採用ブランディングとは?目的・進め方・成功事例・KPI設計を解説

採用ブランディングとは?目的・進め方・成功事例・KPI設計を解説
share
Facebook Twitter はてなブックマーク Pinterest

求職者から選ばれ続けながらも欲しい人材を採用するためのミスマッチ防止に役立つのが「採用ブランディング」。

しかし採用ブランディング戦略を導入したい場合、実際どのような方法を取ればいいかわからないことも多いでしょう。
当記事では、採用ブランディングとはなにか、また採用ブランディングを行っている会社の事例について詳しく紹介しています。

また、当キャククルでは各企業の求人・採用における課題解決の一助となる新しい採用施策「職業ブランディングメディア」を提案しております。求職者が条件や知名度で会社を選ぶのではなく、職業の魅力で会社を選ぶための採用チャネルとなります。
無料相談も承っておりますのでご活用ください。

採用メディアについて
無料相談する

採用ブランディングとは、求職者のKBF(購買決定要因)を先に特定し、それに対して一貫したメッセージを設計することで採用決定率と定着率を同時に高める経営施策です。「応募数を増やす広告施策」と混同されがちですが、本質はまったく異なります。

本記事では、採用ブランディングの正確な定義から採用広報・採用マーケティングとの違い、自社で動かせる6ステップの進め方、成果を経営に報告できるKPI設計、そして12社の成功事例を体系的に解説します。求人媒体費が膨らむ一方で応募の質が上がらない、採用しても早期離職が続くという課題を抱える経営者・人事担当者に向けた、実践的なガイドです。

なお、本メディア「キャククル」は Zenken株式会社が運営する成約特化型の比較メディアです。採用支援分野での豊富な支援実績をもとに、中小企業が再現できる採用ブランディングの型をご紹介します。

採用ブランディングとは?わかりやすく解説

採用ブランディングとは、自社をブランドとして捉えた上で、採用したい人材から就職先として選ばれるよう企業としての魅力を設計・発信・継続改善する一連の活動です。単なる求人広告や採用サイトの整備ではなく、「どんな企業として認知されるか」を経営レベルで設計し、認知から内定承諾・定着まで一貫したメッセージで貫くことがポイントです。

採用ブランディングの定義

採用ブランディングとは、企業の魅力を高める活動を指します。就職活動を行っている人に向けて自社の魅力を伝えてアピールすることにより、「この会社で働いてみたい」と思ってもらい、就職希望者を増やすことが目的です。

重要なのは、採用ブランディングが「広告を打つ」という単発施策ではなく、企業のアイデンティティと採用メッセージを一致させる継続的なプロセスである点です。求職者は情報収集を徹底しており、採用サイトの言葉と実際の社員の声に矛盾があれば、すぐに見抜かれます。一貫性のあるブランドメッセージだけが、カルチャーフィットした人材を引き寄せます。

なぜ今、採用ブランディングが求められるのか?

採用ブランディングが経営課題として浮上している背景には、3つの市場変化があります。

第一に、求人媒体費の高騰です。主要求人サイトへの掲載費は年々上昇しており、複数媒体に同時掲載しなければ母数が確保できない状況が続いています。しかし費用を積み増しても応募の質が上がらないという声は、中小企業の採用担当者から広く聞かれます。

第二に、応募者の情報収集行動の変化です。求職者は求人票だけでなく、SNS・社員ブログ・口コミサイト・採用動画など複数のタッチポイントで企業を比較します。企業側が発信しない情報の空白は、ネガティブな推測で埋められます。

第三に、早期離職の増加です。採用コストの大部分が「採用後3ヶ月以内の離職」で無駄になっています。これは採用ブランディングの失敗、すなわち「実態と発信内容のズレ」から生まれるミスマッチが主因です。

この3つの課題を同時に解決できるのが、正しく設計された採用ブランディングです。採用ブランディングは「施策」ではなく「経営戦略」として位置づける必要があります。

採用ブランディングと採用広報・採用マーケティングの違いは?

採用ブランディング・採用広報・採用マーケティングは混用されがちですが、目的・手段・時間軸が異なります。3つを整理しないまま施策を実行すると、「やっているけど成果が出ない」状態に陥ります。

3つの概念を比較表で整理

概念 目的 主な手段 成果指標 時間軸
採用ブランディング 「選ばれる企業」としての認知形成・定着率向上 採用コンセプト設計、メッセージ統一、インナーブランディング 内定承諾率・定着率・企業認知度 1〜3年(長期)
採用広報 企業情報の発信・認知拡大 プレスリリース、社員インタビュー、採用サイト更新 PV数・メディア掲載件数・応募数 3〜6ヶ月(中期)
採用マーケティング 応募者の獲得・ファネル最適化 求人広告、SEO、SNS広告、スカウト 応募数・応募単価・選考通過率 1〜3ヶ月(短期)

エンプロイヤーブランディングは採用ブランディングとほぼ同義ですが、既存社員向けの「インナーブランディング」を強調する文脈で使われることが多い概念です。

採用マーケティングについて詳しくは、採用マーケティングの手法・進め方もあわせてご参照ください。

採用ブランディングは3つを束ねる上位概念

採用広報と採用マーケティングはあくまで「手段」です。採用ブランディングは「どう見られたいか」を決める上位設計であり、広報・マーケの両施策に一貫性をもたらす土台です。

例えば、採用マーケティングで「成長環境」を訴求しながら、採用広報で「ゆるい職場環境」を打ち出すと、求職者にとってメッセージが矛盾します。採用ブランディングで採用コンセプトを先に言語化することで、すべての施策が同じベクトルを向きます。

実務上の使い分けとしては、「採用ブランドの定義・メッセージ設計」は採用ブランディング、「記事・動画の制作・発信」は採用広報、「広告運用・スカウト・応募分析」は採用マーケティングとして役割を分担することが有効です。

採用ブランディングを実施する3つの目的

採用ブランディングを実施する目的

採用ブランディングの目的は、カルチャーフィットした人材の安定確保・内定承諾率と定着率の向上・採用コストの中長期削減の3点に集約されます。「応募数を増やすこと」は手段であり、目的ではありません。この認識のズレが、施策が成果につながらない最大の原因です。

カルチャーフィットする人材を安定確保する

一番の目的は、企業にマッチする人材を確保することです。ただ優秀な人材というだけでは、企業理念や働き方でミスマッチが起こることもあり、就職後のやる気が持続しない、採用しても定着せず転職してしまうなどの問題が発生することもあります。

採用ブランディングで企業理念・企業文化・価値観を正確かつ魅力的に発信することで、「この企業の考え方が好き」という前提で応募してくる人材が増えます。カルチャーフィットを基準に設計された採用ブランディングは、入社後の早期離職リスクを構造的に下げます。

