マイグレーションサービス10社を徹底比較!特徴や導入事例・おすすめの選び方を解説

最終更新日:2025年12月03日

「このままじゃシステムが止まるかもしれない」そう感じながらも動けていない企業が増えています。

誰も全体を理解していない、技術者がいない、トラブル時に止められない――
システムの老朽化は、もはや「いつか対処すべき課題」ではなく、今まさに経営リスクとして顕在化しています。

経済産業省が警鐘を鳴らす「2025年の崖」。保守切れ、ブラックボックス化、DXの遅れ。これらを先送りすれば、競争力を失うだけでなく、事業継続そのものが危ぶまれる可能性があります。

今回は、「今こそ動き出す」と決断された企業のために、課題別に選べる代表的なマイグレーションサービスを紹介し、最適なパートナー選びのヒントをお届けします。

【課題別に選ぶ】

マイグレーションサービス4選

Recommend

COBOL人材不足に備えてシステム刷新したい

膨らむ保守費を削減するためAWS移行したい

規制が厳しい業界で確実に移行したい

日本ティーマックスソフト

特長

メインフレーム移行に特化した「Tmax OpenFrame」を主力とし、COBOLやPL/I資産をオープン環境へ移行可能。リホストで短期脱却も、Java変換によるクラウドネイティブ刷新も選べる柔軟性が強みです。人材不足が深刻なレガシー環境でも、豊富な自動変換機能で工数を大幅に削減。既存資産を最大限活かしつつ、将来のシステム基盤を効率的に構築できます。

ソフトロード

特長

独自のAI変換技術を活用し、COBOLやPL/Iなど古い言語からJava環境へ効率的に移行可能。従来のリライトに比べ、工期は半分から3分の2、コストも大幅に削減できます。仕様書がないブラックボックス化したシステムでも、AIと人のハイブリッドで刷新を実現。人材不足で保守が難しい現行環境を、より保守性の高いオープンシステムへスムーズに移行できる点が魅力です。

TOKAIコミュニケーションズ

特長

TOKAIコミュニケーションズは、AWSプレミアティアサービスパートナーとして公式認定を受けており、移行の専門性が高く評価されています。移行前には「TCO分析」や「コストシミュレーション」を行い、削減効果を明確に提示。さらに「6つのR」を活用し、予算や戦略に合わせた最適な移行方法を提案します。移行後も24時間365日の運用支援を提供し、安心してクラウド活用を進められる点が強みです。

SCSK

特長

SCSKは、AWS環境へのデータベース移行に特化したサービスを提供しています。特にOracleコンピテンシーを持ち、OracleからAWSマネージドサービスへの移行でライセンス費や運用コストを大幅に削減可能です。同種移行に加えて異種データベース間の移行にも対応しており、コスト削減とデータ活用を両立したい企業に適しています。

日立製作所

特長

規制が厳しい金融や公共分野など、システム停止や不具合が許されない業界では、何よりも移行の確実性が求められます。日立製作所は「4ステップ法」や「ALM連携」といった厳格なプロセスで移行を管理し、透明性とリスク低減を徹底。セコム損保の基幹システム移行をはじめ実績も豊富で、確実な移行を重視する企業に適しています。

キヤノンITソリューションズ

特長

金融や公共など、大規模かつ安定性が必須の業界で多数の実績を持つのがキヤノンITSです。アセスメントから保守・運用までワンストップで対応し、移行後の運用体制まで含めて安心を提供。30年以上、120件超の実績(※2025年8月時点)に裏打ちされた信頼性で、長期的なシステム運用を見据えた企業に適しています。

目次

マイグレーションサービス一覧表

会社名 サービスの特徴

FPTジャパンホールディングス

止められない基幹システムを安全に移行!人材不足・計画遅延を回避

  • 3,000名を超えるメインフレーム人材を確保
  • 累計200件以上の移行プロジェクト経験(※2)
  • オフショア開発による高いコスト競争力

キヤノンITソリューションズ

計画から運用まで一気通貫で、レガシーシステムの“資産継承”を支える

TIS

業務ロジックの自動変換で旧環境からJava環境へ安全迅速にリライト

日立製作所

長年の実績と体系化されたプロセスで、大規模システムを確実に移行

SCSK

AWSデータベース移行のスペシャリストとして、コスト削減とデータ活用を実現

NTTデータビジネスシステムズ

既存資産を最大限に活用し、短期間・低コストでシステム刷新

TOKAIコミュニケーションズ

AWSプレミアティアパートナーが、移行から365日運用まで支援

CIJ

専用ツール開発で、複雑なシステム資産も例外なく移行可能に

サイバーコム

サポート終了したVB6資産を、安全かつ短期・低コストで.NETへ

日本ティーマックスソフト

メインフレーム脱却を多彩な選択肢で実現

ソフトロード

独自のAI変換で短納期・低コストを実現

シーイーシー(CEC)

独立系ならではの対応力で幅広くモダナイズ

IBM Japan

他社クラウドも視野に入れた柔軟な移行支援

NECソリューションイノベータ

クラウド時代に合わせた柔軟なインテグレーション力が強み

富士通Japan

安心と信頼性を軸にした移行をトータルサポート

システムズ

難易度の高い移行も、分析とPoCで実現可能に

アクセンチュア

世界規模の知見と人材でIT移行を事業変革に変える

止められない基幹システムを安全に移行!人材不足・計画遅延を回避

FPTジャパンホールディングス

FPTジャパンホールディングス

※画像をクリックすると
公式サイトへ移動します。

引用元: FPTジャパンホールディングス公式HP(https://fptsoftware.jp/)

FPTジャパンホールディングスの概要

FPTジャパンホールディングスは、FPTソフトウェアの日本法人として2005年に設立されました。製造、流通、金融、通信、電力、教育、医療、農業など幅広い事業領域でシステム開発・運用・保守・コンサルティング事業を展開しています。

大規模から小規模まで、様々な案件に対応しており、中でも200件以上の実績(※2025年8月時点)を持つのがCOBOLやPL/Iなどレガシー言語からJava・クラウド環境への移行分野です。こうした豊富な移行経験を基に開発された自社ツール「EMT」とAIプラットフォーム「xMainframe」により、手作業では避けられない変換エラーを削減し、全社業務停止といった致命的なリスクを回避しながら、安定したシステム移行を実現しています。

また、独自の「COBOLアカデミー」で技術習得から業界知識、個別システム仕様まで段階的に教育し、即戦力となる人材を育成。長期プロジェクトにおいても、豊富なIT人材プールから常に増員・差し替えが可能なため、計画遅延やリソース不足を回避し、安定したプロジェクト遂行を実現しています。

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FPTジャパンホールディングスを選ぶべき理由

3,000名を超えるメインフレーム人材を確保

システム移行を考えるとき、多くの企業が直面するのが「COBOLを扱えるエンジニアがいない」という課題です。20年以上前に導入された基幹システムを動かし続けている企業も多い一方で、国内のCOBOL技術者は高齢化とともに急速に減少しています。そのため「人がいないから移行が進まない」「保守すら危うい」と悩む声は後を絶ちません。

こうした問題解決に向けてFPTジャパンホールディングスでは、3,000名を超えるメインフレームエンジニアを抱えています(※1)。自社内に「COBOLアカデミー」という育成機関を設け、継続的に人材を輩出できる仕組みを整備しています。

開発者のみならず、上流工程を担える設計担当者も供給可能なため、「仕様書が存在しない」「内容を把握している人がいない」といったレガシーシステム特有の課題にもスピーディーに対応可能です。

