SaaS企業の営業戦略完全ガイド|新規開拓からリード獲得までの実践手法【2025年版】
最終更新日:2026年02月17日
近年ではパッケージ化されたソフトウェアやシステム導入よりも、クラウドを利用したサブスクリプションモデル等を利用することが主流になりました。これにより、SaaS市場は急成長の動きを見せています。
この記事では今後の市場成長に併せて、SaaS企業のサービスを成長させていくために必要となる、SaaS企業の営業戦略について解説しています。
また、この記事ではポジショニングをベースとしたキャククルのWebマーケティング施策「ポジショニングメディア」についても紹介しています。
- 自社コンセプトにマッチした見込み顧客が増え、契約単価が1000万円向上した
- 商材の強みや特徴を理解した上で反響に至るため、価格競争から脱却し受注単価が2.5倍になった
- 数ある競合から自社に興味を持ってもらえるようになり、反響獲得後から契約までの期間を3分の1に短縮できた
といった成果があるWeb施策についてご興味のある方は、以下で詳しく解説しております。ぜひご確認ください。
SaaS企業の営業戦略におけるキーポイント

サブスクリプションモデルのサービスを取り扱うSaaS市場は、年平均成長率約13%の勢いで急成長しています。
2025年度にはSaaS市場がさらに拡大し、1兆5,000億円規模に達する見込みです。特にエンタープライズ企業(大企業)のデジタルシフトが加速し、SaaS導入が標準化しています。(※1)
広がっていく市場の中で自社サービスのポジションを確立し、シェアを確保・拡大していくためには戦略的に営業を進めていく必要があります。
SaaS企業の営業戦略のひとつとして、エンタープライズ企業の新規開拓は実績・売上に直結するため優先度が高いでしょう。
※1参照元:IDC Japan「国内クラウドサービス市場規模予測」など複数の市場調査レポートを基にした業界予測
SaaS市場の最新トレンド(2025年以降)
2025年以降のSaaS市場では、以下のトレンドが顕著になっています。
- エンタープライズ企業のSaaS導入加速:DX推進により大企業での利用が急増
- PLG(Product-Led Growth)の普及:製品中心の成長モデルが主流へ
- AI・LLMの活用:ChatGPTなどの生成AIを営業プロセスに統合
- インサイドセールスの標準化:リモート営業が当たり前の営業体制へ
これらのトレンドを押さえつつ、自社の営業戦略を最適化することが、競合他社との差別化と成長につながります。
SaaS企業におすすめのエンタープライズ企業の新規開拓

SaaS企業におすすめの戦略のひとつは、エンタープライズ企業を開拓することです。
エンタープライズ企業とは、大手企業や政府機関など比較的規模の大きな企業体のことを指します。
なぜSaaSの営業においてエンタープライズ企業の開拓の優先度が高いかというと
- 顧客単価が高い
- 解約率が低く安定する
この2点が大きな理由です。
エンタープライズ企業は、ユーザー数が多く高い収益を見込めるうえ、サービス導入後の解約率が低いという優良顧客候補。
しかしその分、導入の判断に必要な決済に時間がかかったり、窓口担当と決済担当者が違うということも往々にしてあります。
エンタープライズ企業だけをターゲットとしてしまうと、自社の体力が先に尽きてしまうリスクも。
大切なのは中小企業とエンタープライズ企業、双方に対してアプローチできるように仕組みを整えておくことです。
例えば中小企業に対してはMA(マーケティングオートメーション)などのIT技術を用いて自動的・半自動的な顧客育成(リードナーチャリング)を行い、工数を抑えながら確度を上げていきます。
対してエンタープライズ企業に対しては、その企業特性や組織などを個別に分析・提案し、柔軟かつ丁寧な営業体制をつくることが重要となります。
他部署への波及で売上拡大の機会も
エンタープライズ企業を開拓する利点として、顧客社内の他部署にもサービスを利用してもらいやすくなる点があります。
エンタープライズ企業は導入していただくまでに苦労はありますが、その分ひとつの部署で大きな成果を出せれば、顧客社内の別の部署にも紹介してもらうなど売上拡大のチャンスにつなげやすくなります。
社内で実際に成果が上がっているというのは、決済担当者が検討・決断する際にも強力な決め手になるでしょう。
エンタープライズ企業は、資金力も豊富なため上位のサービスを購入してもらう「アップセル」や、ほかのサービスも購入してもらう「クロスセル」も期待できます。
1社を開拓することで、そこから波及する影響力が高い点がエンタープライズ企業開拓の魅力です。
エンタープライズ開拓のためのSaaS企業の営業戦略とは

