ハウスメーカー・工務店のポジショニングマップ事例。軸の決め方の参考に!
最終更新日:2026年03月19日
ここでは、ハウスメーカー・工務店のポジショニングマップ事例を紹介しています。貴社のマーケティング戦略の策定にお役立ていただければ幸いです。
なお、自社が市場において取るべきをポジションを見つけるには、自社の強みと顧客のニーズに加え、競合との違いの洗い出しが必須です。この記事では自社と競合の分析を通じてマーケティングを成果に繋げるためのワークシートも提供しています。ポジショニングマップに加えてぜひ活用してみてください。
住宅業界の現状:縮小市場で「選ばれる理由」を持てるかが生死を分ける
2024年の新設住宅着工戸数は約79.2万戸(前年比▲3.4%)と、15年ぶりに80万戸を割り込んだ。少子化・人口減少・金利上昇が重なり、新築需要の構造的な縮小は今後も続く見通しだ。
一方で市場が変化しているのは「量」だけではない。消費者の選び方そのものが変化している。住宅に求める要素として「ZEH(ゼロエネルギーハウス)の内容まで知っている」と回答した消費者は46%(過去最高)に達し、「ZEH住宅に住みたい・購入したい」という意向は75.6%に上っている。また、2025年4月からは全ての新築住宅に省エネ基準適合が義務化され、ZEH対応は差別化から「前提条件」へと変わっている。
リフォーム市場も2024年に7兆3,470億円を記録し、政府は2030年に14兆円規模への拡大を目標に掲げている。新築一本槍では限界があり、リフォーム・リノベーションを含む事業ポートフォリオの組み替えが求められている。
こうした環境下で、ハウスメーカー・工務店が生き残るためには「自社が何を強みとして戦うのか」を明確にすることが不可欠だ。ポジショニングマップはその「戦い方」を視覚化し、競合との差別化ポイントを整理するための実践的なツールとなる。
ポジショニングマップの軸の決め方には、いろいろな考え方がある。
ポジショニングマップとは、市場での自社ブランドの立ち位置を確認できるツールです。他社に代替不可能な自社のポジションを探しだし継続的な競争優勢を考える際などに使用します。
ポジショニングマップを作成する際、消費者のKBF(購買決定要因)を抽出し、KBFを競合の商品と比較。そして、最後に軸を決めます。
実は、最後のポジショニングマップの軸の選定法には以下のとおり、さまざまな考え方があります。
- 顧客のKBFをポジショニング軸に使う
- 自社が提供するサービスの価値をポジショニング軸に使う
- 顧客がメリットだと思えるポジショニング軸を使う
- 自社の強みを活かせるポジショニング軸を使う
では、それぞれについて詳しく解説しています。
ポジショニングマップの作成方法と軸の決め方について解説
顧客のKBFをポジショニング軸に使う
顧客のKBFとは異なる軸を使用し、ポジショニングマップを制作してしまうことがあります。しかし、これは間違いです。ポジショニング軸は、KBFでなければなりません。
例えば、パソコンを購入する際、消費電力低下を重視する人が増加傾向にあります。以前はCPU速度を気にする顧客も多く存在していましたが、現在ではCPU高速化が進み、KBFではなくなっています。
それにも関わらず、CPU速度をポジショニング軸に使用すれば、上手くいきません。誤った軸を使用しないためにも、しっかりとKBFについて考えていく必要があります。
自社が提供するサービスの価値をポジショニング軸に使う
自社で提供しているサービスに付随する価値をポジショニング軸に使用し、ポジショニングマップを制作すると良いでしょう。顧客に提供することができる価値には、さまざまなものがあります。その中から、競合他社にはない自社の強みとなる価値を軸として設定します。
例えば、ヘーベルハウスが提供している価値は、「構造力が強く、耐久性が高い」です。一方で、一条工務店は「性能が高く、コストパフォーマンスに優れている」といった価値を提供しています。
自社で提供しているサービスの価値を軸に取る場合、まずは提供している価値をリストアップし、魅力的な価値を絞り込みます。そして最後に、競合より魅力的だと思ってもらえる価値を軸に設定してください。
顧客がメリットだと思えるポジショニング軸を使う
顧客へのメリットに基づいたポジショニング軸を使う、という考え方があります。例えば、
- 耐震性が優れている
- デザインが良い
- 要望が伝わりやすい
