企業経営において「ESG(環境・社会・ガバナンス)」は、今や成長戦略や資金調達に直結するテーマとなっています。
温室効果ガス排出量の削減や第三者保証の取得、投資家向けの開示対応など、取り組むべき課題は年々複雑化しており、専門的な知見なしに自社で完結させるのは困難です。そこで頼りになるのが、各分野に強みを持つESGコンサルティング会社です。
本記事では、監査法人系の知見を活かした高品質な算定支援から、PR戦略を組み込んだ発信支援、スタートアップ向けの柔軟なコンサルティングまで、さまざまな会社を一覧表で整理しました。
掲載企業のうち、一部の資料は下記よりダウンロードが可能です。比較検討の参考にご活用ください。
| 会社名 | サービスの特徴 |
|---|---|
ESGコンサルティング |
温室効果ガス排出量の第三者保証の取得に強い
|
FOSCHIA JAPAN |
未上場のベンチャーや中小企業など、会社の規模に応じたコンサルを提供 |
ベクトル |
PR会社の強みを活かしたコミュニケーションソリューションによるESG戦略が強み |
ディ・エフ・エフ |
2000年の創業以降、一貫してESG経営を支援してきた会社によるサービス |
ESGアドバイザリー・サービス |
6つのステップの段階的な支援で理解から情報開示まで支援 |
三菱UFJリサーチ&コンサルティング |
三菱UFJフィナンシャルグループのネットワークを活用した支援。官公庁や大手の実績も豊富 |
イースクエア |
サステナビリティ経営など、様々なオンラインセミナーを提供 |
日立コンサルティング |
アジャイル方式での支援により、迅速かつ継続的な取り組みを実現 |
エコクリエイティブ |
グリーンファイナンスESG評価基準に対応しているコンサルティングサービス |
ESGコンサルティングの基礎知識
ESGとは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)の頭文字を取った言葉です。
現代の企業経営において、ESG(環境・社会・ガバナンス)は無視できない経営課題となってきました。以前は社会貢献活動(CSR)の一部と考えられていましたが、今では企業の持続的な成長や価値創造に直結する戦略の柱です。
ESGコンサルティングは、こうした時代の変化に応えるため、企業が環境・社会・ガバナンスの3つの視点を経営戦略に取り入れるための支援を行うサービスです。
投資家の評価軸が「財務情報」から「非財務情報」へと変わる中、ESG対応が企業の信頼性や資金調達力に影響を与えるようになりました。
しかし、ESG分野は国際的な基準やルールが複雑で、法令も頻繁に変わります。自社だけで全てに対応するのは難しいため、専門家のサポートが重要となっています。
まずここから!ESGの3要素を解説
ESGは、以下の3つの観点から企業活動を評価する考え方です。これらは企業価値を長期的に高めるための重要なポイントとなっています。
- Environment(環境):企業活動による環境負荷を把握し、積極的に削減していく取り組みです。CO2排出量の管理、省エネ設備の導入、再生可能エネルギーへの切り替え、廃棄物の削減やリサイクル推進、水資源管理、生物多様性の保全などが該当します。
- Social(社会):従業員や取引先、顧客、地域社会との健全な関係づくりに重点を置きます。働きやすい環境の整備や多様性(ダイバーシティ&インクルージョン)の推進、人権への配慮、公正な賃金やワークライフバランスの実現、社会貢献活動などが含まれます。
- Governance(ガバナンス):企業経営の透明性と健全性を保つための仕組みです。社外取締役の設置、役員報酬の透明化、法令遵守やリスク管理体制の構築、適切な情報開示などが挙げられます。
| 要素 | 主な取り組み例 |
|---|---|
| 環境(Environment) | CO2排出量削減、省エネ設備、再生エネルギー導入、廃棄物削減、水資源管理、生物多様性保全 |
| 社会(Social) | 働き方改革、公正な賃金、ダイバーシティ推進、人権尊重、社会貢献活動 |
| ガバナンス(Governance) | 社外取締役、役員報酬の透明化、コンプライアンス強化、リスク管理、情報開示 |
ESGとサステナビリティの違い
どちらも持続的に生活できる豊かな世界を維持していくことに関連していますが、それぞれ概念が異なります。ESGは企業の具体的な行動や取り組みを評価するための指標で、サステナビリティは地球環境の保全に焦点を当てているところがポイント。
サステナビリティは、世界の長期的な繁栄と発展を目指す考え方や取り組みそのものを指しているため、簡潔に言えばESGはサステナビリティの一部となります。環境や社会に配慮し適切な企業統治を行うESGは、企業の長期的な成長に欠かせない要素として位置付けられています。
2025年版・今押さえるべきESGトレンド
近年、ESG経営を取り巻く環境は大きく変化しています。2025年の企業が意識すべき注目のトレンドは、単なる時代の流れではなく、中長期的な競争力や企業価値の向上につながります。ここでは、企業経営やESG推進担当者が把握しておきたい3つの最新動向について詳しく解説します。
ISSB開示基準の国内適用拡大
世界的なサステナビリティ情報の統一基準としてISSB(国際サステナビリティ基準審議会)が策定され、日本でも本格的に導入が進みつつあります。
プライム市場の上場企業を中心に、財務情報と同じように非財務情報(ESG情報)の詳細な開示が段階的に義務化されていきます。
ISSB基準は従来のTCFDやGRIなどと比べても項目が多く、Scope1~3までの温室効果ガス排出量や、気候変動リスクとその企業業績への影響まで、より具体的な情報公開が求められる点が特徴です。今後は第三者による保証(監査)も求められるようになり、情報開示の正確性や透明性がさらに問われるでしょう。
人的資本の指標化