ABM(Account Based Marketing)の導入と実践
エンタープライズ企業の開拓には、ABM(Account Based Marketing)が有効です。ABMとは、特定の企業(アカウント)をターゲットに絞り込み、その企業に最適化されたマーケティング・営業アプローチを行う手法です。
従来の不特定多数向けのマーケティングと異なり、ABMは以下の特徴があります。
- ターゲット企業を事前に選定する
- 選定企業ごとにパーソナライズされたコンテンツを提供する
- マーケティングと営業が連携してアプローチする
ABMを実践するには、まずターゲット企業のリストを作成します。企業規模、業界、課題、予算などを考慮し、自社サービスとの親和性が高い企業を選定します。
次に、選定した企業ごとに、企業の課題やニーズに合わせたコンテンツや提案資料を作成します。例えば、製造業向けには「生産性向上」、金融業界向けには「コンプライアンス対応」など、業界特化のメッセージを伝えることで、アプローチの確度を高めます。
ターゲットの選定
エンタープライズ企業への対応は人的リソースやコストもかかるため、やみくもにアプローチするわけにはいきません。
ターゲット企業を絞り込むために、まずは様々なツールを活用し、判断基準となるデータを獲得しましょう。
ツールというのはMA(Marketing Automation)、SFA(Sales Force Automation)、CRM(Customer Relationship Management)といった、マーケティングや営業活動を支援するデジタルツールです。
これらのツールが登場する前は、どのような企業が自社に興味を持っているのかすら認識することができず、適切なターゲット設定の難易度は高いものでした。
しかし現在では、自社への流入経路や興味のある情報、閲覧頻度、どの程度の検討フェーズなのか等をデータとして集計・共有が可能となり、効率的な営業活動ができます。
自社に興味を持っている企業のニーズや課題感を分析し、自社の強みと相性の良い企業を選定の上、営業戦略を練りましょう。
ターゲットを分析しアプローチ
ターゲットの選定が完了したら、その企業を開拓するためのチームを立ち上げましょう。
これはBDR(Business Development Representative)という営業手法で、ターゲット企業に対して能動的にアプローチをかけていきます。
エンタープライズ企業を相手に営業や提案をする上では、決済フローやキーマンの把握、市場環境、ニーズ・課題、予算感、業績など把握しておくべき情報が多岐にわたります。
これらを把握するチームをつくり、新規開拓に特化した動きをしていきましょう。情報の把握には部署などの垣根を超えて、全社的な情報収集・共有が必要になります。
なお、BDRチームが新規の大手企業への専属アプローチに対応し、商談の獲得後はエンタープライズセールスチームが他部門への横展開を目指していく手法が一般的です。
リファラル戦略の推進
エンタープライズ企業の開拓には、リファラル戦略も有効です。上述したABMにより選定したターゲット企業に対して、外部のパートナー企業などと接点がないかを確認してみましょう。
BDRは自社内のリソースや情報を活用するのに対して、外部の力を借りるのがリファラル(紹介)戦略です。
すでにパートナー企業がターゲット企業の情報を持っている場合は、手数料や一部報酬を支払う形で紹介してもらう方法や、自社の代理店として営業をかけてもらう方法があります。
またターゲット企業の情報を手に入れるために、別の企業と手を組む方法もリファラル戦略の一環です。
例えば、同じ企業をターゲットとする別企業とイベントを共催して、ターゲットにアプローチする手法も考えられます。ほかにもSNSでつながりがないか、名刺交換していないかなど、糸口をつかむ可能性があるものは確認してみましょう。
PLG(Product-Led Growth)で成長する営業戦略

