イオン注入装置メーカー10社比較 半導体・研究用途別の選び方

公開日:2026年07月13日

イオン注入装置は、半導体へ添加元素を導入して電気特性を制御する量産設備から、材料改質や量子デバイス研究に使う装置まで用途が分かれます。

必要なイオン種、注入エネルギー、ドーズ量、基板温度、処理能力によって選ぶべきメーカーも変わります。イオン注入装置メーカー10社の製品領域と、研究開発・量産用途別の比較ポイントを整理します。

目次

イオン注入装置メーカー10社の比較表

装置区分・注入方式、対象基板・主な用途、研究開発・量産対応をもとに比較しています。対応可否はイオン種、エネルギー、ドーズ量、ウェーハ径、基板温度、処理量によって変わるため、共通仕様を提示して確認してください。

会社名 サービスの特徴 装置区分・注入方式 対象基板・主な用途 研究開発・量産対応

日新イオン機器株式会社

半導体・FPD・材料改質向けに装置と受託注入を展開

半導体用中電流・高エネルギー、FPD用、材料改質、イオンビーム
シリコン、SiC・GaN、イメージセンサー、FPD、研究材料
研究開発・受託注入から300mmウェーハ・FPD量産まで対応

住友重機械マテリアルソリューションズ株式会社

高電流・中電流・高エネルギーを量産用途別に展開

高電流、中電流、高エネルギー、All-in-One型、枚葉・バッチ
ロジック、メモリ、パワー半導体、200mm・300mmウェーハ
半導体量産向け。多工程統合、角度・ドーズ制御、装置共通化に対応

Applied Materials, Inc.

先端ロジック・メモリ・SiC向けにVIIStaシリーズを展開

高電流・中電流・高エネルギー、枚葉、低温・高温注入
先端ロジック、メモリ、イメージセンサー、SiCパワーデバイス
先端半導体量産向け。角度・ドーズ・汚染・温度制御を重視

Axcelis Technologies, Inc.

共通Purionプラットフォームで電流・エネルギー領域を展開

高電流、中電流、中エネルギー、高エネルギー、枚葉式
先端ロジック、DRAM・NAND、パワーデバイス、イメージセンサー
半導体量産向け。共通操作・搬送と用途別ビームラインを両立

Advanced Ion Beam Technology, Inc.

低エネルギー・高電流注入を先端半導体向けに展開

低エネルギー・高電流、イオンビーム、枚葉半導体プロセス
先端ロジック、浅い接合、半導体前工程、研究・量産プロセス
半導体量産向け。低エネルギー領域のドーズ・角度・純度を重視

Shanghai Kingstone Semiconductor Co., Ltd.

低エネルギーからSiC・GaN、水素注入まで製品群を展開

低エネルギー高電流、中電流、高エネルギー、水素、SiC・GaN
ロジック、メモリ、パワー半導体、化合物半導体、ウェーハ材料
半導体量産向け。工程別の複数装置と中国拠点での支援を展開

ion beam services S.A.S.

新品装置・受託注入・改造・保守を一体で提供

高電流・中電流、プラズマ浸漬、ビームライン、改造・再生装置
半導体、SiC、センサー、材料改質、研究開発、少量生産
研究・試作から量産、受託注入、既存装置延命まで対応

High Voltage Engineering Europa B.V.

研究・材料科学向けのイオン注入器と加速器を設計

イオン注入器、単端・タンデム加速器、イオン源、分析ビームライン
材料科学、放射線損傷、半導体研究、イオンビーム分析、大学研究
研究開発・共用施設向け。イオン種・エネルギー・試料室を個別構成

National Electrostatics Corp.

