ユニクロの経営方針で学ぶ差別化戦略

ユニクロを展開する株式会社ファーストリテイリングは、コストリーダーシップ戦略と差別化戦略を駆使して、高品質ながら低価格という衣料品の革命を起こしました。

自社で企画から製造、販売までを手がけることで、低価格ながらデザインや機能性に優れた衣料品を販売。圧倒的な優位性をもち、海外でも店舗を展開するなど日本を代表するビジネスモデルを打ち立てました。

そんなユニクロの経営方針から、差別化戦略のポイントを学んでいきましょう。

ユニクロのコストリーダーシップ戦略

ユニクロは、カジュアル衣料を企画から販売まで全て自社で完結させる、「SPA化」と呼ばれるビジネスモデルが最大の特徴です。

それまでの衣料品業界では、製造業者と小売の間に卸売業者が入るため、中間マージンが上乗せされて低価格化にも限界がありました。しかしユニクロは全てのプロセスを自社で手がけているので、マージンが発生しません。

デザイン性が高いものではなく、ベーシックなもので老若男女誰にでも着られるようなものを扱うユニクロ。大量に生産・販売することでスケールメリットを得て、コストダウンに成功しています。全国に多店舗展開することで、ファストファッションの王者として君臨することになりました。

かつては、2,900円のジーンズや1,900円のフリースという低価格ながら機能性や高品質なデザインに優れた商品が大きな話題を呼びました。フリースは年間2,600万枚という大ヒットにもなっています。

その後は著名デザイナーとのコラボ商品でデザイン性を打ち出したり、ある程度の値上げも行われたりしました。しかし、依然としてユニクロは低価格・高品質というイメージをキープしています。さらに価格の低い商品を扱うG.U.と並び、もはや「国民服」と呼ばれるまでになっているのです。

ユニクロの差別化戦略の基本

ユニクロの衣料と言えば、先にもご紹介したように老若男女誰でも着られるベーシックなもの。かつて「Made for All」というキャッチフレーズを使っていたこともあるほどで、ターゲットを絞り込まずに、すべての人に向けて衣料品をつくる企業です。

これでは「特定のニーズに応えるような差別化戦略とは逆の戦略なのでは?」と思われる方もいらっしゃると思います。しかしユニクロが差別化しているのは、「服はこれでいい」と思わせる、割り切った衣料品の買い方というニーズへ応えているところ。

「これがいい」と「これでいい」という言葉は、似ているようで違うもの。こだわって選ぶものと、割り切って選んだものは違います。ユニクロは「ここはこれでいい」と割り切って使うファッションアイテムに特化する、という差別化戦略に成功しているというわけです。

ユニクロのベーシックなアイテムは少品種大量生産で、かつ長いリードタイムで販売しています。もちろんシーズンごとにアップデートしていることは言うまでもありませんが、流行を追いつつも割り切って使える価格と品質を実現しているところに、ユニクロの差別化戦略の強さがあるのです。

ユニクロの強みと消費者ニーズ

それに加え、ユニクロは独自の機能性に優れた商品開発を手がけてきました。先般のフリースの大ヒットに始まり、発熱インナーのはしりとなった「ヒートテック」、夏でも心地よく着られる下着「シルキードライ」や「サラファイン」、女性が快適に過ごせる「ブラトップ」など、誰もが着たことがあるものを開発しています。

これらの商品と同じ機能を持つ衣料品は、あちこちで企画・製造・販売されるようになりました。しかしいずれもユニクロが機能性衣料品の代表格というイメージをキープしており、消費者に支持されています。

販売戦略の差別化だけでなく、商品開発力においてもユニクロは差別化戦略に成功しています。これらの機能性衣料だけではなく、近年では英国のデザイナーであるジョナサン・アンダーソンとのコラボ商品を展開するなどベーシックかつデザイン性に優れた衣料品も企画しています。こういった商品力と、コスト面での圧倒により、ユニクロは日本のファストファッションに依然として君臨しているのです。

差別化を図るための要因分析と戦略立案のやり方