近年、SaaS企業で急速に普及している成長モデルが、PLG(Product-Led Growth)です。PLGとは、製品中心の成長戦略を指します。
PLGとは?SaaS企業に求められる成長モデル
PLGは、製品そのものを成長のドライバーにするモデルです。従来のセールスドリブン型(営業主導型)と異なり、ユーザーが製品を直接体験・利用することで、成長を加速させます。
PLGの特徴は以下の通りです。
- フリーミアム:基本機能を無料で提供し、有料プランへ誘導
- セルフオンボーディング:ユーザーが自分で導入・設定を完了できる
- 製品内教育:製品の中で機能や価値を学習できる
- バイラル拡散:ユーザーが他ユーザーを招待・紹介する仕組み
Slack、Notion、Figmaなどの成功事例に見られるように、PLGは特にBtoCのユーザー体験が高い製品で効果を発揮します。一方で、複雑なエンタープライズ製品では、PLGとセールスドリブンのハイブリッドモデルが適しています。
PLGと従来のセールスドリブン型の違い
PLGとセールスドリブン型の主な違いは、以下の通りです。
- PLG:製品が成長の主役、ユーザー体験を重視
- セールスドリブン型:営業チームが成長の主役、提案・交渉を重視
セールスドリブン型では、営業チームが見込み顧客を探し、提案・交渉を行い成約を獲得します。対してPLGでは、製品そのものが「営業担当」として機能し、ユーザーに価値を伝え、有料化へ導きます。
PLGのメリットは、顧客獲得コスト(CAC)の削減と拡散性です。ユーザーが自ら製品を試せるため、営業コストを抑えられ、優れた製品であればバイラル拡散が期待できます。
PLG導入の成功ポイント
PLGを導入する際の成功ポイントは以下の通りです。
- 「Aha! Moment」の設計:ユーザーが製品の価値を瞬時に理解できる体験を提供
- セルフオンボーディングの最適化:営業不要で導入できるフローを構築
- 製品内分析:ユーザーの行動データを分析し、改善に活用
- 製品内成長:製品内でアップセル・クロスセルを促進
特に「Aha! Moment」は重要です。例えば、ユーザーが初回ログインから30秒以内で製品の核心価値を体験できるように設計することで、継続利用率を大幅に向上させることができます。
インサイドセールスとSDR/BDRの役割分担

SaaS企業の営業戦略において、インサイドセールスは不可欠な要素です。インサイドセールスとは、オフィス外に出勤せず、電話やオンライン会議ツールで営業活動を行う営業スタイルを指します。
インサイドセールスとは?SaaS企業での重要性
インサイドセールスは、SaaS企業にとって以下のメリットがあります。
- コスト効率:対面営業に比べ、人件費や移動コストを削減
- スピード:迅速に大量の見込み顧客と接触可能
- データ活用:通話録音、メール履歴など、データに基づいた改善が容易
特にSaaS製品は、対面でデモをする必要がなく、オンラインで十分説明できるため、インサイドセールスとの相性が非常に高いです。
SDRとBDRの違いと役割分担
インサイドセールスには、SDR(Sales Development Representative)とBDR(Business Development Representative)という2つの役割があります。
SDRは、マーケティングから流入してきたリード(見込み顧客)をナーチャリングし、商談化までを担当します。一方、BDRは、ターゲット企業に対して能動的にアプローチ(アウトバウンド)を行い、商談を獲得します。
- SDR:インバウンドリードのナーチャリング、商談化
- BDR:アウトバウンド、ターゲット企業へのアプローチ
SDRとBDRを明確に分けることで、役割を特化させ、営業効率を高められます。ただし、組織規模によってはSDRとBDRを兼任することもあります。
効率的なリードナーチャリング手法
SDR/BDRによるリードナーチャリングを効率化するためには、以下の手法が有効です。
- リードスコアリング:リードの興味度を数値化し、優先順位を付ける
- シーケンス化:定型メールやフォローアップのタイミングを自動化
- マルチチャネルアプローチ:メール、電話、SNSなど複数チャネルでアプローチ
特にリードスコアリングは、営業担当者が「どのリードに優先的にアプローチすべきか」を判断する際の指標となります。リードの行動(Webサイト閲覧、資料ダウンロード、メール開封など)に応じてスコアを付け、閾値を超えたリードから商談化を図ります。
トラッキングとKPI管理
インサイドセールスの成果を最大化するためには、トラッキングとKPI(重要業績評価指標)の管理が不可欠です。
- トラッキング:通話数、メール数、商談獲得数など、営業活動数を記録
- KPI:商談化率、成約率、商談単価、リードから成約までの期間(リードタイム)
これらのデータを日次・週次で可視化し、改善点を特定することで、営業チームのパフォーマンスを継続的に向上させることができます。
AI・LLMを活用した次世代のSaaS営業戦略