材料研究向けの高電圧デッキと注入ビームラインを構成

100kVから400kV級高電圧デッキ、イオン源、走査、試料ステージ
半導体注入研究、材料改質、放射線損傷、宇宙・核融合材料研究
研究施設向け。イオン種、照射角度、温度、複数ビームを個別設計

Ionoptika Ltd

量子デバイス向けに決定論的単一イオン注入装置を展開

集束イオンビーム、単一イオン検出、ナノ位置決め、複数イオン源
量子ビット、ダイヤモンド色中心、単一原子デバイス、材料研究
先端研究向け。注入個数と位置を制御する単一イオンプロセスに対応

イオン注入装置メーカー10社の特徴

日新イオン機器株式会社

半導体・FPD・材料改質向けに装置と受託注入を展開

日新イオン機器株式会社は、半導体製造用とFPD製造用のイオン注入装置を開発・製造しています。半導体用では汎用性のある中電流装置からパワーデバイス向けまで扱い、ロジック、メモリ、マイコン、車載半導体、イメージセンサーなどの工程に対応します。

イオン注入センターでは、300mmウェーハに対応する装置を使った受託注入も提供しています。SiC・GaN・酸化ガリウムなどへの高温注入、特殊イオン種、プロセス開発を先に検証してから装置導入を検討したい企業にも候補になります。

日新イオン機器株式会社の会社概要

会社名日新イオン機器株式会社
主な装置領域半導体・FPD用イオン注入装置、材料改質、受託注入
公式URLhttps://www.nissin-ion.co.jp/prd/ion-implanter/

住友重機械マテリアルソリューションズ株式会社

高電流・中電流・高エネルギーを量産用途別に展開

住友重機械マテリアルソリューションズ株式会社は、半導体製造用のイオン注入装置を展開しています。高電流、中電流、高エネルギーの各装置に加え、高電流と中電流の領域を一台で広く扱うAll-in-One型SAionを製品化しています。

高電流では枚葉式・バッチ式、中電流ではMC3シリーズ、高エネルギーでは多段RF加速方式の装置を用意しています。複数の注入工程を同一プラットフォームへ集約したい場合や、ウェーハ量産で角度、ドーズ、パーティクル、生産性を管理したい企業に向いています。

住友重機械マテリアルソリューションズ株式会社の会社概要

会社名住友重機械マテリアルソリューションズ株式会社
主な装置領域半導体向け高電流・中電流・高エネルギーイオン注入装置
公式URLhttps://shi-ms.com/jp/products/

Applied Materials, Inc.

先端ロジック・メモリ・SiC向けにVIIStaシリーズを展開

Applied Materials, Inc.は、半導体量産向けにVIIStaシリーズのイオン注入装置を展開しています。VIISta Tridentは枚葉式の高電流装置で、エネルギー汚染、面内均一性、注入角度、ドーズレートを制御する構成です。

中電流領域のVIISta 900 3Dや高エネルギー装置もあり、SiC向けには高温注入を含む製品群を展開しています。先端ロジック・メモリだけでなく、150mm・200mm SiCウェーハで結晶損傷とドーパント活性化を見据えた工程を構築したい企業に候補になります。

Applied Materials, Inc.の会社概要

会社名Applied Materials, Inc.
主な装置領域先端半導体・SiC向け枚葉式イオン注入装置
公式URLhttps://www.appliedmaterials.com/il/en/product-library/viista-trident.html

Axcelis Technologies, Inc.

共通Purionプラットフォームで電流・エネルギー領域を展開

Axcelis Technologies, Inc.は、半導体量産向けのPurionイオン注入装置を展開しています。共通プラットフォーム上に、高電流、中電流、中エネルギー、高エネルギーの用途別装置を構成し、操作・搬送・保守の共通化を図っています。

ロジック、DRAM・NAND、パワーデバイス、イメージセンサー、成熟プロセスまで対象が広く、単一ウェーハ方式で注入条件の再現性と処理能力を管理します。複数装置間の共通性、オペレーター教育、予備品、装置稼働率まで含めて量産設備を比較したい企業に向いています。

Axcelis Technologies, Inc.の会社概要

会社名Axcelis Technologies, Inc.
主な装置領域半導体量産向けPurionイオン注入装置
公式URLhttps://www.axcelis.com/products/purion-ion-implantation-equipment/

Advanced Ion Beam Technology, Inc.