※1.参照元:FPTジャパンホールディングス公式HP(https://fptsoftware.jp/resource-center/connect/connect-legacy-modernization)2025年8月時点

累計200件以上の移行プロジェクト経験(※2)

レガシーシステムの移行は、企業にとって非常に重要なプロジェクトです。金額も期間も大規模になることが多く、万が一失敗すれば事業全体に大きな影響を与えかねません。だからこそ、確かな実績を持つパートナー選びが重要になります。

FPTジャパンホールディングスは2006年からマイグレーションに携わり、累計プロジェクト数は200件以上にのぼります(※2)。日本・ベトナムを中心に、約30カ国・地域に拠点を展開しており、国際的な体制でのプロジェクト推進も可能です。

さらに、50以上のプロジェクトで利用実績がある独自ツール「EMT(Eco Migration Tool)」を用いることで、コード変換率は70〜100%という高水準を達成しています(※3)。

※2.参照元:FPTジャパンホールディングス公式HP(https://fptsoftware.jp/resource-center/connect/connect-legacy-modernization)(2025年8月時点)
※3.参照元:FPTジャパンホールディングス公式HP(https://fptsoftware.jp/resource-center/blog/column/202410_dx-insight)

オフショア開発による高いコスト競争力

マイグレーションの大きな課題は、膨大なソースコードの変換やテスト作業に伴う時間とコストです。FPTジャパンホールディングスは、この課題に対して効率化を図るべく、オフショア開発を積極的に導入しています。特に優秀なCOBOL人材を多く育成してきたベトナムを中心に、フィリピン・インド・インドネシアへと拠点を広げ、コストや人月単価に応じた柔軟なリソース調整を可能にしています。

さらに、日本国内の地方都市を活用したニアショア体制にも対応し、コストを抑えつつ要件に最適化したチーム編成を実現します。

FPTジャパンホールディングスの導入事例

富士通メインフレームをFPT自社ツールを使用してマイグレーション(製造業某社)

導入前の課題富士通メインフレームのEOS対応と現行システムの老朽化対応

富士通メインフレームのEOS(サポート終了)が迫るなか、現行システムは長年の増改修で複雑化し、拡張性や保守性が低下していました。さらに、工場ごとに独自機能が乱立し、標準化が進まない状況。
「現行仕様を最大限流用する」という方針のもと、限られた期間と予算で新規要件も取り込みながら、投資対効果を高めた新システムへ刷新することが急務となっていました。

解決アプローチ自社ツールと基幹システム構築ノウハウにより工期を短縮、プロジェクトを成功に導く

FPTは、自社開発ツールと豊富な基幹システム構築ノウハウを組み合わせ、ビジネス・技術・運用要件を整理した上で移行計画を策定。
工場ごとに散在していた独自機能を可視化・標準化し、統合業務の推進と新規要件の取り込みを両立させました。さらに、自社ツールの活用により移行作業を効率化し、工期を短縮。EOS期限前に新システムへ切り替えを実現し、プロジェクトを成功に導いています。

引用元:FPTジャパンホールディングス公式HP (https://fptsoftware.jp/resource-center/connect/connect-legacy-modernization)

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FPTジャパンホールディングスの会社概要

会社名 FPTジャパンホールディングス株式会社
所在地 東京都港区三田3丁目5−19 住友不動産東京三田ガーデンタワー33階
URL https://fptsoftware.jp/

キヤノンITソリューションズ

計画から運用まで一気通貫で、レガシーシステムの“資産継承”を支える

キヤノンITソリューションズ(キヤノンITS)が展開する「PREMIDIX」は、アセスメントから移行、さらに保守・運用代行までをワンストップで提供する包括的なマイグレーションサービスです。従来は工程ごとに異なるベンダーへ依頼することが多く、部分最適に陥るリスクがありましたが、同社は全体最適の視点でプロジェクトを統括できる体制を整えています。

技術面では、独自ツールによる「ストレートコンバージョン」方式を用いて機械変換の品質を均一化し、テスト工数を大幅に削減します。また、プロジェクト終盤まで変換ツールを改善し続けることで、変換率を100%に近づけ、システム停止期間を最小化する工夫も施しています。

さらに、移行後の保守・運用代行サービスまで統合している点も大きな強みです。これにより、システム維持要員の不足や高齢化といった課題を抱える企業でも、安心して移行後の運用を任せられる体制を提供しています。

キヤノンITソリューションズの会社概要

会社名 キヤノンITソリューションズ株式会社
所在地 東京都港区港南2-16-6 キヤノン S タワー
URL https://www.canon-its.co.jp/solution/industry/cross-industry/migration/

TIS

業務ロジックの自動変換で旧環境からJava環境へ安全迅速にリライト

TISの「Xenlon~神龍 モダナイゼーション/マイグレーション」は、独自技術「Xenlon~神龍 Migrator」により、COBOLやPL/IからJavaへの自動変換を可能にする点が大きな特徴です。従来のリライト方式では人手による修正が避けられず、コストや工期が膨らみやすい課題がありましたが、この自動変換技術は大幅な効率化を実現します。

加えて、性能面でも「メインフレームと同等以上の処理性能」を維持できる仕組みを導入しており、Java移行に伴う性能劣化リスクを低減します。特許技術であるメモリキャッシュ機構などを用い、大量データ処理においても安心して利用できます。

また、マイグレーション工程は資産分析からテスト、パイロット移行、本番移行と段階的に進められ、リスクを最小化しつつDX推進と並行して進められる点も特徴です。移行と同時にWeb化やシステム拡張の検討ができるため、企業は早期に移行効果を享受できます。

このように、TISのサービスは「手作業リスクを排除し、性能も担保する」という他社にはない強みを持っており、大規模レガシー資産を抱える企業にとって有力な選択肢となります。

TISの会社概要

会社名 TIS株式会社
所在地 東京都新宿区西新宿8丁目17番1号 住友不動産新宿グランドタワー
URL https://www.tis.jp/service_solution/xenlon/

日立製作所

長年の実績と体系化されたプロセスで、大規模システムを確実に移行

日立製作所の「エンタープライズ アプリケーション マイグレーション」は、金融・公共分野を含む多数の大規模システム移行で培った豊富な経験と、独自のプロセス管理手法を強みとするサービスです。移行は「移行性分析」「移行方式設計」「パイロット移行」「資産移行」という4ステップ方式で進められ、段階的にリスクを低減しながら確実な移行を実現します。

また、移行前には「ALM(Application Lifecycle Management)サービス」を活用し、資産の棚卸しや仕様の可視化を徹底。これにより、資産を正しく把握した上で効率的かつ低リスクな移行を可能にします。セコム損保などの基幹システム移行事例は、その信頼性を裏付けています。

さらに、日立はAIを活用したJavaでの開発・運用を推進しており、移行を単なる延命措置ではなく、クラウドシフトによる生産性向上とDX推進の起点と位置づけています。特に安定稼働とリスク管理を最優先する企業にとって、信頼できるパートナーとなるでしょう。

日立製作所の会社概要

会社名 株式会社日立製作所
所在地 東京都千代田区丸の内一丁目6番6号
URL https://www.hitachi.co.jp/

SCSK

AWSデータベース移行のスペシャリストとして、コスト削減とデータ活用を実現

SCSKの「クラウドデータベース・マイグレーション」は、オンプレミスからAWSへのデータベース移行に特化したサービスです。同社はAWSプレミアコンサルティングパートナーであり、2019年にはAWS Oracleコンピテンシーを取得。特にOracle製品の設計・構築・運用で優れた実績を持っています。

