人材派遣の営業戦略|派遣先開拓・Web集客・継続取引の進め方

人材派遣の営業戦略|派遣先開拓・Web集客・継続取引の進め方

人材派遣の営業では、企業から依頼を受けた後にも課題が残ります。必要なスキルを持つ人材を案内できるか、勤務地や勤務時間がスタッフの希望と合うか。案件を獲得しても、条件がかみ合わなければ就業開始にはつながりません。

だからこそ営業戦略は、自社が対応できる職種・地域と、企業が人材を必要とする業務を照らし合わせることから組み立てます。開拓先の選定、法人向けの情報発信、営業とコーディネーターの連携、就業後のフォローまで、一連の流れで考えることが必要です。

この記事では、派遣先企業の開拓を中心に、人材派遣会社の営業戦略の立て方を解説します。新規開拓の方法からWeb集客、商談での確認事項、稼働・継続を追うKPIまで、自社の営業活動を見直すポイントを紹介します。

人材派遣の営業戦略は、派遣できる職種・地域から組み立てる

営業先を選ぶ際、人手不足の企業を探すだけでは、自社に合う案件を獲得できるとは限りません。企業が必要としている業務と、自社が案内できる人材の経験・希望条件が合うかを確認する必要があります。

まずは現在の登録・稼働状況を整理し、どの職種・地域・勤務条件なら、人材を案内できる見込みがあるかを把握しましょう。登録者数だけでは、現在働ける人の数や対応可能な業務までは分かりません。

整理する項目 確認する内容 営業先の選定への活かし方
職種・業務経験 対応経験のある業務、必要なスキルや資格 具体的な業務を支援できる企業を候補にする
地域・通勤条件 希望勤務地、通勤手段、通勤可能な範囲 対応できる拠点・地域を絞る
勤務条件・開始時期 勤務時間、勤務日数、就業可能時期 企業の必要時期や働き方との整合を確認する
募集・育成体制 対象職種の募集経路、採用実績、研修体制 現在の登録人材で対応する案件と、募集が必要な案件を分ける
既存取引の実績 継続している取引、評価された対応、終了・見送りの理由 自社の対応が評価されている企業・業務を探す

優先する領域と、新しく育てる領域を分ける

現在対応しやすい領域と、今後取り組みたい領域を分けると、営業とスタッフ募集の計画を立てやすくなります。

例えば、特定地域の事務職で登録・稼働実績があるなら、その地域の事務業務を持つ企業が開拓候補になります。一方、未経験の職種へ広げる場合は、企業への営業だけでなく、人材の募集方法や必要な育成、対応体制も検討しなければなりません。

重点領域を決める際は、取引規模だけでなく、派遣料金と必要な費用、募集・フォローの負担も確認します。売上が増えても、無理のある募集や対応が続くようでは、安定した取引につながりにくくなります。

自社の強みを、企業が判断できる言葉にする

「豊富な人材」「手厚いサポート」という説明だけでは、企業は自社の課題を任せられるか判断できません。対応職種、地域、業務理解、連絡体制など、実際の支援内容を伝えましょう。

実績を示す場合も、登録者数だけを大きく見せるのではなく、対象職種や集計時点、対応内容を明確にします。企業が必要としている支援と、自社が実際に提供できる対応が重なるところを、営業の訴求にすることが大切です。

派遣先をどう開拓する?人材派遣の営業戦略で使う5つの方法

開拓対象が決まったら、その企業と接点をつくる方法を選びます。電話・訪問で直接確認する方法も、Webから相談を受ける方法も、相手の状況と自社の体制に合わせて使い分けましょう。

開拓方法 主な役割 実施前に整えること
電話営業 担当部署や人員需要を確認し、商談の接点をつくる 対象企業の条件、連絡理由、対応領域を説明する内容
訪問営業 担当者から業務や受け入れ体制を詳しく聞く 訪問の目的、事前の日程調整、確認する項目
メール・資料の案内 対応領域や支援内容を伝え、検討材料を届ける 連絡の適切性、相手に合う資料、次の案内方法
紹介・既存取引先からの展開 関係のある企業や部署を通じて、新しい相談につなげる 現在の対応品質、紹介先への対応可否、紹介の進め方
Web集客 派遣会社を探している企業や、導入を検討する企業との接点をつくる 法人向けページ、対応職種・地域、相談窓口、問い合わせ後の対応

