ブランディングのフレームワーク10選と段階別の実践手順
最終更新日:2026年09月24日
ブランディングに使うフレームワークには、3C分析、SWOT分析、STP分析などがあります。市場や顧客、自社の強みを整理し、誰にどのような価値を伝えるかを考えるための道具です。
種類が多いため、どれから使うべきか迷うこともあるでしょう。また、分析表を埋めたものの、ターゲットや訴求を決められず、施策に進めない場合もあります。そのときは、項目を増やす前に、何を判断するための分析なのか、記入した内容に根拠があるかを確認する必要があります。
すべてのフレームワークを順番に使う必要はありません。自社で決めたいことに合わせて手法を選び、分析結果から何を変えるかまで考えることが大切です。顧客への聞き取りや商談記録など、すでにある情報も活用できます。
この記事では、ブランディングに役立つ10種類のフレームワークを、目的別に紹介します。使い分けと進め方に加え、分析した内容をターゲットや訴求、Webサイト・営業資料の改善につなげる考え方も解説します。
ブランディングにフレームワークを活用するメリット

ブランディングでは、自社が伝えたい特徴だけでなく、顧客が何を求め、競合とどのように比較しているかを考える必要があります。フレームワークを使うと、検討する項目を整理し、判断に必要な情報の不足や、社内での認識の違いを見つけやすくなります。
漠然とした強みを、具体的な判断材料に分けられる
「対応が早い」「技術力がある」「柔軟に相談できる」といった強みも、その言葉だけでは他社との違いが伝わらない場合があります。顧客が何を評価しているのか、自社がどのような体制で対応しているのかまで掘り下げることが必要です。
例えば「対応が早い」なら、初回回答までの時間、仕様変更への対応範囲、担当者が判断できる権限などに分けて確認できます。そのうえで、顧客が重視する場面や、競合の対応との違いを照らし合わせます。
自社の特徴が、どの顧客の、どのような困り事に役立つかを整理できることが、フレームワークを使うメリットです。分析した内容は、Webサイトや営業資料で強みを説明する際の材料になります。
事実と仮説を分け、社内で判断の前提を共有できる
営業、開発、経営など、立場によって自社の強みや顧客への理解が異なることがあります。同じ項目に沿って情報を持ち寄ると、意見が分かれている点や、その背景を確認しやすくなります。
ただし、表に記入しただけで内容が正しいと証明されるわけではありません。顧客から直接聞いたこと、受注記録で確認できること、担当者の推測を区別して扱いましょう。
根拠のある情報と、これから確かめる仮説を分けて残すことで、次に必要な調査や聞き取りが明確になります。担当者が変わった際にも、結論だけでなく、どの情報から判断したかを引き継ぎやすくなります。
相手ごとに必要な情報と、改善する接点を整理できる
BtoBの購買では、利用する現場担当者、管理する責任者、購買部門など、複数の人が検討に関わることがあります。使いやすさ、運用負担、費用、導入条件など、重視する点は立場や案件によって異なります。
顧客の課題や検討過程を整理するフレームワークを使えば、誰が何を確かめたいのか、どの情報が不足しているのかを検討できます。役職だけで関心を決めつけず、商談での質問や実際の選定過程を手がかりにしましょう。
整理した結果、事例の説明を補う、サービスの対応範囲を明記する、社内検討に使える資料を用意するなど、具体的な改善候補が見えてきます。新しい施策を増やす前に、現在のサイトや資料で対応できることがないかを確認します。
フレームワークを選ぶ際は、まず「何を決めたいのか」を一つ定めます。次の使い分け表を参考に、判断に必要な手法から取り入れてみてください。
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ブランディングのフレームワークを目的別に選ぶ4つの段階

ブランディングに使うフレームワークは、環境を把握する、自社の強みや評価を確認する、対象顧客と立ち位置を決める、伝え方や顧客との接点を整える、という4つの段階で整理できます。
これは検討内容を把握するための区分です。すべての段階を最初からやり直すのではなく、現在の判断に不足している情報から確認します。分析を進めるなかで疑問が出たら、前の段階に戻って確かめることもあります。
| 解きたい問い | 使うフレームワーク | 確認する情報 | 分析後に決めること |
|---|---|---|---|
