勘に頼らず、数値で改善効果を示せる点が、経営層にも現場にも高く評価されています。

参照元:DALI株式会社公式HP(https://dali-inc.co.jp/service/spd/)

探し物・期限切れのムダをなくして「迷わない現場」をつくる

DALIでは、エリアマネージャーが月1〜2回の頻度で定期訪問を行い、現場の運用状況を確認しながら改善提案を継続的に実施しています。
棚の整理整頓、使用期限の管理(ラベル貼付)、定数見直し(年3回)など、日々の運用に根ざした細やかな支援を通じて、「どこに何があるかわからない」「期限切れに気づけなかった」といった管理ミスやムダな確認作業を減らし、医療スタッフの負担やストレスを軽減します。

病棟への物品格納や整理の支援も好評で、片付け士の監修による整理整頓の考え方も取り入れながら、必要な物が、必要な時に、すぐ取り出せる状態の維持を支えています。

「委託で中身が見えない」を解消!透明性あるSPD委託運用

DALIでは、単なる作業代行ではなく、仕組みによって質の高いSPD運用を維持できる体制づくりを重視しています。
診療科ごとの使用傾向や在庫データをもとに、定数の最適化や運用ルールの整備を行い、病院スタッフの判断や経験に依存しすぎない環境を構築。 急な異動や担当者の変更があっても、現場の混乱を最小限に抑え、安定した運用が継続できます。
こうした仕組みで支える運用により、病院側の工数や負担を抑えつつ、高い品質を保てる委託体制が実現できます。

DALIの導入事例

SPD外部委託が病院成長の転機に

導入後のDALIさんのマネジメントを拝見して、勉強になることばかりでした。
マスタの管理方法、倉庫のレイアウト、部署への配送や交渉など、「こういうやり方があったのか」「それはそういうやり方の方がよかったのか」と、直営時代でもやり方さえきちんとわかっていれば、できたことがこんなにあったのかと反省しています。
だからこそ、やって良かった。もっと良くなるな。と確信が持てました。

※一部抜粋

引用元:DALI公式HP導入事例公式HP (https://dali-inc.co.jp/service/spd/casestudy/)

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DALIの会社概要

会社名 DALI株式会社
所在地 青森県八戸市沼館1丁目19-4八戸ベストライフビル4階
URL https://dali-inc.co.jp/

エム・シー・ヘルスケア

院外センターで省スペース化と災害対応を両立

エム・シー・ヘルスケアのSPDサービスでは、物品を院内ではなく外部の「院外サプライセンター」に集約して管理・供給する仕組みを採用し、院内倉庫のスペースを減らし、その分の空間を病床や診察室に活用できるようにするなど、限られた資源をより有効に使うことができます。

さらに、こうした分散型の物流ネットワークは、災害が起きた際の供給継続にも役立ちます。物流拠点を複数に分けて備えているため、緊急時でも安定して物品を届ける体制が整っています。

日々の物品管理を効率化するだけでなく、病院の職員が本来業務に集中できるようサポートし、病院全体の経営の健全化にもつながる取り組みを行っています。

エム・シー・ヘルスケアの会社概要

会社名 エム・シー・ヘルスケア株式会社
所在地 東京都港区港南2丁目16番1号 品川イーストワンタワー12階
URL https://mc-healthcare.co.jp/

スズケン

医薬品と医療材料を一括管理

スズケンは、医薬品卸としての長年の実績を活かし、医薬品と医療材料を一体で管理できるSPDサービスを提供しています。単に物品を届けるだけでなく、病院ごとに最適な運用設計から在庫管理、導入支援、現場運用まで、一貫したサポートを行っています。

サービスの中核となるのが、自社開発の在庫管理システム「SSⅡ」です。このシステムは、現場の使いやすさと正確な情報管理を両立しており、在庫数や使用履歴をリアルタイムで把握できます。また、必要に応じてスズケンの専門スタッフが病院内に常駐し、SPD業務の代行にも対応しています。

スズケンの会社概要

会社名 株式会社スズケン
所在地 愛知県名古屋市東区東片端町8番地
URL https://www.suzuken.co.jp/

ムトウ

全国対応の物流ネットワークで安定運営に強い

株式会社ムトウは、医療材料や機器の総合商社としての知見を活かし、全国約300の医療機関にSPDサービスを提供してきた実績を持つ企業です。

同社では、札幌・東京・大阪・九州に自社物流センターを配置し、全国をカバーする供給体制を整えています。この広域ネットワークにより、平常時はもちろん、災害などの非常時にも迅速な供給が可能で、病院の安定運営を支えています。

