BtoB・法人のポジショニングマップの作り方
最終更新日:2026年02月18日
ここでは、BtoB・法人向け事業のポジショニングマップ事例を紹介しています。貴社のマーケティング戦略の策定にお役立ていただければ幸いです。
なお、自社が市場において取るべきをポジションを見つけるには、自社の強みと顧客のニーズに加え、競合との違いの洗い出しが必須です。この記事では自社と競合の分析を通じてマーケティングを成果に繋げるためのワークシートも提供しています。ポジショニングマップに加えてぜひ活用してみてください。
ポジショニングマップの軸の決め方には、いろいろな考え方がある。
ポジショニングマップとは、市場での自社ブランドの立ち位置を確認できるツールです。ポジショニングマップを作成する際、消費者のKBF(購買決定要因)を抽出し、KBFを競合の商品と比較。そして、最後に軸を決めます。
実は、最後のポジショニングマップの軸の選定方法には以下のとおり、さまざまな考え方があります。
- 顧客のKBFをポジショニング軸に使う
- 自社が提供するサービスの価値をポジショニング軸に使う
- 顧客がメリットだと思えるポジショニング軸を使う
- 自社の強みを活かせるポジショニング軸を使う
では、それぞれについて詳しく解説していきます。
ポジショニングマップの作成方法と軸の決め方について解説
顧客のKBFをポジショニング軸に使う
顧客のKBFとは異なる軸を使用し、ポジショニングマップを制作してしまうことがあります。しかし、これは間違いです。ポジショニング軸は、KBFでなければなりません。
※KBF:Key Buying Factors 顧客が購買を決める要因
例えば、自宅のリビングやダイニングで使う、パソコンを購入する際など、CPU速度はそれほど重要ではありません。見た目や大きさ、タブレットとしても使用できるかや静音性などがKBFになりえます。
それにも関わらず、CPU速度をポジショニング軸に使用すれば、上手くいきません。誤った軸を使用しないためにも、しっかりとKBFについて考えていく必要があります。
自社が提供するサービスの価値をポジショニング軸に使う
自社で提供しているサービスに付随する価値をポジショニング軸に使用し、ポジショニングマップを制作すると良いでしょう。顧客に提供することができる価値には、さまざまなものがあります。その中から、競合他社にはない自社の強みとなる価値を軸として設定します。
例えばハウスメーカー業界の場合、ヘーベルハウスが提供している価値は、「構造力が強く、耐久性が高い」です。一方で、一条工務店は「性能が高く、コストパフォーマンスに優れている」といった価値を提供しています。
自社で提供しているサービスの価値を軸に取る場合、まずは提供している価値をリストアップし、魅力的な価値を絞り込みます。そして最後に、競合より魅力的だと思ってもらえる価値を軸に設定してください。
顧客がメリットだと思えるポジショニング軸を使う
顧客へのメリットに基づいたポジショニング軸を使う、という考え方があります。
例えば建設業界の場合、
- 自然素材で作られている
- デザインが良い
- 要望が伝わりやすい
- 価格が安い
といった観点からポジショニング軸を決定していきます。上記はすべて、顧客が感じることのできるメリットです。顧客にとってのメリットはたくさんありますので、ターゲットとなる顧客がどのような観点でサービスを選んでいるのかをしっかりと分析しましょう。
自社の強みを活かせるポジショニング軸を使う
自社の強みをポジショニング軸に使用する必要があります。なぜなら、非常に有効なポジショニング軸を探せたとしても、自社がそこでナンバーワンになれないのなら、ポジションを獲得することはできないからです。
また、例え時間がかかってしまっても、ナンバーワンを獲得できそうなポジショニング軸も有効です。逆に近い将来、すぐにナンバーワンを勝ち取れるポジショニング軸は、競合他社もすぐナンバーワンの立ち位置にたどり着けてしまう恐れがあるため、あまりおすすめではありません。
ポジショニングマップの作成方法と軸の決め方
BtoBとBtoCではポジショニングマップを作る際、何が違うのか?