内定承諾率と定着率を高める

就職希望者は複数の企業に応募していることがほとんどで、いくつかの企業から内定があった場合、志望度の高い企業が優先されます。他社と比較して自社にどんな魅力があるかをアピールする採用ブランディングにより、応募者の第一志望の企業へと引き上げることができます。

採用ブランディングが機能すると、応募者は入社前から企業への理解・共感が深まり、内定後の辞退率が下がります。さらに入社後の「思っていたのと違う」というギャップが減るため、定着率も同時に改善します。内定承諾率と定着率は表裏一体であり、採用ブランディングはこの両方を同時に改善できる唯一の施策です。

採用コストを中長期で削減する

企業の知名度を上げて多くの人の目に留まるようになれば、より多くの応募者と出会うことが可能になります。採用ブランドが定着すると、指名検索・口コミ・リファラルによる自然流入が増え、高額な求人媒体への依存度が下がります。

採用コストの削減は一度の求人費節約にとどまらず、「再採用コストの削減(定着率向上)」「選考コストの削減(ミスマッチ減少)」「採用活動期間の短縮」という三重の効果をもたらします。採用ブランディングへの投資は、3〜5年スパンで見ると最も費用対効果の高い採用施策のひとつです。

Zenkenへのお問い合わせはこちら

採用ブランディングで得られる6つのメリット

採用ブランディングを実施するメリット

採用ブランディングを実施することにより、認知度向上・競合差別化・応募数増加・ミスマッチ防止・採用コスト削減・定着率向上という6つのメリットが得られます。それぞれが独立した効果ではなく、互いに連鎖して採用ファネル全体を改善します。

競合他社と差別化できるのか?

採用ブランディングは、競合他社との差別化を図ることが目的のひとつでもあります。就職希望者が重視するのは、賃金や福利厚生、仕事内容などの条件面ですが、同業種だとどうしても似たり寄ったりになりがちです。

採用ブランディングで発信できるのは条件面だけでなく、仕事のやりがいや数年後にどれだけ成長できるかなど、実際に働きたくなると思えるようなイメージです。条件面で比較して迷った際に、自社を選んでもらえるような「感情的な決め手」を作ることが差別化の核心です。

応募者数は本当に増えるのか?

希望の就職先として有名企業の名前を挙げる人も少なくありません。企業としての認知度が高いだけでも応募者数は増加しますので、採用ブランディングで企業をブランド化させることは、採用活動において継続的に有利になります。

メカニズムは単純です。採用ブランドが形成されると、求職者が「あの会社で働きたい」と口コミやSNSで語るようになり、指名検索・リファラル・自然応募が増加します。求人掲載費をかけずに自然流入が増えるこの状態こそ、採用ブランディングが目指すゴールです。

入社後のミスマッチを防げるのか?

採用ブランディングを活用することで、より詳しく自社で働く魅力を発信し、働くイメージを具体的に伝えることができるため、応募者と企業のミスマッチを防ぐことが可能になります。

重要なのは「良いことだけを発信しない」という逆説的な考え方です。大変な仕事、求められるスキル、文化的なフィット感を正直に伝えることで、「わかっていたうえで入社した」という意識が生まれ、早期離職のリスクが構造的に下がります。

採用コストはどれだけ下がるのか?

採用コストの削減は三重の構造で起きます。第一に、求人のし直しや採用活動の長期化をなくし、総合的なコスト削減につなげることが可能です。第二に、ミスマッチ離職が減ることで再採用コストが発生しません。第三に、採用ブランドの浸透により自然応募が増え、掲載媒体数を絞ることができます。

中長期では、採用単価(採用1人あたりのコスト)が大幅に改善します。採用ブランディング未実施の企業と比較すると、定着率と採用単価の両方で大きな差が生まれます。

既存社員への効果はあるのか?

採用ブランディングはこれから入社する人材を集めるためのものだけでなく、すでに在席している社員の離職率低下にもつながります。企業としての知名度が上がれば有名企業としてのブランドイメージも定着し、優良企業で働いているという自信を持て、自己肯定感が高まります。

さらに、採用ブランディングのプロセスで「企業の強み・文化・価値観」を言語化する作業そのものが、社内のエンゲージメント向上につながります。既存社員が「自分たちの会社の魅力」を言語化できるようになると、自然なリファラル採用にも発展します。

競争優位性はどれほど続くのか?

強固な採用ブランドを築くことで、企業は他社との競争において優位性を確保できます。採用ブランドは一朝一夕に形成されるものではないため、一度定着すると短期間では模倣されません。これが採用ブランディングを「資産」と呼ぶ理由です。

条件面の改善(給与・福利厚生)は競合がすぐに追随できますが、「文化・働き方・ビジョン」の魅力は模倣に時間がかかります。採用ブランドは積み重ねるほど堅固になる、中長期の競争優位の源泉です。

採用ブランディングの進め方・6つのステップ

採用ブランディングの実施方法

採用ブランディングを成功させるには、自社分析→ペルソナ設定→計画策定→コンテンツ設計→チャネル選定→KPIで改善、という6ステップを順番に実施することが重要です。ステップを飛ばすと、どこかで必ず「誰に、何を、どう伝えるか」の軸がブレます。

ステップ1 自社の強みとポジションを分析する

情報を発信する前には、まず自社が業界内でどのような立ち位置にあるかを把握し、競合他社がどんな採用活動をしているのかリサーチした上で、自社がアピールできる魅力や他社との違いを明確にします。

分析の出発点は「競合との差分」です。同業3〜5社の採用サイト・社員インタビュー・SNSを横断して、共通して打ち出している訴求軸を洗い出します。そこに存在しない訴求軸、すなわち「競合が言っていない自社の強み」が採用コンセプトの素材になります。「○○ならこの企業」というように、印象に残るイメージを与えるようなブランド構築を心がけましょう。

ステップ2 採用ターゲット(ペルソナ)を設定する

採用した人物像のターゲットを選定し、希望する人材へ向けてポイントを絞り込みましょう。ペルソナ設定には以下の項目を具体的に設定することが肝心です。

設定すべきペルソナ項目は、学歴・職歴・保有スキルという基本属性に加え、「価値観(何にやりがいを感じるか)」「情報収集行動(どの媒体で企業を調べるか)」「KBF(どの要素が入社の決め手になるか)」です。特にKBFの言語化が、後のメッセージ設計を左右します。カルチャーフィットの基準を採用活動より先に言語化しておくことで、選考の判断軸も統一されます。