また、SPDの提供にとどまらず、手術室や中央材料室の業務支援、経営分析のサポートなど、院内の業務全体を見据えた提案力もムトウの強みです。SPDシステムには、現場の声を反映して開発された多機能な自社システム「MASTY」を採用。在庫の見える化、業務の標準化、スタッフの業務負担軽減に貢献しています。

ムトウの会社概要

会社名 株式会社ムトウ
所在地 札幌市北区北11条西4-1-15
URL https://www.wism-mutoh.jp/

メディアスソリューション

SPD+価格分析ツールで賢い購買を実現

メディアスソリューションは、SPDサービスとあわせて医療材料の価格ベンチマーク分析ツール「メッカル分析」を提供している会社です。物流の効率化にとどまらず、データをもとにした「賢い購買」を実現する仕組みを持っている点が特長です。

SPDで収集した消費データを分析し、同じ効果を持つ製品群(同種同効品)の中から価格と性能のバランスが取れた製品を選定できるようになります。病院ごとのニーズに合った調達と、無駄のない在庫管理が可能になります。

また、群馬県太田市に専用のSPDセンターを構えており、関東地域の医療機関に対して安定した物品供給を行える体制も整えています。

メディアスソリューションの会社概要

会社名 メディアスソリューション株式会社
所在地 東京都千代田区有楽町1丁目2-2 東宝日比谷ビル13階
URL https://healthcaresolution.jp/

辻本メディカル

院外SPD×預託在庫で病院の負担を最小限に

辻本メディカルは院外SPDに特化しており、外部倉庫から必要な物品を病院に供給するスタイルを採用しています。病院側に在庫を多く抱えさせず、管理の手間やスペースを抑える設計となっています。
また、預託在庫方式を用いることで、在庫を効率的に運用しつつ、必要な時に必要な分だけ使える環境を整えます。

さらに、保険請求対象の物品には色付きラベルを貼付し、医事課での請求漏れを防ぐ工夫や、医療機器業界の共通データベース(JAHIDマスター)に基づいたクラウド型商品マスターを無償で提供するなど、実務に役立つ細やかなサポートも魅力です。

辻本メディカルの会社概要

会社名 辻本メディカル株式会社
所在地 大阪府守口市南寺方東通6丁目2番1号
URL https://www.tsujimoto-md.jp/

エア・ウォーター・メディエイチ

物品管理から滅菌サービスまで!広範囲を支えるSPD

エア・ウォーター・メディエイチは、SPDを通じて医療機関の物流業務を支えるだけでなく、購買支援や経営コンサルティングまで一体で提供する支援体制が特長です。医療材料や医薬品の在庫管理はもちろん、手術室やカテーテル室といった専門部署の業務まできめ細かく対応します。

また、グループ全体としては、医療ガスや滅菌サービス、衛生材料なども手がけており、医療現場で必要とされる幅広いモノ・コトを一括で支援できる体制を整えています。

病院の物品管理にとどまらず、運営やコスト構造の見直しまで踏み込んだサポートが受けられるため、特に業務が複雑な大規模病院にとっては心強いパートナーとなるでしょう。

エア・ウォーター・メディエイチの会社概要

会社名 エア・ウォーター・メディエイチ株式会社
所在地 東京都品川区西五反田2-12-3
URL http://awmh.co.jp/

ティーエスアルフレッサ

中国地方に特化!地域密着×災害に強いSPD体制

ティーエスアルフレッサは、アルフレッサグループの一員として中国地方を中心に、地域密着型のSPDサービスを展開しています。仕入れから供給、在庫管理まで、病院の物品業務をまとめて支援します。

広島と山口に専用のSPDセンターを構え、安定的でスピーディな供給体制を実現しているほか、アルフレッサグループ全体の物流ネットワークを活用し、災害時のバックアップにも対応。地元医療を支えるインフラとしての役割も担っています。

ティーエスアルフレッサの会社概要

会社名 ティーエスアルフレッサ株式会社
所在地 広島県広島市西区商工センター 一丁目2番19号
URL https://www.ts-alfresa.net/

鴻池メディカル

SPDと滅菌を一体化!業務をまるごと効率化

鴻池メディカルは、大手物流企業「鴻池運輸」を母体とし、物流と医療現場をつなぐ専門サービスを提供しています。中でも特徴的なのが、SPD(診療材料管理)と滅菌サービスを一体化した仕組みです。物品を供給するだけでなく、使用後の器材を回収し、洗浄・滅菌・再供給までを一貫して行える体制を整えています。