BtoBとBtoCではさまざまな違いがあります。そのため、BtoBのポジショニングマップを制作する際、BtoCと全く同じように制作するのが難しいことも。BtoBのポジショニングマップを制作する前に、まずはBtoBとBtoCの違いについて理解しておくのが良いでしょう。
BtoBポジショニングの5つの特徴
BtoBビジネスにおけるポジショニング戦略には、BtoCとは異なる以下の5つの特徴があります。
1. 複数の意思決定者が関わる(多層的な意思決定プロセス)
BtoBでは、購買決定に複数の関係者が関与します。実際の利用者(ユーザー)、購買担当者、意思決定者(経営層)、技術評価者など、異なる役割を持つ人々がプロセスに参加します。そのため、単一の視点ではなく、各役割に合わせたメッセージとポジショニングが必要です。
【重要】各意思決定者のKBF(購買決定要因)を理解し、役割ごとに適切なメッセージを提供することが成功の鍵です。
2. 長期的な関係性と信頼が重要
BtoB取引は一度きりの購入ではなく、長期的な関係性を前提としています。信頼性、安定性、継続的なサポートが重視されるため、短期間での売り込みよりも長期的なパートナーシップの構築を意識したポジショニングが必要です。
【重要】「信頼できるパートナー」「長期的な成長を支援する」といったポジショニングが有効です。
3. ROI(投資対効果)が重視される
BtoBの購買決定は、感情的な衝動購買ではなく、客観的かつ合理的に行われます。費用対効果、投資回収期間、事業への影響など、定量的な評価が重要になります。したがって、ポジショニングにおいても「ROIが明確である」ことの訴求が必須です。
【重要】「3年以内に投資額を回収できる」「生産性を30%向上させる」など、具体的な数値でROIを示すポジショニングが強力です。
4. 複雑な購買プロセスと長い決定期間
BtoBの購買プロセスは複雑で、決定までに数ヶ月〜数年かかることも珍しくありません。情報収集、評価、提案、承認、契約といった複数の段階を経るため、各段階に合わせたコンテンツとコミュニケーションが必要です。
【重要】購買プロセスの各段階(認知→検討→評価→決定)で適切な情報を提供するポジショニングが必要です。
5. 特定の業種・規模に特化したニッチ市場
BtoB市場は、業種、企業規模、地域などで細分化されています。汎用的なポジショニングよりも、特定のターゲット(例:中小製造業の購買担当者)に特化したニッチなポジショニングが成功しやすい傾向があります。
【重要】「食品製造業の工場長向け」「従業員50〜100人の人事担当者向け」といった具体的なターゲット設定が効果的です。
BtoBとBtoCが違うところ
BtoBとBtoCでは何が大きく違うのか整理してみましょう。
複数担当者で購買を最終決定する。しかも慎重に検討を重ねる
BtoBの購入検討は、BtoCと比べて飛躍的に複雑かつ慎重であるといえます。BtoCの場合は、顧客である個人が購入を決定します。一方でBtoBの場合は、購買窓口や助言者など複数の人たちにより決定されるのです。
例えば、商品のリスクが高いか低いか、価値が高いか低いかにより関わる人たちが違ってきます。リスクと価値が共に低い商品やサービスの場合は、一人の担当者が購買を決定するでしょう。また高リスクで低価値の商品やサービス購入の際は、総務や法務の人たちが関わってくる傾向にあります。
したがって、BtoBの場合は購買決定にどのような人たちが関わってくるのかを理解することが重要。
その上で、営業やマーケティング活動を行う必要があります。
慎重に購買を決定するため、決定までに時間がかかることも
BtoCでは時に感情的に、衝動的に購買決定することがあります。一方でBtoBの場合は、BtoCのように感情的に購買決定されることはほとんどなく、客観的に合理的に決定されます。
また、BtoBマーケティングの顧客は、
- 費用対効果
- 他の会社の商品やアフターサービスなどを比較検討
- 購入した商品が事業に悪影響を与えないか