単純な同種データベースへの移行はもちろん、独自ツールを駆使した異種データベース間移行も支援。高額なライセンス費用がかかる商用DBから、AWSのマネージドサービスへ移行することで、大幅なコスト削減と保守効率化を実現します。

さらに、Amazon Redshiftへの移行を通じて、散在するデータを統合し、迅速な経営判断を可能にする分析基盤を構築できる点も特徴です。SCSKは、クラウド移行を「単なる入れ替え」ではなく、経営資源を生かすための基盤強化として提供しています。

SCSKの会社概要

会社名 SCSK株式会社
所在地 東京都江東区豊洲3丁目2番20号 豊洲フロント
URL https://www.scsk.jp/

NTTデータビジネスシステムズ

既存資産を最大限に活用し、短期間・低コストでシステム刷新

NTTデータビジネスシステムズのマイグレーションサービスは、既存のプログラム資産を最大限に再利用するアプローチを採用しています。これにより、新規開発に比べて短期間かつ低コストでシステム更新が可能です。特に「Notes」からの移行に強みを持ち、独自開発の自動変換ツールで高精度かつ効率的な移行を実現します。

移行後も従来と変わらない操作性を維持できるため、ユーザー教育が不要で、業務現場の混乱を防ぎます。さらに、intra-martやOutsystems、ServiceNowなどのローコードプラットフォームへ移行できる点も特長で、将来的な改修や内製化を見据えた柔軟性を提供します。

このサービスは、抜本的な業務改革よりも、現行業務を維持しながらコスト削減や老朽化対策を図りたい企業に最適です。効率性と安定性を両立させるソリューションとして注目されています。

NTTデータビジネスシステムズの会社概要

会社名 株式会社NTTデータビジネスシステムズ
所在地 東京都中央区新川1-21-2 茅場町タワー
URL https://www.nttdata-bizsys.co.jp/

TOKAIコミュニケーションズ

AWSプレミアティアパートナーが、移行から365日運用まで支援

TOKAIコミュニケーションズは、AWSプレミアティアサービスパートナーとして認定された企業で、AWS移行の専門性と豊富な実績を持ちます。移行前の段階からTCO分析やコストシミュレーションを行い、経営層に投資対効果を明確に示せる点が強みです。

また、AWS移行の「6つのR」(Retire、Retain、Rehost、Repurchase、Replatform、Refactor)を活用し、戦略に応じた適切な移行パスを提案します。単純なリホストからクラウドネイティブ化まで幅広く対応可能です。

さらに、同社は24時間365日の運用支援まで一気通貫で提供。多くの企業が移行後に直面する運用体制の不安を解消し、安定稼働と安心感を提供しています。AWS導入を検討する企業にとって、信頼性の高いパートナーといえるでしょう。

TOKAIコミュニケーションズの会社概要

会社名 株式会社TOKAIコミュニケーションズ
所在地 静岡県静岡市葵区常磐町2丁目6番地の8 TOKAIビル
URL https://www.tokai-com.co.jp/

CIJ

専用ツール開発で、複雑なシステム資産も例外なく移行可能に

CIJの「LeGrad」は、顧客のシステム環境ごとに専用の変換ツールを開発する点で差別化されたマイグレーションサービスです。既存の汎用ツールでは対応が難しい、複雑にカスタマイズされたプログラムや独自仕様の業務ロジックを抱えるシステムでも、例外を残さず効率的に移行できます。

対象となるのは、プログラム、データベース、ジョブなどシステムを構成する全ての資産。これらを網羅的に自動変換し、高品質で一貫した移行を実現します。2002年以来、様々なプロジェクト実績を重ね、特殊環境や複雑資産を含む案件でも成果を上げてきました。

特に「業務ごとに異なる独自仕様が多く、他社の一律ソリューションでは対応できない」と悩む企業におすすめです。LeGradは企業ごとの特殊要件を反映した専用ツールで移行を可能にするため、移行漏れや再開発コストの発生を防ぎ、リスクを大幅に低減します。独自性の強い基幹システムを持つ企業にとって、CIJは確実に成果を出せるパートナーといえます。

CIJの会社概要

会社名 株式会社CIJ
所在地 神奈川県横浜市西区平沼1丁目2番24号 横浜NTビル
URL https://www.cij.co.jp/

サイバーコム

サポート終了したVB6資産を、安全かつ短期・低コストで.NETへ

サイバーコムのマイグレーションサービスは、VB6アプリケーションを.NET環境へ効率的に移行することに特化しています。同社はMicrosoftからVBマイグレーションパートナーに認定されており、専門性と信頼性が公式に保証されています。

独自の変換ツールを活用し、高品質かつ短期間、低価格での移行を実現。また、移行前に「リバースエンジニアリングサービス」を行い、不要なコードを検出・削除することで、移行コスト削減と保守性向上を両立します。

VB6という特定分野に特化することで、同社は競合他社にはない専門性を確立。サポート終了が進むVB6環境の課題を抱える企業にとって、信頼できるパートナーとなります。

サイバーコムの会社概要

会社名 サイバーコム株式会社
所在地 神奈川県横浜市西区みなとみらい2丁目2番1号 横浜ランドマークタワー
URL https://www.cybercom.co.jp/

日本ティーマックスソフト

メインフレーム脱却を多彩な選択肢で実現

日本ティーマックスソフトは、韓国発のエンタープライズソフトウェア企業TmaxSoftの日本法人です。レガシーシステムの移行やモダナイゼーションにほぼ特化しており、特にメインフレームからの脱却を目指す企業にとって頼れる存在となっています。

主力ソリューションである「Tmax OpenFrame」は、長年稼働してきたCOBOLやPL/Iなどのメインフレームアプリケーションを、Linuxやクラウドといったオープン環境へ移行できる仕組みです。特徴的なのは、移行手段として「リホスト」と「リライト/リアーキテクト」の両方に対応している点です。既存コードをそのまま移行して短期間でメインフレームから脱却する方法もあれば、COBOLをJavaへ自動変換してクラウドネイティブな環境に刷新する方法も選べます。

このように移行パターンを柔軟に選べるため、予算やリスク許容度、将来のシステム構想に合わせて最適なアプローチを検討できます。プロセスの多くが自動変換ツールによって進められるため、手作業に比べて工数や期間を大きく削減できるのも魅力です。

日本ティーマックスソフトの会社概要

会社名 日本ティーマックスソフト株式会社
所在地 東京都港区芝公園二丁目3番6号PMO浜松町Ⅱ8F
URL https://www.tmaxsoft.com/jp/

ソフトロード

独自のAI変換で短納期・低コストを実現

ソフトロードは、システム更新に特化した専門会社です。長年にわたりレガシーシステムのモダナイゼーションに取り組み、特に独自のAIを活用した変換技術を強みとしています。

同社が提供するサービスの中心が「システムリフォーム」と呼ばれる方法論です。メインフレームやオフコン、古いUNIXやWindowsで稼働していたシステムを、Java言語やフレームワークを用いたオープン環境へと移行します。単なるリホストではなく、システムをより保守しやすく、そして将来の拡張にも適した姿へと生まれ変わらせるのが特徴です。

最大の強みはAIによる自動変換プロセスにあります。従来のリライトに比べ、納期をおよそ半分から3分の2に短縮できるほか、開発コストも大きく削減可能です。さらに移行と同時にデータベースをリレーショナル化したり、システム構造を疎結合化したりすることで、データの可視化や他システムとの連携もスムーズになります。

