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院内物流管理(SPD)システムを徹底比較!

最終更新日:2025年07月18日

「在庫が足りない」「期限切れが見つかった」「看護師が備品探しに追われている」
こうした院内物流にまつわる問題は、日々の悩みのタネとなっているのではないでしょうか。

本来、医療スタッフは患者ケアに集中すべき存在です。しかし、医療材料の発注、棚卸、補充作業などに時間と手間が取られてしまう現状は、医療の質にも直結する重要な課題です。

そこで、注目されているのが「院内物流システム(SPDシステム)」です。この記事では、各社の院内物流システムの特徴を比較してご紹介します。

目次

院内物流管理(SPD)システムの一覧表

会社名 サービスの特徴

Medilia

簡単に導入できて現場にすぐ定着!属人化しない管理体制を構築したいなら

  • 誰でも使えてすぐ定着!人手が少なくても在庫管理が回る
  • 定着する「仕組み」までつくる!プロが支える運用の土台
  • ムダな在庫コストを削減し経営を支える物品管理へ

スズケン

システムと人材を組み合わせたアウトソーシング型SPD

Medical Stream

使った物品を自動で記録し入力作業を削減

Medyus3

その場で読み取り登録!在庫と請求を一括更新

MASTY

全国の拠点から安定供給!アウトソーシング型のSPD

JoyPla®

インターネット経由で導入も運用もかんたん

ゼロサプライ

複数病院の在庫を一画面で見える化

東亜システム

請求漏れを自動チェックし、収入の取りこぼしを防ぐ

Mr. SPD

登録はカードを集めてスキャンするだけ

Mediboard

在庫・発注・契約書をひとつの画面で管理

横スクロールできます
簡単に導入できて現場にすぐ定着!
属人化しない管理体制を構築したいなら

Medilia

Medilia

※画像をクリックすると
公式サイトへ移動します。

引用元: Medilia公式HP(https://www.hosnet-21.co.jp/medilia.php)

Mediliaの概要

Medilia(メディリア)は、「人に依存しがち」「手間がかかる」「ミスが起きやすい」といった物品管理の課題を解消する、医療機関向けの院内物流管理システムです。

特長は、物品を使ったときに専用ラベルを台紙に貼るだけという、シンプルな運用にあります。あとはハンディ端末で読み取るだけで情報が記録され、発注データもワンクリックで作成可能。担当者が変わっても業務品質を保てるようになり、手順のばらつきが減っていきます

記録されたデータはシステム上で一元管理され、在庫チェックや発注表の作成にかかる作業が大きく軽減されます。適正在庫を保ちやすくなることで、期限切れの廃棄や欠品リスクが減り資材ロスや無駄な支出の抑制にもつながります。

Mediliaでは、導入そのものではなく、現場に運用が根づくことを重視しています。導入初期には経験豊富なスタッフが常駐し、現場の課題を確認しながら運用設計を支援。初めての導入でも、スムーズに現場へ定着できるよう伴走しています。

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Mediliaを選ぶべき理由

誰でも使えてすぐ定着!人手が少なくても在庫管理が回る

Mediliaは、誰でも使いやすく、現場にスムーズに定着する院内物流管理システムです。紙やExcelに頼っていた管理が、ラベル貼付と簡単な操作だけで完了し、導入直後から作業負担を軽減できます。

導入施設では、「人手不足でも回るようになった」「定時退勤が増えた」といった声もあり、無理なく根づくことで、業務の安定化や人件費の抑制にもつながっています。

こうした使いやすさは、SPD業務を熟知した会社だからこその設計にあります。作業順に沿ったボタン配置や、重要情報を見やすく表示するアラート機能など、ストレスなく運用できる工夫が随所に活かされています。

定着する「仕組み」までつくる!プロが支える運用の土台

経験豊富なスタッフが現場に入り、実際の業務内容を把握したうえで最適な運用方法を提案できるのも、Mediliaならではの特長です。
システムの導入支援にとどまらず、倉庫レイアウトの見直しやPCの作業環境の整備、院内物流の流れやルールの改善など、運用経験がないと気づきにくい細やかな視点でのサポートも行っています。
こうしたMediliaだからこそ可能な支援が、動線や作業手順のムダをなくし、業務の効率化や人員配置の最適化につながります。