2024年以降、ChatGPTなどの生成AI(LLM:Large Language Model)を活用した営業戦略が注目されています。AIは営業プロセスの自動化と効率化に大きな影響を与えています。
営業プロセスにおけるAI活用の可能性
AIを活用することで、営業プロセスの各段階で以下の効果が期待できます。
- リード獲得:AIがターゲット企業を分析し、アプローチすべき企業を特定
- リードナーチャリング:AIがリードの行動から興味度を予測し、優先順位を提案
- 商談:AIが過去の商談データから成約確度を予測
- 提案資料作成:AIが企業情報に合わせたカスタマイズ資料を自動生成
特に、膨大なデータからパターンを学習するAIの能力は、人間には不可能な精度でリードの成約確度を予測することができます。
ChatGPT・LLMを活用したリードナーチャリング
ChatGPTなどのLLMを活用することで、リードナーチャリングの効率を劇的に向上させることができます。
- 営業メールの自動生成:リードの属性に合わせたパーソナライズされたメールを生成
- フォローアップの自動化:メール返信の有無や反応に応じて、適切なタイミングでフォローアップ
- 会議メモの要約:商談中の会話をリアルタイムで要約し、重要ポイントを抽出
例えば、リードの企業情報、役職、過去の行動履歴をChatGPTに入力することで、そのリードに最適な営業メールを数秒で生成できます。これにより、SDR/BDRがメール作成に費やす時間を大幅に削減でき、より多くのリードと接触できるようになります。
営業メール・提案資料の自動生成
LLMを活用することで、営業メールや提案資料の作成を自動化できます。
- 営業メール:ターゲット企業の業界、規模、課題に合わせた文章を生成
- 提案書:企業名、役職名、利用シーンをカスタマイズした提案書を作成
- プレゼン資料:スライド構成案を生成し、営業担当者が微調整
ただし、AIが生成したコンテンツは必ず人間が確認・修正する必要があります。特にSaaS製品のような専門的な商材では、正確性と信頼性が求められるため、AIを「アシスタント」として活用しつつ、最終的な品質は人間が担保することが重要です。
営業予測・成約確度のAI分析
AIを活用することで、リードの成約確度を予測し、営業リソースを適切に配分できます。
- 成約確度予測:リードの属性、行動履歴、過去の成約データから、成約確度をスコアリング
- クロージング予測:現在の商談がいつ成約しそうかを予測し、売上計画に反映
例えば、リードが「製品デモを3回以上見ている」「決裁者との接触がある」「過去6か月以内に類似製品を導入している」といった行動をしている場合、AIは「成約確度が高い」と予測し、優先的にアプローチすべきリードとして提示します。
これにより、営業担当者が限られた時間を、最も成約する見込みが高いリードに集中できるようになります。
リード獲得を加速させるマーケティング連携