企業ごとに、連絡する理由を考える

求人掲載や拠点の新設など、公開情報から人員需要を考える材料を集めます。ただし、求人があることと、派遣を利用する意向があることは別です。

初回の連絡では、自社の対応領域を簡潔に伝え、相手の業務や人員計画を確認します。必要な時期が先であれば、許可を得て情報を案内するなど、現在の検討状況に合う接点を残しましょう。

メールなどで案内する場合は、適用されるルールと相手の受付方針を確認します。連絡を断られた企業や、営業連絡を受け付けていない窓口への繰り返しの案内は避けます。

営業後に見てもらう情報を用意する

電話や訪問で関心を持ってもらえても、サイトに対応職種や支援内容が書かれていなければ、担当者が社内で検討しにくくなります。営業資料と法人向けページで、説明する内容をそろえましょう。

直接の営業とWeb集客を、別々の活動として切り離さないことが重要です。営業で聞かれた質問をサイトに反映し、Webからの相談では閲覧内容も踏まえて確認するなど、情報を共有して改善します。

営業リストの作成や初回接触など、新規開拓の実務を詳しく確認したい方は、人材派遣の新規開拓営業の進め方も参考にしてください。

人材派遣の営業戦略を進める商談は、業務と条件の確認から

商談では、必要人数や希望開始日を聞くだけでなく、なぜ人員が必要なのか、どの業務を任せたいのかを確認します。同じ職種名でも、実際の業務や必要な経験は企業によって異なります。

営業担当者が聞いた情報は、コーディネーターなど人材を案内する担当者と共有します。企業の依頼内容と、スタッフに伝える仕事内容の認識をそろえることが、案件を就業開始につなげるための基本です。

確認項目 聞き取る内容
依頼の背景 欠員、繁忙期への対応、業務量の増加など、人員が必要になった理由
具体的な業務 担当する作業、使用するシステムや機器、業務の範囲
必要なスキル 業務に欠かせない経験・資格と、就業後に習得できること
勤務条件 勤務地、勤務時間、勤務日、残業の想定、期間、希望開始日
受け入れ体制 業務を説明する担当者、教育方法、職場環境、相談窓口
予算・検討手順 想定する派遣料金、社内確認の手順、判断に必要な情報

必須条件と、相談できる条件を分ける

依頼された条件をすべて固定したままでは、案内できる人材が見つからない場合があります。業務上必要な条件と、調整の余地がある条件を確認しましょう。

例えば、特定のシステムの使用経験が必要なのか、類似業務の経験と入職後の説明で対応できるのかによって、候補となる人材は変わります。業務の難易度や受け入れ体制を確認したうえで、企業と調整します。

対応可否が未確認の段階で、人数や開始時期を約束することは避けます。社内で確認する担当者と回答予定を決め、対応できる範囲を説明しましょう。

派遣先による採用選考を前提にしない

通常の人材派遣では、派遣先による事前面接や履歴書の提出要請など、派遣労働者を特定することを目的とした行為に派遣元が協力してはなりません。紹介予定派遣とは分けて対応する必要があります。

職場見学は、スタッフ本人の希望に基づいて仕事内容や職場環境を確認する機会として扱います。営業担当者は、業務に必要なスキルや就業条件を確認し、適切な人材の案内と受け入れ準備を進めましょう。

※参照元:東京労働局「派遣労働者を特定する行為の禁止」

人材派遣の営業戦略を支える、法人向けWeb集客の整え方

派遣先企業の開拓とスタッフ募集では、届けたい情報も次の行動も異なります。企業が人材の依頼先を探しているのに、求人検索やスタッフ登録の案内しか見つからないサイトでは、相談につながりにくくなります。

まずは、企業向けの人材相談と、求職者向けの仕事探し・登録の入口を分けることから見直しましょう。法人向けページには、対応職種・地域、支援内容、導入の流れ、相談窓口をまとめます。

職種・地域・業務に合う検索意図へ答える

法人向けの情報発信では、「人材派遣」という広い言葉だけでなく、対応地域や職種、依頼したい業務を踏まえてページを設計します。

例えば、経理業務の派遣に対応する会社なら、どの業務を依頼できるか、必要な経験をどう確認するか、依頼時に何を整理するかを説明できます。ただし、自社で対応していない領域まで集客対象に広げると、問い合わせ後の調整が増えてしまいます。

