マスク検査装置メーカー7社を比較!EUV・DUV対応と検査方式・選び方

最終更新日:2026年06月22日

目次

マスク検査装置メーカー7社の比較表

得意な検査対象・方式、対応世代、向いている用途をもとに比較しています。実際の対応可否は対象マスクの仕様や工程条件によって変わるため、各社へご確認ください。

会社名 サービスの特徴 得意な検査対象・方式 対応世代 向いている用途

レーザーテック

EUV実波長アクティニック検査の専用装置

EUV+DUV マスク・ブランクス一貫検査
EUV(Low-NA/High-NA)・ArF・KrF全世代対応
EUV先端マスク・ブランクスの品質保証

KLA

DUV・EUVレチクル検査の幅広い製品群

EUV+DUV レチクル検査、マスクショップ〜ファブ対応
EUV(2nm対応含む)・DUV ArF/KrF対応
マスクショップ〜ファブのレチクル品質管理

ニューフレアテクノロジー

EBライターとの一体ソリューションが強み

EBライターと連携したパターンマスク検査
DUV(ArF)hp10nm対応・EBライター一体運用
EBライター運用マスクショップのパターン検査

ブイ・テクノロジー

透過・反射同時検査の省スペース設計

半導体・FPD 両対応のマスク外観検査
DUV(ArF/KrF)マスク対応、Die-to-DB/D2D検査
半導体・FPDマスクの外観検査

カール・ツァイス SMT

30年の実績を持つエリアルイメージ測定標準ツール

EUV・DUVマスクのエリアルイメージ測定・資格認定
EUV(Low-NA・High-NA)・DUV 対応、修正後検証に強み
EUV/DUVマスクの資格認定・修正後検証

アプライド マテリアルズ

エリアルイメージとCD計測を統合した多機能検査

193nm エリアルイメージ統合マスク検査・SEM欠陥レビュー
DUV(ArF)先端ノード対応・EUVマスクSEMレビュー
先端OPCマスクのエリアルイメージ検査

TASMIT(東レエンジニアリング)

SEMベースのマスクパターン高精度検証

SEMベース マスクパターン精密検証・DBM計測
EUV・DUV マスクSEM検証・CD・配置誤差測定
マスクパターンの精密SEM検証・CD計測

マスク検査装置メーカー7社の詳細

レーザーテック

EUV実波長アクティニック検査の専用装置

レーザーテックは横浜に本社を置く半導体検査装置メーカーで、EUV露光プロセスに欠かせないフォトマスク・マスクブランクス検査装置を中心とした製品ラインを展開しています。EUVマスク検査装置(ACTISシリーズ)・EUVブランクス検査装置(MAGICSシリーズ)・パーティクル検査装置(MATRICSシリーズ)・ペリクル検査装置(PELMISシリーズ)など幅広い製品群を保有しており、同社IRによればEUV関連マスク検査で世界的に高いシェアを持つと公表されています。

主な顧客はEUVリソグラフィを採用する先端ウェーハファブ(ロジック・DRAM)、マスクショップ、マスクブランクスメーカーです。特に2nm以下の先端ノードを開発・量産するファウンドリや半導体メーカーにとって重要なサプライヤーとなっています。

大きな技術的特徴は、EUV露光と同じ13.5nm実波長を使うアクティニック検査技術です。ACTISシリーズは市場で商業展開された同方式の検査システムとして知られており、High-NA EUV対応のA300シリーズは高輝度光源「URASHIMA」と新設計光学系によりプリンタブル欠陥の高感度検出を実現します。2025年10月発表のA200HiTはスループットを旧モデル比3倍に向上し、生産コスト低減に貢献します。

2025年12月発表のMAGICS M9750/M9751は新設計検査光学系と高速検査回路、高精度XYステージを組み合わせた次世代ブランクス検査システムです。マスクブランクスメーカー向けの出荷検査からマスクショップの受け入れ・工程管理まで幅広い用途に対応します。