この一連の流れを自社インフラで支えるため、全国に物流・滅菌・洗浄の各センターを展開。病院にとっては、複数の業者に依頼する必要がなく、業務を一本化して効率よく管理できるのが大きなメリットです。

また、鴻池メディカルでは自社開発の診療材料管理システムを活用し、正確でスムーズな在庫管理を実現。医療材料データベース「メディエ」とも連携しており、バーコードやGS1コードを活用したトレーサビリティ管理にも対応しています。

鴻池メディカルの会社概要

会社名 鴻池メディカル株式会社
所在地 東京都千代田区有楽町1-6-4 千代田ビル
URL https://www.konoike-medical.co.jp/

日本ステリ

滅菌×院外SPDで空間を有効活用&選べる導入設計

日本ステリは、医療機関向けの滅菌サービスに強みを持つ専門企業です。その中で提供されているSPDサービスは、滅菌と物流を一体で支える仕組みが特長となっており、感染対策と業務効率の両立を目指した提案を行っています。

特に、院外滅菌センターと院外SPDセンターを組み合わせることで、病院内の物品保管スペースを大幅に削減できる点は、医療機関にとって大きなメリットです。浮いたスペースを病床増設や診療機能の拡充にあてるなど、医療提供体制の向上にもつながります。

導入方式は、病院側が物品を調達する「運営業務方式」と、日本ステリが調達まで行う「預託型方式」から選ぶことができ、さらに倉庫の設置場所も「院内型」「院外型」「併用型」など、柔軟にカスタマイズ可能な運用設計が用意されています。

日本ステリの会社概要

会社名 日本ステリ株式会社
所在地 東京都港区赤坂1-8-1 赤坂インターシティAIR
URL https://www.nihonstery.com/

メディセオ

医薬品に特化!ピッキングから供給まで丸ごと支援

メディセオは、医薬品に特化したSPDサービスを提供しています。薬剤の在庫管理や搬送などの業務を受託し、薬剤師が本来の業務に専念できる環境づくりを支援しています。

患者ごとの処方に応じた薬剤のピッキングや各部署への納品業務を、正確かつスピーディに代行することで、病棟業務や服薬指導といった専門的なケアに集中できる時間が生まれます。

物流面では、自社の高機能物流センター「ALC(Area Logistics Center)」を活用し、高い安全性と正確性を兼ね備えた供給体制を構築。SPD業務と連携させることで、病院全体の物品管理を効率的にサポートしています。

メディセオの会社概要

会社名 メディセオ
所在地 東京都中央区京橋三丁目1番1号
URL https://www.mediceo.co.jp/

F&S UNI MANAGEMENT

SPDのパイオニア!病院業務を丸ごと支えるトータル支援

F&S UNI MANAGEMENT(エフエスユニマネジメント)は、日本で初めてSPDを導入したパイオニア企業として知られています。1987年の設立以来、長年にわたり医療機関の院内業務全体を支える支援体制を築いてきました。

同社の特徴は、診療材料や医薬品だけでなく、滅菌器材、ME機器、リネン、ベッド管理、手術支援まで、病院内の物流や設備管理をまるごと支援できる体制にあります。複数業者と契約する必要がなく、業務の標準化と効率化が一度に実現できるのが大きな魅力です。

さらに、近年では自動搬送ロボット「HOSPi」やRFIDといった新しい技術の導入にも力を入れており、人手不足に対応するための省人化・自動化にも積極的です。

F&S UNI MANAGEMENTの会社概要

会社名 株式会社エフエスユニマネジメント
所在地 東京都港区芝浦3-4-1 グランパークタワー23階
URL https://www.fsm.co.jp/

キシヤ

九州密着の老舗商社!現場に寄り添うSPDサポート

キシヤは、創業100年を超える老舗の医療機器商社で、九州地域を中心に病院の物流支援を行ってきた企業です。1996年には、九州でいち早くSPDサービスをスタートし、以来、地域の医療機関と密接に連携しながらサービスを発展させてきました。