記事を増やす前に、現在の法人向けページで、対象企業の疑問に答えられているかを確認しましょう。似た内容のページを職種名だけ変えて量産するより、実際の業務や支援内容に合わせて情報を充実させます。

派遣会社を選ぶときの不安に答える

法人向けページでは、自社の紹介に加えて、企業が依頼前に確認したいことを説明します。

  • どの職種・業務、どの地域に対応しているか
  • 依頼から就業開始まで、どのように進むか
  • 派遣料金の見積もりに、どの情報が必要か
  • 就業開始後の連絡・フォローを、誰が担当するか
  • 業務や就業条件について相談したい場合、どこへ連絡するか

事例を掲載する際は、対象業務、依頼時の課題、自社の対応を示します。実績の数字を使う場合は集計条件を明確にし、他の企業でも同じ結果になるような表現は避けましょう。

広告・LPと問い合わせ後の対応をそろえる

特定の職種・地域で広告を出す場合は、広告の内容と遷移先のページを一致させます。広告では職種別の対応を案内しているのに、遷移先がスタッフ募集のページでは、企業が求める情報にたどり着けません。

LPには、対象企業、対応業務、支援内容、相談の流れをまとめます。問い合わせフォームでは、初回の確認に必要な項目を選び、未確定の条件は相談できることも案内しましょう。

問い合わせ後に誰が連絡し、何を確認するかも決めておきます。Web上の説明と営業担当者の案内をそろえて、相談から商談へつなげます。

自社の対応領域は決まっていても、企業に何を伝えるべきか整理できていない場合は、ターゲットと訴求から見直す必要があります。キャククルを運営するZenkenでは、顧客の選定基準と競合との違いを踏まえ、Web上で伝える強みを整理する支援を行っています。

派遣先企業に伝える強み・訴求を相談する

人材派遣の営業戦略に、就業後のフォローと既存深耕を組み込む

就業開始は、取引の終点ではありません。企業への確認とスタッフへのフォローを通じて、実際の業務や職場で困っていることを把握し、必要な対応を続けます。

新規開拓を進める際も、既存の派遣先で何が評価され、どこに課題があるかを確認しましょう。継続している取引の理由は、自社に合う開拓先や、営業で伝える強みを考える材料になります。

企業とスタッフ、双方から状況を確認する

企業には、想定していた業務が進められているか、説明や受け入れ体制で困っていることがないかを確認します。スタッフには、事前に案内した仕事内容と実態の違い、不明点、相談したいことを聞き取ります。

双方の話を聞かずに、一方の説明だけで対応を決めないことが大切です。業務や条件の認識に差がある場合は、事実を確認し、関係者と必要な調整を進めます。

担当者が変わる場合も、相談内容、対応したこと、未解決の事項を引き継ぎます。次に誰が何を確認するかまで記録すると、対応が途中で止まることを防ぎやすくなります。

増員や別部署の相談は、現在の取引を振り返って進める

既存企業に新しい提案をする際は、現在の就業状況や支援内容を確認したうえで、人員計画や別の業務の課題を聞き取ります。対応に課題が残っている場合は、まずその改善を優先しましょう。

別部署や別拠点への展開でも、既存案件と条件が同じとは限りません。勤務地、業務、勤務時間、必要な経験などをあらためて確認し、自社が対応できるかを判断します。

更新や終了の理由も残します。予定されていた業務の終了と、仕事内容の認識違いやフォロー不足による終了では、見直すべき点が異なります。継続しなかった理由を分けて確認することが、次の営業や案件対応に役立ちます。

人材派遣の営業戦略を見直すKPIは、商談から稼働・継続まで

架電数や商談数は、営業活動の状況を把握する指標です。ただし、それだけでは、獲得した案件が就業開始や継続取引につながっているかは分かりません。

成果の確認では、接点、商談、案件、人材の案内、就業開始、継続を分けて追うことが必要です。法人開拓の指標とスタッフ募集の指標も区別し、職種・地域ごとに照らし合わせます。

段階 確認する指標 停滞している場合の確認事項
接点・商談 対象企業数、接触した企業数、法人問い合わせ数、商談数 開拓先、連絡理由、訴求、相談窓口が合っているか
案件化 具体的な業務・条件を確認できた案件数 企業の需要や時期を把握し、必要な条件を確認できているか
人材の案内 人材を案内できた案件数、依頼から案内までの期間 登録・募集状況と案件条件が合うか、社内共有が進んでいるか
就業開始 就業開始人数、開始に至らなかった理由 業務・勤務条件・開始時期の調整に課題がないか
継続・収益 稼働人数、更新対象に対する更新状況、終了理由、追加依頼、粗利益 就業後のフォロー、取引条件、募集・運用負担に課題がないか