レーザーテックの会社概要

会社名レーザーテック株式会社
サービスの特徴EUV実波長アクティニック検査(ACTIS)とEUVマスクブランクス検査(MAGICS)を核とした半導体フォトマスク検査装置の設計・製造・販売
用途・対応世代EUV(Low-NA・High-NA)マスク・ブランクス検査、DUV ArF/KrFマスク検査、先端ノード(3nm以下)対応
URLhttps://www.lasertec.co.jp/en/products/semiconductor/

KLA

DUV・EUVレチクル検査の幅広い製品群

KLA Corporationは米国カリフォルニア州ミルピタスに本社を置くNASDAQ上場の半導体プロセス制御装置メーカーです。レチクル(フォトマスク)検査システムではTeronシリーズとTeraScanシリーズを中心に、マスクショップでのパターン欠陥検査からウェーハファブでのインライン品質管理まで体系的な製品群を提供しています。

主な対象はEUVおよびDUV先端ノードを採用する半導体メーカー・ファウンドリ・マスクショップです。特にTeron SL670e XP2は2nmロジックや先端DRAMの量産向けEUVマスク品質確認ツールとして位置付けられており、高ボリューム生産に必要な高スループットと検出感度を両立しています。

技術的な強みは、EUVGoldおよびEUVMultiDieテクノロジーによる高感度欠陥検出と、先進フォーカストラッキングによる安定した検査精度にあります。また、低欠陥率(低誤報)を特徴とするTeraScanシリーズはDUVマスク製造工程でのペリクル前後検査と受け入れ検査の双方に対応します。

KLAはレチクル検査のみならずウェーハ検査・計測分野でも幅広い製品を展開しており、同社開示によれば2025年度にプロセス制御装置市場で約58%のシェアを有する(同社IR資料による)とされています。マスク検査は同社ポートフォリオの重要な柱の一つです。

KLAの会社概要

会社名KLA Corporation
サービスの特徴Teron/TeraScanシリーズによるEUV・DUVレチクル検査、ファブ内インライン品質管理
用途・対応世代EUVマスク(2nm/DRAM先端対応)・DUV 193nm/248nm マスク検査、マスクショップ〜ファブ一貫カバー
URLhttps://www.kla.com/products/reticle-manufacturing

ニューフレアテクノロジー

EBライターとの一体ソリューションが強み

ニューフレアテクノロジーは東芝電子デバイス&ストレージの子会社として、半導体フォトマスク向けの電子ビーム(EB)マスクライター・マスク検査装置・エピタキシャルリアクターを主力製品として展開しています。マスク検査装置事業は2006年に開始され、ライターと検査システムの両方を同一メーカーとして提供できる点が業界内での強みです。

主な顧客はEBマスクライターを利用するマスクショップや先端半導体メーカーです。描画装置と同じ設計データベースを検査システムと共有できることで、Die-to-Databaseの検査精度向上と工程連携の効率化が期待できます。

NPI-8000は199nm波長光源を用いたhp10nmデザインルール対応のパターンマスク検査システムで、60分以内の高速検査を実現しています。多機能な検査アルゴリズムと高感度光学系により先端フォトマスクの欠陥を検出します。マルチビームEBライターの実用化とともに、EUV向けマスク検査技術の開発も継続しており(同社公式サイト)、次世代ノードへの対応が期待されています。

EUV対応マスク検査装置の商品化状況は、本調査時点で同社公式サイトには明示的な製品記載がなく(要確認)、現行の商業製品はDUV(hp10nm)対応のNPI-8000シリーズが中心です。

ニューフレアテクノロジーの会社概要

会社名ニューフレアテクノロジー株式会社
サービスの特徴EBマスクライターと連携したパターンマスク検査システム(NPI-8000)の開発・販売
用途・対応世代DUV hp10nmルール対応パターンマスク検査、EBライター一体ソリューション
URLhttps://www.nuflare.co.jp/english/products/mask/