ペルソナが想定できたら、その人物に向けてどうやって情報を発信していくか、どんなメッセージが伝わりやすいかなどを検討して、採用ブランディングを進めていきます。

ステップ3 中長期の採用計画を策定する

企業のブランディングは一朝一夕にできるものではありません。そこでブランディングを中止しては意味がありません。採用ブランディングは認知→関心→応募→承諾→定着という採用ファネル全体を設計する長期プロセスです。

計画には「フェーズごとのマイルストーン」を設定します。例えば、最初の3〜6ヶ月は認知拡大(採用サイト・SNS開設)、6〜12ヶ月は応募質の改善(コンテンツ充実)、12ヶ月以降は定着率の改善(インナーブランディング)といった段階的な目標設定が現実的です。

ステップ4 発信コンテンツを設計・制作する

就職希望者へ発信する情報として、どんな言葉やイメージが心に響くか、自社分析で集めた情報を整理してみましょう。ペルソナに向けて伝える情報を絞り込んでいきます。

コンテンツの優先順位は、採用コンセプトの言語化→社員インタビュー(KBFに沿ったテーマ設定)→職場の日常発信(SNS)→採用動画の順です。社員インタビューはペルソナが「自分と似た人がいる」と感じられる人選が効果的です。実際に働きたくなると思えるような、職場風景や働いている人のインタビューなど、より働くことがイメージしやすい動画でアピールすることも効果的です。

ステップ5 採用チャネルを選定して発信する

採用ブランディングにおいて、マッチする人材が集まるかどうかは発信方法によっても大きく左右されます。業界や企業の特徴に合わせて決定することで、希望する人材とマッチしやすくなります。

チャネル選定の基準は「ターゲット年齢層」「採用職種・業界」「運用リソース」の3軸です。20代ターゲットならInstagram・TikTok、管理職・専門職ならLinkedIn、即戦力エンジニアならGitHubやQiita連携が有効です。チャネル別の詳細な使い分け方はH2-7で解説します。就職希望者がどんな媒体で情報収集しているのかを分析し、必要な情報をわかりやすくかつ印象に残るように発信していきましょう。

ステップ6 KPIで振り返り・改善を繰り返す

採用ブランディングによってどのくらい応募者が増えたのか、応募者にはどんな人材が多いのかなどを分析し、希望する人材とマッチしていないようなら発信する情報を見直すことも必要になります。ただ漫然と同じ情報を流し続けるのではなく、定期的な振り返りや見直しによって手法を改善し、複数の手段を試してみるなど時間をかけて取り組んでいってください。

月次レビューの基本は「前月比でどの指標が動いたか」の確認です。採用ファネルの5段階ごとのKPI設定と月次レビュー項目の詳細は、H2-8で体系的に解説します。

Zenkenへのお問い合わせはこちら

KBF起点の採用ブランディング設計とは?

KBF(Key Buying Factors)起点の採用ブランディングとは、求職者が企業を選ぶ際の最後の決め手となる要因を先に特定し、その要因に対して一貫したメッセージを設計するアプローチです。「応募数を増やすブランディング」から「定着率を上げるブランディング」への発想転換がここにあります。

求職者が本当に重視する採用KBFとは何か?

採用文脈におけるKBFとは、求職者が複数の内定先から一社を選ぶ際に最後の一押しになる要因のことです。一般的に採用KBFは以下の5つに分類されます。

KBFカテゴリ 具体的な要素 採用ブランディングでの訴求方法
成長環境 スキルアップ機会、昇進スピード、研修制度 社員の成長ストーリーを軸にしたインタビュー
文化・カルチャーフィット 価値観の一致、チームの雰囲気、意思決定スタイル 日常の職場風景・社員のリアルな声を発信
ワークスタイル リモートワーク、フレックス、副業可否 制度の詳細と実際の運用実態を明示
ミッション共感 事業への共感、社会的インパクト、ビジョン 代表・幹部メッセージ、事業の背景・目指す世界
待遇・安定性 給与水準、福利厚生、業績安定性 具体的な数値・制度内容の透明な開示

採用ブランディングで重要なのは、これら5つすべてを網羅することではなく、自社が競合と差分を出せるKBFを選び、そこに集中的にメッセージを設計することです。採用ブランディングの失敗の多くは「すべての良いことを言おうとして、何も刺さらない」パターンから生まれます。

採用コンセプトの設計方法については、コーポレートブランディング会社の比較・選び方も参考になります。

KBFを起点にメッセージを設計する3つのステップ

KBF起点のメッセージ設計は3段階で進めます。

① 自社のKBFを求職者視点でリストアップする:社内ヒアリング(「なぜこの会社を選んだか」)と退職者インタビュー(「何が決め手で離職したか」)を組み合わせると、実態に近いKBFが浮かび上がります。採用担当者の主観ではなく、実際に入社した社員の言葉が出発点です。

② 競合と差分のあるKBFを選択する:競合他社の採用サイトを調査し、どのKBFで競合が強く訴求しているかを把握します。競合が訴求していない、または弱いKBFに自社の強みがあれば、そこが差別化ポイントになります。ポジショニングメディア戦略の発想と同じく、競合不在の訴求軸を探すことが重要です。

③ チャネル別にメッセージを変換する:採用サイト・SNS・採用動画・求人票ではそれぞれ「伝えられる情報量」「見るタイミング・文脈」が異なります。コアメッセージは統一しながら、チャネルごとに深さと形式を変えて設計します。

中小企業が少人数で回す採用ブランディング体制

採用ブランディングと聞くと「大企業がやること」と思われがちですが、中小企業のほうがむしろ有利な面があります。意思決定のスピード、社長や創業者が直接発信できる真正性、チームの距離感の近さは、大企業には出せない魅力です。

担当者1〜2名でも継続できる運用設計の要件は3つです。

第一に、コンテンツ量より発信サイクルの設計です。月1本の長文記事より、週2〜3回の短い社員投稿のほうが継続性があり、求職者へのタッチポイントも増えます。

第二に、社員を巻き込む仕組みです。採用担当者だけが発信するのではなく、現場の社員が自分の言葉で発信できる場を設けることで、コンテンツ制作の負荷が分散し、情報の真正性も高まります。Slackの「#採用ネタ」チャンネルのような仕組みが有効です。

第三に、外部支援の適切な活用です。採用コンセプトの設計や採用サイトの構築は外部専門家に依頼し、日常的なコンテンツ発信は社内で回すという分担が、費用対効果の面で最も合理的です。ポジショニングメディア戦略についてはポジショニングメディア戦略とはもご参照ください。

採用ブランディングに使える主要チャネルと使い分け方

採用ブランディングのチャネルは、採用サイト・SNS・動画・オウンドメディアの4種類が主軸です。それぞれが異なる役割を担っており、業界・ターゲット年齢層・採用規模に応じた組み合わせが成果を左右します。