SaaS企業の営業戦略において、マーケティングとの連携はリード獲得の鍵を握ります。セールスとマーケティングが一体となって動くことで、効率的かつ効果的にリードを獲得・ナーチャリングできます。
MA(マーケティングオートメーション)の活用方法
MA(マーケティングオートメーション)は、マーケティング活動を自動化するツールです。MAを活用することで、リード獲得とナーチャリングを効率化できます。
- リード獲得:Webサイト、SNS、イベントなどからリードを一元管理
- スコアリング:リードの行動に応じて自動的にスコアを付与
- ナーチャリング:スコアに応じて、メール配信、Webセミナー招待などを自動実行
例えば、リードが「製品資料をダウンロードした」場合、MAは自動的に「製品紹介メール」を送信し、その後「デモ申請」を促すスコアリングとナーチャリングを実行します。これにより、営業担当者がアプローチする際には、すでにリードは製品に興味を持った状態(高確度のリード)になっています。
リードスコアリングと優先順位付け
リードスコアリングは、リードの成約確度を数値化する手法です。
リードスコアリングとは
リードスコアリングとは、リードの属性(企業規模、業界、役職など)と行動(Webサイト閲覧、資料ダウンロード、メール開封など)に応じてポイントを付与し、成約確度を評価する手法です。
スコアリングモデルの構築
効果的なスコアリングモデルを構築するには、過去の成約データを分析し、成約したリードの特徴を抽出します。例えば、「大企業の情報システム部長で、製品デモを2回以上見ているリードは成約確度が高い」といったルールを設定します。
成功するスコアリングの実例
成功事例として、以下のスコアリング設定が挙げられます。
- 企業規模:大企業(+30点)、中堅企業(+20点)、中小企業(+10点)
- 役職:決裁者(+40点)、影響者(+20点)、担当者(+10点)
- 行動:製品デモ視聴(+50点)、資料ダウンロード(+30点)、Webサイト閲覧(+10点)
このスコアリング設定により、80点以上のリードは「営業が優先的にアプローチすべき高確度リード」として判断できます。
セールスとマーケティングの連携(Smarketing)
セールスとマーケティングが連携することをSmarketingと呼びます。Smarketingを実践することで、リードの質と量を最適化できます。
SLA(サービス・レベル・アグリーメント)の設定
SLAは、セールスとマーケティングの間の合意事項を定めたものです。例えば、以下のようなSLAを設定します。
- マーケティング:毎月100件のMQL(Marketing Qualified Lead)を生成する
- セールス:MQLを24時間以内にフォローアップし、SQL(Sales Qualified Lead)の可否を判断する
このように明確な責任分担と時間軸を設定することで、リードが放置されることを防ぎ、効率的なリードナーチャリングが可能になります。
共通KPIと定期的なミーティング
セールスとマーケティングが連携するには、共通KPIと定期的なミーティングが不可欠です。
- 共通KPI:リード獲得数、商談化率、成約率、LTV(ライフタイムバリュー)
- 週次ミーティング:リードの質、ナーチャリングの課題、改善点を共有
共通のKPIを持つことで、セールスとマーケティングが「同じゴール」に向かって動けるようになります。また、定期的なミーティングで課題を共有し、連携を深めることで、リード獲得の効率を継続的に向上させることができます。
成約率向上に向けた営業プロセス最適化