| 市場や顧客の状況はどう変わっているか | PEST分析・3C分析・SWOT分析 | 事業に関係する環境変化、顧客の選定理由、競合の動向、自社の現状 | 優先して検討する機会や課題、追加で調べる事項 |
| 自社の何が評価され、どの強みを活かせるか | VRIO分析・ブランドエクイティの整理 | 保有する資源・能力、提供体制、顧客の認知や評価 | 活かす強み、その根拠、維持・改善が必要な点 |
| 誰に、どのような価値で選ばれたいか | STP分析・ポジショニングマップ | 顧客層ごとのニーズ、市場性、競合との比較軸、自社の対応力 | 優先する対象顧客と、伝える価値の仮説 |
| 価値をどう伝え、どの接点を整えるか | ブランドアイデンティティプリズム・バリュープロポジションキャンバス・カスタマージャーニーマップ | ブランドの特徴、顧客の課題や期待、検討・利用時の行動と疑問 | メッセージや掲載情報、対応・導線の改善候補 |
段階1:市場・顧客・競合の状況を把握する
顧客の要望が変わってきた、新しい競合が現れたなど、事業を取り巻く変化を確認したい場合は、環境分析から始めます。
PEST分析は社会や技術などの大きな変化を、3C分析は顧客・競合・自社の関係を整理する際に使います。SWOT分析では、外部の機会・脅威と、内部の強み・弱みを分けて整理します。
すでに市場調査や商談記録があるなら、それを活用できます。情報を集める範囲は、自社が判断したい事業や商品・サービスに合わせて決めましょう。
段階2:自社の強みと、顧客からの評価を確認する
社内で考える強みが顧客の選定理由になっているか、継続して提供できる体制があるかを確認します。VRIO分析は、保有する資源や能力を競争優位の観点から検討する際に役立ちます。
一方、ブランドエクイティの整理では、認知や品質への評価、ブランドから連想されること、継続して選ばれる傾向などを確認します。自社に何があるかと、相手にどう受け取られているかを照らし合わせる視点です。
顧客への聞き取りや選定理由の記録があれば、それらを手がかりにします。評価を裏付ける情報が不足している部分は、未確認のまま区別しておきましょう。
段階3:対象顧客と、伝えたい立ち位置を決める
誰に向けて強みを伝えるかが曖昧な場合は、STP分析で顧客層を整理し、優先する対象を検討します。ニーズの強さだけでなく、市場性や競合、自社が対応できる範囲も確認します。
ポジショニングマップは、顧客が比較する際の軸を使って、自社と競合の位置関係を考える方法です。図の空白部分に需要があるとは限らないため、顧客情報と照らして判断します。
この段階では、「どのような状況の顧客に、何を提供する会社・商品として認識されたいか」をまとめます。まだ根拠が十分でなければ、検証する仮説として扱います。
段階4:伝える内容と、顧客との接点を整える
対象顧客や提供価値が見えてきたら、表現や対応に落とし込みます。ブランドアイデンティティプリズムはブランドの特徴や関係性を、バリュープロポジションキャンバスは顧客の課題・期待と提供価値の対応を整理する際に使います。
カスタマージャーニーマップでは、検討や利用の過程で生じる疑問と接点を確認します。そこから、サービスページに説明を補う、事例を見つけやすくする、問い合わせ後の案内を改善するなど、具体的な対応を選びます。
分析の結果は、次に行う判断や改善とセットで残しましょう。変更後の顧客の反応も確認し、想定と異なる点があれば、情報や仮説を見直します。
ブランディングの環境分析に使うフレームワーク3選

市場や顧客の状況を確認する際には、PEST分析、3C分析、SWOT分析が役立ちます。それぞれ見る範囲が異なるため、知りたいことに合わせて選び、必要に応じて結果を組み合わせます。
PEST分析:事業に関係する外部環境の変化を整理する
PEST分析は、政治(Politics)、経済(Economy)、社会(Society)、技術(Technology)の4つの視点から、事業を取り巻く大きな変化を整理するフレームワークです。
例えば製造業向けのサービスなら、制度の変更、設備投資の動向、人手不足、技術の普及などが検討対象になります。ただし、世の中の変化を広く集めるだけでは、自社の判断に使いにくくなります。
その変化が、対象顧客の仕事や選定条件にどう影響するかまで考えましょう。情報源と確認時点を記録し、すでに起きている変化と、今後の見通しを分けて扱います。