低エネルギー・高電流注入を先端半導体向けに展開

Advanced Ion Beam Technology, Inc.は、台湾で半導体前工程向けイオン注入装置を開発・製造しています。低エネルギー・高電流領域を中心に、浅い接合を形成する先端ロジック工程へ対応する装置技術を展開しています。

低エネルギー領域では、ビーム輸送中の空間電荷、注入角度、ドーズ分布、金属汚染の制御が重要です。先端プロセスで低エネルギー注入を量産化し、装置メーカーの地域・サポート体制も含めて候補を広げたい企業に向いています。

Advanced Ion Beam Technology, Inc.の会社概要

会社名Advanced Ion Beam Technology, Inc.
主な装置領域先端半導体向け低エネルギー・高電流イオン注入装置
公式URLhttps://aibt.com.tw/en/

Shanghai Kingstone Semiconductor Co., Ltd.

低エネルギーからSiC・GaN、水素注入まで製品群を展開

Shanghai Kingstone Semiconductor Co., Ltd.は、半導体向けのイオン注入装置を開発しています。低エネルギー高電流、高エネルギー、中電流、水素注入、SiC・GaNなど第三世代半導体向けの製品シリーズを展開しています。

ロジック・メモリのドーピングだけでなく、パワー半導体や水素注入を利用するウェーハプロセスも比較対象にできます。中国・アジアの生産拠点で導入する場合は、対象プロセスの量産実績、輸出管理、現地サービス、部品供給を個別に確認する必要があります。

Shanghai Kingstone Semiconductor Co., Ltd.の会社概要

会社名Shanghai Kingstone Semiconductor Co., Ltd.
主な装置領域半導体・SiC・GaN・水素向けイオン注入装置
公式URLhttps://www.kingstonesemi.com/en/products

ion beam services S.A.S.

新品装置・受託注入・改造・保守を一体で提供

ion beam services S.A.S.は、イオン注入装置の製造、受託注入、既存装置の改造・保守を扱っています。MAXion、FLEXion、IMCなどのビームライン装置に加え、ウェーハ全体をプラズマへ浸漬するPULSionを展開しています。

装置を購入する前に受託注入でプロセスを検証したい場合や、既存装置の改造・再生で投資額を抑えたい場合も同じ事業者へ相談できます。研究・少量生産から量産移管までの連続性と、欧州・アジア・米国の支援体制を比較したい企業に向いています。

ion beam services S.A.S.の会社概要

会社名ion beam services S.A.S.
主な装置領域イオン注入装置、プラズマ浸漬、受託注入、改造・保守
公式URLhttps://www.ion-beam-services.com/

High Voltage Engineering Europa B.V.

研究・材料科学向けのイオン注入器と加速器を設計

High Voltage Engineering Europa B.V.は、科学・産業用途の粒子加速器システムを製造し、イオン注入器、イオン加速器、イオンビーム分析装置、イオン源などを展開しています。量産ファブ向けの枚葉装置より、研究目的に合わせたビームライン構成が中心です。

半導体材料へのドーピングだけでなく、金属・セラミックスの材料改質、放射線損傷、核科学などの研究へ対応できます。必要なイオン種、エネルギー範囲、ビーム電流、試料温度、照射面積を個別に設計したい大学・研究機関に向いています。

High Voltage Engineering Europa B.V.の会社概要

会社名High Voltage Engineering Europa B.V.
主な装置領域研究用イオン注入器・粒子加速器・ビーム分析装置
公式URLhttps://www.highvolteng.com/index_en.html

National Electrostatics Corp.

材料研究向けの高電圧デッキと注入ビームラインを構成

National Electrostatics Corp.は、粒子加速器とイオンビーム装置を製造しています。100kVから400kV級の高電圧デッキは、ガス・スパッタイオン源、質量分離、ビーム走査、試料ステージを組み合わせ、半導体注入や材料研究に利用できます。

水素から重元素までのイオン、試料温度制御、照射面積、複数ビーム構成などを研究目的に合わせて検討できます。ウェーハ量産の処理能力より、広いイオン種とエネルギー、放射線損傷や材料改質の実験自由度を重視する研究施設に候補になります。