ブイ・テクノロジー

透過・反射同時検査の省スペース設計

株式会社ブイ・テクノロジーは横浜市に本社を置く東証プライム上場の半導体・FPD製造装置メーカーです。フォトマスク検査装置では、LSI向けのDione/Dione-CISと、大型FPD向けGeminiを展開しており、描画・修正・計測装置も含む幅広いマスク関連製品群を持ちます。

Dione-CISは半導体用LSIフォトマスクに特化した外観検査システムで、Die-to-Database比較とDie-to-Die比較の双方に対応します。SMIF Pod対応、オフライン復習機能など工場運用を意識した機能を標準装備しており、アジア・日本の半導体マスクショップへ複数台の納入実績があります(同社代理店HTL公式サイトに出荷記録掲載)。

同社の特徴は独自の検査光学系と先進のデータ処理技術による高速・高分解能検査と、透過光・反射光の同時取得能力にあります。省スペース設計により既存ラインにも組み込みやすく、また高密度データ対応RIGシステムにより複雑なパターンデータも扱えます。

現行のDione-CISは主にDUV世代(ArF/KrF)マスクへの対応が中心で、EUVマスク検査への対応可否は公式サイトに明記されていないため(要確認)、先端EUVノードへの対応状況はメーカーへ直接確認を推奨します。

ブイ・テクノロジーの会社概要

会社名株式会社ブイ・テクノロジー
サービスの特徴半導体LSI・FPD向けフォトマスク外観検査システム(Dione/Dione-CIS・Gemini)の設計・製造・販売
用途・対応世代半導体用パターンマスク外観検査(DUV中心)、FPD大型マスク(〜G10)検査
URLhttps://www.vtec.co.jp/ja/our_business/photomask.html

カール・ツァイス SMT

30年の実績を持つエリアルイメージ測定標準ツール

Carl Zeiss SMT GmbHはカール・ツァイスAGの半導体製造技術部門で、EUV露光光学系の主要サプライヤーとして知られますが、フォトマスク検査・資格認定分野でもAIMS(Aerial Image Measurement System)シリーズを1993年より展開し業界標準ツールとして普及させています。同社はドイツ・オーバーコッヘンに本拠を置き、ASMLが24.9%の少数株主として参画しています。

主な顧客はEUV先端ノードを開発・量産するマスクショップと半導体ウェーハファブです。AIMS EUVは欠陥修正後の印刷影響評価や定期的なマスク資格確認に使われ、スキャナと同一光学条件でのエリアルイメージ取得により欠陥の修正合否を定量的に判定できます。

AIMS EUV 3.0(2025年発表)は前世代比でスループットを3倍向上させ、Low-NA(0.33NA)とHigh-NA(0.55NA)の両EUV技術に対応する汎用プラットフォームです。デジタルFlexIllu照明エミュレーションにより個別マスク要件へ柔軟に対応できます。同社プレスリリースによれば、複数の先端半導体メーカーへの導入が進んでいます。

AIMS製品は主に「マスク欠陥の印刷可能性評価・修正後検証」用途に特化したエリアルイメージ測定ツールであり、パターン全体の網羅的欠陥スキャン(サーフェス検査)とは補完的な位置付けにあります。高感度な全面スキャン検査にはレーザーテックやKLAの専用装置との併用が一般的です。

カール・ツァイス SMTの会社概要

会社名Carl Zeiss SMT GmbH
サービスの特徴AIMS EUVシリーズによるEUV・DUVフォトマスクのエリアルイメージ測定・欠陥印刷評価・マスク資格認定
用途・対応世代EUVマスク(Low-NA・High-NA)・DUV 193nm/248nmのマスク品質検証・修正後評価
URLhttps://www.zeiss.com/semiconductor-manufacturing-technology/products/photomask-solutions/mask-qualification.html

