アプリテストの効率化を図るのに役立つ「テスト自動化ツール」。製品の品質向上のためには欠かせないテストですが、エンジニアの負担軽減のためにテスト自動化ツールを導入する企業が増えています。
この記事では、おすすめのテスト自動化ツールの特徴や費用をまとめて比較しました。ソフトフェアやアプリのテスト作業でお悩みの方は、参考にしてください。
紹介しているテスト自動化ツールの一部資料は下記より無料でダウンロードできます。導入検討の参考にしてください。
おすすめのテスト自動化ツール一覧表
ここでは、おすすめのテスト自動化ツール10選を比較しています。各ツールとサービスの特徴をまとめていますので、自社に合ったツール選びにお役立てください。
| 会社名 | サービスの特徴 |
|---|---|
ATgo |
国産ツールで安心!ローコストでテストを自動化するなら
|
SKYATT |
パッケージソフト開発・販売企業の提供ツール |
Ranorex |
世界中の4000を超える企業で導入実績あり |
Testablish |
夜間や休日でも24時間テストを実行可能 |
SHIFT |
テスト設計から運用までワンストップでサポート |
AGEST(アジェスト) |
カスタマイズでニーズに応じた構築が可能 |
ベリサーブ |
テスト設計の技術者に開発されたツール |
SmartBear |
幅広いアプリケーションのテストに対応 |
Autify(オーティファイ) |
AIによる自動メンテナンス機能搭載 |
Justware |
日本語でシナリオ作成できる |
テスト自動化ツールとは?
テスト自動化ツールは、アプリやソフトウェア開発のテスト工程を効率化するためのツールです。
製品の品質保持のために重要なテストですが、手作業でのテストでは限界があり、エンジニアに大きな負担がかかるだけでなく、作業効率も落ちてしまいます。ヒューマンエラーを減らす観点からも、テスト自動化ツールを導入する企業が増加傾向にあります。テスト自動化ツールの導入効果 ─ 何が変わる?
現代のソフトウェア開発では、市場の変化が速く、リリース速度や品質への要求が高まっています。こうした背景から、従来の手動テストでは追いつかない場面が増え、テスト自動化の重要性が増しています。ここでは、テスト自動化によってどのような効果が得られるのかを、主な課題と改善できるポイントを整理しながら解説します。
開発フローのボトルネック解消
ソフトウェア開発の現場では、以下のような課題がボトルネックとなりがちです。
- 手動E2Eテストの待ち時間が長くなり、次の作業に進めない
- 回帰テストの負荷が増え、リリースが遅れる
- ヒューマンエラーが原因で、手戻りが発生する
これらのボトルネックは、現場でよく見かけるものです。テストを手作業で進める場合、担当者がソフトウェアの各機能を確認しながら結果を判定するため、多くの時間と労力がかかります。その結果、テスト担当者のリソース不足も招きやすくなります。
テスト自動化ツールではこれらのボトルネックを解消し、よりスムーズな開発フローを実現できます。
リードタイムやテストカバレッジの改善
テスト自動化を導入すると、以下のような重要なKPI(指標)の向上が期待できます。
- リードタイム
- 不具合混入率
- テストカバレッジ
- 夜間バッチ稼働率
自動化によってテスト実行が機械的かつ連続的に行われるため、開発サイクル全体のスピードが上がり、リリースまでのリードタイムを短縮できます。また、不具合の早期発見やテストの抜け漏れ防止、ヒューマンエラーの減少など、品質面でも大きな効果を得られるでしょう。
手動と自動のタイムライン比較
テスト自動化の効果をさらにわかりやすくするため、テスト工程にかかる時間の違いを簡単な表で比較します。
| テスト方式 | 担当者の作業時間 | テスト実施可能時間 | 品質面のリスク |
|---|---|---|---|
| 手動テスト | 平日・日中 | 担当者在席時のみ | ヒューマンエラーのリスク高 |
| 自動テスト | セットアップ時のみ | 24時間・夜間も自動で実行 | 一貫性・精度が高くミス減少 |
テスト自動化を取り入れることで、限られた人員でも効率的かつ高品質なソフトウェア開発が可能になります。
テスト自動化ツールの費用と投資対効果
テスト自動化は「投資」として考えることが重要です。ここでは、年間コストの内訳や、どのくらい効果があるか(ROI:投資対効果)を数字でわかりやすく紹介します。
年間コスト内訳モデル
テスト自動化の導入・運用には様々な費用がかかります。主な費用項目を表にまとめました。
| 費用項目 | 内容 |
|---|---|
| ツールサブスクリプション | ノーコード/ローコード/商用ツールの場合は月額・年額で利用料が発生 |
| 教育・トレーニング | メンバーへの使い方教育やノウハウ共有 |