といったことも考えながら購買を検討する傾向にあります。また、自らが購買決定を行った商品が事業に悪い影響を与えた場合、購買担当者としての評価を下げられてしまう恐れもあるため、商品の購買に至るまでに、どうしても時間がかかってしまうのです。
BtoBマーケティングでは設定できるセグメンテーションの自由度が小さい
BtoBマーケティングでは、顧客のニーズを元にセグメンテーションを行った場合、5,6種類程度になることが一般的です。しかし場合によっては、3、4種類ほどになってしまうことも。
また、BtoBマーケティングに一般的なセグメンテーションを用いることは可能ですが、一般的なセグメンテーションでは、競合との差別化を図ることができません。
したがってBtoBマーケティングを行う際は、自社独自の魅力や強み、そして市場について十分に理解した上でセグメンテーションを行う必要があります。
BtoBとBtoCではセグメンテーションの切り口がやや異なる
BtoBとBtoCのセグメンテーションの切り口には多少違いがあります。
セグメンテーションの切り口には、
- 企業属性:業種や売上規模など
- 購買行動:対象部門や取引先との関係性など
- 行動:購買状況は必要とするメリットなど
- 地理:地域、人口、都市の規模など
- 人口動態変数:性別、年齢、職業など
- 心理的変数:価値観、ライフスタイルなど
などがありますが、BtoBには企業属性・購買行動・行動が、BtoCには行動・地理・人口動態変数・心理的変数などがセグメンテーションの切り口として用いられます。
BtoBとBtoCの購入決定までのプロセスの違いなども踏まえ、セグメンテーションの切り口を決定する必要があるでしょう。また、現在はアクセス解析ツールなどを用いてユーザーの行動や属性などを分析することもできますので、上記以外にもさまざまな切り口を用いることが可能です。
BtoBのポジショニングマップは2軸にこだわる必要はない
BtoBのポジショニングマップではこのようにBtoCとは購入検討のプロセスが大きく違い、またセグメンテーションも異なります。
ですので2軸でわかりやすくポジショニングマップで示すことは難しいかも知れません。無理に2軸で作成して、戦略のダイナミックさや良さを損なうのでは本末転倒です。
BtoCとは違うことを理解したうえで、「ある見方ではこういうポジショニングもありえる」というレベルでポジショニングマップを活用するのがよいかもしれません。
BtoB(法人)集客には戦略的Webマーケティングによる広告宣伝が必須
【最新事例】BtoBポジショニング戦略の成功事例
続いて、BtoB市場で成功を収めたポジショニング戦略の最新事例を紹介します。
「中小企業の経理を自動化」freee
freeeは、従来「専門家が使う複雑な会計ソフト」というポジショニングを覆し、「中小企業・個人事業主でも使える簡単な会計ソフト」というポジションを確立しました。ターゲットを「専門家」から「中小企業・個人事業主」に変え、「経理の自動化」「税務申告の自動化」という価値を強調することで、会計SaaS市場のリーディングカンパニーとなりました。
【学び】ターゲットを変えることで、競合がいない市場で「唯一無二」の地位を築ける。BtoBでもターゲットの再定義がポジショニングの鍵となる。
「名刺管理のDX化」Sansan
Sansanは、従来「アナログな管理」が常識だった名刺管理を「クラウドで一元管理」というポジショニングで変革しました。「名刺をスキャンするだけで組織全体で共有できる」という価値を強調し、営業チームの情報共有を革命化しました。さらに「企業全体の資産として名刺を活用」というコンセプトで、個人ではなく組織単位での利用を促進。BtoB SaaS市場で急成長を遂げました。
【学び】「個人のツール」から「組織のツール」へポジショニングを変えることで、市場規模を大幅に拡大できる。
「社会保険の手続きが1時間で終わる」SmartHR
SmartHRは、従来手書き・郵送が主流だった労務手続きを「全てオンラインで完結」できるポジショニングで成功しました。「社会保険の手続きが1時間で終わる」という具体的な成果を強調し、人事担当者の負担を大幅に軽減しました。さらに「従業員が自分で手続きできる」というセルフサービス機能を充実させ、人事部門の効率化を推進。現在では労務SaaS市場のシェアトップを誇ります。