また、この取り組みが業務の標準化にもつながり、「誰がやっても同じようにできる」状態が整います。定着後はルールに沿って運用するだけで業務が滞りなく進み、人手不足のリスク軽減や在庫管理の安定化といった日々の課題にも対応しやすくなります。さらに、担当者の退職や不在といった人員変動にも強い体制を築ける点も、大きなメリットです。

ムダな在庫コストを削減し経営を支える物品管理へ

Mediliaは、医療機関の物品管理においてありがちな「在庫の持ちすぎ」や「期限切れによる廃棄」を防ぐために、部署ごとの適正在庫数の設定や、期限・ロットごとのきめ細かな管理が可能です。

また、蓄積されたデータをもとにした帳票出力や分析機能も充実しており、属人的な判断に頼らない計画的な在庫運用が可能になります。

さらに、導入時の負担が少ないのもMediliaの特長です。多くのシステムでは、商品マスタを自作するか購入するのが当たり前ですが、Mediliaは追加料金なしでマスタを提供しています。登録作業の手間がかからず、面倒な準備なしでスムーズに導入をスタートできます。

こうした一連の仕組みで、コスト削減に直結する物品管理を実現しています。

Mediliaの導入事例

属人化を解消!ミスも大幅減少

病院規模:200床

Mediliaを導入したことで、発注時における目視での確認が不要となり、専門的な知識がない担当者でも作業を代行できるようになりました。
従来は特定の担当者しか在庫状況を把握しておらず、業務の属人化が課題となっておりましたが、自動発注機能により注文ミスが大幅に減少しました。
業務の標準化が進み、補完体制も整ったことで、どの担当者が対応してもスムーズな在庫管理を実現することができました。

引用元:Medilia公式HP (https://www.hosnet-21.co.jp/medilia.php)

効率化で「定時で帰れる」が現実に

病院規模:100床

Medilia導入により、診療現場における手書きでの発注業務は大幅に削減され、管理担当者の業務負担も軽減されました。これに伴い、定時で業務を終えることが可能となりました。

また、帳票機能を活用することで、月次の購買管理や部署別在庫の計上業務も大幅に効率化されました。システム化によりデータの蓄積と二次利用が可能となり、業務全体の最適化と効率化に大きく貢献しています。

スタッフにも好評!現場にやさしい運用体制に

病院規模:100床

当院では、部署スタッフが倉庫から材料を持ち帰る際、ノートに持ち帰る材料を記入してもらっていました。その後、その情報をAccessで作成した在庫管理システムに入力して管理していたのですが、管理を担当している職員の負担が大きく、悩んでいたところ、Mediliaを紹介していただきました。

Mediliaを導入することで、在庫管理や発注にかかる時間が大幅に短縮され、材料を取りに来るスタッフもノートに書く代わりにシールを貼るだけで済むようになり、大変喜ばれています。

引用元:Medilia公式HP (https://www.hosnet-21.co.jp/medilia.php)

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Mediliaの会社概要

会社名 株式会社ホスネット・ジャパン
所在地 岡山市北区今1-3-19
URL https://www.hosnet-21.co.jp/

スズケン

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システムと人材を組み合わせたアウトソーシング型SPD

スズケンのSPDサービスは、在庫管理システムと専任スタッフによる運用支援を組み合わせたアウトソーシング型の院内物流サービスです。SPD担当者が院内を調査し、在庫補充や品質管理、実績集計などの業務を代行。病院職員の業務負担を軽減し、本来の業務へ集中できるよう支援します。