対応できる言語も幅広く、COBOLやPL/I、RPGといった古い言語にもしっかり対応。仕様書が存在しないブラックボックス化したシステムであっても、AIと手作業のハイブリッドでモダナイゼーションを進められるのが強みです。

ソフトロードの会社概要

会社名 株式会社ソフトロード
所在地 東京都千代田区神田佐久間町2-15
URL https://www.softroad.co.jp/

シーイーシー(CEC)

独立系ならではの対応力で幅広くモダナイズ

シーイーシー(CEC)は、独立系システムインテグレーターとして長い歴史を持つ企業です。特定のメーカーに縛られない立場を活かし、マルチベンダー・マルチプラットフォームでの移行を柔軟にサポートできる点が大きな特長です。

同社が展開する「Re@nove」ブランドは、マイグレーションとモダナイゼーションに関する包括的なサービス群をまとめたものです。アプリケーション移行(VBから.NET、StrutsからSpringなど)、プラットフォーム移行(富士通製オフコンやIBM・富士通メインフレームへの対応)、データベース移行、そしてAWSやAzureを利用したクラウド移行まで幅広く対応可能です。

特に注目されるのが、富士通製オフコンのマイグレーションに特化したサービスです。オフコン市場はサポート終了問題が深刻化しており、この分野に強みを持つ事業者は限られています。CECはこのニッチ分野に独自の専門性を発揮し、現場の課題を解決しています。

また、日本ティーマックスソフトの「OpenFrame」をパートナーとして取り入れている点も特徴的です。新しいツールや変換技術を自社サービスに組み合わせ、より確実で効率的なモダナイゼーションを実現しています。

シーイーシー(CEC)の会社概要

会社名 株式会社シーイーシー
所在地 東京都渋谷区恵比寿南1-5-5 JR恵比寿ビル
URL https://it-renovation.cec-ltd.co.jp/

IBM Japan

他社クラウドも視野に入れた柔軟な移行支援

IBM Japanは、世界的なIT企業IBMの日本法人として、長年にわたり企業のシステム移行やモダナイゼーションを支援してきました。特徴的なのは、クラウド移行を単なる環境の置き換えではなく、「ハイブリッドクラウドとAIを活用した将来の成長基盤づくり」として位置づけている点です。

具体的には「Quick i Migration」と呼ばれるサービスで、IBM i(旧AS/400)といったレガシー環境からクラウドへスムーズに移行する支援を行います。さらに、既存のワークロードをIBM Cloudはもちろん、他社のクラウドプラットフォームへも移行可能です。評価から計画、実行、検証までのステップを重視しており、安心して任せられる体制が整っています。

また、AIを使った移行自動化にも力を入れており、従来は人手が必要だった作業を効率化。リアルタイムに最適なリソース配分を行う「IBM Turbonomic」のようなツールも導入されており、移行にかかるコストやリスクを最小限に抑える工夫がなされています。

IBM Japanの会社概要

会社名 日本IBM株式会社
所在地 東京都港区虎ノ門二丁目6番1号 虎ノ門ヒルズ ステーションタワー
URL https://www.ibm.com/jp-ja

NECソリューションイノベータ

クラウド時代に合わせた柔軟なインテグレーション力が強み

NECソリューションイノベータは、NECグループの中核を担うシステム開発・インテグレーション企業です。公共から民間まで幅広い業種を支えてきた実績を持ち、マイグレーション分野でもクラウドやアプリケーションに特化したサービスを提供しています。

特に強みを発揮しているのがAWSを活用したクラウドインテグレーションです。リスクやメリットを丁寧に分析する初期コンサルティングから、設計・構築・運用支援に至るまでを一貫して行い、安心してクラウドに移行できる体制を整えています。さらに、セキュリティ製品や監視ツールを組み合わせることで、クラウド利用をより安全かつ効率的に進められる点も評価されています。

もう一つの注目ポイントは、BI領域におけるマイグレーションです。オンプレミス環境で利用されていたTableau Serverを、クラウド版のTableau Cloudへ移行するサービスを展開。米国USEReady社とのパートナーシップを活かし、独自ツール「STORM」を取り入れることで、大規模データ環境でもスムーズな移行と再構築を実現しています。

NECソリューションイノベータの会社概要

会社名 NECソリューションイノベータ株式会社
所在地 東京都江東区新木場1-18-7
URL https://www.nec-solutioninnovators.co.jp/

富士通Japan

安心と信頼性を軸にした移行をトータルサポート

富士通Japanは、日本を代表するITベンダーであり、ハードウェアからクラウド、アプリケーションまでをカバーするフルスタックの提供力を持つ点が大きな特長です。国内企業や官公庁を長年支えてきた実績に基づき、システムマイグレーションでも幅広いニーズに応えています。

代表的なサービスの一つが「ミッションクリティカルトランスフォーメーションサービス」です。基幹システムのクラウド移行を、基盤検討から実際の移行作業、さらに移行後の運用まで一貫してサポートします。企業の最重要システムを扱うため、安全性と信頼性を最優先にした方法論を採用しています。

また、企業のPC更新やクライアント環境に対応する「Windows 10マイグレーションサービス」も提供。アプリ検証やデータ移行、利用開始後のサポートまで含めたエンドツーエンドの体制を整えており、大規模かつ分散した環境でも安心して任せられます。

富士通Japanの会社概要

会社名 富士通Japan株式会社
所在地 東京都港区東新橋1-5-2 汐留シティセンター
URL https://www.fujitsu.com/jp/

システムズ

難易度の高い移行も、分析とPoCで実現可能に

システムズは、25年以上にわたりマイグレーションを手がけてきた独立系のIT企業です。幅広い業種で培った経験を活かし、製造業から金融、運輸、自治体まで多様な顧客のシステム移行を支援してきました。

同社の特徴は、徹底した分析と事前検証(PoC:概念実証)を重視する姿勢にあります。プロジェクト開始前に既存システムを詳しく分析し、課題や移行の難所を「見える化」。さらにPoCを標準プロセスとして組み込み、移行の実現可能性を早い段階で確認します。大規模でリスクの高いプロジェクトでも安心して進めることができます。

提供するサービスは、コンサルティングから計画策定、実行、移行後のサポートまでをカバーする「ワンストップマイグレーション」です。メインフレームからオープン系システム、古いOS環境の更新、データベース移行など、多様なケースに対応しています。

また、対応できる言語の幅も広く、COBOLやPL/Iといった代表的なレガシー言語に加えて、4GLや独自仕様の言語など難易度の高い資産にも対応可能です。既存プログラムを最大限活かしながら移行を進めることで、ユーザー体験を保ちつつ新しい環境に適応できる点も評価されています。

システムズの会社概要

会社名 株式会社システムズ
所在地 東京都品川区西五反田7-24-5 ONEST西五反田スクエア8階
URL https://www.systems-inc.co.jp/

アクセンチュア

世界規模の知見と人材でIT移行を事業変革に変える

経営コンサルティングとプロフェッショナルサービスにおけるグローバルリーダーとして、マイグレーションを単独のITプロジェクトではなく、大規模な事業変革やDXを可能にする重要な要素として位置づけています。7万人以上のSAPコンサルタントを含む巨大なグローバル人材プールと、世界中のベストプラクティスを活用したサービスを提供。

リーン・クラウドマイグレーション方法論により、計画立案から実行まで構造化されたプロセスを提供し、投資の最適化とビジネス貢献の最大化を実現します。独自ツールmyNAVによる移行診断・計画立案の自動化と、インドを中心とした「クラウドファクトリー」による効率的な作業実行が特徴です。

アクセンチュアの会社概要

会社名 アクセンチュア株式会社
所在地 東京都港区赤坂1-8-1 赤坂インターシティAIR
URL https://www.accenture.com/jp-ja

マイグレーションサービスとは?