「人材は企業の資本である」という考え方のもと、人的資本に関するデータ開示が加速しています。
すでに日本では、女性管理職の比率や男性の育休取得率、男女の賃金差などが有価証券報告書での開示項目として義務化されています。
今後は離職率や定着率、研修への投資額、エンゲージメントスコアなど、より多様な指標の開示が求められる見込みです。これらの情報は、単なる説明ではなく、投資家が企業の「稼ぐ力」を判断する材料として活用され、企業はより定量的なデータで人材戦略の効果を示すことが重要になります。
AI活用によるESGデータ自動収集
ESGに関する情報開示の範囲が広がる一方で、企業が管理すべきデータ量も大幅に増えています。
特にサプライチェーン全体のCO2排出量(Scope3)や、従業員・取引先に関する非財務データの集計は、手作業では限界があります。
そこで注目されているのがAI技術の活用です。AIを使ったESGデータ収集ツールやプラットフォームは、電力や資材調達のデータ、自社や取引先のレポートを自動で読み取り、必要な情報を迅速かつ正確に集計できます。
AI導入によって、企業担当者は集計作業にかかる時間やミスを減らし、より戦略的な分析や意思決定に集中できるようになります。
| トレンド | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| ISSB基準導入 | サステナビリティ情報開示の世界標準。日本でもプライム上場企業から順次義務化され、財務情報並みの厳格さが求められます。 |
|
| 人的資本の指標化 | 人材に関する多様なデータ(女性比率・賃金差・離職率など)の開示が拡大。人材戦略の成果を定量的に示す流れが強まっています。 |
|
| AIによる自動化 | AIを使ったESGデータ収集・管理ソリューションの活用が進展。作業の効率化や人的ミス削減、迅速な情報開示に役立ちます。 |
|
ESGコンサルティングを依頼するメリット
新たにESGの取り組みを進めていくにあたり、さまざまな課題を解決していく必要があります。そこで、ESG経営コンサルティングを受けることで、企業にとってどのようなメリットがあるのかまとめてみました。
- 企業のビジョンとビジネス戦略に加えて持続可能なESG経営を構築できる
- ビジネスプロセスを確立することで業務効率の改善が見込める
- 環境変化や社会的な問題に関連するリスク管理の向上
- 信頼性を高めるための法的コンプライアンスの確保
- 株主や従業員、取引先、顧客などのステークホルダーとの関係を強化
- 環境や社会に配慮した活動で企業のイメージアップにつながる
ESG経営コンサルティングに依頼することで、企業が環境や社会的な側面においてリーダーシップを発揮するためのビジネスモデルを構築。企業の持続可能な成長の促進や社会的責任を明確にすることで、ビジネスを長期的に成功させるための戦略的アプローチを行うことが可能です。
ESGコンサルティング会社を選ぶポイント
自社に適したESGコンサルティング会社を見極めるためには、いくつかポイントがあります。その中でも特に大切なものをピックアップして紹介しているので、ESGコンサルティング会社を選定する際の参考にしてみてください。
1.専門知識と経験
ESGに関する専門的な資格はありませんが、環境学や気候学などに対する修士号・博士号、MBA、中小企業診断士といった資格や、企業コンサルタント経験者、自治体関連・省庁出身者などはESGコンサルタントの専門知識や経験としてチェックしておきたいポイントです。
2.実績や成功事例
今までの実績として過去のプロジェクトや取り組みを確認し、クライアントの成功事例なども確認しておきたいところ。あらかじめ得意なESG分野や改革の規模など知っておくことで、依頼後のミスマッチを低減することができます。
3.継続的なサポート
ESGの取り組みは構築すれば終わりではなく、市場の動向に合わせて改善したりステークホルダー等への報告が求められます。そのため、継続的な支援を行ってくれるコンサルタント会社を選ぶことが大事。実施後のフォローアップなど手厚く行ってくれる会社を選ぶと安心です。
ESGコンサルティング会社に関するよくある質問
Q1. どのような企業がESGコンサルティングの対象になりますか?
あらゆる業界や規模の企業がESGコンサルティングを受けることができます。特にESGがビジネスに与える影響を理解し、自社のビジネス戦略を活かしつつ取り組みを強化したい企業に向いています。
Q2. ESGコンサルティングの費用はどのくらいですか?
あらかじめ、金額を提示している会社もありますが、基本的にESGコンサルティングの費用は企業の規模や要件により異なります。コンサルタントの人数やカスタマイズ内容、プロジェクトに応じて費用が算出されます。
ESGコンサルティング会社を探している方は、本ページに掲載している「おすすめのESGコンサルティング会社一覧表」をご覧ください。
ESGコンサルティング会社のまとめ
企業の長期的な利益のために注目されている「ESG」経営。自社に適したESG経営を効率よく進めて行くためには、ESGコンサルティング会社は心強い存在です。ESGに関する専門的な知見やノウハウを持っているので、社内に特別な知識を持っている従業員が居なくてもESG経営を行っていくことができます。
ESG投資に向けた戦略の提案だけでなく、ESGコンサルティング会社に依頼することで得られるメリットはたくさんあるので、自社の経営ビジョンなどに適したESGコンサルティング会社を選ぶことをおすすめします。
- 免責事項
- 本記事は、2023年11月時点の情報をもとに作成しています。掲載各社の情報・事例をはじめコンテンツ内容は、現時点で削除および変更されている可能性があります。あらかじめご了承ください。
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