アプライド マテリアルズ

エリアルイメージとCD計測を統合した多機能検査

Applied Materialsは米国サンタクララに本社を置くNASDAQ上場の半導体製造装置メーカー(FY2025年売上約284億ドル)です。マスク検査分野ではAera(エリアイメージング)シリーズを展開し、第6世代となるAera 6はtrue aerial imaging(エリアルイメージング)と高分解能検査を一体化した193nmベースの検査システムです。

主な顧客はメモリ・ロジック先端ノードのマスクショップと半導体メーカーです。Aera 6はIPL(逆リソグラフィ)などの複雑なOPCを持つマスクのパターン検査に適しており、ダブル・クワッドパターニングリソグラフィ向けの高感度検査を低誤報率で実現します。

技術的な特徴は、リソグラフィグレードレンズとダブルCCDシステムの採用による高SNR、IntenCDによるフルマスクCD均一性マッピング、早期Haze検出機能を一台に統合した点にあります。2023年に発表したSEMVision G7はEUVマスク向けSEM欠陥レビュー・計測に対応しており、Aeraシリーズと組み合わせたマスク品質管理ソリューションを提供します。

なお、Aeraシリーズは主に193nmエリアルイメージング技術が中心で、EUV実波長(アクティニック)検査はカバーしていません(要確認)。EUVマスクの包括的な検査には専用アクティニック検査システムとの併用が一般的です。

アプライド マテリアルズの会社概要

会社名Applied Materials, Inc.
サービスの特徴Aeraシリーズによる193nmエリアルイメージ統合マスク検査、SEMVision G7によるEUVマスクSEMレビュー
用途・対応世代DUV(ArF)先端マスク検査、ダブル/クワッドパターニング対応、EUVマスクSEMレビュー
URLhttps://www.appliedmaterials.com/us/en/product-library/aera-6-mask-inspection.html

TASMIT(東レエンジニアリング)

SEMベースのマスクパターン高精度検証

TASMIT株式会社は東レエンジニアリング株式会社の子会社として2000年に設立された半導体検査装置メーカーです。電子ビーム(SEM)によるウェーハおよびフォトマスクのパターン検証システム「NGRシリーズ」と光学式ウェーハ検査システム「Inspectra」を中心とした製品を展開しています。

主な顧客はEUV・DUVマスクの精密なパターン検証を必要とするマスクショップや先端半導体メーカーです。NGR4000はSEM画像と設計データの高精度比較によりマスクフィーチャのCD・配置誤差を検出し、NGR2170はDesign Based Metrology(DBM)機能によりEUVマスク欠陥の解析に対応します(学術論文等で報告)。

SEMベースの検査は光学系と比べて解像度が高く、微細なパターンの正確な寸法検証に優位性があります。Die-to-Databaseの比較手法を採用することで、設計意図との差異を定量的に把握できます。AIを活用したコンター抽出アルゴリズムの開発も進めており、計測精度の向上に取り組んでいます。

なお、TASMITのNGRシリーズはマスク全体を高速スキャンする網羅的な欠陥サーフェス検査よりも、特定箇所の精密検証・計測を得意とするツールであり、レーザーテックやKLAの全面スキャン検査装置と補完的な関係にある点に留意が必要です。

TASMIT(東レエンジニアリング)の会社概要

会社名TASMIT株式会社
サービスの特徴NGRシリーズによる電子ビームSEMマスクパターン検証・CD計測・EUVマスク欠陥解析
用途・対応世代DUV・EUVマスクのSEMベース精密パターン検証・DBM計測
URLhttps://www.toray-eng.com/tasmit/products/semicon/

マスク検査装置とは

マスク検査装置とは、半導体リソグラフィ工程で使用するフォトマスク(レチクル)・マスクブランクスの欠陥を自動検出・分類する専用装置です。フォトマスクはシリコンウェーハに回路パターンを転写する「版」であり、ここに存在する微小な欠陥がそのままウェーハ全数に転写されることから、マスクの品質は半導体製造の歩留まりとチップ性能を直接規定します。