- 価格が安い
といった観点からポジショニング軸を決定していきます。上記はすべて、顧客が感じることのできるメリットです。上記以外にもたくさんありますので、ターゲットとなる顧客がどのような観点でサービスを選んでいるのかをしっかりと分析しましょう。
自社の強みを活かせるポジショニング軸を使う
自社の強みをポジショニング軸に使用する必要があります。なぜなら、非常に有効なポジショニング軸を探せたとしても、自社がそこでナンバーワンになれないのなら、ポジションを獲得することはできないからです。
また、例え時間がかかってしまっても、ナンバーワンを獲得できそうなポジショニング軸も有効です。逆に近い将来、すぐにナンバーワンを勝ち取れるポジショニング軸は、競合他社もすぐナンバーワンの立ち位置にたどり着けてしまう恐れがあるため、あまりおすすめではありません。
ポジショニングマップの作成方法と軸の決め方
ハウスメーカー業界のポジショニングマップ作成事例
(下記ポジションマップについての内容は、あくまでポジショニングマップを作る際の例を示しているだけのもので、取り上げている企業・団体・商品・サービスなどについて、事実や厳密な調査に即して作られているわけではなく、またその価値、意味について何らかの当社の主張や意図があるわけでもございません。閲覧の際にはその点にご留意いただければ幸いです。)
ポジショニングマップを作ることで、競合他社と自社のサービスとを比較し、同時に自社のサービスを客観的に見ることが可能です。
ポジショニングマップを作成する際は、縦と横の軸を選定し、各軸に高価・安価、こだわりがある・こだわりがないといった要素を加えます。そうして完成したマップに、企業や商品を当てはめていきます。
それでは以下に、3種類のハウスメーカー市場のポジショニングマップ、そして戦うエリアを決定するためのポジショニングマップの作成事例をご紹介しましょう。ポジショニングマップ作成時の軸の決定に、ぜひ役立ててください。
ハウスメーカー市場のポジショニングマップ作成事例①
ハウスメーカー市場のポジショニングマップ作成事例をご紹介いたします。

このポジショニングマップは、ポジショニング軸1を「こだわり」、軸2を「価格」に設定しています。自社をポジショニングマップに当てはめてみると、どういったターゲット層に向けたサービスのポジションにいるのかが明らかになります。
それから、右下の低価格でこだわりがある領域は空白です。そのため、ここはビジネスチャンスがあるエリアであることが分かります。このようにポジショニングマップを作ることで、今後の有望市場を見つけ出すことが可能です。
ハウスメーカー市場のポジショニングマップ作成事例②
では、二つ目のハウスメーカー市場のポジショニングマップ作成事例をご紹介いたします。

このポジショニングマップは、ポジショニング軸1を「シンプル」・「高級感」、軸2を「自由設計」・「規格住宅」に設定しています。この場合、自社の近くに競合A社があります。競合B社やC社は少し離れた距離に位置していますので、自社にとって最も意識すべき競合がA社であることが分かりますね。
ポジショニング軸次第で、さまざまなポジショニングマップが仕上がります。軸を会社規模、デザイン性、品質・性能など何通りも組み合わせてみて、これだと思えるものが作れるまで、とにかくたくさんのポジショニングマップを作るのがおすすめです。
ハウスメーカー市場のポジショニングマップ作成事例③
では、三つ目のハウスメーカー市場のポジショニングマップ作成事例をご紹介いたします。

ポジショニング軸1を「意匠」・「性能」、軸2を「価格」に設定しています。このポジショニングマップを確認しますと、①~③の3カ所が空白であることが分かります。このようにポジショニングマップを作成し、空白のエリアをしっかり把握。その上で、そのエリアで会社の業績を伸ばしていく必要があります。
また、ポジショニングマップで競合の位置を確認し、自社よりも力のある競合とバッティングしないポジションを取る、ということも重要です。
戦うエリアを決定するためのポジショニングマップ作成事例
戦うエリアを決定するためのポジショニングマップ作成事例をご紹介いたします。

ポジショニング軸1を「品質や性能の関心度」、軸2を「デザインの関心度」に設定しています。また4つのエリアを以下のように具体的にし、
Aエリア(デザイン優先):デザイン力が高い、低価格、住み心地よりかっこよさ