リードを獲得しても、成約率が低ければ売上にはつながりません。成約率を向上させるためには、営業プロセスを可視化し、改善し続けることが重要です。
リードから成約までのプロセス可視化
顧客ジャーニーマップの作成
顧客ジャーニーマップとは、リードがどのようなプロセスを経て成約に至るかを可視化したものです。
- 認知:SaaS製品を初めて知る
- 興味:製品の価値に興味を持ち、情報を探す
- 検討:競合と比較し、導入を検討
- 成約:SaaS製品を導入
各段階で顧客がどのようなアクションをとるか、どのような課題を抱えているかを可視化することで、適切なアプローチを設計できます。
ファネル分析と改善ポイント
ファネル分析とは、各段階のコンバージョン率を分析する手法です。
- 認知→興味:興味を持ったリードの割合(Webサイト閲覧率など)
- 興味→検討:検討に進んだリードの割合(資料ダウンロード率など)
- 検討→成約:成約したリードの割合(商談成約率など)
例えば、「検討→成約」のコンバージョン率が低い場合、商談の質や提案内容に課題があると考えられます。このような改善ポイントを特定し、適切な対策を講じることで、成約率を向上させることができます。
商談率・成約率のKPI設定と改善
主要KPIの定義
成約率を向上させるために、以下の主要KPIを設定します。
- 商談率:商談獲得数 / リード数
- 成約率:成約数 / 商談数
- 平均商談期間:商談開始から成約までの平均期間
- 商談単価:成約額 / 商談数
これらのKPIを日次・週次で追跡することで、営業チームのパフォーマンスを把握できます。
KPI改善のためのPDCAサイクル
KPIを改善するには、PDCAサイクルを回し続けることが重要です。
- Plan:KPIの目標値を設定し、改善計画を策定
- Do:改善策を実施
- Check:KPIの結果を分析し、効果を確認
- Act:効果があれば標準化し、効果がなければ別の改善策を検討
例えば、「成約率が30%から40%に向上しない」という課題がある場合、営業トークの改善、提案資料の刷新、デモ実施方法の変更など、複数の改善策を試み、効果のある方法を見つけ出します。
カスタマーサクセスとの連携でLTV最大化

SaaS企業の売上拡大には、新規顧客獲得だけでなく、既存顧客のLTV(ライフタイムバリュー)を最大化することが重要です。カスタマーサクセスとの連携は、LTV最大化の鍵を握ります。
カスタマーサクセスの役割
カスタマーサクセスは、顧客がSaaS製品を最大限に活用し、満足して継続利用できるように支援するチームです。営業が「顧客獲得」を担当するのに対し、カスタマーサクセスは「顧客成功」を担当します。
- オンボーディング:導入初期のサポート、製品活用の指導
- 成功の定義:顧客ごとに「成功」を定義し、達成を支援
- 定期的なチェック:利用状況を把握し、課題を早期解決
カスタマーサクセスがしっかり機能することで、顧客は製品の価値を実感し、継続利用や追加購入につながります。
解約率(チャーン)の削減手法
解約率(チャーン)を削減することは、LTV最大化に直結します。
- 早期警告システム:利用頻度の低下、サポート頻度の増加など、解約の兆候を検知
- プロアクティブな対応:解約の兆候が見られたら、営業・カスタマーサクセスが連携し、課題解決を提案
- 製品改善:解約理由を分析し、製品改善に反映
特に、解約理由を分析することは重要です。「価格が高い」「機能が不足している」「使い方がわからない」など、解約理由を特定し、適切な対策を講じることで、解約率を削減できます。
アップセル・クロスセルの実践
既存顧客からのアップセル・クロスセルは、LTV最大化の効果的な手法です。
- アップセル:上位プランへの移行、より多くのユーザー数の契約
- クロスセル:関連する別製品や機能の販売
アップセル・クロスセルを成功させるには、以下のポイントが重要です。
- タイミング:顧客が製品の価値を十分に実感したタイミングで提案
- ニーズベース:顧客のニーズに合わせた提案
- 成功事例の提示:同業他社の成功事例を提示し、効果を訴求
例えば、顧客が「ユーザー数が増え、現在のプランでは不足している」という課題を抱えているタイミングで、上位プランを提案することで、アップセルの成約確度を高められます。
SaaS企業の営業戦略で忘れてはいけないこと

