半導体向け熱処理装置は、酸化、拡散、アニール、LPCVD、キュアなど、処理目的によって必要な方式が変わります。
メーカーを比較するときは、バッチ式縦型炉・横型炉、RTP・RTA、フラッシュ・レーザアニールを分け、対象基板、熱予算、処理量、雰囲気、研究開発・量産の区分まで確認することが重要です。
半導体向け熱処理装置メーカー15社の比較表
装置方式・対応サイズ、主なプロセス、向いている導入目的をもとに比較しています。実際の対応可否は、基板、温度、雰囲気、処理枚数、前後工程によって変わるため、各社へ確認してください。
| 会社名 | サービスの特徴 | 装置方式・対応サイズ | 主なプロセス | 向いている導入目的 |
|---|---|---|---|---|
|
KOKUSAI ELECTRIC |
300mm・200mm対応のバッチ式熱処理装置と枚葉トリートメント装置を展開 |
バッチ式縦型炉、枚葉式熱処理、300mm・200mmウェーハ
|
酸化、拡散、低温・高温アニール、LP-CVD、ALD、キュア
|
先端ロジック・メモリ、200mm量産、膜質改善を含む量産ライン
|
|
東京エレクトロン |
300mmウェーハ対応のバッチ式熱処理・成膜装置TELINDYシリーズを展開 |
バッチ式熱処理・成膜装置、300mmウェーハ、枚葉・セミバッチ成膜
|
酸化、アニール、CVD、熱ALD、プラズマ支援低温成膜
|
先端デバイス量産、高生産性と低温プロセスを両立したい工程
|
|
ジェイテクトサーモシステム |
縦型炉・横型炉・ランプアニールからSiC高温処理まで幅広く展開 |
縦型炉、横型炉、ランプアニール、オーブン、300mmから小口径
|
酸化、拡散、LPCVD、アニール、SiCコンタクトアニール、パッケージ熱処理
|
研究開発から量産、Si・SiC・MEMS・VCSEL・先端パッケージ
|
|
SCREENセミコンダクターソリューションズ |
300mmウェーハ向けフラッシュランプアニール装置を展開 |
フラッシュランプアニール、300mmウェーハ、枚葉処理
|
ミリ秒熱処理、低サーマルバジェット、低酸素雰囲気、温度測定
|
先端デバイスの不純物活性化と熱拡散を抑えた枚葉アニール
|
|
JSWアクティナシステム |
Si・SiC向けの活性化・シリサイド化・局所レーザアニール装置を展開 |
レーザアニール、Si・SiC、6・8・12インチ、研究開発・量産
|
活性化、シリサイド化、結晶化、局所加熱、マイクロビーム処理
|
パワー半導体、イメージセンサ、局所領域だけを熱処理したい工程
|
|
アドバンス理工 |
真空・ガス雰囲気に対応する赤外線ランプアニール装置を提供 |
赤外線ランプアニール、RTA、真空・ガス雰囲気、研究開発
|
急速加熱・冷却、温度レシピ制御、クリーン加熱、装置連結
|
薄膜・半導体材料の研究開発、少量処理、熱処理条件の探索
|
|
ディー・エス・アイ・テクノロジー |
小口径・特殊デバイス向けから量産機まで熱処理炉を設計・製作 |
酸化炉、拡散炉、CVD装置、小口径炉、カスタム量産機
|
設計・製造、再生、改造、保守、自動移載、特殊仕様対応
|
大学・試作、小口径ウェーハ、特殊デバイス、既存炉の再生・改造
|
|
住友重機械工業 |
固体レーザと長波長レーザを組み合わせたレーザアニーリング装置を展開 |
レーザアニーリング、固体レーザ、グリーン・ハイブリッドレーザ
|
ダブルパルス、局所加熱、結晶化・改質、レーザ熱処理
|
次世代半導体プロセス、薄膜改質、熱影響を限定した開発工程
|
|
レーザーシステム |
半導体レーザを用いた結晶化アニール装置を提供 |
結晶化アニール、半導体レーザ、薄膜・半導体材料
|
レーザ局所加熱、アモルファスシリコン結晶化、材料改質
|
研究開発、薄膜結晶化、装置コストと保守性を重視する用途
|
|
Applied Materials |
ランプ・レーザ・ヒーター方式を含むRTP・アニール技術を展開 |
RTP、RTA、ミリ秒アニール、ランプ・レーザ・ヒーター方式
|
soak・spike・millisecond anneal、熱ラジカル酸化、熱予算制御
|
先端ロジック・メモリ、微細化工程、300mm量産ライン
|
|
ASM International |