また、独自の在庫適正化エンジンで適正在庫数を自動算出し、欠品防止とコスト削減を両立。災害時の緊急供給体制や手術室・購買代行など幅広い支援が可能です。

スズケンの会社概要

会社名 株式会社スズケン
所在地 愛知県名古屋市東区東片端町8番地
URL https://www.suzuken.co.jp/

Medical Stream

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使った物品を自動で記録し入力作業を削減

Medical Stream(メディカルストリーム)は、病院向けにサン・システムが提供する院内物流管理システムです。

ICタグを用いた物品の追跡や、AIを使った文字の読み取り技術などの新しい技術を取り入れているのが、大きな特徴です。

また、中小規模の病院でも導入しやすいように月額プランを用意しており、シンプルな運用から複雑なシステム連携まで柔軟に対応できる点も魅力です。

Medical Streamの導入事例

RFID導入でバーコード回収作業を大幅削減

病院規模:約750床(国立の大学病院)

これまでは物流センターにおいて回収したバーコードを読み取る作業が必要でしたが、RFIDを活用したシステムにより、業務負担の著しい軽減が実現出来ています。

今後は読み取り手法を見直す事で、更に業務負担が軽減出来ると考えています。

例えば、RFIDタグを収集しなくても診療現場の消費時に、その場でアンテナにかざす、または(センサー付きの)ゴミ箱に捨てるなどの方法により、日々の動作の中で材料の消費記録がリアルタイムに取得出来るという事を期待しています。

引用元:株式会社サン・システム公式HP (https://www.sunsystemcorp.com/results/?id=1606199762-163637)

Medical Streamの会社概要

会社名 株式会社サン・システム
所在地 新潟県長岡市東蔵王2-6-36
URL https://www.sunsystemcorp.com/

Medyus3

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その場で読み取り登録!在庫と請求を一括更新

Medyus3は、病院内の医薬品や医療材料、検査試薬などの物流を一括で管理できるシステムです。
電子カルテや調剤支援システムと連携し、発注・在庫・消費といった業務を効率化します。

現場では専用のスマート端末(小型の携帯機器)を使うことで、バーコードの読み取りによる物品の検品や棚卸、請求が簡単に行えます。パソコンが近くになくてもその場で作業でき、病院全体の業務負担やコストの軽減につながります。

Medyus3の会社概要

会社名 株式会社メディアス
所在地 石川県金沢市鞍月5丁目181 番地 AUBEビル 6 階
URL https://www.medyus.co.jp/

MASTY

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全国の拠点から安定供給!アウトソーシング型のSPD

株式会社ムトウでは、物品の在庫管理システム「MASTY」と人手による運用支援を組み合わせた、アウトソーシング型の物流サービスを行っています。購買手続きや物品の補充だけでなく、手術に使う道具の準備や、機器の貸出・返却、点検記録までを一括してサポートしています。

また、札幌・東京・大阪・九州の4つの物流拠点から一括購買・供給を行う体制を整えており、災害時にも安定した物資供給が可能なことから、病院のBCP(事業継続計画)対策としても有効です。

MASTYの会社概要

会社名 株式会社ムトウ
所在地 東京都台東区入谷1-19-2
URL https://www.wism-mutoh.jp/

JoyPla®

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インターネット経由で導入も運用もかんたん

JoyPla(ジョイプラ)は、スパイラル株式会社が開発した、中小規模病院向けのクラウド型SPDシステムです。バーコードをスキャンするだけで、医療材料の受発注・在庫・ロット・使用期限を一括管理し、部署別の請求額を自動集計して卸業者へまとめて発注できます。

さらに「グループ施設管理」機能により、複数病院の在庫状況を可視化できるため、過剰在庫・欠品・請求漏れを防止しながら、業務負担とコストを削減可能です。病院と卸業者間での欠品や見積情報もリアルタイムに共有でき、棚卸・発注業務の大幅な効率化につながります。

JoyPla®の会社概要

会社名 スパイラル株式会社
所在地 東京都港区赤坂 2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル
URL https://www.spiral-platform.co.jp/

ゼロサプライ

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複数病院の在庫を一画面で見える化

ゼロサプライは、ゼロシステム株式会社が提供する、医療機関向けのクラウド型SPD(院内物流管理)システムです。

診療材料・医薬品・消耗品・日用品をバーコードやハンディ端末で一元管理し、各科請求や巡回補充型の運用(ラウンド運用)、物品使用をバーコードで記録できるSPDカードなど、現場ごとの運用スタイルに柔軟に対応しています。