SaaSの営業戦略の根幹にある忘れてはいけないことは、「顧客のニーズに応える」ことです。
SaaSのツールやサービスを導入する企業にはニーズや課題があり、それに応える解決手段が自社のツールであると明確に示す必要があります。
顧客の声から機能実装する
SaaSの営業戦略として、機能実装による使いやすさや利便性の改善・ブラッシュアップは常に求められます。
現在の機能に加えて、「今後どのような機能を実装していくか」という期待値も検討フェーズでは含まれるからです。
ニーズを把握し、プロダクト開発部門と常に連携が取れる体制作りが必須になります。
ただしエンタープライズの声だけ優先してしまうことで、別の企業や中小企業などの利便性を損なう可能性もあります。
- 顧客の要望を細分化し、それぞれのニーズに応えていく
- 機能実装のために、自社サービスが持つ本来の利便性を消さない
- 安易な機能実装により、利益を減らしてしまう可能性があることに注意する
上記の点も踏まえて、機能実装には総合的な判断が伴います。
時にはツールの機能とは別の形で、顧客のニーズに応えられる方法がないかという検討も必要になるでしょう。
営業戦略は違っても共通する軸
このページでは、エンタープライズを開拓するための営業戦略にスポットを当ててきました。
しかし、SaaS事業では、エンタープライズの開拓に注力することと同時に、ほかの企業に対しても働きかけなければなりません。
エンタープライズ型の営業に対して、THE MODEL型の営業戦略も把握しておきましょう。
- エンタープライズ型…特定→拡張→関係構築→他部署展開という流れ。アウトバウンドマーケティングを主軸に置いたセールス体系
- THE MODEL型…認知拡大→顧客選定→商談→契約という流れ。インバウンドマーケティングを主軸に置いたセールス組織体系
正反対の性質を持つエンタープライズ型とTHE MODEL型。ですが、どちらも顧客のニーズを把握し応えることが重要である点は変わりません。
自社のSaaSサービスのバリュープロポジションは明確か
SaaSのようにBtoBがメインとなる商材では、その顧客の比較検討フェーズは非常に慎重に行われます。
顧客は当然競合するツールなどの情報も収集しており、社内で重視される指標に沿って検討を進めていきます。
検討フェーズにある顧客に対して、自社のサービスを選ぶべき理由が明確に示せているでしょうか?
自社ならではの提供価値を表すマーケティング用語として「バリュープロポジション」というものがあります。

バリュープロポジションを明確にする際には、顧客のニーズ分析と競合分析を行ってから、自社の強みや価値を見直していきます。
- 自社が展開しているSaaSのツールは、顧客のどのようなニーズに応えたものでしょうか?
- 一方で競合するSaaS企業のツールは、何を強みとして価値提供しているでしょうか?
自社が応える顧客のニーズを明確に示すことで、差別化につながるだけではなく、顧客側も自身にベストなツールを選びやすくなります。
現状の市場環境で、自社が独自性のあるポジションを取れているのかという観点は、営業戦略・マーケティング戦略においても欠かせません。
その第一歩として自社のバリュープロポジションを改めて見直してみてください。
自社にマッチする顧客にアプローチできるWeb戦略
記事の冒頭でお伝えしました、営業戦略とあわせて実施したいWeb戦略として「ポジショニングメディア」というものをご紹介します。
(例)ユーザーがサービスを探すとき

情報が多すぎて、結局どの会社に依頼したらよいかわからず、自社サービスが埋もれてしまいます。

キャククルの集客メディアなら・・・

業界でのポジションを築き上げ、「〇〇なら貴社」というブランディングができます。
なぜこの会社で蓄電池を買うべきかを納得した営業がしやすいユーザーを集められるため、売上に繋がりやすいのも大きな特徴です。
実際にポジショニングメディアを導入した企業からは
- 数ある競合から自社に興味を持ってもらい契約までのリードタイムが3分の1に短縮できた
- 自社の商品・サービスを理解してくれる検討者が増えて商談率が8割以上になった
- 自社商材と費用感の合う検討者が増え、受注単価が2.5倍に増えた
といった成果を実感している声もいただいています。
ポジショニングメディアについては以下ページにもまとめています。売上につながる反響を獲得したい、効率的な集客がしたいという場合はぜひご覧ください。
ポジショニングメディア戦略の
特徴・事例を見る
SaaS営業成功のための実践チェックリスト