300mmと200mm以下に対応するバッチ式縦型炉を展開 |
バッチ式縦型炉、300mm・200mm以下、量産用デュアルリアクター
|
LPCVD、拡散、酸化、アニール、キュア、バッチALD
|
ロジック・メモリ、パワー・アナログ・RF・MEMSの量産工程
|
|
Mattson Technology |
soak・spike・ミリ秒フラッシュまでRTP装置を展開 |
RTP、RTA、フラッシュアニール、枚葉式熱処理
|
soak・spike・millisecond flash、温度均一性、短時間処理
|
ロジック・メモリ・ファウンドリの先端量産プロセス
|
|
centrotherm |
横型・縦型炉、SiC高温炉、RTPを用途別に展開 |
横型炉、縦型炉、RTP、SiC高温アニール・酸化、200mm・300mm
|
拡散、酸化、アニール、LPCVD、高温WBG処理、真空はんだ
|
Si・SiCパワー半導体、量産・パイロット、200mm・300mmライン
|
|
SPT |
150mmから300mmまで対応するバッチ式縦型熱処理装置を展開 |
縦型バッチ炉、150・200・300mm、MEMS・パワー・特殊半導体
|
拡散、酸化、アニール、LPCVD、ALD、100℃から1200℃より高い温度域
|
レガシーライン更新、MEMS・パワー半導体、研究開発から量産
|
|
Annealsys |
研究開発から生産まで対応するRTP・RTA装置を展開 |
RTP・RTA、数mmから200mm、真空・ガス雰囲気、研究開発・生産
|
赤外線ランプ加熱、上限1450℃、高温RTP、RTCVD、真空処理
|
化合物半導体、MEMS、センサー、研究開発、パイロット・少量生産
|
半導体向け熱処理装置メーカー15社の詳細
半導体熱処理装置メーカーの選び方
処理目的と許容できる熱予算を決める
最初に決めるべきなのは装置名ではなく、処理によって変えたい特性です。活性化率、酸化膜厚、接触抵抗、結晶性、応力、膜密度などの目標を数値化し、前後工程を含めて許容できる温度と時間を整理します。
同じ到達温度でも、長時間の炉処理と短時間のRTAでは不純物拡散や膜への影響が異なります。温度だけでなく、昇温・保持・冷却を含む温度プロファイル全体を比較しましょう。
基板・ウェーハ径・膜構成を揃えて比較する
シリコン、SiC、GaN、SOI、ガラス、化合物半導体では、光吸収、熱伝導、耐熱性、反りやすさが異なります。ウェーハ径、厚さ、裏面状態、キャリアの有無、成膜済み材料、金属汚染区分を候補メーカーへ共有します。
量産装置では、150mm・200mm・300mmの違いに加え、薄ウェーハ、接合基板、反りウェーハ、パネル搬送への対応も確認します。ブリッジ対応できる装置でも、同時処理や搬送治具の条件は製品ごとに異なります。
温度均一性と再現性の評価条件を確認する
カタログの温度均一性は、測定ウェーハ、測温方法、温度帯、ガス、処理枚数によって変わります。面内均一性、ウェーハ間均一性、ロット間再現性、装置間マッチングを分け、実際のレシピに近い条件で確認します。
熱電対、放射温度計、パイロメーターなど測温方式による差もあります。実際に管理したいのが炉内温度なのかウェーハ表面温度なのかを明確にし、校正方法と定期点検も確認しましょう。
雰囲気・ガス・真空・安全設備を確認する
酸素、窒素、アルゴン、水素、アンモニア、シラン、ドーパントガスなど、使用ガスによって必要な排気、除害、リーク監視、防爆・安全インターロックが変わります。装置本体だけでなく、ガスキャビネット、排気、冷却水、電源、除害設備まで見積もり範囲を確認します。
研究設備から量産設備へ移行すると、安全基準や供給設備の要件が変わる場合があります。メーカーと施設側で責任分界を明確にし、法令・社内基準に沿って導入計画を作ります。
処理能力と所有コストを比較する
装置価格だけでなく、1ロット当たりの処理枚数、昇温・冷却時間、搬送時間、レシピ切替、クリーニング、定期保守、消耗部品を含めて処理能力を評価します。バッチ枚数が多くても、切替やメンテナンスが長ければ実稼働率は下がります。
電力、ガス、冷却水、石英管、ボート、ランプ、レーザ光源、真空ポンプ、除害設備、保守契約を含む総所有コストを比較します。既存ラインへ追加する場合は、設置面積とユーティリティ余力も重要です。