Bエリア(妥協しない):デザインが良く性能が高い、ブランド重視、インテリ・金持ち層
Cエリア(コスト低価格):建売住宅、デザイン・質などは重視しない、30代の子持ち夫婦層
Dエリア(品質優先):素材や性能にこだわる、知識が豊富、自分たちでじっくり判断したい
品質・デザインが良い住宅を作っている企業をBエリアに、ローコスト住宅はCエリアといった具合に、自社のエリアにある住宅会社を配置。完成したポジショニングマップ用いて、自社のエリアにはどのような会社が存在し、自社はどのエリアで戦うべきかを確認してみましょう。
工務店14個の集客方法と1つ新しい集客施策で売上アップ
2025年以降のハウスメーカー・工務店ポジショニングに欠かせない「省エネ・ZEH・SDGs」軸
2025年4月、全新築住宅への省エネ基準適合義務化が施行された。これにより、住宅の「省エネ性能」はポジショニング軸としての意味合いが大きく変化した。かつては省エネ・ZEH対応が「先進的ハウスメーカーの差別化要素」だったが、今や最低基準をクリアすることは当然の前提となり、その上でどれほどの高性能を実現できるかが差別化軸になっている。
以下に、現代のハウスメーカー・工務店のポジショニングに活用しやすい「2025年以降の軸候補」をまとめた。
| 軸の種類 | 軸1 | 軸2 | 対象企業イメージ |
|---|---|---|---|
| 省エネ・ZEH軸 | 省エネ基準適合のみ ⇔ ZEH超水準(LCCM住宅など) | 価格(低価格 ⇔ 高価格) | 中価格帯でZEH標準仕様を実現したい工務店 |
| サステナブル軸 | 新建材中心 ⇔ 自然素材・リサイクル材活用 | 規格住宅 ⇔ 自由設計 | 自然素材・無垢材にこだわる地場工務店 |
| 長期優良住宅軸 | 一般住宅 ⇔ 長期優良住宅認定対応 | アフターサービス(短期 ⇔ 長期) | 「建てて終わり」ではなく長期サポートを強みにする会社 |
| リフォーム対応軸 | 新築専業 ⇔ 新築・リフォーム両対応 | 対応地域(狭域 ⇔ 広域) | 地域密着でリフォーム需要も取り込む工務店 |
| スマートホーム軸 | 設備は最低限 ⇔ IoT・スマートホーム標準装備 | デザイン重視度(低 ⇔ 高) | Z世代・テクノロジー感度の高い層をターゲットにする会社 |
重要なのは、新しい軸を採用する際も「自社がその軸でナンバーワンになれるか」という基本原則を外さないことだ。「省エネ対応」と打ち出しても、ZEH標準仕様で圧倒的な実績を持つ大手ハウスメーカーと真正面から戦うのは難しい。そこで、「自然素材×ZEH」「超高断熱×地域密着」「省エネ性能×大幅なコストダウン」など、自社の強みと掛け合わせることで、大手が手薄にしているニッチなポジションを狙う戦略が中小工務店には有効だ。
ポジショニング戦略をベースとしたキャククル(Zenken)のWeb戦略
ここまで、ハウスメーカー業界に関するポジショニングマップついて紹介しました。当社では、ポジショニング戦略をベースとしたWeb戦略をクライアント様にご提案しています。
上記では説明しきれませんでしたが、実際に中小企業様の戦略では、地域性が非常に重要な要素となります。
ですので実際には、地域によるセグメンテーションを行ったうえで、ポジショニングについて検討するという順番になります。
日本の企業構成は、中小企業が99%を占めています。その状況からすると、(中小企業は)多種多様な特徴があり、各社に合ったプロモーション戦略をしなければいけないと思います。
ポジショニングメディアとは
一方で、現在多くのWeb会社が行っている広告モデルは、ポータルサイトを作って「広告掲載しませんか?」というものが目立ちます。ポータルサイトの掲載も有効な手段だと思いますが、それだけでは、各々の中小企業が持つ独自の強みや魅力を、ユーザーに伝えきるのは難しいのが実情です。
また、そもそも自社の強みが何で、競合との差異はどこにあるのか、こういった自社分析や競合分析を充分にしないまま、プロモーション活動している企業も多いと思います。
そこで我々は、クライアントが市場でどのような立ち位置にいるのか明確にするために、ポジショニングメディア(仮名)の作成を推奨しております。ポジショニングメディアとは、
- 各企業の特徴を詳細にまとめ、
- 業界全体を見渡せる
まとめサイトのようなものです。
このメディアは、ランキングサイトのように、優劣をつけるものではないため、サイト自体の集客力はあまりありませんが、市場を俯瞰的に捉えるためのツールとして重宝いただいています。