分析後は、自社への影響が大きい変化を選び、顧客への聞き取りや競合調査で確かめる項目を決めます。例えば、人手不足が背景にあっても、顧客が求める対応が設備の自動化なのか、作業の外注なのかは、追加の確認が必要です。
3C分析:顧客・競合・自社の関係を整理する
3C分析は、Customer(顧客・市場)、Competitor(競合)、Company(自社)の3つの視点で状況を整理するフレームワークです。自社の特徴を、顧客のニーズや競合の提供内容と照らし合わせるために使います。
| 視点 | 確認すること | 情報の手がかり |
|---|---|---|
| 顧客・市場 | 困っていること、選定基準、購入・導入の障壁 | 顧客への聞き取り、商談での質問、受注・失注理由、市場資料 |
| 競合 | 対象顧客、提供内容、訴求、対応条件 | 公式サイト、公開事例、製品資料、顧客から聞いた比較内容 |
| 自社 | 商品・技術・対応力、実績、提供できる範囲や制約 | 社内資料、対応記録、現場への聞き取り、顧客の評価 |
3つの情報を並べたら、顧客が重視することに、自社と競合がどう応えているかを比較します。競合のサイトに記載がないだけでは、対応できないとは判断できないため、確認できた範囲を明確にしておきます。
例えば、顧客が導入後の支援を重視し、自社にも支援実績があるなら、その内容は訴求候補になります。競合の支援範囲や、自社が継続して対応できる条件も確認したうえで、何を強みとして伝えるかを検討します。
「自社にある特徴」から「顧客が選ぶ理由」へつなげることが、ブランディングで3C分析を使う際のポイントです。
SWOT分析:内部・外部の情報から戦略候補を考える
SWOT分析は、内部要因であるStrength(強み)・Weakness(弱み)と、外部要因であるOpportunity(機会)・Threat(脅威)を整理するフレームワークです。PEST分析や3C分析で集めた情報も活用できます。
強みや弱みは、対象顧客や競合との関係によって変わります。例えば、個別対応の多さは、細かな仕様調整を求める顧客には強みになる一方、標準品を低価格で大量に求める顧客には評価されにくい場合があります。
整理した要素を組み合わせて戦略候補を考える方法が、クロスSWOT分析です。強みを活かせる機会、機会を捉えるために補う弱み、脅威への備えなどを検討します。
例えば、技術者が仕様の相談に対応できる体制を持ち、顧客側では専門人材の不足が課題になっているとします。この場合、仕様検討の支援を訴求する案が考えられます。ただし、実際の需要や対応工数、採算を確認してから優先度を決めます。
また、見つかった弱みが情報発信だけで解決するとは限りません。対応体制や品質、納期に課題がある場合は、サービスや業務の改善も検討対象です。
分析後は、戦略候補ごとに根拠・未確認事項・次の行動を残すようにしましょう。すぐに表現を変えられるものと、調査や体制整備が必要なものを分けることで、実行する順序を決めやすくなります。
ブランディングで自社の強みと評価を整理するフレームワーク2選

自社の強みを検討する際は、保有する資源や能力と、顧客から受けている評価の両方を確認します。社内で強みだと考えていても、顧客には伝わっていない場合があります。反対に、社内では当たり前の対応が、選ばれる理由になっていることもあります。
VRIO分析:強みを継続して提供できるかを確認する
VRIO分析は、自社の経営資源や能力を、価値・希少性・模倣困難性・組織の4つの視点から検討するフレームワークです。技術、ノウハウ、顧客との関係、対応体制などが、競争上どのような意味を持つかを考える際に使います。
| 視点 | 確認する問い | 確認する情報の例 |
|---|---|---|
| 価値(Value) | 市場の機会を活かしたり、脅威に対応したりするうえで役立つか | 顧客の選定理由、課題解決への貢献、収益や業務効率との関係 |
| 希少性(Rarity) | 同じ資源や能力を持つ競合が限られているか | 競合の提供内容、保有技術、対応範囲、実績 |
| 模倣困難性(Imitability) | 競合が同じ状態を実現するために、時間や費用がかかるか | 経験の蓄積、独自の工程、取引関係、組織内のノウハウ |
| 組織(Organization) | その資源や能力を活かす体制が整っているか | 担当者の配置、情報共有、業務手順、権限や評価の仕組み |
例えば、特定分野に詳しい担当者がいても、その人に相談が集中して対応できないなら、提供体制に課題があるかもしれません。知見を共有し、必要な人員や手順を整えることで、強みを安定して提供しやすくなります。