【学び】「時間の短縮」「手間の削減」という具体的なベネフィットを数値で表現することで、強烈なメッセージを伝えられる。
「製造業の業務改善」KINTO Technologies
KINTO Technologiesは、「車のシェアリング」から「モビリティサービス」へとポジショニングを転換しました。単なるレンタカーではなく、企業の移動業務を最適化するソリューションとしてのポジションを確立し、企業の移動コスト削減、従業員の生産性向上を訴求しています。
【学び】既存事業の枠を超え、より大きな課題解決へポジショニングを拡張することで、新たな市場を創出できる。
BtoBポジショニングを実践するための6つのステップ
BtoBポジショニングを成功させるためには、以下の6つのステップが有効です。
ステップ1:ターゲット企業を明確にする
「すべての企業」をターゲットにするのではなく、業種、企業規模、地域、部署などでターゲットを絞り込みます。例:「食品製造業・従業員50〜100人・工場長向け」
ステップ2:意思決定者ごとのKBFを特定する
購買プロセスに関与する各意思決定者(利用者、購買担当者、意思決定者、技術評価者)のKBF(購買決定要因)を特定します。
ステップ3:自社の強みと市場のギャップを分析する
自社の強みを洗い出し、市場で満たされていないニーズ(ギャップ)を特定します。
ステップ4:ポジショニングの軸を決定する
ターゲット、KBF、自社の強みに基づいて、ポジショニングの軸を決定します。BtoBでは多面的な視点が必要なため、2軸以上のポジショニングを検討します。
ステップ5:各意思決定者に向けたメッセージを構築する
各意思決定者のKBFに合わせて、適切なメッセージとコンテンツを構築します。
ステップ6:一貫性を持って発信し、継続的に改善する
すべてのタッチポイントで一貫したメッセージを発信し、市場の変化や顧客フィードバックに基づいて継続的に改善します。
まとめ:BtoBポジショニングは「多層的な意思決定」を理解することが鍵
BtoBポジショニングの最大の特徴は、「多層的な意思決定プロセス」です。単一の視点ではなく、各意思決定者のKBFを理解し、役割ごとに適切なメッセージを提供することが成功の鍵となります。
また、BtoBでは長期的な関係性、ROI、複雑な購買プロセス、ニッチ市場といった特徴を考慮したポジショニングが必要です。汎用的なポジショニングよりも、特定のターゲットに特化したニッチなポジショニングが成功しやすい傾向があります。
もし、貴社のBtoBポジショニング戦略にお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。120業種以上のノウハウを基に、貴社に最適なポジショニング戦略を策定します。
マーケティング戦略策定後には施策に落とし込もう
マーケティング分析をした上で大切なのは、
その分析結果をもとに行うマーケティング戦略の施策と戦術の実行です。
しかし、ほとんどのケースで見受けられるのが、
- そもそも適切な分析ができていない
- 分析はできたが、それを支える戦略と戦術まで落とし込めていない
- 分析や戦略までは組み立てたが、戦術と連動していない
という問題の発生が多くあります。
そのため、多忙な中、分析や戦略策定をしたのにもかかわらず、
成果に繋がらなければ、あなたの貴重な時間もお金も無駄にし、また練り直さなければなりません。
時間がさらにかかれば、状況も変わり市場からさらに置いてかれること可能性もあります。
Zenkenでは、貴社のマーケティング課題をお伺いした上で、
120業種以上のノウハウを基に貴社がどんな市場でどんなターゲットでどんな強みを打ち出していくべきかを分析し、策定。
そして策定結果をもとに貴社の強みを理解したユーザーを集中的に集客できる、
成約までを見据えたWebマーケティングを実行します。
もしマーケティング戦略にお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。