在庫の適正化や供給をスムーズにするとともに、複数施設での統合購買や、統計レポート機能による経営分析・コスト削減を支援するなど、経営に役立つ機能も備えています。

ゼロサプライの導入事例

全4施設で在庫・薬価管理を一元化

病院規模:全4施設

当院では、全4施設において発注、入荷、払出、棚卸等様々な場面でZeroSupplyを活用しています。
物品マスタメンテでは、MEDISや厚生省のデータを取込むことができ、薬品や医療材料の登録において有用な情報を簡単に登録できます。

薬価改定等にも1クリックで対応でき、医療機関向けのシステムならではの強みだと感じます。
データも様々なパターンで出力でき、データ分析に大きく役立っています。

また、当方の細かい要望にも柔軟かつ迅速に対応していただき大変助かっています。

引用元:ゼロシステム株式会社公式HP (https://zerosystem.jp/case/17)

ゼロサプライの会社概要

会社名 ゼロシステム株式会社
所在地 熊本県熊本市西区春日3丁目15番60号 JR熊本白川ビル6F
URL https://zerosystem.jp/

東亜システム

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請求漏れを自動チェックし、収入の取りこぼしを防ぐ

東亜システムのSPDシステムは、電子カルテや医事システムの開発実績を持つ企業が提供する院内物流管理システムです。
保険請求情報と消費材料情報を突合するコスト管理統計機能に優れ、未請求や過剰請求といった収益ロスの防止に役立ちます。

小規模病院でも導入しやすいよう、最低限の機能からスタートし、必要に応じて段階的に拡張できる構成となっています。特に、既存PCや小型サーバで構築できる点が中小規模病院に好評です。

東亜システムの会社概要

会社名 東亜システム株式会社
所在地 愛知県長久手市野田農405番地
URL https://toasystemkk.co.jp/

Mr. SPD

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登録はカードを集めてスキャンするだけ

Mr.SPDは、物品の保管棚に設置した「定数カード」を使って在庫を管理するSPDシステムです。物品を使ったらカードを抜き取り、まとめてスキャンするだけで消費登録が完了します。キーボードやマウスの操作は最低限にとどめており、短時間かつ少ない手順で、ミスの少ない消費登録を行うことができます。

また、画面の使いやすさにも力を入れており、マウス移動距離を最小化する配置や項目の色分け等、現場スタッフがストレスなく使える配慮がなされています。

Mr. SPDの会社概要

会社名 システムアーツ株式会社
所在地 札幌市東区苗穂町12丁目1-1
URL https://www.sys-arts.net/

Mediboard

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在庫・発注・契約書をひとつの画面で管理

Mediboardは、医療機関や介護施設向けのバックオフィス業務を一元管理できるクラウド型プラットフォームです。
医療材料・医薬品・消耗品などの購買から在庫管理、電子稟議や契約管理まで幅広くカバーし、業務の効率化と情報の可視化を実現します。

部署ごとの発注申請から承認・発注書作成までを数クリックで完了でき、在庫数が下がると自動で購入申請を行う機能も備えています。
[蓄積データを活用した分析や帳票出力にも対応し、経営改善にも役立つシステムです。

Mediboardの会社概要

会社名 株式会社サザンウィッシュ
所在地 東京都中央区日本橋室町 3-4-7日本橋室町プラザビル 7階
URL https://www.southernwish.com/

院内物流管理システム(SPDシステム)とは?

SPDとは?供給・加工・分配を管理する仕組み

病院の物品管理を一元化するSPDの流れを示した図解

SPDはSupply(供給)、Processing(加工)、Distribution(分配)の頭文字をとった略語です。その名の通り、医薬品や診療材料、手術器械から事務用品まで、あらゆる物品の調達、在庫管理、各部署への供給を一元的に管理することを目指します。

SPDの目的は、院内の物品管理を最適化し、病院経営の強さや柔軟性を高めることにあります。コンピューターシステムを活用することで、複雑で多くの作業が必要な物流業務を効率的に進めることができるようになります。

なぜSPDが広まったのか?導入の歴史と普及の現状

1990年代初頭、中央材料室の滅菌業務や物品供給を外部業者が担う形から導入が始まりました。特に2000年代以降は、医療材料費の削減や看護師の業務負担軽減を目的に、国公立病院や中〜大規模の民間病院を中心に普及が加速しました。