採用サイト・採用ページの役割と設計ポイント

採用サイトは、採用ブランディングのすべてのチャネルが収束する「ハブ」です。SNSや求人広告を見た求職者が最終的に訪れる場所であり、ここでの情報設計が内定承諾率に直結します。

採用サイトの必須要素は5つです。①採用コンセプト(なぜこの会社で働くのか、一言で言えるメッセージ)、②事業ビジョン(3〜5年後にどこを目指しているか)、③社員インタビュー(KBFに沿ったテーマ設定で3〜5名)、④職種・仕事内容の詳細(入社後の一日のスケジュールを含む)、⑤待遇・制度の透明な開示(給与レンジ・福利厚生の具体的な数字)です。

特に「社員インタビュー」は、ペルソナが「自分と似た背景の人がいる」と感じられる人選が重要です。文系未経験でエンジニアに転職した社員のインタビューは、同じ境遇のターゲットに強く刺さります。

SNS(X・Instagram・LinkedIn)の特徴と向いている用途

各SNSのリーチ特性とターゲット適性を整理します。

SNS 主なターゲット 得意なコンテンツ 採用ブランディングでの役割
X(旧Twitter) 20〜40代全般 日常の発見・採用情報・考え方の発信 拡散による認知拡大・採用担当者の人格訴求
Instagram 20〜30代(とくに女性) 職場の雰囲気・チームの日常・ビジュアル 「働く場のリアル」を伝える日常感の醸成
LinkedIn 25〜45代(ビジネス層) 専門知識・業界への見解・採用情報 専門職・管理職・外資系志向の候補者へのリーチ

中小企業が限られたリソースでSNSを運用する場合、まずターゲット年齢層が最も集中する1〜2プラットフォームに絞ることが現実的です。複数チャネルを薄く運用するより、1チャネルを深く運用したほうが採用ブランドの一貫性が保たれます。

動画・オウンドメディアの活用法と導線設計

採用動画は「働くイメージ」を最短で伝える手段です。テキストや静止画では伝わりにくい「職場の雰囲気」「チームのコミュニケーション」「代表の人柄」を数分の映像で伝えることができます。YouTube に採用チャンネルを設けてコンテンツを蓄積し、採用サイトや求人票からリンクする導線を設計します。

オウンドメディア(採用ブログ・社員ブログ)は長期的なSEO流入と信頼形成の役割を担います。「入社1年目の社員が語るリアル」「この職種で求められるスキル」といった記事は、ロングテールキーワードで自然検索から候補者を集め続けます。

オウンドメディア活用の方法・メリットについても、あわせてご参照ください。

予算規模別のスタート方法としては、低予算ならSNS+採用サイトのリニューアルから着手し、採用動画・オウンドメディアは採用ブランドの方向性が定まった後のフェーズで取り組むと、リソースの無駄が最小化されます。

採用メディアについて無料相談する

採用ブランディングのKPIと効果測定の方法

採用ブランディングのKPIは、認知→関心→応募→選考→定着という採用ファネルの5段階ごとに設定します。「応募数だけ」のKPIは採用ブランディングの成果を正確に測れません。内定承諾率・定着率・採用コストという「ファネル後半」の指標まで設計することで、経営に対して定量的な成果報告が可能になります。

採用ファネル5段階で設定するKPI一覧

ファネル段階 主なKPI指標 計測方法・ツール
認知段階 採用サイトPV数、SNSフォロワー数、指名検索数、メディア露出件数 Google Analytics、Search Console、SNS分析ツール
関心段階 採用サイト平均滞在時間、社員インタビュー閲覧率、メルマガ登録数 Google Analytics(エンゲージメント指標)
応募段階 応募数、応募率(PVに対する応募数)、書類通過率 採用管理システム(ATS)
選考段階 内定承諾率、内定辞退率、選考通過率、辞退理由の分類 採用管理システム+辞退者へのアンケート
定着段階 3ヶ月以内離職率、1年以内離職率、入社後エンゲージメントスコア 人事システム、パルスサーベイ

PDCAを回すための月次レビュー項目

採用ブランディングのPDCAは、月次で「前月比で何が動いたか」を確認する最低限のレビューから始めます。以下の3点を毎月確認することで、施策の改善ポイントが明確になります。

① 指標の変化:採用サイトPV・応募数・内定承諾率を前月比・前年同期比で確認します。季節性(4月・10月が採用繁忙期)を考慮した比較が重要です。

② コンテンツ別の反応:どの社員インタビュー記事・SNS投稿が最も閲覧・エンゲージメントを得たかを確認します。反応の良いテーマ・話者を次月のコンテンツ計画に反映します。

③ チャネル別の流入源:応募者がどのチャネル(SNS・検索・求人媒体・リファラル)から来たかを把握します。コスト対効果の低いチャネルへの投資を削減し、成果の出ているチャネルにリソースを集中します。

効果が出るまでの時間軸をどう見るか?

採用ブランディングは短期では成果が見えにくい施策です。経営への説明には「フェーズごとの中間指標」を設定することが有効です。

認知フェーズ(0〜6ヶ月)では採用サイトPV増加・SNSフォロワー増加を中間指標とします。応募質改善フェーズ(6〜12ヶ月)では書類通過率・内定承諾率の改善を指標とします。定着率改善フェーズ(12ヶ月以降)で3ヶ月離職率・1年離職率の改善が現れ始めます。

「半年やったのに応募が増えない」という短期評価でやめてしまうケースが最もよくある失敗です。ブランディングの効果は複利的に積み上がるため、途中でやめることはこれまでの投資を無駄にします。中間指標を経営に定期報告しながら、継続の根拠を数字で示すことが重要です。

採用ブランディングの成功事例12選

採用ブランディングの成功事例

実際に採用ブランディングを導入して成功した事例を紹介します。ぜひ参考にしてください。

企業名 戦略の概要 成功ポイント
パナソニック 職場魅力の高め方と発信で「エンプロイヤーブランディング」導入 一貫性ある魅力の発信で「入社したい」と思わせるポジション確立
トランスコスモス 謎の企業全貌明かしの広告記事で事業内容解説 SNS拡散で反響呼び、応募者数の大幅増加
日本マクドナルド 「QSC&V」実践で業績回復。全国規模でのアルバイト採用 ブランド理念の浸透と従業員満足度向上に成功
三幸製菓 予算増やし、応募エントリーを13,000人に増加 Facebookページとリアルイベント連動でマッチング人材確保
サイボウズ ポテンシャル採用導入で多様性と自由度の高い働き方実現 経験よりやる気重視の採用で社員満足度と定着率向上
面白法人カヤック ユニークな採用キャンペーン「面白採用」実施 独自の採用基準で話題性と独自性のある人材獲得
タニタ 「タニタ食堂」で健康づくりの企業イメージ確立 健康への貢献で企業ブランディングと事業拡大に成功
GYAO 新卒採用アプリ導入で情報発信と応募機能一元化 志望度の高い学生からの応募を実現し採用効率アップ
SmartHR 採用ブランディング強化と自社メディアの一新 社内外への情報発信強化で企業認知度と採用人数増加
Zenken 「ディレタマ」メディアを通じてWebディレクター職募集 エントリー数が10倍に増えた採用支援実績有。マッチング人材の確保と採用単価削減に成功
メルカリ 社風や社員魅力発信で企業認知度向上 採用人数増加と働きやすい企業ブランディング成功
メドレー 社風や社員魅力伝えるインタビュー動画など制作 企業の雰囲気明確化でブランディングに成功