最後に、SaaS企業の営業戦略成功のための実践的なチェックリストをまとめました。自社の営業体制と照らし合わせ、改善できる点がないか確認してください。
営業戦略・体制
- [ ] ターゲット企業を明確に定義し、ABMを導入している
- [ ] SDR/BDRの役割分担を明確にし、営業体制を整えている
- [ ] セールスとマーケティングの連携(Smarketing)を実践している
- [ ] PLG(Product-Led Growth)を導入・検討している
リード獲得・ナーチャリング
- [ ] MA(マーケティングオートメーション)を導入し、リード管理している
- [ ] リードスコアリングモデルを構築し、リードの優先順位を付けている
- [ ] インサイドセールス体制を構築し、効率的なリードナーチャリングを行っている
- [ ] AI・LLMを活用し、営業メールやナーチャリングを自動化している
成約率・LTV向上
- [ ] 商談率・成約率・平均商談期間などの主要KPIを設定し追跡している
- [ ] 顧客ジャーニーマップを作成し、営業プロセスを可視化している
- [ ] カスタマーサクセスチームを配置し、解約率削減に取り組んでいる
- [ ] アップセル・クロスセルの戦略を策定し、LTV最大化を図っている
ツール・データ活用
- [ ] SFA(Sales Force Automation)・CRMを導入し、営業活動を管理している
- [ ] 営業データを定期的に分析し、改善に活用している
- [ ] 成約確度予測など、AIを活用した営業支援を行っている
- [ ] バリュープロポジションを明確にし、営業メッセージに反映している
このチェックリストを活用し、自社の営業戦略を見直すことで、リード獲得と成約率の向上につながります。
SaaS営業に関するよくある質問
SaaS営業とは?
SaaS営業とは、自社開発のクラウドサービスを顧客に販売することを指します。顧客に対してSaaS製品やサービスの価値を伝え、契約を獲得し、顧客のニーズに合ったソリューションを提供します。
SaaS営業ツールとは?
SaaS営業ツールは、クラウドベースのソフトウェアとして提供される営業支援ツールのことです。これらのツールは、営業活動や顧客管理を効率化し、営業チームが顧客との関係を築き、売上を拡大するのに役立ちます。
SaaSの基本的な営業モデル・営業手法は?
SaaS(Software as a Service)の基本的な営業モデル・営業手法は以下の通りです。
定期的なサブスクリプションモデル
SaaS企業は顧客に定期的な料金を支払ってもらうサブスクリプションモデルを採用しています。これにより、顧客は利用したい期間に応じてサービスを利用し、SaaS企業は安定した収益を確保できます。
フリーミアムモデル
一部のSaaS企業は、基本的な機能を無料で提供し、より高度な機能やサポートを提供するためのプレミアムサブスクリプションを提供しています。これにより、顧客はサービスを試してから本格的に利用するかどうかを決定できます。
顧客の拡大
SaaS企業は、既存の顧客の利用を拡大することにも焦点を当てています。これは、アップセル(より高いプランへの移行)、クロスセル(関連する追加の製品や機能の販売)、およびリニューアル(サブスクリプションの継続)などの手法を使用して行われます。
トライアンドバイ
多くのSaaS企業は、顧客にサービスを試してもらうための無料のトライアル期間を提供しています。これにより、顧客はサービスの価値を確かめることができ、その後にサブスクリプションへの移行を促すことができます。
インサイドセールス
多くの場合、SaaS企業はインサイドセールス(電話やオンライン会議などのリモート手法)を使用して新規顧客の獲得を行います。これにより、効率的に大量の見込み顧客とのコミュニケーションを行い、顧客を獲得しやすくなります。
カスタマーサクセス
SaaS企業は、顧客がサービスを最大限に活用し、満足して継続して利用してもらうために、カスタマーサクセスチームを活用しています。このチームは、顧客のニーズや課題を理解し、適切なサポートやトレーニングを提供することで、顧客の成功を支援します。
営業戦略・マーケティング戦略全般でお悩みなら…
キャククルを運営するZenkenは、クライアント企業ならではの強みを徹底分析し、それを軸とした集客・マーケティング戦略のご提案を得意としています。
いままでにSaaS企業を含む120業種以上のクライアント企業を支援してまいりました。
現状のマーケティング戦略がうまくいっていない、広告などから反響はあるものの成約につながっていない…、そのようなお悩みや課題がありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。