National Electrostatics Corp.の会社概要

会社名National Electrostatics Corp.
主な装置領域研究用高電圧イオン注入・加速器・ビームライン
公式URLhttps://www.pelletron.com/products/high-voltage-decks/

Ionoptika Ltd

量子デバイス向けに決定論的単一イオン注入装置を展開

Ionoptika Ltdは、イオンビーム装置と表面分析装置を開発し、量子デバイス向けの単一イオン注入装置Q-Oneを展開しています。大量のドーパントをウェーハ全面へ注入する量産装置とは異なり、個々のイオンを検出しながら狙った位置へ導入する用途です。

量子ビット、ダイヤモンドの色中心、単一原子デバイスなどでは、注入量の平均値ではなく、原子数と位置の制御が重要です。高分解能イオンビーム、ナノ位置決め、単一イオン検出を組み合わせた研究設備を求める大学・量子技術開発部門に向いています。

Ionoptika Ltdの会社概要

会社名Ionoptika Ltd
主な装置領域量子デバイス向け単一イオン注入装置
公式URLhttps://ionoptika.com/instruments/

イオン注入装置メーカーの選び方

装置選定では、形成したいデバイス構造や材料特性を先に定義します。イオン種とエネルギーは注入深さ、ドーズ量は添加濃度、注入角度は結晶方位や立体構造への入り方に影響します。

量産半導体用では処理能力、パーティクル、金属汚染、自動搬送、装置稼働率が重要です。研究用では、扱えるイオン種、エネルギー範囲、試料形状、温度、ビームラインの変更自由度を重視します。両者を同じ比較表だけで判断せず、用途を分けましょう。

イオン注入装置とは

イオン注入装置は、目的の元素をイオン化し、電場で加速して、質量分離・集束・走査を行いながら基板へ照射する設備です。半導体では、ホウ素、リン、ヒ素などをシリコンへ導入し、PN接合、ウェル、ソース・ドレイン、チャネルなどの電気特性を作り込みます。

注入直後の結晶には欠陥が生じ、添加元素も電気的に活性化していない場合があります。そのため、RTA、レーザーアニール、炉アニールなどの熱処理と組み合わせて、結晶回復とドーパント活性化を行います。装置選定では注入工程だけでなく、後工程まで含めて条件を設計します。

イオン注入装置の主な構成

構成役割確認したい点
イオン源ガス・固体原料から目的元素のイオンを生成対応イオン種、原料、交換時間、寿命、汚染
引出し・加速部イオンをビームとして取り出し所定エネルギーまで加速エネルギー範囲、安定性、高電圧絶縁
質量分析部磁場などで目的の質量・電荷を選別質量分解能、異種イオン、金属汚染
ビーム輸送部ビームを集束・平行化・走査して基板へ輸送角度、均一性、ビーム電流、エネルギー汚染
エンドステーション基板の搬送、保持、走査、角度・温度制御ウェーハ径、枚葉・バッチ、加熱・冷却、裏面接触
ドーズ制御ビーム電流と照射時間から注入量を管理面内分布、再現性、校正、低ドーズ対応
真空・排気・安全設備ビーム輸送と高電圧運転に必要な環境を維持真空度、排ガス、X線遮蔽、インターロック

高電流・中電流・高エネルギー装置の違い

装置区分主な特徴代表的な用途比較ポイント
高電流大きなビーム電流で高ドーズ注入を行うソース・ドレイン、コンタクト、浅い接合低エネルギー輸送、ウェーハ温度、パーティクル、処理能力
中電流広いエネルギー・ドーズ範囲を精密に制御ウェル、チャネル、しきい値調整、イメージセンサー角度精度、エネルギー純度、低ドーズ再現性、用途範囲
高エネルギー加速器を使い深い領域へイオンを注入深いウェル、埋込層、センサー、パワーデバイスエネルギー範囲、加速方式、ビーム電流、装置占有面積
プラズマ浸漬基板をプラズマへ浸漬しパルス電圧で注入低エネルギー、三次元構造、材料表面改質イオン種選別、深さ制御、三次元均一性、適用材料
研究用ビームラインイオン種・エネルギー・試料条件を柔軟に変更材料改質、放射線損傷、半導体研究ビーム電流、照射面積、試料温度、分析機器接続
単一イオン注入個々のイオンを検出し狙った位置へ導入量子ビット、色中心、単一原子デバイス位置精度、検出効率、イオン源、スループット