事例(1)パナソニック

パナソニックでは応募してくる人材の変化を感じ、より「入社したい」と思ってもらうために、職場としての魅力を高めて発信する「エンプロイヤーブランディング」を導入しました。

条件面だけでなく、求職者を理解し相手の立場から企業を見直し、働く場としての魅力を一貫性をもって発信していくことで、新たな採用活動を見出しています。

事例(2)トランスコスモス

企業に対してアウトソーシングサービスを提供しているトランスコスモスは、「何をやっている会社かわかりにくい」という声を受け、自ら謎の企業の全貌を明かすという広告記事で事業内容を解説しました。

記事がSNSを通じて拡散されて反響を呼び、話題となったトランスコスモスは求人の応募者数が大幅に増加しました。その後も採用ブランディングに積極的に取り組み、採用担当者も情熱をもって採用活動にあたっています。

事例(3)日本マクドナルド

採用ブランディング事例の日本マクドナルド公式サイトキャプチャ画像
画像引用元:日本マクドナルド公式サイト(https://www.mcdonalds.co.jp/)

世界的に有名なハンバーガーブランドのマクドナルド。日本全国のアルバイトスタッフ15万人を抱える日本マクドナルドでは、「QSC&V」を実践して業績回復を果たしています。

戦略・施策の概要

全都道府県に約2900の店舗があり、店舗で勤務するアルバイト「クルー」は、全国で約15万人在席、年間7万人を採用しています。

マクドナルドはハンバーガーを提供する場所だけでなく、創業者による「人と人のつながりを生み出していく場所」という考え方から「ピープルビジネス」という理念を重要視しています。

人材採用戦略としてはEVP(Employee Value Proposition)、「企業が従業員に与える価値」を優先しており、従業員が満足して働ける環境整備や徹底した社員教育により、働く人の満足度を高める施策を行っています。

成功ポイント

マクドナルドはすでにブランドとして確固たる地位があり、「マクドナルドで働きたい」と志願してくる人はたくさんいます。とはいえ人手不足が叫ばれる昨今でも、十分な人員を確保できているのには理由があります。

たとえばクルーのポジションを細かく定義してそれぞれの人に合った仕事を提供していることや、定期的な勤務評価や永年勤続表彰などによって、人材を大切にしていることも関係しています。

また人気のアニメ制作会社によるクルーの成長を描いたアニメーションや、オウンドメディアでの情報発信など、クルーとして働くことに良いイメージを定着させる戦略が功を奏しています。

日本マクドナルドの事例から分かること

マクドナルドは今更ブランディングを実施しなくても十分知名度のある企業ですが、商品の宣伝だけでなく、クルーの募集についても常に情報発信をして採用ブランディングに努めています。

働きやすい職場環境や適切な勤務評価など、働く人の目線に立った施策を実施していることも、毎年採用人数を維持することにつながっており、どんな大企業でも人材確保のためには努力していることがうかがえます。

事例(4)三幸製菓

採用ブランディング事例の三幸製菓公式サイトキャプチャ画像
画像引用元:三幸製菓公式サイト(https://www.sanko-seika.co.jp/)

新潟にある地方のお菓子メーカーの三幸製菓は、認知度が低く採用にかけられる予算が少ない時期から、エントリー数を大きく上げる施策を実施して成功を収めています。

戦略・施策の概要

以前の三幸製菓は大手のお菓子メーカーと比べると認知度が低く、採用にかける予算も少なく、人事を重要視されていませんでした。そこで採用担当になった社員が経営陣に採用の重要性を訴えて予算を増やし、300人だったエントリーを13,000人にまで増やすことに成功。

しかし母数を増やすことより1人1人を見ていくことを重視し、就職サイトへの掲載をやめ、Facebookページとリアルなイベントとの連動によって少ない母数ながらマッチする人材確保へと方向転換。一方的な伝え方ではなく共感・共振できる人の採用に力を入れています。

成功ポイント

三幸製菓の採用ブランディングで大きな役割を果たしたのは、採用担当の頑張りです。もともとは人事の重要性が低く予算も十分でなかったところを、採用担当が社内で説得を重ねることによって、予算の増加から応募者の大幅な拡大へとつなげていきました。

エントリー数が増えた後は、マッチングする人材を確保することに視点を移し、さまざまな手法を試して志望度の高い人材を採用することに成功しています。

Facebookやイベントなどを通して企業の知名度を上げ、「おせんべいなら三幸製菓」というブランドを構築したことも、採用ブランディングの一環として成果を上げています。

三幸製菓の事例から分かること

採用ブランディングは社外へ情報を発信する前に、自社の分析から始まってどのような施策をするか検討することが非常に重要です。三幸製菓の事例では、採用担当が社内の経営陣に訴えかけないと予算が増えることもなく、限られた応募者の中から選ぶしかありませんでした。

人事の重要性を伝え、採用のためにいろいろな手法を実践できるよう手回しをしたことで、企業の知名度アップや応募者の増加など、企業全体の成長にもつながることがわかります。

事例(5)サイボウズ

採用ブランディング事例のサイボウズ公式サイトキャプチャ画像
画像引用元:サイボウズ公式サイト(https://cybozu.co.jp/)

ビジネスでのグループウェアを開発・販売しているサイボウズでは、「働きやすそう」「自由な社風」として認知されているイメージを活かし、IT業界未経験、職種未経験でもチャレンジできるポテンシャル採用を導入しています。

戦略・施策の概要

サイボウズの導入している「ポテンシャル採用」は、営業やマーケティング、テクニカルスペシャリスト、エンジニアなどさまざまな職種で未経験でもチャレンジできるというもの。経験のある人は通常の「キャリア採用」から応募できますが、経験が足りない人でも応募できる「ポテンシャル採用」で応募の間口を広げています。また働く曜日や時間を自分で宣言して変更できる「働き方宣言制度」など、自由度の高い働き方も話題を集めています。