フォトマスク・レチクルとは

フォトマスクは、石英ガラス基板上にクロム(Cr)などの遮光薄膜で回路パターンを描いた透明板です。露光装置(ステッパー/スキャナー)がこのマスクを透過または反射させた光をウェーハ上のレジストに照射し、パターンを転写します。現代の量産工程では露光装置の縮小投影光学系により4〜5倍に縮小して転写するため、マスク上のパターン寸法はウェーハ上の寸法の4〜5倍になります。このような等倍以外の縮小転写を前提とした高精度マスクを特に「レチクル」と呼ぶ場合があります(業界では両語が混在して使われます)。

EUV露光装置は光の波長が極端紫外線(13.5nm)であるため、石英ガラスがEUV光を吸収してしまいます。そのためEUVマスクは反射型構造(Mo/Siなどの多層膜ミラー+吸収体パターン)をとり、光を透過させるのではなく反射面でパターンを形成します。この構造の違いがDUVマスクとEUVマスクの検査難度の大きな差につながります。

マスクブランクス検査とパターン付きマスク検査の違い

マスク製造工程は大きく「マスクブランクス(基板)の製造」と「パターン描画・現像・エッチングによるパターン形成」に分かれ、検査もこれに対応した2段階で行われます。

  • マスクブランクス検査:パターン描画前の基板段階での欠陥検査。微小なピット、粒子状異物、多層膜(EUVの場合)の位相欠陥などを検出します。ブランクス段階で欠陥が見つかれば、描画前に廃棄・修正できるため経済的ロスを抑制できます。EUVマスクブランクスでは多層膜界面に存在するバンプ(凸部)やピット(凹部)が数nmオーダーでも転写欠陥になるため、検査感度の要求が特に厳しい工程です。
  • パターン付きマスク検査:描画・現像・エッチング後のパターンが形成された状態での欠陥検査。ブリッジ(配線の意図しない接続)、オープン(断線)、異物付着、寸法誤差(CD:Critical Dimension)などを検出します。比較方式としては「Die to Die(ダイ間比較)」と「Die to Database(設計データとの比較)」があり、用途に応じて使い分けます。

主な検査方式

光学式検査

DUV領域(主に193nm:ArFレーザー、またはArF液浸)の光をマスクに照射し、透過光・反射光の画像から欠陥を検出します。スループット(処理能力)が高く量産工程に向いており、現在の主流方式です。検出感度はおよそ50〜60nm以上の欠陥が対象となりますが、近年の装置では解像度を高めてより微小な欠陥に対応しています。代表製品としてKLAのTeraScanシリーズ、ニューフレアテクノロジーのNPI-8000シリーズ、アプライドマテリアルズのAera 4などが挙げられます。

電子線(e-beam)検査

電子線(電子ビーム)をマスクに照射してSEM(走査電子顕微鏡)的な原理で画像取得し、欠陥を検出します。光学式と比較して検出感度が大幅に高く(サブ20nm級の欠陥検出も可能)、微細なパターンへの対応力に優れます。ただし走査速度の制約からスループットは光学式に劣り、量産スクリーニングよりも高感度確認検査・研究開発用途に多く用いられます。

アクティニック検査(EUV実波長検査)

「アクティニック(actinic)」とは「実際に化学反応(露光)を引き起こす波長」を意味し、マスク検査の文脈ではEUVの実露光波長である13.5nm光源で直接マスクを照射する方式を指します。DUV光源では捉えにくいEUVマスク特有の位相欠陥(多層膜の局所的な位相変化)を検出できる点が大きな特長で、EUVマスク品質保証に不可欠な手段として位置づけられています。装置の供給は現状レーザーテックのACTISシリーズが中心で、量産対応スループットの向上が業界課題となっています(要確認:2026年時点の動向は各社IRを参照)。