企業のIT環境は今、大きな転換期を迎えています。長年使い続けてきたシステムの老朽化や、新しい技術への対応の遅れが、ビジネスの成長を妨げる要因になっているからです。

この課題を解決する鍵となるのが「マイグレーションサービス」です。単なるシステムの入れ替えではなく、企業の貴重な資産を活かしながら、未来の成長基盤を築くための戦略的な取り組みとして、今多くの企業が注目しています。

マイグレーションの定義

マイグレーションとは、英語の「migration(移動・移転)」に由来する言葉で、IT分野では既存のシステム、データ、ソフトウェア、アプリケーションなどを、新しいコンピューティング環境へ移行するプロセス全般を指します。

ここで重要なのは、ゼロからシステムを再構築する「リプレース」とは異なる点です。現在稼働しているシステムのプログラムやデータといった資産を最大限に活用しながら、新しい環境へ移していくことが特徴となります。

移行の対象は幅広く、以下のような形態があります。

  • データマイグレーション:古くなったデータベースから新しいものへデータを移す作業
  • アプリケーションマイグレーション:オンプレミスのサーバーで動いているアプリケーションをクラウドへ移す作業
  • クラウドマイグレーション:社内のITインフラ全体をクラウドへ移行する作業

このように、目的や規模に応じて様々な形態が存在し、企業のニーズに合わせて最適な方法を選択することができます。

2025年の崖問題とDX推進の必要性

経済産業省のDXレポートが警鐘を鳴らした「2025年の崖」問題は、日本企業にとって避けては通れない課題となっています。このレポートでは、企業がレガシーシステムの刷新に踏み切れなかった場合、2025年以降、最大で年間12兆円もの経済損失が生じる可能性がある*と試算されました。

この「崖」が意味するのは、単なるシステムの老朽化だけではありません。主要なソフトウェアのサポート終了、旧技術に精通したIT人材の退職、そして急速に進化するデジタル技術との格差拡大など、複数のリスクが同時期に顕在化する転換点を指しているのです。

2025年8月を迎えた現在、当初懸念されたような「崖から落ちる」急激な経済損失は、幸いにも顕在化していません。多くの企業がDXの必要性を認識し、段階的な取り組みを進めてきた成果と言えるでしょう。

しかし、問題が解決したわけではありません。むしろ、より具体的で切迫した課題が浮き彫りになってきています。特に深刻なのは、SAP ERP(ECC6.0)のサポート終了問題です。2027年末までサポートが延長されたとはいえ、多くの企業がまだ移行を完了できていない状況にあります。さらに、レガシーシステムを理解している技術者の高齢化と退職が進み、システムの「ブラックボックス化」というリスクも日々高まっているのです。

つまり、2025年の崖は「乗り越えた」のではなく、「先送りされた」というのが実情なのかもしれません。企業には、この猶予期間を活かして、着実にマイグレーションを進めることが求められています。

*参照元:経済産業省|DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~(https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/20180907_report.html)

レガシーシステムが抱える課題

企業がマイグレーションを検討せざるを得ない状況には、レガシーシステムが抱える深刻な課題が潜んでいます。

保守切れの危険性

多くのレガシーシステムは、メーカーのサポートが終了したハードウェアやソフトウェア上で稼働しています。セキュリティパッチが提供されなくなることで、サイバー攻撃に対する脆弱性が放置される極めて危険な状態になります。万が一、障害が発生してもメーカーの支援は期待できず、事業継続に深刻な影響を及ぼすリスクを抱えることになるでしょう。

技術者不足(Talent Shortage)の深刻化

古い技術で構築されたシステムの開発・保守を担ってきた技術者の多くが高齢化し、次々と引退しています。一方で、若い世代の技術者は新しい技術を志向するため、レガシーシステムを維持するための人材確保は年々困難かつ高コストになっています。特定の担当者が退職した途端、誰もシステムの内部を把握できなくなるという事態も現実的な脅威となっています。

複雑化・ブラックボックス化の進行

レガシーシステムは、数十年にわたる度重なる機能追加や改修の結果、その構造が極めて複雑化しています。多くの場合、十分なドキュメントも残されておらず、システムの全体像を正確に把握している人物は社内に誰一人いない「ブラックボックス」状態に陥っています。

このような状態では、軽微な修正でさえ予期せぬ不具合を引き起こすリスクが高く、ビジネス環境の変化に応じた迅速なシステム改修はほぼ不可能となります。この積み重なった「技術的負債」が、企業の成長とイノベーションを阻害する大きな要因となっているのです。

これらの課題は、もはや単なるIT部門の問題ではありません。企業の存続そのものを揺るがしかねない経営上のリスクであり、マイグレーションが戦術的なITタスクから、企業全体の未来を左右する戦略的必須事項へと変わった理由がここにあります。

4つの主要なマイグレーション手法と選択方法

マイグレーションを成功させるためには、企業のビジネス目標や既存システムの状況に応じて、最適な手法を選択することが重要です。ここでは、代表的な4つの手法について、それぞれの特徴と適用場面を詳しく解説していきます。

リホスト・リプラットフォーム型マイグレーション

既存のアプリケーション資産(プログラムのロジック)を極力変更せず、稼働するIT基盤(プラットフォーム)のみを新しくするアプローチです。迅速かつ低リスクで移行できるため、ハードウェアの保守切れといった喫緊の課題に対応する際に有効な手法となります。

ストレートコンバージョンによる資産活用

リホストは「リフト&シフト」とも呼ばれ、アプリケーションやデータをほぼそのまま新しいインフラ(例:オンプレミスサーバーからクラウドのIaaS)へ移行する手法です。

この中で特に重要な技術が「ストレートコンバージョン」です。COBOLプログラムやJCL(ジョブ制御言語)といった既存資産を、自動変換ツールを用いて新しいオープン系システムで動作するように変換します。手作業を最小限に抑えることで、品質の均一化と移行期間の短縮を実現できるのが大きな特徴です。

短期間・低リスクでの移行実現

リホストの最大のメリットは、長年培われてきたビジネスロジックを変更しないため、業務への影響を最小限に抑えつつ、短期間・低コストで移行を完了できる点にあります。

一方、「リプラットフォーム」は「リフト&ティンカー」とも呼ばれ、リホストをもう一歩進めた手法となります。アプリケーションのコアな構造は維持しつつ、データベースをクラウドのマネージドサービス(例:Amazon RDS)に置き換えるなど、クラウド環境のメリットを一部活用するための最適化を行うことができます。

データ・アプリケーションマイグレーション

システム全体ではなく、特定のデータやアプリケーションに焦点を当てて移行を行う手法です。必要な部分だけを効率的に移行できるため、段階的な移行計画を立てやすいという利点があります。

データマイグレーションの特徴と適用場面

データマイグレーションは、特定のデータをあるストレージやデータベースから別のものへ移動させるプロセスです。例えば、メインフレーム上のデータベースからオープン系のSQLデータベースへデータを移行するといったケースが該当します。

あらゆるマイグレーションプロジェクトにおいて不可欠な要素であり、移行先システムでデータが正しく利用できるよう、データの整合性やセキュリティを確保しながら、適切なフォーマットに変換することが成功の鍵となります。