成功ポイント

サイボウズはグループウェアを提供していることもあり、チームワークを重視している企業です。自由な社風とユニークなイメージで、「働きやすそう」という志望動機で応募してくる人も多く、働き方の多様化を認めて「働き方改革」を実践しています。

採用の間口が広いだけでなく、副業解禁、子連れ出社、リモートワーク、長い育休などの施策を重ねて、28%だった離職率をわずか4%まで抑えた実績があります。

情報発信の方法も多様で、社外だけでなく社内に向けたインナーブランディングで社員にとっての価値を高める活動も行っており、真の意味で「働きやすい企業」を実現しています。

サイボウズの事例から分かること

サイボウズは「働きやすそう」というイメージで応募してくる人も多く、未経験でも応募できる「ポテンシャル採用」なども導入して、非常に応募の窓口が広い企業です。

技術や経験ではなくやる気を重視した採用によって、多様性のある社員が集まり、自由度の高い働き方を可能にしています。採用ブランディングとして社内で働く社員にも働き方改革を浸透させ、会社が働きやすさを提供し、社員は仕事で成果を上げるというウィンウィンの関係性が成り立つ理想的な働き方を可能にしています。

事例(6)面白法人カヤック

採用ブランディング事例の面白法人カヤック公式サイトキャプチャ画像
画像引用元:面白法人カヤック公式サイト(https://www.kayac.com/)

「つくる人を増やす」を経営理念に掲げる面白法人カヤックは、ゲーム制作や広告企画など面白いサービスやコンテンツを提供する会社。新しい独自性のある才能を求め、「面白採用キャンペーン」などのユニークな採用方法を実施しています。

戦略・施策の概要

面白法人カヤックへ応募するには、通常のエントリーシートによる応募のほかに、コードやポートフォリオだけで応募できる「つくったもの選考」があります。ほかにもゲームのうまさで採用が決まる「いちゲー採用」、検索結果の活動履歴で選考する「エゴサーチ採用」などの「面白採用キャンペーン」を実施しています。

「いちゲー採用」では、応募数360名以上、書類選考通過280名以上、内定・入社9名と、実際に採用される確率も高く、独自の採用方法で話題を集めています。さらに自分に合う求人がないと思った場合は、募集職種の概念を広げて応募することも可能と、自由度の高い募集を行っています。

成功ポイント

面白法人カヤックは、その会社名の通り面白いことを追い求める「面白法人」を企業理念にしています。採用方法も非常にユニークですが、変わった応募によって社員を集めた結果、ほぼ右肩上がりで売上は上昇しています。

応募者の間口は広いように見えますが、禁煙企業であり原則として喫煙者の採用は行っていないという一面もあります。さらに男性の出産時の育児休業の取得率は33%と、現代の社会情勢に合わせた人事や福利厚生の手厚さもあります。

新しい採用基準によって話題性だけでなく、実際に独自性のある才能を持った人材を得ることにも成功している事例です。

面白法人カヤックの事例から分かること

一見するとふざけているように見える採用基準ですが、面白法人カヤックの経営理念や背景にはしっかりとした考え方やポリシーがあり、2014年には東証マザーズに上場し、2020年には売上87億円の企業に成長しています。

採用基準が一般的ではないということは、その分審査がシビアであるということでもあります。しかし大学の一芸受験のように、何かひとつでも得意なことがあれば挑戦できるという面で、マッチする人材を集めやすくなっています。

応募する人にとっても、チャレンジしがいのある企業としての認知度が高まり、ユニークな企業としてほかの企業とは大きく異なる差別化のブランディングした成功例になります。

事例(7)タニタ

採用ブランディング事例のタニタ公式サイトキャプチャ画像
画像引用元:タニタ公式サイト(https://www.tanita.co.jp/)

体重計や体温計など健康づくりに貢献する会社タニタの採用ブランディングとしては、社員食堂の健康的なメニューを再現した「タニタ食堂」が有名です。

戦略・施策の概要

「タニタ食堂」とはタニタ社員食堂のコンセプトを再現したメニューを提供するレストランです。2012年に第1号店「丸の内 タニタ食堂」をオープンし、全国展開を果たしてタニタの名前を広く知らしめることに一役買いました。

本来は製造業であるタニタは、会社の方針を「『健康をはかる』から『健康をつくる』」へ切り替え、健康づくりをサポートする事業を展開するようになりました。すでに体重計などによる知名度は高かったものの、「タニタ食堂」の出現により、健康づくりに関するイメージが定着し、企業ブランディングとして大成功し事業拡大にもつながっています。

成功ポイント

「タニタ食堂」はレストランとしての事業の一環ですが、もともとはタニタの社員食堂を模したものです。そのため「タニタは社員の健康にも気を使ってくれる」という企業のイメージが定着するきっかけにもなっています。

体重計や体温計の製造にかかわる仕事でも大きな意義がありますが、さらに幅広く「人々の健康づくりに携わりたい」という意識を持った志の高い志願者を集める採用ブランディングとしても成功しました。社員食堂をはじめとして、社員の健康管理にも力を入れていることから、「働くことで健康になりそう」というイメージも企業ブランドとして定着しています。

タニタの事例から分かること

「タニタ食堂」はもとより計画していたものではなく、タニタの社員食堂がテレビで放送されレシピ本の出版を打診されたことから始まりました。ちょうど新社長が就任したばかりで、広報になることは何でも挑戦していたことから、出版したレシピ本がベストセラーになり、多くの問い合わせに応える形で「タニタ食堂」もオープンすることになったそうです。

本来ならば社内で働く人にしか知られていなかった食堂を世間に広めることにより、企業の認知度や事業内容まで大きく飛躍することになったタニタ。どんなことがきっかけで企業がブランド化するかはわからないものなので、チャンスがあればいろいろなことに挑戦してみることにも大きな価値があるといえます。

事例(8)GYAO

採用ブランディング事例のGYAO公式サイトキャプチャ画像
画像引用元:GYAO公式サイト(https://gyao.yahoo.co.jp/)

ヤフーグループのひとつであり日本最大級の映像配信サービスを運営している株式会社GYAOでは、映像配信サービスの企業らしいブランディング戦略を行っています。

戦略・施策の概要

GYAOでは2015年度から新卒採用を始め、2017年度には情報発信や応募機能を一元化した「新卒採用アプリ」を導入しています。新卒採用の応募の入り口をアプリのみに限定しており、パソコンよりもスマホを多用している学生への訴求に絞った戦略となっています。「新卒採用アプリ」では企業理念や会社概要、採用情報のほかに職種ごとの社員紹介ページなども作成し、働く姿をよりイメージしやすいように工夫されています。