DUV世代とEUV世代での検査の違い

DUV(ArF 193nm)世代のフォトマスクは透過型構造で、光学式検査装置によるスクリーニングが確立された量産体制に入っています。欠陥検出の基準も長年の実績に基づく規格が整備されており、装置の選択肢も複数存在します。

EUV世代では前述の反射型マスク構造に加え、多層膜(Mo/Si を約40ペア積層)の内部に存在するバンプ・ピット・位相欠陥が露光時に転写されるという固有の課題があります。DUV光源の検査装置ではこれらの位相欠陥を捉えにくく、アクティニック検査(13.5nm)の活用が求められます。さらにHigh-NA EUV(開口数0.55)ではマスクフォーマット(8インチ化の検討含む)や吸収体の厚膜化による影響が加わり、検査装置の要求仕様がさらに高まっています(要確認:High-NA対応装置の量産化状況は各社公式情報を参照)。

マスク検査装置メーカーの選び方

各社を比較する前に、自社の導入目的に直結する比較軸を押さえておくと検討がぶれません。ここでは5つの軸を紹介します。

① 対応露光世代(DUV/EUV/High-NA EUV)

装置が対応する露光世代を最初に確認します。DUV(ArF 193nm)専用機、EUV対応機、さらにHigh-NA EUV(NA=0.55)を見据えた次世代対応機では要求仕様が大きく異なります。将来の世代移行を見据えたロードマップ対応の有無も選定の重要な視点です。

② 検査対象(マスクブランクス/パターン付きマスク/レチクル)

「ブランクス段階の基板検査」と「パターン形成後の欠陥検査」は装置が異なります。両方の工程をカバーする場合は複数機種の組み合わせが必要になることを念頭に置き、自社の工程フローに合った対象をカバーする装置かどうかを確認します。

③ 検査方式(光学式/電子線/アクティニック)

量産スクリーニングには高スループットな光学式が適し、微小欠陥の高感度確認には電子線が有効です。EUVマスクの位相欠陥検出にはアクティニック(13.5nm光源)が不可欠です。検査目的(量産管理・R&D・品質保証)に応じた方式選択が装置選定の核となります。

④ スループット・検出感度・解像度のバランス

検出感度(検出可能な欠陥サイズ)を上げるとスループットが低下するトレードオフがあります。生産量・検査頻度・要求感度を定量的に整理し、実際の運用条件でのタクトタイムとエラー率を事前に確認することが重要です。

⑤ 導入実績・国内サポート体制・保守対応

マスク検査装置は装置価格・維持費ともに高額で、ダウンタイムが生産に直結します。国内の技術サポート拠点の有無、定期保守の対応範囲、消耗品・スペアパーツの調達リードタイム、ユーザーコミュニティやトレーニング体制の充実度を導入前に確認します。

導入で失敗しないためのチェックポイント

装置を選定したあとも、導入を成功させるには事前の確認が欠かせません。商談前に押さえておきたいポイントを整理します。

  • 検査対象工程(ブランクス段階かパターン形成後か)と対応露光世代(DUV・EUV・High-NA)を仕様書レベルで明示したうえでメーカーに要件を伝える。曖昧なまま商談を進めると、後から「対応外」が判明するリスクがある。
  • スループット(1枚あたりの検査時間)と検出感度(検出可能な欠陥サイズ)の実測値または参考値をデモンストレーション・評価機貸出などで確認する。カタログ値は条件依存が大きいため、自社の実際のマスク仕様に近い条件での評価が望ましい。
  • 保守・キャリブレーション体制を確認する。特に光源(レーザー・EUVプラズマ)の交換サイクル、較正用リファレンスマスクの供給、ソフトウェアアップデートの保証期間は長期コストに影響するため、導入前に契約条件を精査する。
  • 装置の将来ロードマップ(次世代ノード対応、High-NA EUV対応計画)をメーカーへ確認する。半導体検査装置は技術進化が速く、現行機の陳腐化リスクとアップグレードパスの有無が総所有コスト(TCO)に大きく影響する。

マスク検査装置メーカーに関するよくある質問(FAQ)

マスク検査装置と一般的な外観検査装置(AOI)の違いは何ですか?