用途別にイオン注入装置を選ぶ

ロジック・メモリ半導体

ロジック・メモリでは、浅い接合、ウェル、しきい値調整、ソース・ドレインなど複数の注入工程があります。高電流・中電流・高エネルギーを使い分けるため、装置間でウェーハ搬送、操作画面、レシピ、保守部品を共通化できるかも総保有コストへ影響します。

SiC・GaNパワー半導体

SiCはシリコンよりドーパントが拡散しにくく、注入時の結晶損傷と高温処理が課題になります。アルミニウムなどの対応イオン種、加熱注入、150mm・200mmウェーハ、ウェーハ反り、クランプ、温度均一性を確認します。GaNや酸化ガリウムも含め、サンプル評価と後工程アニールを組み合わせて検証します。

イメージセンサー・パワーデバイスの深い注入

高エネルギー装置は、深いウェルや埋込層を形成する用途で使われます。必要な深さと濃度分布からエネルギーと多段注入条件を決め、ビーム電流、エネルギー汚染、金属汚染、ウェーハ温度を評価します。装置の公称エネルギー上限だけでなく、実際のイオン種・電荷状態で得られる処理能力を確認します。

FPD・大型基板

FPD用装置は、シリコンウェーハ用と異なる大型ガラス基板の搬送・走査・面内均一性が必要です。基板世代、薄膜トランジスタ方式、注入面積、基板破損対策、ラインタクトを確認し、半導体用装置とは別の候補として比較します。

材料改質・放射線損傷研究

金属、セラミックス、ポリマー、核融合材料、宇宙用部品の研究では、多様なイオン種、広いエネルギー、加熱・冷却、照射角度、複数ビームが求められます。量産ウェーハの処理枚数より、実験自由度、ビーム計測、分析装置との接続、放射線安全設備を重視します。

量子デバイス・単一原子

量子デバイスでは、平均ドーズではなく、注入する原子数と位置を制御する必要があります。集束イオンビーム、ナノ位置決め、単一イオン検出、対象材料、色中心形成、後工程アニールを一体で検討します。一般的な量産イオン注入装置とは目的が異なるため、専用装置を比較します。

メーカー比較で確認する8つのポイント

1. イオン種と原料

ホウ素、リン、ヒ素、アンチモン、アルミニウム、水素、ヘリウム、窒素など、目的工程で必要なイオン種を整理します。ガス・固体原料の供給方法、イオン源寿命、原料交換、異種元素の残留、クロスコンタミネーションを確認します。

2. 注入エネルギーと深さ

注入深さは、イオンの質量、エネルギー、基板材料、入射角によって変わります。一つのエネルギーだけでなく、複数条件を重ねて濃度分布を形成する場合もあります。SRIMなどの計算結果を出発点にしつつ、SIMSなどで実測プロファイルを確認します。

3. ドーズ量とビーム電流

必要なドーズ量、面内均一性、ロット間再現性を定義します。大きなビーム電流は処理時間を短縮できますが、ウェーハ温度や帯電、結晶損傷へ影響する場合があります。低ドーズ工程では、微小電流の測定精度と制御安定性が重要です。

4. 注入角度とチャネリング

結晶軸に沿ってイオンが深く侵入するチャネリングを抑えるため、傾斜・回転角を設定します。FinFET、GAA、トレンチ型パワーデバイスなどの立体構造では、側壁への注入とシャドーイングも考慮します。角度計測の方法と再現性をメーカーへ確認します。

5. ウェーハ・基板と温度

150mm・200mm・300mmウェーハ、大型ガラス、チップ・小片、立体試料では保持・搬送方式が異なります。高温注入、低温注入、裏面ガス冷却、静電チャック、機械クランプなど、基板温度と反りを管理する仕組みを確認します。