まずは、ハウスメーカー市場全体を俯瞰的に捉えられる状況を作り、その上で、自社がどうやって戦っていくか具体的な戦略を練る。この手順が重要です。
バリュープロポジションを生かした集客戦略
企業独自の特徴を示す、「USP(Unique Selling Proposition)」というマーケティング用語がありますが、それだけだといわゆる自己満足に終わるので、その先にある、企業独自の特徴と顧客のニーズを合致させる「バリュ―プロポジション」という考え方を基軸に、ターゲット顧客の選定を行っております。
バリュープロポジションとは、
- 顧客からニーズがあり
- 競合他社は提供していない
- 自社が提供することができる
価値のことです。
この情報過多の時代、闇雲に広告を打ってもユーザーの耳には届きません。市場での立ち位置を明確にし、戦うべきポジションを確立した上で、自社ブランディングを行う。この当たり前ですが、とても重要なマーケティング戦略を実現しているのが、弊社の戦略的コンテンツマーケティングです。
ハウスメーカー・工務店のポジショニングマップに関するよくある質問
Q. 工務店が大手ハウスメーカーと差別化するにはどんなポジショニング軸が有効ですか?
大手ハウスメーカーが手薄にしている領域に集中するのが基本戦略です。具体的には①「地域密着×長期アフターサービス(50年保証など)」②「完全自由設計×自然素材こだわり」③「超高断熱×低価格帯でのZEH標準仕様」④「小回りの良さ×迅速な対応」などが、地場工務店が優位に立てるポジションとして機能しやすいです。「規格化・大量生産」を強みにする大手ではカバーしにくい「個別最適化」の領域でナンバーワンを目指すアプローチが有効です。
Q. ZEH対応をポジショニングの軸にするのは今でも有効ですか?
2025年4月から全新築住宅への省エネ基準適合が義務化されたため、「省エネ基準適合」自体は差別化ポイントになりにくくなっています。ただし、「ZEH超水準(LCCM住宅・Nearly ZEH)」や「ZEH標準仕様なのに競合より低価格」「ZEH認定取得の実績が地域No.1」といった形で一歩踏み込んだポジショニングであれば、今でも十分有効な差別化軸になります。単に「ZEH対応」と打ち出すだけでなく、具体的な性能数値・コスト優位性・実績件数で裏付けることが重要です。
Q. 住宅業界でポジショニングマップを作る際のKBFはどのように調査すればよいですか?
住宅は高額・低頻度の購買であるため、購入検討期間が長く、KBFの優先順位は顧客によって大きく異なります。調査方法として①OB顧客への「なぜ当社を選びましたか?」インタビュー、②失注顧客への「なぜ他社を選びましたか?」調査(許可を得た上で)、③住宅比較サイト(SUUMO・ホームズ等)の口コミ分析、④SNSの「注文住宅」「工務店選び」関連投稿のテキスト分析などがあります。「価格」「デザイン」「性能」「アフターサービス」「担当者の人柄」のどれが最終決定要因だったかを把握することが軸設定の精度を上げます。
Q. リフォーム事業も含めてポジショニングマップを作成する場合、注意点はありますか?
新築とリフォームでは顧客のKBFが異なるため、別々のポジショニングマップを作成することを推奨します。新築では「性能・デザイン・価格」が主要KBFになりやすい一方、リフォームでは「対応の速さ・信頼感・施工実績の透明性・地域での評判」が重視される傾向があります。また、リフォーム市場では「口コミ・紹介」経由の受注が多いため、ポジショニングより「顧客維持・紹介獲得の仕組み」の整備が先決になるケースもあります。
Q. 住宅会社がポジショニングを変える(リポジショニングする)際の注意点は?
住宅業界でのリポジショニングは、施工体制・仕入れ先・職人ネットワーク・認定取得(長期優良住宅・ZEH登録事業者など)の変更を伴うため、数年単位の移行期間が必要です。また既存顧客への説明・アフターサービス体制の維持にも配慮が必要です。急激なリポジショニングよりも、「現ポジションを維持しながら新ポジションの実績を段階的に積み上げる」二段階戦略が現実的です。まず新ポジションでの施工実績を5〜10棟程度確保してから対外的な打ち出しを変更する流れをおすすめします。
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