大学の生き残り戦略に必要な分析と対策

大学の生き残り戦略に必要な分析と対策

近年少子化が進む一方で、大学数は増加し、ますます競争が激化していくことは明らかです。
そんな状況のなかでも安定した大学運営を目指すなら、受験生に選ばれる大学であることが必須です。
ここでは、これからの大学の生き残り戦略を紹介します。

結論:大学の強みを明確にし、時代の変化に適応した戦略を

少子化の進行と教育のデジタル化により、大学を取り巻く環境は急速に変化しています。従来のやり方では、名門校以外の大学は定員の確保さえ厳しくなる時代です。

大学が生き残りを図るためには、「なぜ自校で学ぶべきか」を明確にし、ターゲットとなる学生にしっかりと伝える戦略が欠かせません。この記事では、大学の生き残り戦略に必要な分析と対策を、2025年最新のトレンドを交えて解説します。

大学経営の現状:2025年の厳しい環境

大学の現状・懸念点

2025年現在、全国には790校を超える大学があり、その4分の3は私立大学が占めています。特に地方の私立大学は経営に深刻な課題を抱える学校も少なくありません

私立大学が生き残りに苦戦する主な原因には、以下のような理由が挙げられます。

18歳人口は減少が続く

2019年には117万人だった18歳の人口も、2032年には100万人を下回り、2040年には88万人にまで減少すると予想されています。(※1)

大学は限られた学生を取り合う形となり、学生に対してしっかりと大学の専門性や環境などの強みを印象付けることが重要です。その戦略がないままでは、認知されない、または認知されても選ばれないといった状況に陥りやすくなります。

【重要】18歳人口は2025年以降も減少が続き、2040年には88万人にまで減少すると予想されています。限られた学生を取り合う環境下で、大学の強みを明確に伝える戦略が不可欠です。

※1 参照元:文部科学省 | 「地域社会の現状・課題と将来予測の共有について」より大学等進学などに伴う人口動態の変化

教育のデジタル化が加速

コロナ禍を経て、オンライン授業が定着化しました。2025年現在、ハイブリッド型(対面とオンラインの併用)の授業は標準化しています。高額な学費を払って大学に通い、授業を受けるという従来の価値観が問われています

科学技術が進歩した今、世界各国の高度な講義もオンラインによって簡単に受講が可能です。現地まで行かなくても、学費を安く抑えてレベルの高い海外大学の教育が受けられる時代になっています。

競合の拡大:国内だけでなく海外大学とも競合

教育のデジタル化により、日本国内の大学だけでなく海外の大学も競合となりつつあります。同時通訳が可能となった今、言語の壁はなくなり、AI技術の進歩によって費用対効果の高い学習システムが構築されました。

オンライン型の大学が普及することにより、これからは世界トップクラスの大学も競合になります。価格やアクセシビリティではなく、「学ぶ価値」で勝負しなければ生き残れない時代です。

AI・DXへの対応が必須に

2025年以降、AI(人工知能)を活用した教育が急速に普及しています。AIによる個別化された学習支援、自動評価、カリキュラム最適化など、教育の質と効率を大きく向上させる技術が次々と登場しています。

大学も、AI・DX(デジタルトランスフォーメーション)への対応が必須となっています。これに対応できなければ、学生が求める「先進的な学びの場」を提供できず、競合に後れをとることになります。

生涯学習・社会人学生の需要が増加

少子化による若年層の減少に対し、生涯学習や社会人学生の需要は増加しています。リスキリング(再学習)の重要性が叫ばれる中、キャリアアップのために大学で学び直す社会人が急増しています。

この層をターゲットに含めることで、若年層だけに依存しない安定的な学生獲得が可能になります。社会人学生に対応したカリキュラム、夜間・週末授業、オンライン完結のプログラムなど、柔軟な学びの提供が求められています。

大学の生き残り戦略が重要な理由と特徴

大学の生き残り戦略は、単なる学生募集ではありません。大学の存続と成長を左右する経営戦略そのものです。その重要性と特徴を以下に整理します。

大学ブランドが選学を左右する

学生が大学を選ぶ際、偏差値や立地だけでなく、大学のブランドイメージが大きく影響します。「この大学で学ぶことで、自分にどのような価値がもたらされるか」という期待が、選学の決め手になります。