6. 汚染・パーティクル・結晶損傷

イオン源やビームライン由来の金属汚染、前ロット由来の異種元素、搬送によるパーティクルを評価します。注入後の結晶欠陥は、アニール条件と組み合わせて電気特性まで確認します。高価なSiCウェーハでは、割れ・反り・裏面傷も検収項目に含めます。

7. 処理能力と自動化

量産装置は、ビーム電流だけでなく、ウェーハ搬送、レシピ切替、ビームセットアップ、校正、保守を含む実効処理能力で比較します。FOUP・カセット、SECS/GEM、装置ログ、ホスト通信、レシピ権限、トレーサビリティへの対応も確認します。

8. 保守・部品・プロセス支援

イオン源、フィラメント、絶縁部品、電極、磁石、真空ポンプ、搬送部は停止時間と運用費へ影響します。国内サービス拠点、予備品、部品供給期間、遠隔診断、プロセスエンジニアの支援、既存装置の改造可否を比較します。

高電圧・X線・ガスを含む安全設備

イオン注入装置は、高電圧、真空、可燃性・毒性原料、プロセス中に発生するX線などへの安全対策が必要です。装置本体だけでなく、ガスキャビネット、漏洩検知、排気・除害、放射線遮蔽、インターロック、非常停止、保守時のロックアウトまで確認します。

  • 高電圧部へのアクセス防止と接地・放電手順
  • X線遮蔽、漏洩線量測定、法令・施設管理への対応
  • ドーパント原料の保管、供給、漏洩検知、排気・除害
  • 真空破壊、冷却水停止、停電、地震時の安全停止
  • 保守作業者の教育、保護具、作業許可、履歴管理

問い合わせ前に整理する要求仕様

項目整理する内容
対象製品ロジック、メモリ、パワー、センサー、FPD、材料研究、量子デバイス
基板材質、径・寸法、厚み、反り、裏面状態、チップ・小片の有無
イオン種元素、原料形態、純度、複数イオン種、異種汚染の許容値
注入条件エネルギー、ドーズ、ビーム電流、角度、回転、温度
品質面内均一性、再現性、パーティクル、金属汚染、深さ分布
生産量時間・日・月当たり処理数、品種数、稼働時間、増産計画
搬送・連携枚葉・バッチ、FOUP・カセット、ホスト通信、前後工程
設備条件電源、冷却水、ガス、排気・除害、床荷重、搬入、遮蔽
運用レシピ、ログ、教育、保守、予備品、部品供給、復旧手順

サンプル注入と装置検収で確認する項目

メーカーへ同一条件のサンプル注入を依頼し、注入直後とアニール後を分けて評価します。量産導入では、工場受入試験と現地受入試験の判定条件を契約前に明文化します。

評価項目確認内容
深さ・濃度分布SIMSなどでピーク深さ、裾、濃度、複数注入の重なりを測定
ドーズ・面内均一性ウェーハ内、ウェーハ間、ロット間の分布と再現性
注入角度角度精度、回転、チャネリング、立体構造への注入状態
汚染・パーティクル金属・異種元素、表面粒子、裏面汚染、搬送傷
結晶損傷・活性化欠陥、シート抵抗、キャリア濃度、移動度、アニール後特性
基板影響温度、反り、割れ、クランプ痕、膜・レジストへの影響
生産性ビームセットアップ、処理枚数、品種切替、稼働率、復旧時間

新品・中古・受託イオン注入の選び分け

選択肢向いている状況主な注意点
新品量産装置長期量産、先端プロセス、自動化、品質保証が必要仕様確定、納期、施設工事、プロセス認定、保守契約
中古・再生装置成熟プロセス、既存機種との共通化、投資抑制汚染履歴、部品供給、制御更新、移設、性能保証
受託注入研究・試作、少量生産、需要検証、設備導入前の条件出し対応イオン種、最低ロット、納期、機密、条件移管
大学・共用施設材料研究、特殊イオン、初期評価、分析併用予約、試料制限、汚染管理、利用者教育、量産移管