強みとして発信する内容と、実際に提供できる体制が合っているかを確認することが、ブランディングでは重要です。分析で不足が見つかった場合は、表現の変更だけでなく、体制や運用の改善も検討します。
なお、希少性が低いからといって、顧客への説明が不要になるわけではありません。品質管理やサポートなど、取引先として候補に入るために欠かせない条件もあります。競合との差を示す強みと、安心して選ぶための基本条件を分けて整理しましょう。
ブランドエクイティの整理:顧客の中に蓄積された評価を確認する
ブランドエクイティとは、ブランド名やイメージに結び付いた資産価値を指します。単一の分析シートの名称ではなく、認知や連想、品質への評価、ロイヤルティなどからブランドの価値を捉える考え方です。
ここでは、現在のブランドがどのように受け取られているかを確認するため、次の観点で整理します。
| 整理する観点 | 確認する問い | 情報の手がかり |
|---|---|---|
| 認知・想起 | 対象顧客に知られているか。どのような場面で候補として思い出されるか | 認知経路の聞き取り、アンケート、社名検索からの流入 |
| ブランドからの連想 | どのような会社・商品だと認識されているか | 商談時の発言、紹介するときの言葉、顧客インタビュー |
| 品質や対応への評価 | どの点を評価し、どの点に不安や不満を持っているか | 利用後の聞き取り、選定理由、問い合わせ・対応記録 |
| 継続・推奨の意向 | 継続して選びたい理由や、他者へ勧めたい理由があるか | 継続・紹介の状況、再購入理由、離反理由 |
例えば、自社では商品の性能を強調していても、顧客は「導入時の説明が分かりやすかった」と評価しているかもしれません。その場合、導入支援の内容も、伝える価値の候補になります。
ただし、顧客の一人が述べた評価を、すべての顧客に共通する強みとはみなせません。どのような条件の顧客から得た意見かを記録し、ほかの顧客や商談でも同じ傾向があるかを確認します。
また、継続率が高くても、切り替えに手間がかかることなどが理由の場合があります。数値だけで好意や信頼を判断せず、選び続けている理由と合わせて見ましょう。
自社が伝えたい特徴と、顧客が実際に評価していることの違いは、発信やサービスを見直す手がかりになります。評価されている内容は根拠とともに伝え、不満や期待とのずれがあれば改善対象として整理します。
ブランディングのターゲットと立ち位置を決めるフレームワーク2選
市場や自社の強みを整理したら、誰にどのような価値を伝えるかを検討します。STP分析は対象顧客と目指す立ち位置を考えるために、ポジショニングマップは顧客の比較軸に沿って自社と競合の関係を整理するために使います。
STP分析:優先する顧客層と、伝える価値を決める
STP分析は、Segmentation(市場細分化)、Targeting(対象市場の選定)、Positioning(立ち位置の設計)の3つから考えるフレームワークです。
市場細分化では、顧客を共通するニーズや条件で分けます。BtoBなら業種や企業規模に加え、抱えている課題、用途、導入体制、選定条件なども手がかりになります。同じ業種でも、新規導入と既存設備の更新では、求める情報や支援が異なる場合があります。
次に、それぞれの顧客層について、需要の大きさや継続性、競合の状況、自社の対応力、採算、接点を持つ方法などを確認し、優先する対象を選びます。細かく分類すること自体を目的にせず、対応や伝え方を変える意味があるかを考えましょう。
対象を絞る際は、顧客に必要とされることと、自社が無理なく提供し続けられることの両方を確認します。競合が少なくても需要が乏しい場合や、対応工数に見合わない場合は、優先する市場として適切とは限りません。
ポジショニングでは、選んだ顧客層に、どのような選択肢として認識されたいかを考えます。「技術力が高い」などの広い表現から一歩進め、どの課題や用途で、何を根拠に価値を提供できるかを整理します。
検討した内容は、「どのような状況の顧客に」「何を提供し」「どの事実で裏付けるか」という形でまとめると、発信内容へつなげやすくなります。根拠が不足する部分は、顧客への聞き取りや提供体制の確認を通じて検証しましょう。
ポジショニングマップ:顧客の比較軸で自社と競合を整理する
ポジショニングマップは、価格や対応範囲などの比較軸を使い、自社と競合の位置関係を図にする方法です。一般的には2つの軸で整理しますが、1枚ですべての特徴を表せるわけではありません。