アプリケーションマイグレーションの実施方法

アプリケーションマイグレーションは、特定のアプリケーションプログラムを新しい実行環境へ移すことを指します。前述のリホストのように単純にインフラを移し替える場合もあれば、より高度な手法として、以下のようなアプローチも含まれます。

  • リライト:プログラム言語自体を書き換える(例:COBOLからJavaへ)
  • リファクタリング:アーキテクチャを全面的に見直す(例:StrutsからSpring MVCへ)

クラウドマイグレーション

オンプレミス環境で運用してきたシステムやデータを、クラウドコンピューティング環境へ移行するアプローチです。コスト削減、スケーラビリティの向上、運用負荷の軽減といった多くのメリットから、現代のマイグレーションにおける主流となっています。

オンプレミスからクラウドへの移行パターン

クラウドへの移行戦略は、AWSなどが提唱する「7つのR」と呼ばれるフレームワークで整理されることが多く、企業の目的や状況に応じた多様な選択肢を提供します。

移行パターン 内容 適用場面
リホスト(Rehost) そのままクラウドへ移行 迅速な移行が必要な場合
リプラットフォーム(Replatform) 部分的に最適化して移行 クラウドメリットを活用したい場合
リパーチェス(Repurchase) SaaS製品を新たに導入 既存システムを廃止して刷新する場合
リファクタリング(Refactor) クラウドネイティブに再構築 最大限の効果を得たい場合
リロケート(Relocate) VMwareベースの環境をそのまま移行 VMware環境をクラウドで継続利用したい場合
リテイン(Retain) 現状のまま維持 移行の必要性が低い、または将来移行予定の場合
リタイア(Retire) システムを廃止 不要になったシステムを削除する場合

AWSやAzureへの移行サービス活用

主要なクラウドプロバイダーは、移行プロセスを円滑化・自動化するための専門サービスを提供しています。

AWSには、サーバーをリフト&シフトするための「AWS Application Migration Service (AWS MGN)」や、データベース移行を支援する「AWS Database Migration Service (AWS DMS)」などがあります。Microsoft Azureも同様のサービスを提供しており、これらを活用することで、複雑な移行作業のリスクを大幅に低減できます。

レガシーマイグレーション

メインフレームに代表されるような、独自技術で構築された旧式の「レガシーシステム」から、LinuxやWindowsサーバー、クラウドといった業界標準技術に基づく「オープンシステム」へと移行することを特に指します。

メインフレームからオープンシステムへの移行

メインフレームは高い信頼性を誇る一方、運用コストの高さや技術者の不足が深刻な課題となっています。オープンシステムへ移行することで、高額なライセンス費用や保守費用を削減し、特定のベンダーに依存する「ベンダーロックイン」の状態から脱却することが可能になります。

COBOLなど旧言語資産の変換と活用

レガシーマイグレーションにおける最大の挑戦の一つが、長年蓄積されてきたCOBOLなどのプログラム資産の扱いです。これらは企業のビジネスロジックそのものであり、貴重な知的財産となっています。

マイグレーションサービスでは、これらの資産を捨て去るのではなく、高度な変換ツールを用いてJavaや現代的なCOBOLなど、オープンな環境で実行可能な言語に変換します。これにより、ビジネスの根幹をなすロジックを継承しながら、システムの近代化を実現できるのです。

これらの手法は、どれか一つだけが正解というわけではありません。多くの場合、これらを組み合わせて段階的に移行を進めることになります。自社の課題と目指すべき姿を明確にし、最適な戦略を選択することが重要です。

マイグレーションサービス利用で得られる5つのメリット

マイグレーションは、古いシステムを新しくするだけの技術的な作業ではありません。正しく実行することで、コスト削減からビジネスの成長加速まで、企業経営に直結する多岐にわたるメリットをもたらします。ここでは、具体的な5つのメリットについて詳しく見ていきましょう。

コスト削減効果

最も直接的で分かりやすいメリットが、ITコストの最適化です。多くの企業が、マイグレーションによって大幅なコスト削減を実現しています。

ランニングコストの削減

高価なメインフレームの保守費用や、老朽化したオンプレミスサーバーの運用管理費は、企業のIT予算を圧迫する大きな要因となっています。オープンシステムやクラウド環境へ移行することで、これらのランニングコストを大幅に削減できます。

ハードウェア更新費用の抑制

特にクラウドマイグレーションの場合、自社で物理的なサーバーやネットワーク機器を所有する必要がなくなります。
数年ごとに発生する高額なハードウェアの購入・更新費用(CapEx)が不要となり、IT投資をより柔軟で予測可能な運用費用へと転換できるのです。

業務効率とシステム品質の向上

既存の資産を活かしつつ、最新技術の恩恵を受けることで、業務効率と品質の両方を高めることが可能になります。

既存資産を活かした機能維持

リホストなどの手法では、長年にわたって改善が繰り返されてきた業務ロジックや、従業員が使い慣れたユーザーインターフェースをそのまま継承できます。
移行後も業務の継続性を保ち、新しいシステムのための大規模な再教育コストを最小限に抑えることができます。

最新技術による処理速度向上

最新のハードウェアや最適化されたプラットフォームへ移行することで、システムの処理速度は格段に向上します。専門的なマイグレーションサービスでは、自動化されたツールと厳格なテストプロセスが用いられます。例えば、新旧システムで同じ処理を行い、出力結果を比較検証することで品質を担保し、本番稼働後の不具合ゼロを実現した事例もあります。

セキュリティリスクの回避

レガシーシステムを使い続けることは、重大なセキュリティリスクを放置することと同義です。マイグレーションは、このリスクを根本から解消する最も効果的な手段となります。

サポート切れによる脆弱性の解消

メーカーのサポートが終了したOSやミドルウェアは、新たな脆弱性が発見されても修正パッチが提供されません。これは、サイバー攻撃者から見れば格好の標的となってしまいます。最新のサポートされているプラットフォームへ移行することで、これらの既知の脆弱性を一掃し、安全な事業基盤を再構築できます。

最新のセキュリティ基準への適合

クラウド環境をはじめとする最新のプラットフォームは、今日の高度な脅威を前提としたセキュリティ機能が標準で組み込まれています。マイグレーションにより、堅牢なアクセス制御、データの暗号化、常時監視といった、旧来のシステムでは実現が難しかった高度なセキュリティ対策の恩恵を受けることができます。

技術者不足問題の解決

企業の持続可能性を脅かすIT人材の枯渇問題に対しても、マイグレーションは有効な処方箋となります。

レガシー技術者の高齢化対策

COBOLやメインフレームの専門技術者の高齢化・引退は、もはや避けられない現実です。システムをJavaやPythonといったより汎用的な言語や、標準化されたクラウドプラットフォームへ移行することで、門戸が広がり、若手から中堅まで幅広い層の技術者を確保しやすくなります。 特定の個人への依存から脱却し、システムの安定的な維持・発展が可能になります。

最新技術者による保守運用の実現

マイグレーションの過程で、複雑化したシステム構造を整理し、ドキュメントを整備することで、システムの属人化(ブラックボックス化)を解消できます。システムがシンプルで分かりやすくなれば、新しい担当者でも保守や機能改修が容易になり、組織全体の技術力向上にも繋がります。

ビジネス変化への柔軟な対応

マイグレーションの最終的な目的は、ITシステムをコストセンターから、ビジネスの成長を牽引する「価値創造エンジン」へと変革することです。

DX推進による競争力強化

硬直的なレガシーシステムでは、市場や顧客ニーズの変化に迅速に対応することは困難です。一方、クラウドを基盤とするような最新のシステムは、俊敏性(アジリティ)を前提に設計されています。