2020年代に入ると、働き方改革や医療安全の強化、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進の文脈でも注目され、SPD導入は業務改善の中核施策として位置付けられています。現在では病院の約半数以上がSPDを何らかの形で導入*しており、特に大規模病院では、SPDなしには物品管理が成り立たないケースも増えています。

*参照元:独立行政法人福祉医療機構 | 2020年度(令和2年度)病院における医薬品・医療材料・医療消耗器具備品 の購入に関するアンケート結果について (https://www.wam.go.jp/hp/wp-content/uploads/210310_No014.pdf)

院内物流管理システムでできること

SPDの考え方を実現するために、実際の現場では院内物流管理(SPD)システムが使われています。
システムを活用することで、従来の手作業中心だった物品管理が、データに基づく正確で効率的な運用へと進化しています。

在庫・消費のリアルタイム管理

院内物流管理システムを使うと、院内のどこにどれだけの在庫があるのかがリアルタイムで把握できるようになります。
従来の物品管理では、定期的な棚卸しによって在庫状況を確認していましたが、この方法では在庫の動きをリアルタイムに追うことはできませんでした。

しかし、システム上で在庫情報を登録・管理することで、各部署での消費ペースも自動的に記録され、在庫が一定数を下回ったタイミングで自動的に発注がかかるなど、人手を介さずに安定した物品供給が可能になります。

このような仕組みによって、欠品のリスクを最小限に抑えるとともに、過剰在庫によるコストの発生も防ぐことができるのが大きな特徴です。

バーコード・RFIDによる正確な物品管理

院内物流管理システムの正確な管理を支えているのが、バーコードやRFID(無線通信によってタグ情報を読み取る技術)といった技術です。医療材料にはバーコードやRFIDタグがつけられており、入庫や移動、患者への使用のたびにスキャンするだけで、情報が自動的に記録されます。

単に「何が何個あるか」だけでなく、ロット番号使用期限といった重要な情報まで正確に管理できるようになりました。

たとえばリコールがあった場合も、該当する物品がどこにどれだけあるかをすぐに特定できます。また、RFIDは一度に複数の物品を素早く読み取ることができ、さらなる業務の効率化にもつながっています。

データ連携と請求漏れ防止

現代の院内物流管理システムは、電子カルテや会計システムなど他の院内システムと連携できるのが特徴です。

最大のメリットは、患者に使った医療材料などの情報が自動で記録され、保険請求の漏れを防げる点です。
従来は手作業で伝票を書いたりカルテから情報を拾い出したりしていましたが、この作業が自動化され、人的ミスによる請求漏れのリスクが大きく減りました。

SPDシステムの進化がもたらす技術トレンドとその活用法

AIによる需要予測と在庫最適化

近年では、AIを活用した需要予測機能を備えた院内物流管理システムも増えています。
過去の消費履歴や季節ごとの変動、診療科の特性、手術の予定など、さまざまなデータをもとに将来の物品消費を高精度で予測することで、在庫の過不足を未然に防ぐ仕組みが整えられています。

必要な分だけを確実に確保しつつ、使いきれない在庫を抑える運用が可能になるため、保管スペースの節約やコストの削減にもつながります。 念のために、多めに確保していた在庫量を見直すことができ、より安心な在庫管理が実現します。

ダッシュボードによる「見える化」と分析機能

院内物流管理システムに蓄積されたデータは、リアルタイムでの在庫状況や消費傾向を可視化するだけでなく、より深い分析にも活用されています。

  • 部署ごとの物品使用傾向やコストの把握
  • 不動在庫や過剰在庫の抽出
  • 市場価格と比較した購買価格の妥当性評価
  • 医事会計システムと連携した請求漏れの検出

データに基づいた分析を通じて、院内物流管理システムは物流管理の枠を超え、病院全体の経営判断や業務改善を支える意思決定支援ツールとしての役割も担っています。
さらに、院内物流管理システムの機能や技術は日々進化しており、これからの病院経営や医療現場の在り方に大きな変革をもたらす可能性があります。