| メンテナンス費用 | スクリプトやテストデータの更新、仕様変更への対応 |
| クラウド実行料 | テスト環境をクラウドで運用する場合の利用料 |
ROIシミュレーション表
ROI(投資対効果)は、「自動化によってどれだけコスト削減・効率化ができるか」を数値で示すものです。計算式は下記の通りです。
| 項目 | 計算例・考慮ポイント |
|---|---|
| ROI(%) | (利益 / コスト) × 100 |
| 利益 | 手動テスト人件費 - 自動テスト人件費 |
| コスト | ツール利用料+初期開発費+年間メンテナンス費等の合計 |
例えば、1日あたり4時間以上テスト作業が発生している現場では、約1年で初期投資を回収できるケースが多いとされています。テスト自動化を早期導入するほど、長期的なコスト削減効果も大きくなります。
早期導入 vs 遅延導入の損益分岐
導入を早めることで得られるメリット、遅れることによるリスクもあわせて考えましょう。特に安定しているテスト工程から段階的に自動化を始めると、費用対効果が高まります。
- 早期導入は、将来的なテスト負債や人件費増加を防ぐ
- 遅延導入は、後からまとめて自動化する分コストや工数が膨らみがち
テスト自動化ツールの比較ポイント
テスト自動化ツールを選ぶ際の比較ポイントについて紹介していきます。
導入コストは適切か
テスト自動化ツールを導入するには、初期コストがかかります。そのため、導入によって初期コストの元を取れるかよく確認することが大切です。テスト自動化ツールはテストが効率的に行えるようになってから、コストの削減につながっていきます。テストを繰り返すことで初期コストを回収できるため、計画的に導入するのがポイントです。
実施するテストが自動化に向いているか
実行したいテストが自動化に向いているかを確認してから、ツールを選ぶ必要があります。導入の前にはしっかり調査・検討を行い、テストが自動化に向いていることを確かめておきましょう。
繰り返し実施する回帰テストや手動でのテスト実施が難しい性能テストのようなテストは、自動化に向いています。自動化に伴ってかかる費用や工数を考慮したうえで、自動化すべきか手動で行うべきかを判断しましょう。
テスト自動化ツール導入の流れと社内合意の取り方
目的を明確にする
まずは自社の開発現場におけるリードタイムや不具合混入率など、現在の数値を把握したうえで、テストを自動化する目的を明確にしましょう。なぜテスト自動化ツールを導入するのか、どのような成果を上げたいのかを明確にすることで、テスト自動化が適しているのか見極めることができます。
テスト範囲を決める
目的を明確にしたらテストの対処範囲を決定します。テストには手動に向いているものと自動化したほうが効率的なものがあるため、テストの対象がどちらなのか見極める必要があります。さらに、どの範囲を自動化するのかを決定しましょう。導入と運用にかかるコストを算出し、損益比較をすれば範囲を決めやすくなります。
導入するツールの決定
どのようなテスト自動化ツールを導入するのかを選定し、具体的に検証を行います。対象となるシステムやテストの範囲・内容によっても適したツールは異なるため、比較したうえで費用対効果を考慮して選定してください。
PoC(Proof of Concept:概念実証)を行う際は、以下のポイントをチェックすることで失敗リスクを減らせます。
- 作業工数がどれだけ削減されるか
- テストシナリオの現場適合率はどうか
- CI/CD(自動連携)ツールとの連携が可能か
部門別説得ポイント
テスト自動化導入には、開発部門・QA部門・経営層の協力が必要です。それぞれの部門への説明ポイントをまとめました。
| 部門 | 関心ポイント | 導入アピール例 |
|---|---|---|
| 開発 | テスト作成負荷・保守性 | テストの自動実行により、手戻りが減り、新機能開発に専念できると伝える |
| QA | カバレッジ・失敗時の原因可視化 | 繰り返しの作業を自動化し、品質管理やレポート分析に集中できる点を説明する |
| 経営 | ROI・リードタイム短縮 | 人件費やリリースの早さが向上し、ビジネス全体の競争力を強化できることを示す |
テスト自動化は、現場に直接関わる開発・QAだけでなく、経営層にもしっかりメリットを伝え、全社一丸で進めることが成功の近道となるでしょう。
環境の構築
ツールを導入したら環境を構築し、テストケースを作成します。改善を繰り返しながら、テストを実行します。
オープンソースツールの活用方法と効果的なテスト自動化のコツ
ここからは、無料で利用できるOSS(オープンソースソフトウェア)の活用方法や、より効果的に自動化基盤を作るコツを解説します。
オープンソースの「Selenium(セレニウム)」とは?