一般的なAOI(自動外観検査)装置は電子基板や部品の目視代替として幅広い対象に使われますが、半導体マスク検査装置はフォトマスク・レチクル専用に設計されており、検出対象の欠陥サイズがナノメートルオーダー、検査基準も半導体製造の露光プロセスに直結した厳格な規格に基づきます。マスクの僅かな欠陥がウェーハ全数に転写されるという特性から、要求される感度・精度・再現性は汎用AOI装置とは別次元のものになります。

EUVとDUVではマスク検査がどう変わりますか?

DUV(ArF 193nm)マスクは透過型構造で、光学式の検査装置による確立された量産フローが存在します。EUVマスクは反射型構造(Mo/Si多層膜ミラー)をとるため、DUV光源の検査装置では捉えにくい「位相欠陥」(多層膜内部のバンプやピット)が問題になります。この位相欠陥を正確に捉えるにはEUV実波長(13.5nm)を光源とするアクティニック検査装置が必要であり、検査体系そのものが変わります。EUV世代では複数の検査方式を組み合わせて品質保証する体制の構築が求められます。

アクティニック検査とは何ですか?なぜEUVマスクに重要なのですか?

アクティニック検査(actinic inspection)とは、実際の露光に使用するのと同じ波長の光(EUVの場合は13.5nm)でマスクを照射する検査方式です。DUV光源では光がEUVマスクの多層膜を透過・反射する際に見えにくい位相欠陥(バンプ・ピット・表面粗さ)を、実露光と同等の条件で直接検出できます。EUVマスクの品質保証において「露光時に本当に問題になる欠陥か否か」をとりわけ忠実に評価できる方式として、業界での重要性が高まっています。

マスクショップ(マスクメーカー)とウェーハファブ(デバイスメーカー)では、必要な検査装置が異なりますか?

はい、工程の位置付けによって必要な装置が変わります。マスクショップではブランクス受入検査から描画後のパターン欠陥検査まで一貫した検査体制が必要です。ウェーハファブ(デバイスメーカー)側でも受入検査やファブ内での定期確認検査のために検査装置を導入するケースがあります。さらにマスクの用途(量産用か開発用か)や対応ノードによっても必要な検査感度・スループットが異なるため、どの工程・用途のために導入するかを明確化したうえで装置要件を定める必要があります。

導入費用の目安はどのくらいですか?

マスク検査装置は仕様・対応世代・検査方式によって価格帯が大きく異なり、メーカーへの個別問い合わせが必要です。DUV向け光学式装置と、EUV対応のアクティニック検査装置では要求される光源・光学系・クリーン度管理設備の複雑さが異なるため、装置本体価格だけでなく設置環境整備・保守費用・光源消耗品などを含めた総所有コスト(TCO)で比較することを推奨します。規模・仕様・導入条件により変動が大きいため、複数メーカーへの相見積もりと要件定義の明確化が重要です。

関連する半導体・製造業向け記事

マスク検査装置メーカーのまとめ

マスク検査装置は、検査対象(マスクブランクス/パターン付きマスク)・対応世代(DUV/EUV/High-NA EUV)・検査方式(光学式/電子線/アクティニック)によって適した装置が分かれます。まずは自社の工程と導入目的、対応が必要な露光世代を整理し、複数メーカーへ要件を伝えて比較・相見積もりを進めるのが近道です。EUVマスクの位相欠陥への対応など高度な要件がある場合は、専用方式の装置と既存装置を組み合わせる構成も視野に検討しましょう。

免責事項

掲載内容は2026年6月時点で確認した各社公式サイト・製品ページ・IR資料・公開情報をもとにしています。装置仕様、対応世代、検査方式、対応可否、保守範囲は変更される場合があります。詳細は各社公式サイトまたはお問い合わせでご確認ください。