院内物流管理システムの導入メリット

院内物流管理システムの導入は、院内の業務を大きく効率化し、人的なミスや時間の無駄を減らす効果があります。
さらに、現場のスタッフが本来の業務に集中できるようになるため、医療サービスの質向上にもつながります。

人的ミスと時間ロスを削減

院内物流管理システムによって、これまで多くの手作業が必要だった業務が自動化されます。たとえば、棚卸しや発注書の作成、使用期限のチェック、物品の運搬といった作業がシステムによって効率化されます。

バーコードやRFIDでのスキャンによるデータ入力は、手書きや転記によるミスを大きく減らし、間違ったデータに基づくトラブルや余分な手戻りを防ぐことができます。
また、誰が担当しても同じ品質で業務を進められるようになるため、属人化のリスクも減ります。

医療従事者が本来業務に集中

院内物流管理システムが導入されることで、看護師などの専門スタッフが在庫確認や発注などの雑務から解放され、患者さんへのケアや説明、記録といった専門性の高い業務に時間を使えるようになります。

院内の貴重な人材を専門外の作業に使うことは、非効率な経営につながります。 院内物流管理システムの導入は、このような無駄をなくし、患者サービスの質やスタッフの満足度向上にも寄与します。

コスト削減と在庫圧縮

院内物流管理システムの最大の魅力は、在庫の最適化と購買の適正化によって、医療材料費を削減できる点です。過剰な「安心在庫」を見直し、データに基づいた適正在庫を維持することで、キャッシュフロー改善にもつながります。

また、在庫の有効活用により、期限切れによる廃棄ロスも削減されます。特に医療材料は高額なものも多いため、こうした無駄の排除は経営的に非常に大きな意味を持ちます。

自院に最適なシステムは?導入パターンと選定ポイント

「システム単体型」と「業務委託型」の違い

病院の在庫管理方法「システム単体」と「業務委託型」の比較図
システム単体型 業務委託型
運用主体 自院 委託業者
コスト ランニングコスト低め 委託費用が発生
ノウハウ蓄積 あり 院内では限定的
人材リソース 必要 最小限で可
柔軟性 高い 委託内容に依存

システム選定で失敗しないための4つのチェックポイント

院内物流管理システムの導入を検討するうえで、単に「どちらが良いか」ではなく、「自院の経営戦略や現場の状況にとって、どちらが現実的で効果的か」を見極めることが、SPD導入の成否を左右します。
判断に迷う場合は、複数のベンダーに相談し、提案を比較検討することをおすすめします。導入後に後悔しないためにも、丁寧な見極めが大切です。

1. 病院の規模(病床数・物品量)

まずは病院の規模に着目しましょう。病床数が多く、物品の取り扱い点数が多い病院では、物量に比例して業務の煩雑さも増すため、専門業者による業務委託型を検討する価値があります。

一方、100~300床程度の中小規模病院では、シンプルな運用でも十分に回せる可能性があり、自院で完結する「システム単体型」のほうが適していることもあります。

2. 既存システムとの連携

電子カルテや医事会計システムなど、既に運用しているシステムとの連携性も重要な判断材料です。
院内物流管理システムを導入しても、他のシステムと連携できなければ、二重入力やデータ整合性の問題が発生し、かえって業務の負担が増えることもあります。

事前に、自院が使っているシステムとの接続実績があるベンダーかどうかを確認しましょう。

3. 院内の人的リソース(担当者の有無・専門性)

SPDを自院で運用するには、専任の物流管理担当者やシステムの運用を任せられる人材が必要です。人員に余裕があり、現場の業務改善に前向きなスタッフがいれば、システム単体型を導入して自院にノウハウを蓄積していくのも良い選択です。

反対に、すでに人手が足りていない、または他業務で手一杯な状況であれば、業務委託型で外部に任せたほうが安定した運用につながります。

4. 費用対効果(初期コストとランニングコスト)

システム単体型は初期導入コストがかかるものの、運用後のランニングコストを比較的抑えられる傾向にあります。反対に、業務委託型は人件費やサービス費用が発生するため、継続的な支出が必要になります。