Seleniumはブラウザ自動化ツールとして、ユーザーとブラウザ間のやり取りをエミュレートし、分散型サーバーを用いてブラウザ割当を最適化するプロジェクトです。
W3C WebDriver仕様に基づき、全ての主要ブラウザで互換性のあるコード実行を可能にします。
このプロジェクトは多数のボランティアの貢献により、オープンソースとして提供されています。
Seleniumはコミュニティを結集し、技術者間のオープンな議論の場を提供し、年次カンファレンスを通じて知識共有を促進します。
WebDriverを核とし、様々なブラウザに対応するインターフェースを提供することで、開発者は幅広いテストシナリオを実行できます。
SeleniumなどのOSSツールを「育てる」運用術
OSSのテスト自動化ツールは無料で柔軟性が高い反面、運用設計をきちんとしないと「メンテナンス地獄」になることがあります。特に大切なポイントをまとめます。
- 設定ファイルやディレクトリ構造は、共通ルールを決めて整理
- テストデータ管理も自動生成・分離しておくと、仕様変更時の修正がラク
- プロダクトコード同様、テストコードも設計や保守性を考える
このように工夫することで、長く安定して自動テストを運用できます。
無償と有償のハイブリッド活用事例
無料のOSSと商用サービスを組み合わせて、コストと利便性のバランスをとる方法もあります。
- OSSで自社専用の実行基盤を作る
- 必要な時だけクラウド型の有償デバイスを利用する
これにより、初期投資を抑えつつ、高い品質とテスト効率を実現できます。
また、OSSを使うときは、活発なコミュニティのサポートが大きな武器になります。困ったときは、日本語のSlackやDiscordコミュニティで情報交換することで、疑問やトラブルも素早く解決できます。
テスト自動化ツール導入のメリット
テスト自動化ツールを導入することで、さまざまなメリットが期待できます。
テストを高速化できる
テスト自動化ツールを導入することで、物理的にかかる作業時間を大幅に削減できます。テストを自動化すれば、深夜や休日でも実行できるので、手動では対応できないほどのスピードでテストを行えるようになります。手動では難しい大規模なテストも自動化すれば実行可能です。
コストの削減ができる
テスト実施の工数削減によって、人的リソースの削減もできます。人員不足によってテストがおろそかになったり、手動テストで莫大なコストがかかることは珍しくありません。テスト自動化ツールを利用すれば、手動で行うよりも低コストで製品の品質を確保できます。テストの実行に人手が必要なくなれば、リソースが不足していてもテストを実行できるでしょう。
ミスを防げる
システムによって正誤の判断ができるため、人為的なエラーやミスを防げます。正確でスピーディにテストを実行できるようになれば、効率的で高品質なテストを実現できるでしょう。テストが高速化することで、ミスやバグの早期発見にもつながります。
テスト自動化ツールを導入する際の注意点とトラブルの回避策
テスト自動化には多くのメリットがありますが、導入や運用で失敗しないための注意点も存在します。ここでは、代表的な落とし穴と、その回避策を紹介します。
シナリオ肥大化で破綻するケース
自動化できるからといって、全てのテストを自動化しようとすると、管理が難しくなりがちです。また、UI(画面)変更によりスクリプトが動かなくなり、「メンテナンス地獄」になることもあります。本当に自動化すべきテストのみを選定し、スクリプトやテストデータは分離・モジュール化して管理することでメンテナンスの手間を減らし、トラブルを未然防止できます。
無差別キャプチャ記録の弊害
キャプチャ&リプレイ機能で何でも自動記録すると、管理すべきテストが不要に増えてしまい、費用対効果が下がります。頻繁に実行するテストや重要な機能だけを優先的に自動化することが成功のコツです。
必要に応じて人手テストも引き続く行う
全てのテストが自動化に向いているわけではありません。探索的テストやUXテストは人の感覚が重要なので、手動で実施しましょう。自動化カバレッジは70%程度を目安にすると安定した運用が可能です。
テスト自動化ツールに関するよくある質問
Q1. テスト自動化ツールを導入するメリットは?
テスト自動化ツールの導入により、テスト作業の工数や人件費を大幅に削減できるほか、夜間や休日の自動実行によるリードタイム短縮、不具合の早期発見やヒューマンエラーの減少など、開発現場の効率と品質向上が期待できます。作業を自動化することで、限られた人員でも高品質なソフトウェア開発をできるようになります。
Q2. テスト自動化ツールを選ぶ際の比較ポイントは?
導入コストや自動化できるテスト範囲、操作のしやすさ、CI/CDや他ツールとの連携可否、サポート体制、メンテナンス性などが主な比較ポイントとなります。また、費用対効果や長期運用のメンテナンス負荷も考慮しましょう。
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- 本記事は、2023年9月時点の情報をもとに作成しています。掲載各社の情報・事例をはじめコンテンツ内容は、現時点で削除および変更されている可能性があります。あらかじめご了承ください。
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