契約件数と、就業開始の実績を分ける

基本契約を締結した企業数が増えても、具体的な派遣依頼や就業が発生しているとは限りません。新規取引先数、案件数、就業開始人数を別々に管理すると、どこまで進んでいるかを確認できます。

割合を算出する場合は、対象となる案件や期間をそろえます。「人材を案内できた案件の割合」なら、対象となる依頼の範囲、重複案件の扱い、確認する期限を決めましょう。

継続についても、予定どおり終了する案件と更新を検討する案件を分けます。取引期間の違う案件を一括で比べると、実態に合わない評価になりかねません。

営業で直す課題と、供給体制で直す課題を切り分ける

商談に進まない場合は、対象企業や訴求、接触方法を確認します。案件はあるものの人材を案内できない場合は、職種・地域・勤務条件の整合や募集体制を見直します。

就業開始後に課題が出る場合は、事前の業務確認、受け入れ体制、フォローを振り返りましょう。問い合わせを増やす施策だけで、すべての停滞が解消するわけではありません。

Web施策も、アクセスや問い合わせの件数に加え、どの職種・地域の相談が案件化し、就業開始につながったかを確認します。営業と募集の担当者が同じ記録を見ながら、次に改善することを決めましょう。

人材派遣の営業戦略でよくある質問

テレアポとWeb集客は、どちらを優先すべきですか?

開拓対象の明確さ、現在の接点、運用できる人員・予算によって判断します。対象企業が決まっている場合は、直接の営業で人員需要を確認できます。企業から自社を調べてもらう際に必要な法人向けページも、あわせて整えましょう。

すでにサイトへの訪問や問い合わせがあるなら、その内容と案件化の状況を確認します。手法を増やす前に、現在の接点を商談につなげる余地がないかを見直すことも必要です。

案件は増えているのに、派遣できる人材が見つかりません

案件ごとに、対応できない理由を分けて確認します。職種・スキル、勤務地、勤務時間、開始時期など、どの条件が登録人材や募集状況と合わないのかを整理しましょう。

営業先を自社の対応領域に合わせる、企業と条件を調整する、重点職種の募集・育成を強化するなど、理由に応じて対策を選びます。現在対応できない依頼を獲得し続ける状態なら、開拓対象から見直す必要があります。

派遣料金以外に、何を強みとして伝えればよいですか?

対象業務への理解、対応地域、人材の経験を確認する方法、就業後の連絡・フォローなど、企業が依頼先を判断する材料を整理します。自社が実際に行っている対応と、既存企業から評価されている点を照らし合わせましょう。

「サポートが手厚い」とまとめるより、誰が、どの場面で、何を確認・対応するかを示すほうが、支援内容を理解してもらいやすくなります。

人材派遣の営業戦略で、得意な職種・地域の企業から相談を増やす

人材派遣会社が営業を強化する際は、企業の需要と、自社が対応できる人材・体制を照らし合わせましょう。そのうえで、開拓する企業、商談で確認する内容、Webで伝える情報をそろえます。

例えば、特定地域の経理業務で支援実績があるなら、対応できる業務や経験の確認方法、就業後のフォローを伝えられます。得意分野がサイトや営業資料に表れていなければ、その支援を必要とする企業にも判断材料が届きません。

自社の得意な職種・地域で、どのような企業の業務を支援できるのか。この内容を具体化することが、派遣先開拓と法人向けWeb集客の共通の出発点になります。

対象企業と選ばれる理由を整理して、Web集客へつなげる

キャククルを運営するZenkenでは、ターゲット企業の課題と競合との違いを整理するポジショニングを起点に、Webマーケティングを支援しています。人材派遣会社でも、重点職種・地域、企業が依頼先を選ぶ際の基準、自社の支援内容を踏まえて訴求を設計します。

施策の一つが、顧客の選定基準に沿ってサービスの違いを伝えるポジショニングメディアです。対象企業に自社の対応領域や強みを伝える方法として、検索ニーズ、競合状況、予算などを確認しながら検討します。

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