初期費用と継続的な費用、そして見込まれる効果(コスト削減、業務削減、人材育成など)をトータルで比較することが大切です。

院内物流管理システムに関するよくある質問

院内物流管理システムの導入や運用を検討していると、「本当に現場で使いこなせるのか?」「きちんと定着するのか?」といった不安の声が多く聞かれます。ここでは、実際によく寄せられる質問とその回答をわかりやすく解説します。

Q1. スタッフが新しいシステムを使いこなせるか不安です。

A:導入時の丁寧な研修と継続的なフォローがあれば、問題なく運用できます。

院内物流管理システムは一見難しそうに感じるかもしれませんが、操作自体は非常にシンプルに設計されています。多くの現場では、ハンディターミナルでバーコードを「ピッ」と読み取るだけで在庫管理が完了するなど、誰でも扱いやすい工夫がされています。

また、導入時にはベンダーによる操作説明会や実地研修が行われるほか、導入後も定期的なフォローや相談窓口が設けられるケースが一般的です。現場スタッフの「使いやすい」という声を反映しながら、運用にフィットする形で徐々に慣れていけるので、心配しすぎる必要はありません。

Q2. スタッフがスキャン作業を面倒がって使わなくなるのでは?

A:使うメリットが実感できれば、自然と定着します。

現場での「面倒くさい」「忙しくて後回しになりがち」といった声は、どの病院でも起こりうる課題です。しかし、それを防ぐポイントは、「システムを使うことで自分たちの仕事が楽になる」と感じてもらえるかどうかです。

「在庫が自動で補充される」「棚卸がすぐ終わる」といった実感が持てれば、スタッフの間で自然とシステム利用が習慣化されます。導入初期は少し根気がいりますが、管理者やリーダー層が積極的に声をかけ、活用メリットを伝えていくことが効果的です。

Q3. 導入当初に整えた物品データが、数年後には古くなって使えなくなってしまわないか心配です。

A:定期的なチェック体制と管理ルールの明確化で、データの鮮度は維持できます。

院内物流管理システムの精度を保つうえで欠かせないのが、物品マスタ(品名・単価・ロットなど)の更新です。「最初は正確でも、その後のメンテナンスが行き届かない」という事例は少なくありません。

ベンダーによっては、物品マスタを提供してくれるところもあり、製品の追加・更新作業を支援してくれる場合もあります。もし「自院だけで管理していくのは不安」という場合は、こうしたサポートがあるベンダーを選ぶことで、より安心して運用を続けることができるでしょう。

Q4. 委託業者に任せた場合、サービスの質が安定するか不安です。

A:事前に契約内容とサービス水準をしっかり確認することが大切です。

業務委託型SPDでは、外部の業者が物品管理を担うため、「ちゃんとやってくれるのか?」「トラブル対応は?」といった不安を感じる方も少なくありません。

委託契約を結ぶ際には、サービス水準(SLA)を明確にしておくことが大切です。たとえば、「欠品率は月0.1%以内」「緊急対応は30分以内」などの具体的な指標を契約書に盛り込んでおけば、万一の際も改善要求をしやすくなります。

また、導入後も定期的にレビュー会議を開き、現場の声を業者に伝えながら運用をブラッシュアップしていくことで、良好なパートナー関係を築くことができます。

まとめ

院内物流管理システムは、単なる「在庫管理ツール」ではありません。院内のすみずみにまで物品を行き渡らせ、スタッフの業務を支え、患者さんに安心と安全を届けるための、見えないインフラとして病院運営の根幹を支えています。

導入にあたっては不安や課題もあるかもしれませんが、それら一つひとつにしっかりとした解決策があります。自院の状況や体制に合わせたシステムや運用方法を選ぶことで、確実に成果を上げることができるはずです。

これからの病院運営をもっと前向きに、もっとスマートにするために、今こそ、自院に合った導入を前向きに検討してみてはいかがでしょうか。

免責事項
本記事は、2025年7月時点の情報をもとに作成しています。掲載各社の情報・事例をはじめコンテンツ内容は、現時点で削除および変更されている可能性があります。あらかじめご了承ください。