装置費用を左右する要素
半導体向け熱処理装置は個別仕様と見積もりが中心であり、装置方式だけで一律の価格相場を示すことは困難です。研究用の手動RTAと、300mm全自動バッチ炉・量産RTPでは、自動化、付帯設備、立ち上げ支援が大きく異なります。
| 費用項目 | 金額が変わる条件 |
|---|---|
| 装置本体 | 炉構成、チャンバー数、到達温度、ウェーハ径、処理枚数、自動搬送 |
| プロセス構成 | 真空、ガス系統、測温、冷却、プラズマ・レーザ・ランプ光源 |
| 付帯設備 | 電源、冷却水、排気、除害、ガスキャビネット、安全設備 |
| 導入・立ち上げ | 搬入、据付、装置接続、レシピ開発、サンプル評価、教育 |
| 維持管理 | 保守契約、予備部品、石英部品、ランプ・レーザ、ポンプ、校正 |
メーカーへ相談する前に整理する仕様
- 処理目的と評価指標:活性化、酸化膜、接触抵抗、結晶性、膜質、応力
- 基板材料、ウェーハ径・厚さ、反り、裏面状態、キャリアの有無
- 前工程・後工程、成膜材料、金属汚染区分、許容できる熱予算
- 目標温度、昇温速度、保持時間、冷却速度、温度均一性
- 使用ガス、流量、圧力、真空度、排気・除害条件
- 1日・1カ月の処理枚数、ロット構成、品種切替、量産タクト
- 手動・半自動・全自動、FOUP・SMIF、MES・ホスト通信
- 設置場所、クリーンルーム寸法、電源、冷却水、排気、搬入経路
- サンプル試験の評価方法、受入条件、レシピ移管、検収基準
- 国内保守、部品供給、リモート対応、予防保全、装置更新計画
半導体向け熱処理装置に関するFAQ
半導体熱処理装置のメーカーシェアだけで選んでもよいですか?
シェアの対象がバッチ炉、RTP、フラッシュ、レーザ、SiC高温炉のどれかで結果が変わるため、総合順位だけでは選べません。自社が必要とする装置カテゴリと対象年度・地域を確認したうえで参考にし、最終的にはプロセス適合性とサポートで判断します。
アニール装置と熱処理装置は同じですか?
アニール装置は熱処理装置の一種です。熱処理装置には、アニールのほか、酸化、拡散、LPCVD、キュア、脱ガスなどを行う装置が含まれます。同じ炉で複数プロセスへ対応できる場合もありますが、汚染区分やガス系統によって共用できないことがあります。
半導体の拡散炉はどのような構造ですか?
一般的な拡散炉は、ヒーターで囲まれた反応管、ウェーハを保持するボート、ガス供給・排気、温度制御、搬送部などで構成されます。横型と縦型があり、量産性、設置面積、ウェーハ搬送、温度・ガス均一性の考え方が異なります。
RTPとRTAの違いは何ですか?
RTPはRapid Thermal Processingの略で、急速な加熱・冷却を行う熱処理全般を指します。RTAはRapid Thermal Annealingの略で、RTPのうちアニールを目的とする処理です。装置名では両方の表記が使われるため、対応プロセスを確認してください。
中古の熱処理装置を導入するときの注意点は何ですか?
装置の稼働履歴、処理物質、汚染区分、制御部品の供給状況、石英・ヒーター・ポンプの状態、安全基準、レシピ移管、メーカー保守の可否を確認します。購入価格だけでなく、再生、移設、立ち上げ、改造、部品更新まで含めて比較しましょう。
関連する半導体製造装置の記事
熱処理装置の前後工程や評価方法も含めて設備を検討する場合は、関連する半導体製造装置の記事も確認してください。
半導体向け熱処理装置メーカーのまとめ
半導体向け熱処理装置メーカーを比較するときは、会社規模や装置名よりも、処理目的、熱予算、基板材料、ウェーハ径、処理枚数、雰囲気、量産段階を先に整理することが重要です。
酸化・拡散・LPCVDを含む量産バッチ炉、短時間処理を行うRTP・RTA、ミリ秒のフラッシュ、局所領域のレーザアニールでは、適する工程が異なります。候補メーカーへ同じ仕様を提示し、実サンプル評価と総所有コストを比較して選定しましょう。
- 免責事項
掲載内容は2026-07-12時点で確認した各社公式サイト・製品ページをもとにしています。装置仕様、対応プロセス、ウェーハサイズ、温度、販売・保守体制は変更される場合があります。詳細は各社へ確認してください。