また、近年では地元のシステム開発会社と連携し、新たなSPDシステムの開発にも積極的に取り組んでいる点も注目されています。導入後も、地域に根ざしたサポート体制で病院の変化に柔軟に対応し、現場の声に寄り添った運用支援を行っています。

「地元の実情を理解し、長く付き合えるパートナーを選びたい」という病院にとって、キシヤはとても心強い選択肢となるでしょう。

キシヤの会社概要

会社名 株式会社キシヤ
所在地 福岡県福岡市東区松島1丁目41番21号
URL http://www.kishiya.co.jp/

SPDサービスとは?医療現場の物品管理を効率化する仕組み

病院内で医療物品の在庫をチェックするSPD担当スタッフ

医療現場では日々、多くの医薬品や診療材料、消耗品が使用されています。
これらを効率よく管理し、必要なときに必要な場所へ安定して供給するために誕生したのが「SPDサービス」です。物品管理のムダや負担を減らし、医療スタッフが本来の業務に集中できる環境をつくる仕組みとして、近年注目されています。

SPDの仕組みを解説

SPDの流れを示した図(調達→在庫管理→供給→履歴管理)

SPD(Supply Processing and Distribution)とは、医療現場で使われるあらゆる物品の調達から在庫管理、各部署への供給、消費データの管理までを一括して担う物流管理の仕組みです。
従来、各部署ごとに個別に行っていた発注や管理を、SPDシステムなどを活用して一元化することで、過剰在庫や発注ミスなどのリスクを減らせます。

SPDは医療現場の「裏方」をしっかり支えることで、病院経営や医療の質向上に貢献しています。

SPDはどこで使われている?導入が進む施設の特徴とは

SPDサービスは、規模や地域を問わず、さまざまな医療施設で導入が進んでいます。特に、大きな病院や基幹病院では、在庫管理の複雑さや物品の種類・量が多いため、SPDの導入効果が高いと言われています。

また、省人化や業務効率化を重視する中小規模の病院や、スタッフの負担軽減を目指す施設でも活用が広がっています。最近では、介護施設やクリニックなどでもSPDの導入例が増えており、医療現場全体で「物品管理の見える化」と「業務の標準化」を進める動きが加速しています。

施設の規模や課題に合わせて最適なSPD運用を選ぶことが、医療現場の働き方改革や経営安定につながります。

SPDサービス導入の最大メリットは在庫コスト削減!

現代の病院経営において、コスト削減は避けて通れない課題です。材料費や消耗品の管理は、病院の財政に大きな影響を与えます。SPDサービスを導入することで、従来は把握しにくかった院内の在庫を適切に管理し、経営資源のムダを減らすことができます。

ここではSPDによる在庫コスト削減の仕組みとその具体的な効果についてご紹介します。

適正在庫の維持でキャッシュフローを改善

SPDを活用すると、実際の消費データをもとに在庫を管理できるため、無駄な「安心在庫」を減らせます。各部署が独自に過剰な在庫を持つことで起きていた非効率や、どこに何がどれだけあるのか分からないといった不透明さが解消されます。SPDシステムでは、過去の消費データを分析して「定数管理」を行い、必要な分だけを正確に把握できるようになります。

さらに、バーコードやRFIDといった技術を使い、消費実績を正確に記録します。こうした仕組みにより、経験や勘に頼った発注から、データに基づく客観的な発注へと変わります。この結果、在庫を持ちすぎることがなくなり、現金を倉庫に眠らせる必要がなくなります。

長期間動かない「不動在庫」や「長期滞留品」も可視化できるようになり、不要な在庫を減らすことで保管スペースの有効活用や品質劣化リスクの低減にも繋がります。
余った資金を新しい医療機器や人材育成、施設改修など、より価値の高い投資に回せるようになります。

SPD導入による主なメリット 効果
定数管理の導入 過剰在庫の防止・適正在庫の維持
在庫の可視化 不動在庫・滞留品の削減
自動発注システム 人的ミスの防止・業務負荷の軽減

SPDの活用は、物品管理の効率化だけでなく、病院経営の健全化や新たな経営資源の創出にも繋がります。病院の財務体質を強化するための大きな一歩になるでしょう。

購買価格と保管費用の同時ダウン

SPDは在庫量の最適化だけでなく、仕入れ価格や保管コストの削減にも大きな効果をもたらします。

まず、病院全体で物品をまとめて発注することで、メーカーや卸業者に対して有利な価格交渉が可能となり、購買単価を引き下げられます。規模の大きな一括購入のメリットを生かし、ベンダーや購買部門は価格の見直しや適正化も進めやすくなります。