まず、商談でよく聞かれる質問や選定理由から、顧客が重視する軸を選びます。導入までの期間、個別対応の範囲、運用支援の内容など、対象顧客の判断に関係する項目を検討しましょう。
次に、同じ条件で比較できる情報を集め、自社と競合を配置します。価格なら含まれるサービスの範囲、対応速度なら計測する起点と終点など、比較の定義を揃える必要があります。確認できない項目は、推測で埋めずに残します。
マップの空白は、需要のある市場だと証明された場所ではありません。顧客が求めているか、自社が対応できるか、事業として成り立つかを確認して、狙う位置を判断します。
また、公開されている仕様やサービス内容で作った図と、顧客の認識に基づく図は、読み取れることが異なります。顧客がどう認識しているかを可視化するパーセプションマップでは、アンケートなどの顧客情報を用います。社内の見立てを、そのまま顧客の評価として扱わないようにしましょう。
自社が伝えたい立ち位置と、顧客の認識にずれがあれば、その理由を確認します。説明の不足なのか、実際の提供内容が期待に届いていないのかによって、必要な対応は変わります。
分析後は、優先する顧客層、伝える価値、その根拠を整理し、サービスページや営業資料のどこを見直すかを決めます。位置関係を示す図の作成までで終えず、具体的な改善につなげましょう。
関連記事:【図解付き】ポジショニングマップの作り方と縦軸・横軸の決め方を解説
ブランディングの価値と顧客体験を整理するフレームワーク3選
対象顧客と伝える価値が見えてきたら、ブランドの表現や顧客との接点を整えます。ここでは、ブランドの特徴を整理する方法、顧客の課題と提供価値を照らし合わせる方法、検討・利用の過程を確認する方法を紹介します。
ブランドアイデンティティプリズム:ブランドの特徴を6つの側面から整理する
ブランドアイデンティティプリズムは、ブランドの特徴を、物理的特徴、パーソナリティ、文化、関係性、顧客像、自己イメージの6つの側面から整理するフレームワークです。
| 側面 | 整理する内容 |
|---|---|
| 物理的特徴 | 商品やロゴなど、ブランドを識別する具体的な特徴 |
| パーソナリティ | 言葉遣いや表現から感じられる、ブランドの人柄に当たる特徴 |
| 文化 | ブランドの行動や判断を支える価値観 |
| 関係性 | 顧客とどのように関わるブランドなのか |
| 顧客像 | ブランドの表現に映し出される、典型的な利用者のイメージ |
| 自己イメージ | 顧客がそのブランドを利用することで、自分自身をどう捉えるか |
例えば、専門性を大切にするブランドでも、難しい用語を多用する表現と、判断の根拠を分かりやすく説明する表現では、受け取られる印象が変わります。目指す関係性や価値観と、実際の言葉遣い・対応が合っているかを確認します。
顧客像は、実際の購入者全員の属性を表すものではありません。また、顧客が抱く自己イメージは、企業側の希望だけでは判断できないため、顧客の発言なども手がかりにします。
6つの項目を整えるだけでなく、表現と実際の行動に矛盾がないかを確かめることが大切です。整理した内容は、文章の調子、写真の選び方、営業やサポートでの対応方針などに活用できます。
バリュープロポジションキャンバス:顧客の課題と提供価値を照らし合わせる
バリュープロポジションキャンバスは、顧客が取り組みたいこと、困っていること、得たい成果と、自社の商品・サービスが提供する価値を対応させるフレームワークです。
顧客側では、Jobs(片付けたい仕事や達成したいこと)、Pains(負担・不安・障害)、Gains(期待する成果や便益)を整理します。自社側では、提供する商品・サービス、それが負担をどう減らし、期待する成果にどう役立つかを考えます。
例えば、業務システムの導入担当者には、機能を比較するだけでなく、社内に導入理由を説明する仕事もあります。運用負担や費用対効果を説明しにくいことが障害なら、必要なのは機能の追加ではなく、検討に使える情報や支援かもしれません。
整理する際は、対象となる顧客層や立場を決めます。異なる顧客の課題を1枚に詰め込むと、誰にとって重要な価値なのかが曖昧になります。BtoBでは、利用する人と承認する人の関心を分けて確認することも有効です。
顧客の課題と自社の機能を結び付けた段階では、提供価値の仮説です。顧客がその課題を重視しているか、現在の提供内容で解決できるかを、聞き取りや利用状況から確かめましょう。