  • 就職・進学に対するサポートの充実度
  • 卒業生のキャリア実績
  • 研究・教育の質と評価
  • キャンパスライフの充実度

これらを統合した大学ブランドを構築し、ターゲットとなる学生に効果的に伝えることが不可欠です。

DX推進とAI活用が大学の競争力を決める

2025年以降、DX推進とAI活用は大学の競争力を左右する重要な要素です。以下の取り組みが求められています。

  • オンライン授業の質の向上(双方向性、インタラクティブ性の確保)
  • AIによる個別化された学習支援システムの導入
  • データ分析による教育の質と学生満足度の向上
  • キャンパスのスマート化(IoT、自動化)

これらに対応することで、学生が求める「最新の学びの場」を提供でき、競合との差別化を図れます。

リスキリング対応が新たな市場機会

技術革新と産業構造の変化により、リスキリング(再学習)の需要が急増しています。社会人がキャリアアップのために大学で学び直す動きは加速し、これが大学にとって新たな市場機会となります。

  • データサイエンス・AI・デジタルマーケティングなどの新規学部
  • 社会人向けの短期プログラム・認定制度
  • 企業との連携による実践的なプログラム
  • 学び直しを支援する奨学金制度

社会人学生に対応した柔軟なプログラムを提供することで、若年層だけに依存しない安定的な学生獲得が可能になります。

大学の生き残り戦略:分析方法

効果的な生き残り戦略を立てるためには、まず現状を正しく分析することが不可欠です。以下の分析方法を活用しましょう。

SWOT分析

SWOT分析は、自大学の強み(Strengths)・弱み(Weaknesses)と、外部環境の機会(Opportunities)・脅威(Threats)を整理するフレームワークです。

  • 強み:他大学にはない独自の教育プログラム、高い就職率、充実したキャンパス施設、地域との連携など
  • 弱み:立地の不便さ、知名度の低さ、予算の制約、教員の不足など
  • 機会:リスキリング需要の増加、AI・DX対応教育の需要、社会人学生の増加、地域企業との連携機会など
  • 脅威:少子化の進行、競合大学の増加、オンライン教育の普及、海外大学の参入など

SWOT分析を行うことで、自大学がどのような強みを持っているか、どのような機会を活用できるかを明確にできます。

3C分析

3C分析は、Customer(顧客)・Competitor(競合)・Company(自社)の3つの視点から分析を行うフレームワークです。

  • Customer(学生・保護者):どのような学生がターゲットか、どんなニーズや期待を持っているか
  • Competitor(競合大学):どの大学が競合か、どのような強みを持っているか、どのような戦略をとっているか
  • Company(自大学):自大学の強み・弱みは何か、どのようなリソースを持っているか

3C分析を行うことで、ターゲット学生が求める価値を提供できているか、競合とどのように差別化できるかを明確にできます。

PEST分析

PEST分析は、Politics(政治)・Economy(経済)・Society(社会)・Technology(技術)の4つの視点から外部環境を分析するフレームワークです。

  • Politics(政治):教育政策の変化、政府の大学支援政策、文部科学省の方針など
  • Economy(経済):景気動向、家計の教育費負担、企業の人材需要、大学の経営状況など
  • Society(社会):少子化の進行、リスキリングの重要性、社会人学生の増加、学生の価値観の変化など
  • Technology(技術):AI・DXの進展、オンライン教育の普及、教育技術の革新など

PEST分析を行うことで、外部環境の変化にどのように対応すべきか、どのような機会を活用できるかを明確にできます。

【実践】大学生き残り戦略を成功させるための7つのステップ

大学生き残り戦略を成功させるためには、以下の7つのステップが有効です。

ステップ1:ターゲット学生の選定とペルソナ設定

ターゲットとなる学生を明確にし、ペルソナを設定します。単に「18歳の高校生」ではなく、より具体的にイメージすることが重要です。

  • 年齢・性別:主に高校3年生、男性・女性の比率など
  • 志望動機:就職・進学、資格取得、スキルアップ、キャリアチェンジなど
  • 興味・関心:学部・専攻、キャンパスライフ、部活動、地域との連携など
  • 懸念点:学費、就職、キャンパスの立地、授業の質など