成功ポイント

「新卒採用アプリ」を利用するためには、まずアプリをダウンロードしなくてはならないため、応募の入り口をアプリのみに限定したことで、最初は応募者数の減少も見られたそうです。しかしその分志望度の高い学生だけが応募することに成功し、選考にかかる時間を減らせただけでなく、マッチングする人材の確率を上げることで効率よく採用活動ができるようになりました。

また「アプリでしか応募できない」という特徴が話題になり、口コミなどで紹介された学生が応募してくるなど、サイトでの情報発信ではかなわなかった人材獲得も可能にしています。

GYAOの事例から分かること

学生の新卒採用という限られた場面で、アプリからしか応募できないという入り口を狭めたことにより、マッチングする人材に限定して情報発信できて採用効率アップを実現できた成功事例です。対象を的確に捉えて適したアプローチをすることが成功のカギであるということがわかります。

事例(9)SmartHR

採用ブランディング事例の株式会社SmartHR公式サイトキャプチャ画像
画像引用元:株式会社SmartHR公式サイト(https://smarthr.co.jp/)

株式会社SmartHRは人事・労務型クラウドサービスを提供している会社です。既存のエージェント方式の採用から転換し、自社メディア経由の採用を強化しています。

戦略・施策の概略

株式会社SmartHRは2018年に採用向けのメディアを立ち上げたことをきっかけに採用ブランディングを強化。「会社に関わる情報をオープンにしたい」ということを念頭に置き、社員一人ひとりの働き方を打ち出すコンテンツ制作を始めました。

自社メディアに力を入れるまでには、母集団の7割がエージェントのチャネルからの採用でした。この状況に課題を感じ、他の採用チャネル強化に踏み出しました。そんな施策の一つとして、候補者それぞれのフェーズに合致した情報を届けるオウンドメディアを制作。エージェントからの脱却を目指し、採用・広報活動を強化しています。

成功ポイント

株式会社SmartHRの採用ブランディングで大きな役割を担ったのは採用・広報担当者です。以前まではエージェント経由で採用することが多く、社員の現状や社内の実情を知らないまま、採用されるケースが多くありました。そんな状況を打破すべく、採用担当になった社員が社風や社員の人柄がわかるメディアを制作。コンテンツとして社員ブログや社内報を用意し、会社の雰囲気を感じてもらった上で採用する形式に移行しました。

また、1年間でタレントプールに3,700名の人材データを獲得するなど採用力強化を実現しました。

株式会社SmartHRの事例から分かること

株式会社SmartHRは採用の母集団をエージェントから自社に切り替えたいと掲げ、採用ブランディングを強化しました。実際の社員の働き方などを紹介することで、「働きやすさ」をアピールすることに成功しました。社内報や社員ブログなどで定期的に社内情報を発信することで、採用時のミスマッチを防いでいます

事例(10)Zenken

採用ブランディング事例の株式会社メルカリ公式サイトキャプチャ画像
画像引用元:Zenken株式会社運営メディア(https://www.dire-tama.com//)

当キャククルの運営元となるZenken株式会社は、8,000サイト以上のメディア制作や運営を手掛けている会社です。メディア制作だけでなく、インド人新卒エンジニアを斡旋するダイバーシティ事業部や語学研修事業など、ITとグローバルに重きを置いた会社です。

戦略・施策の概略

Zenken株式会社では、マーケティング視点を持ったWebディレクターや編集者を業界や職種未経験者であっても育て上げられる育成制度と組織文化があり、人材を育て上げるノウハウがあることで、メディア制作数を伸ばしてきました。

そこで、これからWebマーケティングの門を叩きたい向上心あるWebディレクターを募集すべく、Webディレクターになる人が見る職業ブランディングメディア「ディレタマ」を立ち上げました。Webディレクターになりたい層が検索する「Webディレクターになるには」と検索して上位にあるだけでなく、例えばWebディレクターと子育てが両立ができるか不安な方が検索する「Webディレクター 子育て」という検索でも上位であり、様々な背景を持った未来のWebディレクターが検索するシーンにおいて接触することが出来ています。

その結果、「ディレタマ」を通してWebディレクター職を月間数名を安定して内定者を獲得することが出来ています。Webマーケティング業界では市場が成長している分採用市場も競合性が激しいのですが、そんな中でも安定して採用ができるチャネルを持てていると言えます。

成功ポイント

Zenken株式会社が運営する「ディレタマ」では、これからWebディレクターになる求職者との接触窓口になれているだけでなく、自社理解を促進させる場として様々なバックボーンを持つ社員のインタビューコンテンツも掲載をしていることで、ミスマッチを生みづらい採用活動に繋げられています。

実際に、採用チャネルとしての機能だけでなく、応募後に見てもらいたいサイトとして求職者に送付して理解を深めたり、他求人媒体からも見れるように連携させることで、その求人媒体内だけでは理解させきれない自社の魅力を伝えることが出来ています。

Zenken株式会社の事例から分かること

採用サイトを作り応募を獲得できるチャネルを作ることも大切ですが、自社サイトとは敢えて切り離した採用ブランディングメディア「ディレタマ」を活用することで、自社の魅力をたっぷり伝えることができるチャネルとなっています。

もし、安定的に内定が獲得できる採用メディアを作りたい応募者獲得以外にも応募率や内定効率の改善を図りたい場合は、キャククルにご相談ください。本採用ブランディング施策ではエントリー数が10倍に増えた採用支援実績もありますので、貴社にマッチした採用施策のご案内をさせて頂きます。無料相談も承っておりますのでご活用ください。

採用メディアについて
無料相談する

事例(11)メルカリ

採用ブランディング事例の株式会社メルカリ公式サイトキャプチャ画像
画像引用元:株式会社メルカリ公式サイト(https://about.mercari.com/)

株式会社メルカリはフリマアプリを提供している会社です。自社メディアで社風や社員の魅力伝え、会社の認知度向上やブランディングに成功しました。

戦略・施策の概略

株式会社メルカリは入社後のミスマッチをなくすことを掲げ、採用活動を実施。コンテンツプラットフォーム「mercan(メルカン)」を運営し、社外の人に自社の良さを全面に伝える戦略を打ち出しています。

社内に採用ブランディングを担う「People Branding(ピープルブランディング)」チームを置き、採用向けの記事を制作・発信。創刊から2年半で1000本の記事を制作し、社内のリアルな声を伝えるコンテンツを数多く配信しています。現在では月間PV(ページビュー)は約30万に上り、年間350本以上の記事を公開。コンテンツ配信とフリマアプリ事業の躍進により、創業5年で社員数1000超までに成長する企業となりました。

成功ポイント

株式会社メルカリはコンテンツプラットフォーム「mercan(メルカン)」に積極的に記事を配信。外のメディアが出しにくい、コンプライアンスやリスク管理といった部分のコンテンツも自社メディアで紹介することで、応募者の信頼を獲得しています。