API連携による外部サービスとの柔軟な接続、データのリアルタイム分析、新サービスの迅速な開発・投入などが容易になり、企業のDXを加速させ、新たな競争優位性を生み出すことができます。

システムの拡張性・柔軟性の向上

特にクラウド環境は、ビジネスの成長や需要の変動に応じて、コンピュータリソースを瞬時に拡張・縮小できる「スケーラビリティ」に優れています。これにより、突発的なアクセス集中にも耐えうる安定性を確保しつつ、平常時はリソースを抑えてコストを最適化するなど、オンプレミス環境では困難だった効率的で柔軟なシステム運用が実現します。

マイグレーション実施の4ステップと必要期間

マイグレーションプロジェクトは、その規模や複雑さによって期間が大きく変動します。小規模なものでは数ヶ月、大規模な基幹システムの刷新となると数年を要することもあります。しかし、どのようなプロジェクトであっても、成功のためには体系化されたプロセスを着実に踏むことが不可欠です。ここでは、標準的な4つのフェーズとその期間の目安を紹介します。

アセスメント・移行性診断フェーズ(1-2ヶ月)

プロジェクトの成否を左右する最も重要な初期段階です。ここでの調査・分析の精度が、後続のすべてのフェーズの土台となります。

現状システムの調査と評価

まず、移行対象となる現行システムの詳細な調査から始めます。以下の項目について網羅的に洗い出し、資産として棚卸しを行います。

  • アプリケーションのソースコード
  • データ構造
  • システム間の依存関係
  • 利用されているミドルウェア
  • システムが支えている業務プロセス

この「現状把握」が曖昧なままでは、正確な計画は立てられません。徹底的な調査が成功への第一歩となります。

移行可能性とリスク分析

調査結果に基づき、技術的な移行の実現可能性を評価します。サポート対象外のソフトウェアの有無、複雑なデータ連携、品質の低いデータなど、移行の障壁となりうる課題を特定し、潜在的なリスクを分析します。

多くの専門ベンダーは、このフェーズに特化した「移行性診断サービス」や「アセスメントサービス」を提供しており、客観的な評価を得るために活用することが有効です。

設計・移行方式決定フェーズ(1-3ヶ月)

アセスメントの結果を受けて、具体的な移行計画を策定するフェーズです。

移行方式の設計と選定

ビジネス目標、予算、期間といった制約条件と、アセスメントで明らかになった技術的課題を総合的に勘案し、最適な移行方式(リホスト、リプラットフォーム、リビルドなど)を選定します。そして、移行先となる新しい環境のアーキテクチャを詳細に設計していきます。

移行計画とロードマップ策定

プロジェクト全体のスコープ、詳細なスケジュール、必要な人員とスキル、テスト戦略、関係者へのコミュニケーション計画などを盛り込んだ、具体的な移行計画書を作成します。

特に大規模なシステムの場合は、一度にすべてを移行するのではなく、業務への影響が少ないサブシステムから着手するなど、優先順位を付けた段階的なロードマップを策定することが一般的です。

パイロット移行・検証フェーズ(2-4ヶ月)

本格的な移行作業に入る前に、小規模な範囲で試験的に移行を行い、計画の妥当性を検証するフェーズです。

小規模での試験移行実施

システム全体を移行するリスクを避けるため、まず代表的な機能やデータの一部を抽出し、PoC(Proof of Concept:概念実証)やパイロットテストとして試験的に移行を実施します。

移行方式の検証と調整

このパイロット移行を通じて、選定した移行方式や変換ツールが想定通りに機能するか、移行後の性能は要件を満たすかといった技術的な課題を実地で検証します。

ここで予期せぬ問題が発見されれば、その原因を分析し、本番移行の計画やツールにフィードバックして調整を行います。このフェーズを丁寧に行うことが、本番移行での手戻りや失敗を防ぐための鍵となります。

本番移行・運用開始フェーズ(3-6ヶ月)

プロジェクトの最終段階として、すべての資産を本番環境へ移行し、新しいシステムの運用を開始します。

全資産の本番移行実施

パイロット移行で得られた知見を反映した最終的な計画に基づき、すべてのデータとアプリケーションを新しい本番環境へ移行します。 業務への影響を最小限に抑えるため、この作業は週末や連休など、システムの利用が少ない時間帯に計画的なサービス停止を伴って実施されることが一般的です。

並行稼働と運用引き継ぎ

リスクをさらに低減するため、移行後しばらくの間、新旧両方のシステムを並行して稼働させる場合があります。新システムの動作が旧システムと完全に同等であることを実データで比較検証できます。

新システムの安定稼働が確認された後、旧システムを完全に停止し、運用保守チームへ正式に業務を引き継いでプロジェクトは完了となります。

成功するマイグレーションは、実行そのものよりも、事前の計画や検証に多くの時間を費やします。特にアセスメントとパイロット移行は、プロジェクト全体の失敗リスクに対する最も効果的な「保険」と考えるべきです。この初期段階への投資を惜しまないことが、最終的にスムーズで予算通りのプロジェクト完遂に繋がるのです。

移行リスクを最小化する3つの対策方法

マイグレーションは複雑で大規模なプロジェクトであり、潜在的なリスクを伴います。しかし、適切な対策を講じることで、これらのリスクは管理・最小化することが可能です。ここでは、成功率を高めるための3つの重要なアプローチを紹介します。

自動化ツールによる品質確保

人的な作業に依存するプロセスは、ミスや品質のばらつきを生む温床となります。これを排除し、品質を確保するためには、自動化の徹底が不可欠です。

手作業削減による人的ミスの防止

プログラムのコード変換や大量のデータ移行を手作業で行うと、膨大な時間がかかるだけでなく、ヒューマンエラーが避けられません。

特に「ストレートコンバージョン」などで用いられる高度な自動変換ツールを活用することで、作業の速度と正確性を飛躍的に向上させ、高品質で均一な成果物を得ることができます

再変換可能な環境構築

ツールベースの変換がもたらす大きな利点の一つに、「再変換可能性」があります。もし変換ロジックに不具合が見つかった場合、手作業であれば影響のあるプログラムを一つ一つ修正する必要がありますが、ツールベースであれば、ツール自体を修正して影響範囲の全資産を再度一括で変換できます。

近年では、生成AIを活用してブラックボックス化したシステムの仕様を解析・ドキュメント化し、移行作業の最大70%を自動化するような先進的なツールも登場しています。

段階的移行とテスト戦略

大規模なシステムを一度に切り替える「ビッグバン移行」は、成功すれば短期間で済みますが、失敗した際の影響が甚大です。リスクを分散し、制御するためには、段階的なアプローチが有効です。

パイロット移行による検証

本番移行に先立ち、小規模な範囲でパイロット移行を実施することは、リスク管理の観点から極めて重要です。ステークホルダーへの影響が少ない段階で技術的な課題を洗い出し、解決策を確立することができます。

並行稼働期間の設定

最も安全性の高い移行方式が、一定期間、新旧システムを同時に稼働させる「並行稼働」です。両システムの処理結果を直接比較できるため、新システムの正当性を確実に検証できます。

万が一、新システムに問題が発生しても、業務を止めることなく旧システムで継続できるため、事業継続性の観点から大きな安心材料となります。一時的に運用コストは二重にかかりますが、ミッションクリティカルなシステムにおいては、そのコストに見合うだけの高い安全性を確保できます。