確認できた内容は、商品説明や事例の切り口に反映します。自社の商品・サービスで対応できない課題が見つかった場合は、説明を強めるだけでなく、提供内容や対象顧客の見直しも検討します。
カスタマージャーニーマップ:顧客の行動と接点を整理する
カスタマージャーニーマップは、顧客が商品・サービスを知り、検討し、購入・利用する過程を整理するフレームワークです。段階ごとの行動、疑問、不安、接点などを並べ、情報や対応が不足している場面を探します。
顧客が必ず同じ順序で進むとは限りません。情報収集と比較を行き来したり、複数の担当者が別々に調べたりする場合もあります。自社にとって都合のよい流れを描くのではなく、商談記録や顧客への聞き取りをもとに整理しましょう。
| 整理する項目 | 確認する問い |
|---|---|
| 行動・関与者 | 誰が、何をきっかけに、どのような行動を取るか |
| 疑問・不安 | 次の判断に進むために、何を確かめたいか |
| 接点 | 検索、サイト、資料、営業、店舗など、どこで情報を得るか |
| 現在の情報・対応 | 必要な説明があり、案内や対応がつながっているか |
| 改善候補 | 何を補足・変更すると判断や利用を助けられるか |
例えば、問い合わせ前に対応範囲が分からないなら、サービスページへの説明追加が候補になります。商談後に社内共有が進まないなら、比較条件や導入手順をまとめた資料が必要かを確認します。
すべての接点に新しいコンテンツを用意する必要はありません。既存の情報へ進みやすくする、案内の順序を変える、担当部署間で説明を揃えるといった改善も考えられます。
顧客が判断や利用に困っている接点から、優先して改善するためにマップを使いましょう。変更後の反応を確認し、想定していた行動や課題と異なる場合は、マップも更新します。
ブランディングのフレームワークを少ない工数で実践する手順と記入例
フレームワークを実務で使う際は、最初に判断したい課題を決めます。既存の商談記録や顧客の声を確認し、不足する情報を補いながら、必要な分析だけを進めましょう。
1.困っている場面と、今回決めたいことを絞る
「ブランドを強くしたい」という目的を、現在の具体的な場面に置き換えます。例えば、対応範囲に合わない問い合わせが多い、商談で強みを説明しきれない、顧客が評価する点とサイトの訴求が異なる、といった状況です。
そのうえで、「優先する顧客層を決める」「サービスページで伝える内容を見直す」など、今回の分析で決めたいことを明確にします。
ただし、症状だけで原因や使う手法を決めないようにしましょう。価格を理由に失注していても、予算が合わないのか、提供範囲の違いが伝わっていないのか、比較対象が異なるのかによって、必要な確認は変わります。
2.既存の情報を集め、事実と仮説を分ける
受注・失注の記録、問い合わせ内容、顧客への聞き取り、営業資料、競合の公開情報などを確認します。すでにある情報で判断できることと、追加で確かめることを分けましょう。
誰から、いつ、どのような条件で得た情報かを残すと、分析の前提を確認しやすくなります。少数の顧客の意見を市場全体の傾向とみなしたり、競合サイトに記載がないことを未対応と判断したりしないように注意します。
情報が不足している項目は、無理に埋める必要はありません。判断への影響が大きいものから、顧客や社内の関係者に確認します。
3.必要なフレームワークで、判断の選択肢を整理する
顧客の選定理由と自社・競合の関係を整理したいなら3C分析、対象顧客を選びたいならSTP分析、情報が不足する接点を探したいならカスタマージャーニーマップなど、問いに合う方法を使います。
複数の手法を使う場合も、同じ情報を一から書き直す必要はありません。例えば、3C分析で確認した顧客ニーズを、STP分析で対象市場を検討する際の根拠として活用できます。
BtoBで対象企業を具体化する際は、業種や規模だけでなく、課題、導入体制、対応条件、採算なども整理します。こうした適合する企業像は、ICP(理想の顧客プロファイル)と呼ばれます。既存の優良顧客を参考にしつつ、今後届けたい企業にも同じ条件が当てはまるかを確認しましょう。
4.分析結果を、実行する改善に落とし込む
以下は、導入支援を提供する架空のBtoB企業を想定した記入例です。実際の調査結果や成果を示すものではありません。
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 今回決めたいこと | サービスページで、導入支援について何を説明するか |