社内での出来事をオープンに発信しているため、風通しの良い会社というイメージを求職者にアピール。「働く場としてのメルカリ」をオンライン、オフライン問わず、様々なタッチポイント向けに情報を配信。複数箇所にタッチポイントを設置したことで、求職者の目に触れる機会を増加させ、採用人数の増加につながりました。

株式会社メルカリの事例から分かること

株式会社メルカリは、自社の社風や社員の人柄を身近に感じられるコンテンツを配信。また、実際の社員と会って話せるミートアップの実施やSNS配信など複数のタッチポイントを用意しています。また、働きやすさを掲げ、グローバル新卒採用や評価制度、出産・育児などのライフイベントを支援するmerciboxサービスを実施し、働きやすい会社としてのブランディングを確立しています。

事例(12)メドレー

採用ブランディング事例の株式会社メドレー公式サイトキャプチャ画像
画像引用元:株式会社メドレー公式サイト(https://www.medley.jp/)

株式会社メドレーは医療ベンチャーとして誕生。その後、自社メディアでの目標を掲げ、社風や社員の魅力伝えるインタビュー動画など制作し、会社の認知度向上やブランディングに成功しました。

戦略・施策の概略

株式会社メドレーは「医療×ITのリーディングカンパニー」として認知されることを目標に、採用ブランディングを強化する戦略を実施。コーポレートサイトを全面的に改装し、イメージカラーの変更などの施策を打ち出しました。

また、自社コンテンツを一から立ち上げました。メドレーのキーマンとなる12人のインタビュー掲載や独自動画コンテンツ「動画で観るメドレー」を制作し、認知度向上施策を複数打ち出しました。採用ブランディングを行ううえで、株式会社メドレーはこれまでの大量採用から社風を理解した上で自社とマッチングする人材を採用する方式にシフトしました。

成功ポイント

株式会社メドレーは自社を飛躍させるために、自社の現状と市場でのポジショニングを考えコンテンツを制作。「自社のどこを見せたいのか、自社が目指すべきものをどのように表現すべきか」といった明確なゴール設定をした上で複数のコンテンツを生み出し続けました。

その結果、企業認知度を高めることに成功。「私がメドレーに入社した理由」というブログでは総計120万PVを獲得しました。コンテンツで社風や働き方を紹介したことで企業の雰囲気を明確に伝えることに成功。求職者がミスマッチなく、入社できる環境を構築したことが会社を大きく飛躍させた要因と言えます。

株式会社メドレー事例から分かること

株式会社メドレーは自社の立ち位置を正確に把握し、掲げた目標にむけてブランディング施策を実施。2016年には90人くらいのスタートアップ企業でしたが、現在では、上場を果たすまでの大企業へと成長しています。

採用ブランディングとして、社内で働く社員の働き方がわかるコンテンツを発信することで、会社の働きやすさを前面に打ち出すことに成功。社員の実情と戦略の練られたコンテンツを配信によって飛躍した例と言えます。

採用ブランディングで陥りやすい失敗パターンと注意点

採用ブランディングを実施する際の注意点

採用ブランディングの失敗は、「やり方」よりも「設計の前提」に問題があるケースがほとんどです。よくある失敗パターンを把握しておくことで、施策開始前にリスクを回避できます。

失敗パターン① 社内実態と発信内容が乖離している

採用ブランディングで最も深刻な失敗は、「実態よりも良く見せようとする」ことです。自社の職場環境について、顧客ではなく入社志望者へ向けて企業の魅力を発信する必要があります。発信する情報は正確でなければならないため、社内でのいろいろな意見を聞き職場環境が悪ければ改善も必要になります。

実態と異なるブランドイメージで採用した場合、入社後に「聞いていた話と違う」という失望が生まれ、早期離職が加速します。ミスマッチ離職は採用コストの損失だけでなく、採用広報チャネル(SNS・口コミサイト)での悪評として波及します。

採用ブランディングとインナーブランディングは必ずセットで設計する必要があります。発信内容を先に決めるのではなく、「実際に改善した職場環境を発信する」という順序が正しいアプローチです。インナーブランディングについてはインナーブランディング支援会社の比較・選び方も参考になります。

失敗パターン② 採用担当だけが動いて社内が無関心

採用ブランディングは採用担当者の単独施策では成立しません。企業全体での取り組みが必要であり、採用する際には企業にマッチする人材かどうかを見極めることも重要です。

現場社員を巻き込まない採用ブランディングは、情報の一貫性を失います。採用担当が「自由な職場」と発信しながら、実際の面接で現場社員が「残業が多い」と本音を漏らすと、求職者の信頼を一瞬で失います。経営・採用・現場が連動する体制づくりが、採用ブランディング成功の前提条件です。

具体的には、採用コンセプトの策定に現場社員を巻き込むこと、発信コンテンツのネタ提供(Slackチャンネルなど)を仕組み化すること、採用ブランディングの進捗を社内で定期共有することが有効です。

失敗パターン③ 応募数だけをKPIにして質が落ちる

採用ブランディングの成果を「応募数の増加」だけで測ると、「数を増やした結果、選考コストだけが増えた」という状況に陥ります。希望する人材とマッチしていないようなら発信する情報を見直すことも必要になります。

KBF起点のメッセージ設計を行い、「マッチ度の高い応募者の比率」を追跡することが重要です。応募数は増えても書類通過率が下がっている場合は、ペルソナ設計とメッセージ設計の見直しが必要です。採用ファネルの5段階KPIを設定し、各段階の転換率を継続的に改善することで、採用の質と効率を同時に高めることができます。

失敗パターン④ 短期で成果が出ないと判断してやめてしまう

採用ブランディングは一度きりで完了するものではなく、定期的にチェックしながら継続的に取り組んでいくことも必要です。採用ブランドの形成には最低でも12〜24ヶ月が必要であり、6ヶ月で判断するのは早計です。

また採用にかかわるデータを集計し結果を次回に活かしていくなど、採用活動は継続していくものですので、採用ブランディングも最初だけでなく繰り返し取り組んでいく手法となります。

短期での成果が見えない局面では、H2-8で紹介した「中間指標」を経営に報告することが継続の根拠になります。採用サイトPVが月次で10%増加している、SNSフォロワーが着実に増えているという事実は、採用ブランドが積み上がっている証拠です。数字で「種をまいている」ことを示しながら、継続投資の判断を経営に促しましょう。

採用ブランディングへの取り組みを検討されている方、または現在の採用施策の見直しを考えている方は、ぜひZenken株式会社にご相談ください。採用メディアの構築から採用コンセプトの設計まで、貴社の状況に合わせた採用ブランディングの実行支援を承っております。

Zenkenへのお問い合わせはこちら

ページトップへ