さらに、「院外型SPD」を導入すれば、院内に大量の在庫スペースを設ける必要がなくなり、従来倉庫として使っていた場所を診療スペースやリハビリ室など、より価値の高い用途へと転用できます。これは、単なる経費削減にとどまらず、病院の収益機会拡大にも繋がるポイントです。

コスト削減項目 SPD導入による効果
購買価格 一括購買・交渉力向上で単価ダウン
保管費用 院外倉庫活用で院内スペースを有効化
廃棄コスト 有効期限管理の自動化でロス削減

物流の「見える化」で医療スタッフの生産性向上

院内の物品管理が煩雑だと、医療スタッフは探し物や補充作業に多くの時間を取られてしまいます。SPDを導入すると、物流情報が「見える化」され、誰でも必要な物品をすぐに見つけられる環境が実現します。こうした変化は、日々の業務効率だけでなく、医療の質向上にも直結します。

リアルタイム残量把握が探す時間をゼロに

SPDでは、院内のすべての物品保管場所に「棚番」を割り振り、どこに何があるのかシステムで一元管理します。このロケーション管理により、「必要な物品がどこにあるか分からない」といった混乱を解消し、スタッフは経験に頼らずスムーズに作業が進められます。

バーコードやRFID技術も活用されており、物品を使うたびにスキャンするだけで在庫数がリアルタイムで反映されます。従来、数時間かかっていた棚卸し作業も、RFIDを利用すれば数分で完了する事例もあり、作業効率が格段に上がります。

物品管理の負担が減り、スタッフは本来の業務である患者ケアにより多くの時間を使えるようになります。また、「いつもの場所に、必ず物品がある」という安心感が生まれ、職場のストレス軽減にも繋がります。

  • 棚番による保管場所の標準化
  • バーコード・RFID連携で在庫管理を自動化
  • 棚卸しや補充作業の効率化

こうした取り組みは、病院全体の生産性向上だけでなく、スタッフ満足度や定着率アップにも貢献します。

医療スタッフが本来業務に専念できる環境へ

SPD導入で、補充や発注といったノンコア業務が専門スタッフに任されるため、看護師や薬剤師などの医療従事者は本来の専門業務に集中できる環境が整います。院内の物品補充ルートやスケジュールが統一され、納入業者がバラバラに訪れる混乱も防げます。

また、SPDシステムと電子カルテや医事会計システムとの連携が進むことで、使用された医療材料や薬品の情報が自動的に記録され、保険請求漏れのリスクを減らすことができます。

ベンダーによっては、保険請求対象品にカラーラベルを付けて現場での識別を簡単にするなど、細かな工夫もみられます。

SPD導入による業務効率化の例 具体的なメリット
物品補充・発注業務の委託 看護師・薬剤師が専門業務に専念
データ連携による記録の自動化 保険請求漏れや入力ミスの防止

SPDは現場スタッフと経営層、両方にメリットがある仕組みです。導入を検討される際は、医療の質やスタッフ満足度の観点からも効果を見込めるでしょう。

SPDの運用タイプを比較!自院に合った最適モデルとは

SPDにはいくつかの運用パターンがあり、病院の規模や方針に応じて最適な形を選ぶことが重要です。主なタイプは「院内完結型」「院外一括委託型」「ハイブリッド型」の3つです。それぞれの特徴と選び方のポイントをまとめます。

評価基準 院内完結型 院外一括委託型 ハイブリッド型
コスト 初期投資大/運営費は抑制 初期投資小/委託費用が継続 投資・費用は中間
統制・柔軟性 最大(自院主導) 最小(ベンダー依存) 中間(購買権限維持)
院内リソース 大(専任人材が必要) 小(省人化が可能) 中(連携管理が必要)
外部依存度
適した病院像 大規模・基幹病院 中小規模病院 中規模病院

院内完結型:統制しやすさと人件費増のトレードオフ

このモデルでは病院が自分たちでSPDシステムを導入し、スタッフを配置して物流管理を行います。最大の特徴は「自院主導」で、物品選定や調達ルール、価格交渉も自分たちでコントロールできます。長期的な人材育成や独自の業務改善も進めやすいでしょう。

その反面、専任スタッフの雇用・教育やシステム導入にかかるコストが大きくなりやすく、担当者の異動などで業務が属人化しやすい点にも注意が必要です。資金力や人材に余裕のある大規模病院に向いていると言えます。