| 確認できた事実 | 商談記録に、導入後の教育や運用支援についての質問がある。現在のページには、その対応範囲が記載されていない |
| 考えられる仮説 | 検討者が、自社でどこまで運用できるかを判断するための情報が不足している可能性がある |
| 追加で確かめること | 質問した顧客の状況、支援内容が選定に与えた影響、自社が継続して提供できる範囲、競合の提供内容 |
| 使うフレームワーク | 3C分析で顧客の要望と提供内容を照合し、カスタマージャーニーマップで情報が必要になる場面を確認する |
| 確認後に行う改善 | サービスページに支援範囲・条件・導入後の流れを追加し、営業資料の説明も揃える |
| 改善後に確認すること | 問い合わせや商談での質問内容、支援範囲への理解、対応条件に合う相談かどうか |
この例では、新しい媒体を立ち上げる前に、既存ページの説明を補うことが改善候補になります。調査の結果、情報不足ではなく提供体制に課題があると分かれば、先に支援内容や運用を見直します。
分析の結論は、実行する内容・担当者・確認する時期まで決めて残すことが大切です。資料の完成を区切りにせず、実際の変更と、その後の確認につなげましょう。
5.顧客の反応を確認し、必要な部分だけ見直す
改善後は、閲覧状況に加え、問い合わせ内容や商談での質問、顧客の評価などを確認します。件数が少ない場合は、短期間の率の変動だけで判断せず、個別の反応も見ます。
結果が想定と異なる場合は、対象顧客、課題の捉え方、提供価値、伝える接点のどこにずれがあるかを確認します。毎回すべての分析表を作り直すのではなく、判断に関係する情報を更新しましょう。
確認する時期は、商談や利用の期間、施策の規模に合わせて決めます。市場や提供内容に変化があった場合も、分析の前提を見直す機会になります。
分析した情報はあるものの、優先する顧客や訴求を決めきれない場合は、第三者と根拠を照らし合わせる方法もあります。キャククルを運営するZenken株式会社では、顧客・競合・自社の強みを踏まえ、ポジショニングや集客の方向性をご相談いただけます。
ブランディングのフレームワークで得た分析を集客戦略につなげる

フレームワークで情報を整理したら、優先する顧客、伝える価値、その根拠を確認し、具体的な施策を選びます。現在のWebサイトや営業資料で説明が不足しているなら、既存の情報を補うことから始められます。
分析後も方針が決まらない場合は、顧客情報が足りないのか、複数の選択肢を比較する基準がないのか、実行する体制に課題があるのかを確認しましょう。迷っている理由によって、次に必要な対応は変わります。
顧客・競合・自社の情報から、優先する訴求を整理する

社内で強みの候補が挙がっていても、どの顧客にとって重要かが分からなければ、伝える内容を絞りにくくなります。顧客の選定理由や競合の提供内容、自社の実績・対応体制を照らし合わせて検討します。
キャククルを運営するZenken株式会社では、こうした情報を踏まえ、どの顧客に、どのような価値で選ばれたいかを整理するところから、マーケティングの方向性をご相談いただけます。
分析表が完成していなくても、商談でよく聞かれる質問や、既存顧客に評価されている点、競合との比較で説明に困ることなどが、検討の手がかりになります。
現在の接点を確認し、必要な施策を選ぶ

伝える価値が定まったら、対象顧客がどこで情報を集め、何を確かめているかを確認します。サービスページ、導入事例、営業資料、問い合わせ後の案内などで、必要な情報が揃っているかを見直します。
新しい接点が必要な場合には、広告やメディアなどの活用を検討します。ポジショニングメディアもその選択肢の一つで、特定の市場や課題について、比較検討に必要な情報を届ける方法です。分析を行ったからといって、必ずメディアの新設が必要になるわけではありません。
顧客が判断するために不足している情報と、現在の施策で改善できる範囲を確認したうえで、取り組む順序を決めることが大切です。具体的な支援範囲は、現在の施策や課題、ご希望を伺ったうえで確認します。
「分析表は作ったが、ターゲットや訴求を決めきれない」「自社の強みをサイトでどう伝えるか迷っている」「分析結果から、優先する集客施策を決めたい」といった場合は、現在整理できていることと、お困りの点をお聞かせください。
比較メディアの活用を検討する場合は、BtoB(法人)・製造業向け!Webメディアの記事広告サイトや比較広告サイトを徹底解説も参考になります。