専門家による移行支援の活用

マイグレーションは、多くの企業にとって頻繁に経験する業務ではありません。そのため、専門的な知見と経験を持つ外部パートナーの活用が、プロジェクト成功の鍵を握ります。

経験豊富なマイグレーション専門チームの起用

マイグレーションには、レガシー技術と最新技術の両方に精通し、さらには特有のプロジェクトマネジメント手法を熟知した、高度に専門的なスキルが求められます。社内人材だけでこれを賄うのは非常に困難です。

数百件以上の移行実績を持つような専門ベンダーと協業することで、過去の成功・失敗事例から得られた貴重なノウハウやベストプラクティスをプロジェクトに導入し、予期せぬトラブルを未然に防ぐことができます。

24時間365日のサポート体制確保

本番環境への切り替え作業は、多くの場合、業務時間外の深夜や休日に行われます。このクリティカルなタイミングで万が一の事態が発生した際に、迅速に対応できるサポート体制は不可欠です。

移行中および移行直後の安定稼働を確実にするため、24時間365日対応可能な専門家のサポート体制を確保しておくことが重要です。

これらのリスク対策は、単独で機能するものではなく、相互に補完し合う関係にあります。経験豊富な専門家(人)は、最適な自動化ツール(技術)を選定し、堅牢な段階的移行計画(プロセス)を設計することができます。この3つの要素をバランス良く組み合わせることが、複雑なマイグレーションプロジェクトを成功に導くための王道と言えるでしょう。

マイグレーションサービスの費用相場と選び方のポイント

マイグレーションを検討する上で、費用とパートナーとなるサービス提供企業の選定は、経営層にとって最も関心の高い事項の一つです。ここでは、具体的な費用感と、失敗しないためのベンダー選定の基準について解説します。

規模別の費用目安

マイグレーションにかかる費用は、対象システムの規模、複雑さ、データの量、そして選択する移行方式によって大きく変動します。あくまでキャククル編集チームの調査による目安ですが、システム開発の費用相場から以下のような規模感を想定できます。

中小規模システム:500万円~2000万円

特定の部門で利用されている業務アプリケーションや、比較的小規模なWebシステムなどがこの範囲に該当します。例えば、営業部門だけで使用している顧客管理システムや、社内の情報共有システムなどが含まれます。

大規模システム:2000万円~1億円以上

全社的な基幹システム(ERP)の刷新や、複雑なメインフレームからのマイグレーションなどは、数千万円から1億円を超える大規模な投資となることが珍しくありません。

ただし、これはあくまでシステム開発全体を含む場合の相場です。単純なサーバーのクラウド移行など、インフラのみを対象とする場合は、初期費用数十万円から対応可能なサービスも存在します。

正確な費用を把握するためには、複数のベンダーから見積もりを取得し、その内訳を精査することが不可欠です。

サービス提供企業の選び方ポイント

マイグレーションのパートナー選定は、単なる価格比較に留まってはなりません。プロジェクトを成功に導くための、より本質的な基準で評価する必要があります。

実績と専門性(メインフレーム経験、移行実績120件以上など)

最も重要な選定基準は、信頼できる実績と、自社の課題領域に合致した専門性です。特に、自社と同じ業界での成功事例や、移行対象となるレガシー技術(例:特定のメインフレーム、4GL言語など)に関する深い知見を持っているかは必ず確認すべきです。

例えば、120件以上といった具体的な移行実績数は、その企業が多様なプロジェクトを通じてノウハウを蓄積していることの強力な証左となります。また、こちらの課題を深く理解し、的確な解決策を提示できる「提案力」も、その企業の専門性を測る重要な指標です。

サポート体制(24時間365日対応の有無)

マイグレーションは、システムを移行して終わりではありません。移行後の安定稼働と、新環境での継続的な改善を支えるサポート体制が不可欠です。

特に基幹システムの場合、万が一の障害に備え、24時間365日のサポートが提供されるかは重要な確認項目です。サービスレベルアグリーメント(SLA)の内容を事前に確認し、障害発生時の報告体制やエスカレーションプロセスが明確に定義されているかを見極めましょう。

ベンダー選定の際には、「最も安い見積もりはどこか」という問いから、「どのパートナーが最も高い確率でプロジェクトを成功に導いてくれるか」という問いへと視点を転換することが重要です。

安価であっても経験の浅いベンダーに依頼した結果、プロジェクトが遅延・失敗し、結果的に当初の予算を大幅に超える損害を被るケースは少なくありません。マイグレーションの真のコストとは、ベンダーに支払う費用だけでなく、プロジェクト失敗による事業機会の損失や信用の失墜といったリスクも含まれるのです。

したがって、価格以上に、リスクを確実に低減してくれる「経験」という無形の価値を最優先で評価すべきでしょう。

マイグレーション成功事例から学ぶ導入効果

理論や計画ももちろん重要ですが、ここからは実際の成功事例からマイグレーションの効果を見ていきましょう。

製造業・金融業での導入実績

多くのレガシーシステムが稼働する製造業や金融業では、マイグレーションが喫緊の課題となっており、数多くの成功事例が報告されています。

沖縄電力:短期間・低コストでのオープン化成功

沖縄電力株式会社は、長年の懸案であったメインフレームで稼働する業務システムのオープン化に成功しました。幾度となく見送られてきたこの難易度の高いプロジェクトを、専門的なマイグレーションサービスを活用することで、短期間かつ低コストでWindows Server環境への移行を実現しています。

硬直化したIT基盤から脱却し、将来のDX推進に向けた大きな一歩を踏み出すことができました。

引用元:キヤノンITソリューションズ株式会社HP (https://www.canon-its.co.jp/corporate/info/2022/info-0217)

YKK AP:大規模システムの安定運用実現

大手建材メーカーであるYKK AP株式会社は、本格的なDXへの第一歩として、大規模かつミッションクリティカルな基幹システムのリホスト方式によるマイグレーションを実施しました。

既存のビジネスロジックを維持しながら最新のプラットフォームへ移行することで、システムの安定運用を実現し、事業継続のリスクを大幅に低減させることに成功しています。

引用元:ITLeaders事例ニュース (https://it.impress.co.jp/articles/-/25465)

その他にも、金融機関がCOBOLで構築されたシステムをリホストして安定稼働を実現した事例や、製造業が保守切れの迫るシステムを短期間で移行した事例など、マイグレーションが企業の根幹を支えるシステムを未来へ繋ぐ重要な役割を果たしていることが分かります。

マイグレーションサービスのまとめ

ここまで、マイグレーションサービスの重要性と具体的な導入メリットについて詳しく見てきました。レガシーシステムの課題は、もはや「いつか解決すべき問題」ではなく、企業の成長と競争力を左右する「今すぐ取り組むべき経営課題」となっています。

確かに、長年使い続けてきたシステムを移行することには不安もあるでしょう。しかし、適切なマイグレーションサービスを活用することで、既存の貴重な資産を活かしながら、最新技術の恩恵を受けることができます。コスト削減、セキュリティ強化、業務効率の向上など、得られるメリットは計り知れません。

特に重要なのは、豊富な実績と専門性を持つパートナーを選ぶことです。単なる技術的な作業ではなく、企業の未来を共に創造する戦略的なプロジェクトとして、信頼できるマイグレーションサービスを選択することが成功への第一歩となります。

この記事でご紹介した選定ポイントを参考に、貴社に最適なマイグレーションサービス選びにお役立てください。

免責事項
本記事は、2025年8月時点の情報をもとに作成しています。掲載各社の情報・事例をはじめコンテンツ内容は、現時点で削除および変更されている可能性があります。あらかじめご了承ください。