院外一括委託型:省人化と外部依存のバランス

院外一括委託型は、SPD関連の業務をほぼすべて外部ベンダーに任せる形です。病院側の人員や手間を最小限に抑えられ、専門ベンダーのノウハウやシステムを最大限に活用できます。導入までのスピードも早く、省人化を優先したい中小規模病院に最適です。

その一方で、外部依存が高くなります。ベンダーのサービス品質やBCP(事業継続計画)体制がしっかりしているかを見極める必要があります。災害や緊急時にも安定供給ができるかなど、慎重に選ぶことが欠かせません。

ハイブリッド型:購買権限を残しつつ物流を委託

ハイブリッド型は、購買などの戦略的な業務は自院で行い、日々の物流業務だけを外部に委託する方式です。コスト管理や物品選定など重要なポイントは病院主導のまま、煩雑な作業は外部に任せられるため、双方のメリットを取り入れた形となります。

成功のためには「どこまでを自院で、どこからをベンダーで担当するか」を明確に決めて契約することが大切です。購買機能に強みを持ちながら、物流業務の効率化を目指す病院におすすめです。

信頼できるSPDサービス選び方

SPDを効果的に導入し、長期的に運用していくためには、ベンダー選びがとても重要です。
価格だけで選んでしまうと、システム連携の失敗や供給の中断など、思わぬトラブルに直面するリスクもあります。ここでは、信頼できるベンダーを選ぶために確認しておきたい4つのポイントを紹介します。

チェック項目 具体的な確認ポイント
経営貢献度 コスト削減・効率化の数値実績があるか
法令順守 医療法・薬機法に沿った管理体制か
IT連携 電子カルテ・HISなど院内システムと連携できるか
BCP対応 緊急時の供給体制が整っているか

経営指標への貢献度を数値で示せるか

まず、SPDベンダーが自院の経営にどれほどの効果をもたらせるのか、具体的な数値で説明できるかをチェックしましょう。「コスト削減できます」といった抽象的な表現だけでなく、「在庫回転率が何%改善するのか」「キャッシュフローがどのくらい良くなるのか」など、過去の導入事例に基づくデータや成果を確認することが大切です。

具体的な経営改善の効果が示されているベンダーを選ぶことで、導入後のギャップを防ぐことができるでしょう。

  • 過去の導入事例を数値で提示できるか
  • コスト削減・業務効率化の実績があるか

医療法・薬機法への準拠体制が万全か

病院に物品を納入・管理するうえで、法令順守は欠かせません。SPDベンダーには、医療法や薬機法といった関連法規をきちんと理解し、コンプライアンス体制が整っていることが求められます。

特定保守管理医療機器や向精神薬の管理方法、リコール発生時の対応手順なども具体的に確認しましょう。品質管理がしっかりしているかも大きなチェックポイントです。

院内ITシステムとの連携実績が豊富か

SPDシステムは単独で使うものではなく、電子カルテや病院情報システム(HIS)、医事会計システムなど、院内の各種ITシステムと連携することで最大限の効果を発揮します。

主要な電子カルテメーカーやHISベンダーとスムーズに連携できるか、過去の導入実績が豊富かどうかを確認してください。実際にどのメーカー・どの病院で導入されたか、リファレンス(紹介・照会)をもらうのも良い方法です。

BCP・緊急時対応力を評価

SPDを外部委託する場合、自然災害や感染症流行、サイバー攻撃など、さまざまなリスクにどう対応するかも大切な観点です。ベンダーに事業継続計画(BCP)があるか、複数の物流拠点や代替輸送ルートが確保されているかなど、緊急時対応の体制をしっかり確認しましょう。

緊急時でも安定して物品供給ができることは、病院運営の生命線です。

SPDサービスのまとめ

SPDサービスの導入は、単なる物品管理の効率化にとどまらず、在庫コスト削減や医療スタッフの業務改善、さらには経営の安定化に大きく貢献します。院内の物流を「見える化」し、最新のDXツールと組み合わせることで、病院全体の運営レベルを一段と引き上げることが可能です。

信頼できるベンダーの選定と段階的な導入、スタッフ教育の徹底が、導入成功のポイントです。自院の規模や課題に合った最適な形でSPDを活用し、より効率的で安全な病院運営を目指してみてはいかがでしょうか。