ターゲット学生が「どのような大学を求めているか」を明確にすることで、効果的なメッセージを届けることができます

ステップ2:SWOT分析・3C分析で自大学の立ち位置を明確化

SWOT分析・3C分析を行い、自大学の強み・弱みと外部環境の機会・脅威を整理します。

  • 自大学の強み:他大学にはない独自の教育プログラム、高い就職率、充実したキャンパス施設、地域との連携など
  • 自大学の弱み:立地の不便さ、知名度の低さ、予算の制約、教員の不足など
  • 機会:リスキリング需要の増加、AI・DX対応教育の需要、社会人学生の増加、地域企業との連携機会など
  • 脅威:少子化の進行、競合大学の増加、オンライン教育の普及、海外大学の参入など

分析結果に基づいて、自大学がどのような強みを持っているか、どのような機会を活用できるかを明確にします。

ステップ3:ブランドポジショニングと独自価値提案(UVP)の策定

ブランドポジショニングを確立し、独自価値提案(UVP)を策定します。「なぜ自大学で学ぶべきか」を明確にし、競合他社との差別化ポイントを定義します。

  • ブランドポジショニング:「地域で最も就職実績の高い大学」「社会人学生のリスキリングに最適な大学」「AI・DX教育の最先端を行く大学」など
  • 独自価値提案(UVP):「4年間で実践的なスキルを身につけ、高い就職率を実現」「社会人学生が仕事を続けながらスキルアップできる」「最新の技術を学び、時代をリードする人材を育成」など

ブランドポジショニングとUVPを明確にすることで、ターゲット学生に「なぜ自大学を選ぶべきか」を効果的に伝えることができます

ステップ4:教育プログラムとカリキュラムの刷新

時代の変化に対応した教育プログラムとカリキュラムを刷新します。

  • AI・DX対応教育:データサイエンス、AI活用、デジタルマーケティングなどの新規学部・学科
  • リスキリング対応:社会人向けの短期プログラム・認定制度
  • 実践的なプログラム:企業との連携によるインターンシップ、プロジェクト型学習
  • 柔軟な学びの提供:夜間・週末授業、オンライン完結のプログラム

教育プログラムとカリキュラムを刷新することで、ターゲット学生が求める「最新の学びの場」を提供できます

ステップ5:デジタルマーケティング施策の実施

デジタルマーケティング施策を実施し、ターゲット学生に効果的にアプローチします。

  • オウンドメディア運用:大学の強みや特徴、キャンパスライフ、就職・進学の実績などを発信
  • SEO対策:大学の検索ワード(「大学 就職率」「社会人 大学」など)で上位表示を目指す
  • SNS活用:Instagram、TikTokなどで学生のリアルな声を発信
  • ウェブ広告:検索連動型広告、ディスプレイ広告でターゲット学生にリーチ

デジタルマーケティング施策を実施することで、ターゲット学生に自大学の魅力を効果的に伝えることができます

ステップ6:オフラインイベントとの連携

オフラインイベントとデジタル施策を連携させ、より効果的なアプローチを行います。

  • オープンキャンパス:リアルなキャンパス体験を提供し、学生に大学の雰囲気を体感させる
  • 進学相談会:ターゲット学生に直接アプローチし、個別の相談に対応
  • 高校訪問:高校に直接訪問し、大学の魅力を伝える

オフラインイベントとデジタル施策を連携させることで、より効果的なアプローチが可能になります

ステップ7:効果測定と改善

施策の効果を測定し、継続的に改善します。

  • アクセス解析:ウェブサイトのアクセス数、滞在時間、コンバージョン率を分析
  • アンケート調査:学生へのアンケート調査を行い、満足度や改善点を把握
  • 就職率・進学率:就職率・進学率の推移を分析し、教育プログラムの効果を測定

効果測定と改善を繰り返すことで、より効果的な生き残り戦略を構築できます

まとめ:大学の強みを言語化し、継続的な「信頼構築」を意識

短期的な学生数だけでなく、自大学の強みやノウハウを明確に言語化して伝えることが大学生き残り戦略の本質です。SWOT分析・3C分析・PEST分析を活用し、時代の変化に適応した戦略を策定しましょう。

大学生き残り戦略は「従来のやり方」を捨て、「新しい価値」を創造することが決め手です。社内外のリソースを賢く使い、次の一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

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