プロセス条件が固まっていない場合は、受託注入でデバイス特性を確認してから装置仕様を決める方法があります。中古装置は本体価格だけで判断せず、解体・輸送・再据付、遮蔽・ガス設備、部品交換、再校正、プロセス再認定を含めて新品と比較します。

イオン注入装置の費用を左右する要素

イオン注入装置は個別見積もりが中心で、量産半導体用と研究用では費用構造が異なります。量産装置では、エネルギー・電流領域、ウェーハ径、自動搬送、処理能力、汚染管理が設備費へ影響します。研究用では、加速電圧、イオン源、分析磁石、ビームライン、試料室、遮蔽が主な構成要素です。

  • 高電流・中電流・高エネルギーなどの装置区分
  • イオン種、エネルギー範囲、ドーズ・角度・温度制御
  • ウェーハ径、枚葉・バッチ、自動搬送、ホスト通信
  • イオン源、真空ポンプ、高電圧電源、磁石、計測系
  • ガスキャビネット、除害、冷却水、電源、X線遮蔽、建屋工事
  • サンプル評価、立ち上げ、プロセス認定、教育、保守、予備品

装置価格だけでなく、原料、消耗品、電力、冷却水、保守、清掃、装置停止、歩留まりを含めた総保有コストで比較します。複数工程を一台へ統合する場合は、設備台数を減らせる一方、装置停止時の影響範囲が広がる点も評価します。

イオン注入装置に関するよくある質問

イオン注入と熱拡散はどう違いますか

イオン注入は、イオンのエネルギーとドーズ量で深さ・濃度を制御し、比較的低い基板温度で添加元素を導入できます。熱拡散は高温で元素を基板内へ拡散させます。イオン注入後も結晶回復と活性化のためにアニールが必要です。

高電流・中電流・高エネルギーを一台で処理できますか

複数領域を広く扱うAll-in-One型もありますが、すべての工程で専用機と同じ処理能力・条件範囲になるとは限りません。自社の注入レシピを整理し、各工程のビーム電流、エネルギー、処理時間、切替時間を比較してください。

SiCには高温イオン注入が必要ですか

SiCでは注入損傷の制御などを目的に高温注入が利用されますが、必要温度はイオン種、ドーズ、デバイス構造、後工程アニールで変わります。ウェーハ全面の温度均一性、反り、保持方法をサンプルで確認します。

受託注入から自社装置へ条件を移管できますか

移管は可能ですが、イオン源、ビームライン、ウェーハ保持、温度、角度が異なると同じ設定値でも結果が変わります。受託先と装置メーカーの間で、イオン種、実効エネルギー、ドーズ、角度、温度、分析結果を共有し、再評価計画を立てます。

中古イオン注入装置で注意する点は何ですか

イオン源・ビームラインの汚染履歴、高電圧部品、磁石・電源、真空ポンプ、搬送ロボット、制御PC、ソフトウェア、保守部品を確認します。移設後にエネルギー、ドーズ、角度、汚染、パーティクルを再校正できる事業者を選ぶことが重要です。

関連する半導体製造装置の記事

イオン注入は、洗浄、成膜、リソグラフィ、エッチング、アニール、検査・計測と連続する工程です。前後工程の設備も含めてライン全体を検討してください。

イオン注入装置メーカーのまとめ

イオン注入装置メーカーを比較するときは、会社規模や装置価格より先に、対象製品、イオン種、エネルギー、ドーズ量、注入角度、基板、温度、処理量を定義します。量産半導体、FPD、材料研究、単一イオン注入では、候補メーカーと評価軸が異なります。

候補を絞った後は、同一サンプルと評価方法で、深さ・濃度分布、ドーズ均一性、汚染、パーティクル、結晶損傷、電気特性、処理能力を比較します。装置本体だけでなく、アニール、分析、ガス・除害、遮蔽、保守、部品供給を含む工程全体で判断しましょう。

免責事項

掲載内容は公式サイト確認範囲です。対応範囲、対応国・言語、サービス内容は変更される場合があります。最新情報は各社公式サイトで確認してください。